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『グッドモーニング、ベトナム』超え!ラジオ映画 No.1 は Talk to Me (2007) で決まりだぜ、y'all, meeen! ※ドン・チードル、キウェテル・イジョフォー主演

『グッドモーニング、ベトナム』超え!ラジオ映画 No.1 は Talk to Me (2007) で決まりだぜ、y'all, meeen! ※ドン・チードル、キウェテル・イジョフォー主演   

 

『グッドモーニング、ベトナム』超えのラジオ映画!

ラジオを題材にした映画は数多くあります。

おそらく、『グッドモーニング、ベトナム』Good Morning, Vietnam(1987年)をNo.1に挙げる人が多いと思います。

でも、私のラジオ映画No.1は、Talk to Me (2007) です。

日本では劇場公開されておらず、日本版DVDも出ていません。

でも、ハッキリ言って、『グッドモーニング、ベトナム』超えの傑作です。

キャストも豪華。主演は、

この他に、ラジオ局の局長役で、マーティン・シーン(Martin Sheen)も出ています(森喜朗化が進行中)。


Kasi Lemmons, Talk to Me (2007) 予告編
 

ストーリー

実在のラジオDJでコメディアンのピーティー・グリーン(Petey Greene)の半生を描いた作品で、刑務所内のラジオDJとして人気だったピーティーが出所し、ラジオ局に押し掛け、プロデューサーとともに成功してゆく過程とその後を描いた映画。

名台詞集

口八丁のピーティーからは名言が連発。いくつかご紹介。

"It's a minor challenge."(「たいした問題じゃない。」)

Petey  [Milo (Dewy's brother)]said y'all need a new DJ at that radio station. Hey, I'm your man.

Dewy  My brother wouldn't know.  And in case you forgot, you're in prison.

Petey  It's a minor challenge.

ピーティー あんたたち、ラジオ局に新しいDJが要るんだってな。ほら、オレがいるじゃないか。

デューイー 兄には関係ない話だ。それに、お忘れかもしれないが、君は刑務所の中だ。

ピーティー たいした問題じゃない。

刑務所の館内放送で人気のDJ・ピーティーと、服役中の兄に面会に来たデューイーとの出会いのシーン。ピーティーはある奇策を用いてまんまと出所を勝ち取り、デューイーのラジオ局に勝手に押し掛けます。

ピーティーに対して良い印象を持っていなかったデューイーですが、その後、ふたりはタッグを組んで成功への道を歩みます。

"P-Town."(「Pタウン」)

Petey  But I guess that don't make me no different than Berry Gordy.  And hell, that brother own a label!  I'm in pretty good company.  Maybe I'll own a label one day, y'all. "P-Town."

ピーティー でも、そうだとしたら、オレとペリー・ゴーディーになんの違いもないんじゃないか。あのブラザーはレーベルをもっている。オレもいい仲間に恵まれている。たぶんオレもレーベルをもつ日が来るだろう。「Pタウン」だな。

ラジオ局としては御法度のモータウン批判。モータウンからも苦情の電話が入ります。謝罪を求められたピーティーは、さらに悪口雑言を続け、DJになるチャンスを一旦失います。しかし、この放送は、黒人リスナーたちの心をつかんでいました。

自分のイニシャルと「モータウン」と引っ掛けてつくった言葉「Pタウン」は、この後、ピーティーの世界観を表すキー・ワードになります。

 

You, ready to shake up the world, radio man?(世界を揺り起こす準備はできてるか、ラジオ・マン?)

Dewy  You ready to shake up the world, radio man?

デューイー 世界を揺り起こす準備はできてるか、ラジオ・マン?

一度WOLでDJをつとめたピーティーでしたが、採用されませんでした。しかし、酒場でデューイーが見かけた黒人たちは、ピーティーのラジオの話で盛り上がっていました。

ピーティーがリスナーの心を掴んでいたことを知ったデューイーは、ピーティーのもとを訪れて声をかけます。

一計を案じたふたりは、翌日、奇策に打って出ます。

 

Because WOL is a station of the people, for the people, by the people."(「WOLは人民の人民のための人民によるラジオ局だからです。」)

Dewy  Morning music and a talk show, with a man of the people.  Because WOL is a station of the people, for the people, by the people. 

Petey  I'm the people.

デューイー 人びとの代弁者が送る朝の音楽とトーク・ショー。WOLは人民の人民のための人民によるラジオ局だからです。

ピーティー オレが人民だ。

出番のDJを事務所に閉じ込め、スタジオを不法占拠して放送するピーティーとデューイー。局長は、ふたりを追い出し、秘書に警察への通報を命じます。しかし、リスナーからの反響で回線がパンクして通報できません。そのときふたりが局長に向かって発した言葉。

 

"That's your city.  Our city."(「それはお前の街だ。オレたちの街だ。」)

Petey  Just take a look outside and tell me what you see.  You see a city on fire.  Now, that's your city.  Our city.   And that's not what Dr. King would have wanted.

ピーティー 外を見てみろ、何が見えるか言ってみろ。街が燃えてるだろ。なぁ、それはお前の街だ。オレたちの街だ。それに、こんなことキング牧師は決して望んでなんかいなかっただろう。

キング牧師が暗殺され、ワシントンDCでも暴動が起きます。黒人たちは道行く白人を襲い、白人の店を次つぎと破壊し火を放ちます。街の惨状を目にしたピーティーとデューイーはスタジオに戻り、冷静さを保つようラジオを通じて夜通し呼びかけ、リスナーたちからの電話に応え続けます。

 

"I kind of miss that little old radio station"(「オレは何だか、あのちっぽけなラジオ局がなつかしいんだ。」)

Petey  I know it sounds crazy, man, but I...I kind of miss that little old radio station back at Lorton, man.

ピーティー 馬鹿げた話に聞こえるかもしれないけどさ、オレは何だか、ロートンのあのちっぽけなラジオ局がなつかしいんだ。

人気DJとなったピーティー。デューイーがマネージャーとして辣腕を発揮し、活動の幅を広げてテレビにも進出。ピーティーは、みるみるうちにスターダムにのし上がってゆきます。そんななかで、ピーティーがふと漏らした言葉。

 

"When they out there laughing, I know they laughing with me, not at me."(「あいつらがラジオの向こうで笑っているとき、オレを笑ってるんじゃなくて、オレと一緒に笑ってくれてるのが解るんだ。」)

Petey  Well, the truth is I'm just an ex-con, y'all.  And the people that live in the world that I come from, well, most of them can't even afford TVs.

They listen to me on the radio, and they do that because I keeps it real.  When they out there laughing, I know they laughing with me, not at me.

But I look out here at y'all, and all I see is a room full of white folk waiting to hear some nigger jokes.

I ain't got nothing to say to you people.  Y'all ain't ready for P-Town.

ピーティー まぁ実際、オレはただの前科者だ。そして、オレが育った世界にいる連中のほとんどは、テレビを買う金もない。

あいつらはオレのラジオを聴いてくれている。オレがいつも本当のことを話すからだ。あいつらがラジオの向こうで笑っているとき、オレを笑ってるんじゃなくて、オレと一緒に笑ってくれてることが解るんだ。

でも、ここにいるあんたらを見ると、見えるのは黒んぼのジョークを聴こうとお待ちかねの部屋いっぱいの白人だ。

あんたらに言うことなんか何もない。あんたらは、Pタウンにはまだ早すぎる。

人気物になったピーティーは、ついに、CBSテレビの大人気番組「ジョニー・カーソン・ショー」The Tonight Show Starring Johnny Carson に出演することに。その収録でピーティーが発した言葉。これで、オンエアーは取りやめとなります。

他方、白人の社会で成り上がってきた黒人であるデューイーにとっては、「カーソン・ショー」は夢の番組でした。これをきっかけに、ピーティーとデューイーは別々の道を歩き始めます。

 

"Don't want no laughing.   Don't want no crying.  And most of all, no signifying"(「笑うな、泣くな、そして何より、もったいぶるな。」)

Petey  I tell it to the hot; I tell it to the cold.   I tell it to the young; I tell it to the old.

Don't want no laughing.   Don't want no crying.  And most of all, no signifying.

ピーティー 熱いヤツら、冷めたヤツら、若いヤツら、年食ったヤツら、お前らに言っておきたいことがある。

笑うな、泣くな。そして何より、もったいぶるな。

ピーティーの決め台詞。どんな話題についても、誰に対しても、言いたいことを率直に話す彼の姿勢が表れています。"signifying" は、ここでは、物事を直接語らずに様ざまな含みをもたせる、黒人文化における婉曲話法のこと(『文化系のためのヒップホップ入門』参照)。

* * *

傑作なのに人知れず埋もれてしまっているのが勿体ない。

キウェテル・イジョフォーの快進撃を機に、Talk to Me が日本でも手軽に観られるようになることを望みます。

※当ブログ内の関連エントリー:

決定版 映画の中のラジオDJベスト10:Classic Ten - Radio DJs in the Movies(AMC Blog, November 18, 2009)

オリヴァー・ストーン[監督]『トーク・レディオ』Talk Radio(1989年)

フィリップ・シーモア・ホフマン、死去。(2014年2月2日)※『パイレーツ・ロック』(2009年)主演

ラジオ局を舞台にしたイギリスのTVコメディー「FM」:FM (ITV2, 25th February 2009 – 1st April 2009)

長谷川和彦[監督]『太陽を盗んだ男』(1979年)はラジオ映画だ!(1)


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