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「radiko負担金、月額40万円強」(ZIP-FM):『中日新聞』2012年1月10日夕刊9面

◯「radiko負担金、月額40万円強」(ZIP-FM):「帰ってきたラジオ 番外編 ネット配信「ラジコ」」、『中日新聞』2012年1月10日夕刊9面

 

関係者たちは、文化産業を好んでテクノロジーの観点から説明したがる。

ある段階では抑圧に抗した階級も、勝利を獲得し新しい特権を守らなければならないときがくると、自由の敵に味方した。

* * *

名古屋周辺の放送事情について頻繁に取り上げているTOPPY氏のブログで、radikoに関する『中日新聞』2012年1月10日夕刊の記事が紹介されている:

新聞記事に見たラジオ放送のネット配信radikoの現状(TOPPYのくびったけブログ)

掲載からやがて2年になろうとする新聞記事だけれど私も読んでみたくなって、東京都立中央図書館に閲覧しに行った。同図書館には全国の地方紙のバックナンバーが原紙で4年分保存されている。

開架新聞のリスト(都立中央図書館 利用案内)

さて、『中日新聞』の記事を要約すると、こんな感じ:

帰ってきたラジオ 番外編 ネット配信「ラジコ」(中日新聞、2012年1月10日夕刊9面)

震災で話題

radikoは、ネット配信の利点を生かして若者層の取り込みに成功、パソコン作業中の新しい〝ながら〟スタイルも誕生。参加局も増加中。

東日本大震災後のエリア制限解除で、ダウンロード数は、通常時の2000〜3000件/日から30倍に跳ね上がった。

リスナーの反響は大きく、再開を求める声が根強い。

  • 「東京の洗練された番組や地方独特の番組が聴けて楽しかった」(名古屋市の32歳男性)

[中央の]業界内でも、ラジオ広告費の危機的状況の救世主ととらえる見方がある。

  • 「解決すべき問題はあるが、リスナーを増やしたり、ニーズに応えるという意味では、前向きに考えるべきだ」(J-WAVE編成広報部 手塚渉

全国と競合

地方の業界内には、否定的な声がある。

  • 「エリアがあるのがラジコ。制限解除はあまりにも唐突で想定外」(東海ラジオ 田中康之業務局次長)
  • 「ラジコで聴取率が急上昇したという実感はありません」(ZIP-FM 鈴木貴也編成制作部長)
  • 「ウチは月額四十万円強のラジコへの負担。これすらまかなえず参加を控えている局もあると聞きます。全国の局の足並みをそろえられるかが課題」(同上)

背景には、地域密着型のビジネスモデル崩壊の懸念、全国の局がライバルになる不安。

有料事業も

将来、radikoとは別の有料事業による制限解除も視野に。

  • 「今年はスマートフォンの普及率が10%を超えるはず。ラジコの認知度は今のところ全国民の一割程度だと思うが、これが追い風となって、大きく伸びる」(ラジコ 青木貴博業務推進室長)
  • 「現時点でラジオのビジネスモデルを崩すことはできない」(同上)
  • 「(エリア制限解除は)将来、環境が整えば、ラジコとは別の有料サービスとして検討してもいいのではないか」(同上)

「地域密着型のビジネスモデル」

「地域密着型のビジネスモデル」ねぇ……。

おそらく、この言葉には、番組内容の側面と、営業活動の側面があると思う。

でも、去年名古屋に行った時に、ZIP-FMでは東京スカイツリーの話をしていたし、CBCラジオでは在京司法書士事務所の債務整理のCMを流していたよ。

番組内容の側面では、それでも、AM局・MEGA-NET系列局・外国語放送局には局ごとに独自のカラーがあるような気もする。

他方、JFN系列の地方県域FM局は自社制作番組なんてほとんど作っていないし、番組制作機能は東京・半蔵門に事実上集約されている。営業機能もおそらく中央に負っている部分が大きいはず。リスナーの側も、有名タレントが出ている東京の番組が聴きたかったりして(オレも田舎にいる時はそうでした)。

営業活動の側面では、放送局は「世界中で聴けるので広告料を引き上げます」ってワケにもいかないだろうし、スポンサーは地場産業の広告を商圏の外に流しても意味がないと考えているだろうし、全国区企業・グローバル企業の広告が取れる地方局はそうそうないだろうし、それ以前にみんなが東京の番組を直接聴くようになったら地方局に広告を出す企業がなくなるかもしれないし……。

下手に動くと均衡が崩れるので、とりあえず先送りという結論っぽい。

有料配信には反対です

制限解除はするけれど有料というモデルは、形式的には聴かせるというポーズを取りつつ、事実上は、「地域密着型のビジネスモデル」を護るためにハードルを上げて聴かせないようにする措置にしか思えない。

それに、人がカネを払ってまで聴きたがる番組、お作りになっていらっしゃるんでしょうか?

地上波にせよネット配信せよ、「エリア制限」というのは放送人にとって基本的には足かせのはず。でも、いったん塀の中の環境に最適化してしまうと、制限解除によって得られる自由の前で恐れおののいてしまうのかもしれない。

そもそも、radiko自体は儲かってんの?

ついでに、サイマルラジオの加盟費がいくらなのかも気になるなぁ。

※当ブログ内の関連エントリー:

radikoのエリア制限が撤廃されない理由


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コメント

LISMO WAVEやドコデモラジオが既に有料化ビジネスの先を行っちゃってますし、その兼ね合いの発言でしょうか。
NHKの「(ローカル枠しか流さないとかCM差し替えとか)配信を制限する方が費用がかかる」発言も踏まえるべきでしょう。
地元の天気を流さない東京FMを聞くより地元JFNの番組を聴くとか、結局は同じ内容だったら元の鞘に戻ると思うのですが。

投稿: radioctre | 2013年12月 9日 (月) 19時53分

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