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「金儲け目当てにつくられたガラクタを美化するイデオロギー」:マックス・ホルクハイマー、テオドール W. アドルノ『啓蒙の弁証法——哲学的断章』(岩波文庫、2007年)

◯「金儲け目当てにつくられたガラクタを美化するイデオロギー」:マックス・ホルクハイマー、テオドール W. アドルノ『啓蒙の弁証法——哲学的断章』(岩波文庫、2007年)

 

映画やラジオはもはや芸術であると自称する必要はない。それらが金儲け以外の何ものでもないという真理は、逆に金儲け目当てにつくられたガラクタを美化するイデオロギーとして利用される。

ここ最近、ラジオがメディアで取り上げられるときは専ら、広告収入が落ちているだとか、起死回生のビジネス・モデルはこれだとか、そんな話だったりする。

確かに、私もそういう話には興味があるし、このブログでも話題にする。何よりも、ラジオを心配しつつ応援もしている。

でも正直言うと、そういう話にはウンザリである。

他方、「最近、ラジオが見直されている」みたいな話も聞く。しかし、ラジオが見直されているという噂話を実際に裏付けるデータは存在しないのではないか。ひょっとしたら、ラジオ業界と広告業界が合作してデマを広めているのではないかと、少し疑っている。

ただ、東日本大震災で多くの人がラジオを聴いたというのは本当かもしれない。でも、その理由は、ラジオで自分に関係のある話を放送していたから、これにつきると思う。災害FMがその好例だ。

自分に関係ない話をわざわざ聴きたいという人はまずいない。中高年向けの番組を増やして、若者のラジオ離れを憂うのは、ただの間抜けだと思う。

ラジオがすべからく芸術である必要はないけれど、あんまり堂々と金儲けの話をするのは、ちょっと品がない。

ラジオ局の金儲けは、リスナーには直接関係のない話だ。

「儲からなければ、良い番組は作れない。子供みたいなことを言うな」と言われるかもしれない。でも、その思想こそが、「金儲け目当てにつくられたガラクタを美化するイデオロギー」に他ならない。


変死隊「人糞力人糞製作所」(2001年)
 

※当ブログ内の関連エントリー:

「radiko負担金、月額40万円強」(ZIP-FM):『中日新聞』2012年1月10日夕刊9面


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コメント

明日の天気を知りたい。若しくは旅行先や地元の天気を知りたい。いろいろな音楽を聴きたい。ラジオを聴く動機は人それぞれ、いろいろあります。局側がリスナーの方を向いているのかどうかが問われているのでしょう。
原子力政策の記事も拝読しました。己の脳髄で考えることの大切さと、歴史から真剣に学ぶことの意味を痛感しています。

投稿: 石﨑亮史朗 | 2013年12月16日 (月) 09時56分

暮らしのための仕事が、仕事のための暮らしになり、暮らしを壊し始め、定かでない未来までも領土化して、他人の欲望のコピーを強いる資本主義に於ける番組作り。あるラジオパーソナリティーから、(分別思いやり)がないと指摘されたことがありますが、その通りで構いませんが、そういうパーソナリティーの人たち自体がラジオを好きかどうかは、いまもって疑問ですが、深く聴いている視聴者の人たちは何も言わずともわかってくるものでしょう。

投稿: ビフォ | 2013年12月17日 (火) 00時10分

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