「これが元祖ブラック企業だ」:小林多喜二「蟹工船」(1929年)
○「これが元祖ブラック企業だ」:小林多喜二「蟹工船」(1929年)
書店でたまたま見かけた文庫本の帯に、思わず立ち止まった。
「これが元祖ブラック企業だ」
小林多喜二『蟹工船・党生活者』(新潮文庫)
既に持っているけれど、ジャケ買いならぬ、帯買いしてしまった。税込420円。今どきの文庫本にしては安い。著作権が切れているせいなのかな?
今年2013年は、小林多喜二生誕110年・没後80年とのこと——29歳の若さで亡くなっているのだ。
『週刊モーニング』で連載中の浦沢直樹「BILLY BAT」に、最近、亀戸事件(1923年)などを含む関東大震災あたりの共産主義運動に材を取ったエピドードが登場した。年代的には合わないけれど、拷問死したと思われる登場人物の遺体の描写は、小林多喜二の遺体写真を基にしているようだった。
目下絶賛開店休業中のミニコミ誌に、以前こんなパロディー広告を載せたことがある:
蟹工船の偽求人広告
当時これを作るために「蟹工船」を全編読み直したので、内容は割と記憶に残っているけれど、カップリングの「党生活者」(1932年)のほうの記憶がほとんどない。今回はコッチ中心に読み直しか。
「蟹工船」は、プロレタリア文学であり反帝国主義文学でもある。新自由主義は植民地なき帝国主義だと思う。読み直す好機かもしれない。
資本は外部を求めて展開し、内部に向けて深化する。
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