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蝮さんは東京の移動祝祭日だ:「毒蝮三太夫のミュージックプレゼント」(TBSラジオ)が週1回放送になることについて。

○蝮さんは東京の移動祝祭日だ:「毒蝮三太夫のミュージックプレゼント」(TBSラジオ)が週1回放送になることについて。

 

「毒蝮三太夫のミュージックプレゼント」(TBSラジオ)が、これまでの月〜木曜日の放送から、金曜日のみの週1回の放送になる。

1969年10月6日に放送開始し、「こんちワ近石真介です」に内包され、そのまま「大沢悠里のゆうゆうワイド」内で番組は継続した。順当に行けば「伊集院光とらじおと」(月〜木8:30-11:00)内で放送が続くかと思われたが、「ジェーン・スー 生活は踊る」(月〜金11:00-13:00)内へ移動した。伊集院光が断ったと言っていた記憶がある。

個人的には、これは正解だったと思う。伊集院×蝮さんの掛け合いは面白いに決まっているが、語弊を恐れず言えば、ある程度は想像がついてしまうところもある。その点、ジェーン・スー×蝮さんの掛け合いは未知数であったが、そこが良かった。ラジオっ聴きとしては、どうせなら聞いたことのないものを聴いてみたいし、変化の中にこそラジオの活路があるはずだ。

ちなみに、「毒蝮三太夫」「毒蝮」などと記述したほうが、書き手の中立性を目に見える形で示すことができるかもしれないが、以下、敬意と親愛の情を込めて「蝮さん」で通す。

すぐれて「東京的」な番組

radiko.jp のエリアフリーが始まったとき、関東以外のラジオリスナーに私がいちばん聴いてほしいと思った番組が「毒蝮三太夫のミュージックプレゼント」だった。

その理由は、この番組はすぐれて「東京的」な番組だからだ。

「東京的」な番組と聞いて、どんな番組を思い浮かべるだろうか? 全国区で旬の有名タレントが出演する番組? オシャレな番組? あるいは、最新の情報をフィーチャーした番組だろうか?

この番組は、そういう番組とはちょっと違う。

この番組の「東京らしさ」とは、リスナーは、地方としての東京を感じることができ、東京の普通のリスナーの日常を垣間みることができる番組という意味である。

地方としての東京

この番組では、蝮さんは東京都内またはその近県へ赴き、中継会場に集まる町の人たちの話を聞く。

そこには、東京に憧れて上京してきた私のような田舎者が期待していたスタイリッシュなアーバン・ライフとは明らかに異なる東京がある。空想上の大都会ではなく、地に足の付いた実在の人々が暮らす生活の場としての東京である。

中継会場に集まってくる人たちも、地方出身者が時に敵視しながら仮構していた気取った「東京人」はひとりもいない。

番組内で開陳される日常生活の場としてのリアルな東京は、「地方としての東京」とも言えるかもしれない。

リスナーの日常

もちろん、蝮さんが町にやって来ることは「日常」というよりは「ハレ」の瞬間ではあり、むしろお祭りですらあるが、スーパーやドラッグストアーや銭湯や福祉施設のような日常生活の場の雰囲気がラジオを通じて共有される。

放送に登場する町の人たちは、気取った言葉は使わないが、日々の暮らしの中で心に蓄積された感情を蝮さんに聞いてもらいたがっている。

放送内容は似たものにはなりがちだが、蝮さんが毎日ちがう町を訪れることで、日常生活の継続性と東京の空間的な広がりが、ラジオを通じて共有され、番組を聴いている自分もラジオの中の人たちの一部であることが自覚される。

その意味では、連日放送していることの意味は大きかったと思う。

蝮さんは東京の移動祝祭日だ

とはいえ、蝮さんも82歳のご高齢だ。腸閉塞による入院で2006年1月9日(月)から2月17日(金)まで休んだ以外は、1969年10月6日(月)からロケの帯番組を続けてきた。このことのほうが奇跡と言える。

これからは週1回の放送になる。

番組は金曜「たまむすび」(TBSラジオ、13:00-15:30)内に移動し、蝮さん×玉袋筋太郎×外山恵理アナウンサーの江戸っ子3人による放送に変わる。よってこれからは「ハレ」の瞬間が際立ち、週1回開催される東京の動くお祭りとして番組は続く。それはそれで愉しみだ。

もし君が幸運にも「ミュージックプレゼント」を一度でも聴いたことがあるのなら、週1の放送になっても、他の日に何を聴いていようと、蝮さんは君についてくる。なぜなら蝮さんは東京の移動祝祭日だからだ。

「よせよ!」

ミュージックプレゼント(公式サイト)


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コメント

ご無沙汰しています
ラジオの雑談の河内の政です。
ミュージックプレゼントの蝮さん、東京に住んでいた時に一度だけ見に行ったことがあります。
休日でゆうゆうワイド聞いていて中継場所調べて大田区のふとん屋さんだったかな?に行きました。
中継と言うより近所の寄り合いみたいな雰囲気で、
笑顔が溢れまくっていました。
東京を感じるラジオはいろいろありましたが、
その一つでした。
人を幸せにするラジオだなと思いました。

投稿: 河内の政 | 2018年4月 7日 (土) 08時32分

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