放送批評懇談会50周年記念イベント「ギャラクシー賞が見つめたラジオ、テレビ、CM」(千代田放送会館、2013年6月22日(土)、23日(日)、29日(土)、30日(日))
◯放送批評懇談会50周年記念イベント「ギャラクシー賞が見つめたラジオ、テレビ、CM」(千代田放送会館、2013年6月22日(土)、23日(日)、29日(土)、30日(日))
およそ半年前、放送批評懇談会50周年記念イベント「ギャラクシー賞が見つめたラジオ、テレビ、CM」(千代田放送会館、2013年6月22日(土)、23日(日)、29日(土)、30日(日))を観に行った。このブログで言及し忘れていたのに気付いて、今頃書いております。
◯放送批評懇談会50周年記念イベント「ギャラクシー賞が見つめたラジオ、テレビ、CM」(公式サイト)
東京メトロ永田町駅から会場へ
駅の横では赤坂プリンスホテル跡地再開発工事中でした。
千代田放送会館
放送批評懇談会50周年記念イベント
「ギャラクシー賞が見つめたラジオ、テレビ、CM」
私は、最終日、以下のプログラムを観覧:
- ラジオ部門プログラム10「制作者と聴くラジオドラマ大賞作品」
- ラジオ部門プログラム11「ラジオの今を支えるDJパーソナリティ賞受賞者大競演」
ちなみに、テレビ部門では、百田尚樹と一緒に「探偵!ナイトスクープ」の全国アホ・バカ分布図の回を観賞するプログラムもあったようです。
さて、ここからは、私が観たふたつのプログラムをレポート。
実は、その時取ったメモがどっかに行ってしまっているので、目下、記憶だけが頼りの情況。メモが見つかったら改訂します。
ラジオ部門プログラム10「制作者と聴くラジオドラマ大賞作品」13:00-15:30
登壇したのは、エフエム福岡を中心にフリーのディレクターとして活躍している大塚和彦氏と、毎日放送の島修一氏。ちなみに、大塚和彦氏はライター集団 Write Stuff Guild も組織している。
会場には若い観覧者が多数で、意外だった。あくまで想像だけれど、どこかの放送系の専門学校か大学のクラスが全員で観に来ていた感じ。ラジオを聴く人は減っているけれど、ラジオで働きたい人は依然として多いんだなぁと実感。
さて、司会者(日大芸術学部の先生だったかな?)の進行で、まずはラジオ・ドラマの歴史を軽くおさらい。ラジオ・ドラマはラジオ芸術の究極形態だと私は思うのだけれど、意外にも、ギャラクシー賞大賞を受賞したラジオ・ドラマは、今のところわずか3つだけとのこと。
この日は、ゲストの大塚和彦氏が制作した「聞こえない声〜有罪と無罪〜」(エフエム福岡、2008年10月26日(日)19:00-20:00)を観賞。演出は大塚氏、脚本は映画『ペコロスの母に会いに行く』(2013年)の阿久根知昭。
◯「聞こえない声〜有罪と無罪〜」(プログラム|エフエム福岡)
ストーリー自体は2時間ドラマ的なサスペンスで、制作当時に導入を間近に控えていた裁判員裁判を題材にしたタイムリーさと、ある音が鍵になるラジオならではの謎解きが聴き所。登場人物がかなりディフォルメされていたけれど、登場人物の多い群像劇なので、上手く機能していたと思いました。
観賞後のトークの中で、謎解きの鍵になるある音を使った実験が行われたのだけれど、私はいちばん難易度の高い音はダメだったけれど、そのひとつ前まではついて行けました。
興味深かったのは、ディレクターの大塚氏は、劇中で使われる音楽も自ら作曲しているとのこと。理由としては、
- 著作権の問題をクリアできるのでネット配信を視野に入れることができる。
- シーンにピッタリのBGMを既存の楽曲の中から探すよりも時間を節約できる。
という利点を挙げていた。前者は何となく想像はつく。現在のところ、ありものの音楽を使ったラジオ・ドラマは、基本的に、地上波での再放送以外には再度リスナーに聴いてもらう方法がない。後者の方は目からウロコ、聞けばナットクな話で興味深かった。ちなみに、大塚氏はCubase、一緒に登壇した島修一氏の毎日放送は Pro Tools を使っているとのこと。
大塚氏によると、地方のラジオ局がラジオ・ドラマを制作する場合、開局記念特別番組などの場合は東京から有名な俳優を呼ぶこともあるが、通常は、制作費の問題などもあるので、地元の劇団とのコラボレイションになるとのこと。劇団員は、ふだんの公演で様ざまな役柄を演じているので、どんな役にも対応できるとのこと。
ただし、俳優とプロの声優とは決定的に異なる点があるとか。それは、マイク・パフォーマンスの違い。劇団員は基本的に舞台俳優であるため、オン・マイクの演技に必ずしも通暁していないのに対して、プロの声優はひと度マイクの前に立つと、マイクの前から少しもブレず、声だけで全てを表現する技術をもっているのだそうです。
何かのラジオ番組で聞いた話では、若い人が「声優になりたい」とか言うと、うるさ方の大物声優は決まって「声優になろうなんて思うな。声優は俳優業の一部だ」みたいな面倒くさいことを言うらしい。そんなイジワルなことを言うのは、俳優で食えなくてバイトで始めた「アテ師」の仕事で大成してしまったばっかりに、一生漱ぐことのできないルサンチマンを抱えた結果だと思うのだけれど、他方、最近の声優志望者は基本的にアニメを見て声優を目指すようになった人たちなので、むしろ「声優には声優なりの専門技術がある」みたいな話を聞きたいはず。そういう話は大御所声優ではなくディレクターに聞いたほうがいいのかもしれないね。
ラジオ部門プログラム11「ラジオの今を支えるDJパーソナリティ賞受賞者大競演」15:45-17:45
登壇したのは、
青山アナは、直前に足を骨折したとかで、松葉杖での登壇。
ここで、ラジオ・ドラマの話の時にいた学生さんたちがゴッソリいなくなり、「あぁ、最近の若い人は、上ちゃんとかピス兄は聴いてないんだなぁ」と寂しい気持ちに。
かくいう私も、先ほどのラジオ・ドラマの話に比べてやや盛り上がりには欠けたかなぁという印象。でも、興味深い話はあった。
上柳・高山両アナのようにラジオをやりたくて放送局に入る人も入れば、やの・西沢ご両人のように成り行きでラジオの世界に入ってくる人もいて、どんな人がラジオで成功するか判らないものだなぁと思った次第。
ピストン西沢は現在、パーソナリティー兼制作会社社長という立場とのこと。現在、番組に関してはすべて一任されている状態とのことだけれど、そこまで来るのに10年かかったとか。
また、ラジオは大勢の人を集めることに関してはテレビに到底かなわないけれど、ラジオは最も濃い100人を集めることができ、そこからの波及効果は馬鹿にできないと言っていた。さらに、ラジオ業界にはまだ可能性があり、目指すに値する業界であることを強調し、「オレはラジオの仕事でフェラーリを買った」とおっしゃっておりました。
プログラム後半から、ラジオ石巻の高橋幸枝アナが登壇。災害エフエムについての話に。使命感とはいいつつ、私からしてみれはむしろそれは乖離なのではないかと、精神的な負担が心配に。ただ、今回は堅い話中心だったものの、平時のやわらかい話でも面白そうな魅力のある人でありました。ちなみに、災害エフエムはサイマルラジオへの加盟費が免除されているとのこと。
この日。やのひろみの話を初めて聴いた。「あぁ、この人面白いなぁ」と、ちょっと得した気分でありました。これがこの日いちばんの収穫だったような気もする。
※当ブログ内の関連エントリー:
◯ギャラクシー賞入賞作品を聴いて、語り合う会Vol.13(ニッポン放送イマジンスタジオ、2011年7月3日(日)13:00-17:00)に行ってきた。
◯ギャラクシー賞入賞作品を聴いて、語り合う会Vol.14(日本大学藝術学部南棟B1 録音スタジオA、2011年10月2日(日)13:00-17:00)に行ってきた。
◯ギャラクシー賞入賞作品を聴いて、語り合う会Vol.15(ニッポン放送イマジンスタジオ、2012年7月7日(土)13:00-17:00)に行ってきた。
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