フランスの通信社AFPの記事「東京2020五輪キーマンの判事に対する苦しい言い訳」を訳してみました。
◯フランスの通信社AFPの記事「東京2020五輪キーマンの判事に対する苦しい言い訳」を訳してみました。
フランスの通信社AFPの記事「東京2020五輪キーマンの判事に対する苦しい言い訳」を訳してみました。2019年1月18日付の記事なのでデータはそ当時のものです。日刊ゲンダイの記事「竹田JOC会長が仏当局の聴取に「黒塗り」報告書提出のア然」で引用されてたやつです。
スピード重視で訳したので、誤訳があれば忌憚なくお申し付け下さい。
ちなみに、日刊ゲンダイ記事内の <日本の検察の事情聴取を受ける際に、そんな黒塗りの書類を出すだろうか(そんなもの出さないだろう)> の部分は誤訳だと思う。
東京2020五輪キーマンの判事に対する苦しい言い訳
afp.com/マルタン・ビューロー
なぜ200万ドル以上の金が秘密裏のロビー活動に支払われたのか? パリの検察当局で12月、東京2020オリンピック招致委員会のキーマン竹田恆和は、汚職疑惑の捜査を前に苦しい答弁を行った。AFP入手した事情聴取の情報による。
検察は、「国際オリンピック委員会(IOC)委員の賛成票」を得るために、2013年9月7日の東京オリンピック開催決定の対価として、2013年7月および10月の2件の贈賄を行った彼の責任を追求している。
委員の中でも、有力なセネガル人委員で国際陸上競技連盟(IAAF)前会長のラミーヌ・ディアック、その息子パパ・マッサタ・ディアック(「PMD」)は陸上界における汚職で度重なる捜査の集中砲火を浴びている。
2度の賄賂(計230万ドル)は、全く正体不明の会社であるブラック・タイディングズ社の口座に、「東京2020オリンピック招致」の名目で、コンサルタント業務の代金として正式に振り込まれた。
ただ、ルノー・ヴァン・リュインベークおよびステファニー・タショー両判事は12月10日の事情聴取において、シンガポールのブラック・タイディングズ社は全くの「ペーパーカンパニー」であると強調し、捜査班は同地に会社を発見することができず、パパ・マッサタ・ディアックと近しいイアン・タン・トン・ハンなる代表者が住むアパートがあるのみだったと語っている。
このつながりに当のJOC会長は困惑しているだろう。というのも、元IAAFのマーケティング・コンサルタントである「PMD」に大きな疑惑がかかるからである。
フランスの司法当局は、かの人物が、ロシアのドーピング事件でセネガルにいながらにして買収によりIAAFに目こぼしさせ、スポンサー契約または2016年のリオおよび東京のオリンピック招致に便宜を図ることで賄賂を受け取っていたと考えている。「PMD」はこれらの疑惑を否定しているが、フランスの捜査班の事情聴取を一度も受けていない。
「契約調印の時、招致委員会も私自身も、タン氏とパパ・マッサタ・ディアックとのつながりの存在は知らなかった」と竹田は断言した。「私はパパ・マッサタ・ディアックを知らないし、話したこともないし、彼については何も知らない」と71歳のオリンピック元馬術代表は主張した。
黒塗りのレポート
2013年7月末に交わされた95万ドルの初期契約の他に、「オリンピック招致成功を条件に」10月には137万5千ドルの追加支払いが付く契約である。日本の調査チームによると、ブラック・タイディング社は4件のレポートを送付し、そのうちの1件には「成功の理由」が詳細に記されていたという。
95万ドルの初期契約? 招致委員会元会長は「私はその金額が特に高いとは思わなかった」と責任の最小化を図り、2回目の支払いについての「周知」を否定した。竹田氏は、「ロビー活動」の対価としての7月の支払いの責任は認めても、彼のナンバー2の不在を理由に、契約にも「コンサルタントの選定」にも全く関与していなかったと主張している。
彼によれば、招致委員会にブラック・タイディング社を推薦したのは、日本の大手広告代理店の電通であるという。電通は、パパ・マッサタ・ディアックが長年にわたって牛耳ってきたIAAFの主要なマーケティング・パートナーであるため、関係は疑わしい。電通とIAAFとのあいだの疑わしい契約もまた6月に捜査の対象となっていた。既に汚職を追及されていた彼の父で、国際陸連の元会長ラミーヌ・ディアックの背任疑惑のためである。
「もっと具体的に言うことができますか?」と、判事たちは竹田氏の発言に対して追求する。「タン氏はIAAFの中のことはよく知っていたはずなので、IAAF内のIOC委員についての情報を招致委員会に提供しくれていたはずだ」と続ける。
司法官の前で、ラミーヌ・ディアックは、「各自の自由投票を確認するために」IOCのアフリカ人委員を集めたが、自身の東京支持はは隠さなかったと自ら語った。
最後に、竹田側は判事に文書を提出したが、判事側は投票後に作成された1通の報告書しか受け取ることができなかった。しかもそこには問題があった。文章が「招致委員会によって黒塗りにされ」ていて、日本の調査チームが「こんな状態のもの」を受理したのかと「おどろくべき」様相の文書であったと、司法官は苦虫を潰すように語り、「彼らが一般命令を何だと思っているのか」が全く解らないといった様子だった。
「230万ドルもの大金を払ったコンサルタントのレポートを委員会が保存していないなんて、おどろくべきことではないか?」と判事側は強調する。「彼らの支払いを正当化する具体的な要素は一体なんだというのか?」 2020年オリンピックの仕掛人は何も知らなかったと弁解している。以降、彼は「協力」するつもりだと保証している。金曜日に連絡を試みたが、竹田の弁護士とは連絡が取れなかった。
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