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梅村太郎/塚原一成[監督]『ガレキとラジオ』(2012年)のやらせが発覚したそうです。

○梅村太郎/塚原一成[監督]『ガレキとラジオ』(2012年)のやらせが発覚したそうです。

 

ドキュメンタリー映画『ガレキとラジオ』(2012年)のやらせが発覚


 

梅村太郎/塚原一成[監督]『ガレキとラジオ』(2012年)のやらせが発覚して、話題になっているようです。

同作は、東北地方太平洋沖地震発生67日目の2011年5月17日に、宮城県本吉郡南三陸町に開局した南三陸災害エフエム「FMみなさん」に取材したドキュメンタリー映画。

朝日新聞デジタルの記事による、やらせの概要は以下の通り:

  • 娘と孫を津波で失った女性がラジオに励まされる場面が描かれるが、実際はラジオを聴いていなかった。
  • この女性の住む仮設住宅周辺には災害ラジオ局の電波が届いていなかった。
  • 代わりに、撮影班がラジカセを用意し、地元中学生の合唱のCDを聴かせた。
  • 撮影班は女性にせりふを細かく指示し、「いつも聴いている」「音がないと寂しい」などと言わせた。
  • ラジオ局主催のイベントで、ボランティアを「(ラジオ局の)リーダーが東京から呼び寄せた」とナレーションが入るが、制作側が集めていた。

映画は現在も各地で公開中で、制作側は今回の騒動を受けて、劇場および上映会主催者に公開中止を要請しているとのこと。

災害エフエムに関わる被災者たちや観客を冒瀆した監督以下制作者サイドの人たちは批判されても仕方がないと思いますが、刹那的な逸楽に耽るために観てもいない映画を巡る狂躁に便乗して罪人に石を投げる人たちにも、私は何の共感もできません。

確かに違和感がありました

私はこの映画を劇場で鑑賞しました。当時書いたブログの記事によると、私の見解は、

  • 南三陸災害エフエム「FMみなさん」の奮闘が素晴らしい
  • パンフレットが素晴らしい
  • では、ドキュメンタリー映画として素晴らしいか?

というものでした。

さすがにやらせを見抜くことまでは出来ませんでしたが、語りの構造の不可解さ、演出の過剰さ、取材の中途半端さなどに疑問を感じていました。

梅村太郎/塚原一成[監督]『ガレキとラジオ』(2012年)を観た。(当ブログ内)

また、当時は劇場公開中だったためブログには書きませんでしたが、歌をBGMにした海の空撮映像のシーンでは、あからさまな泣かせの演出にやや不快な思いすらしました。実際にそのシーンで泣いている人も多数いました。

それでも、観ることができてよかったと思います

震災後の東京は、明らかに躁状態にありました。すべては、そんな東京人がやってしまったことであり、震災のあとさきを巡る象徴的な出来事ですらあると思います。そして、多くの人が明らかにああいうものを見たがっていたはずだとも思います。いわば、広告代理店によるマーケティングの結果です。

ただし、これだけはくれぐれも言っておきたいのですが、南三陸災害エフエム「FMみなさん」のメンバー9人の善意と奮闘には何らの嘘も偽りもなかったと思います。

その意味で、私は、当時も今も、この映画を観ることができてよかったと思っています。

もはや機会はそれほどないと思いますが、観ていない人は、FMみなさんのメンバー9人のご活躍をぜひ観に行ってほしいと思います。

——ビデオや映画の場合、技術的指導権は本質的に巨大産業企業の手中にある。

——それに対して、自由ラジオの場合は、技術の大半は《器用仕事(ブリコラージュ)》の独創性、自由ラジオを促進する当人に依存している。

フェリックス・ガタリ「民衆自由ラジオ」“Les Radios Libres Populaires”(1978年)

※関連リンク:

震災記録映画でやらせ 女性にラジオを聴くふり強いる:朝日新聞デジタル

『ガレキとラジオ』やらせ問題「ラジオはドキュメンタリーにしにくい、絵にならない」:「QIC」第906回(ウェブラジオFMC、2014年3月9日放送分)(当ブログ内)

南三陸町復興ドキュメンタリー『ガレキとラジオ』公式サイト

刈谷日劇 現在上映中の「ガレキとラジオ」について。 : 刈谷日劇 上映スケジュール
※同劇場の判断はすばらしいと思います。

南三陸災害エフエム 80.7MHz(公式サイト)


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