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町山智浩による、宮崎駿[監督]『風立ちぬ』(2013年)評:「赤江玉緒 たまむすび」(TBSラジオ、2013年8月20日(火)13:00-15:30)

○町山智浩による、宮崎駿[監督]『風立ちぬ』(2013年)評:「赤江玉緒 たまむすび」(TBSラジオ、2013年8月20日(火)13:00-15:30)

 

映画評論家・町山智浩による、宮崎駿[監督]『風立ちぬ』(2013年)評。

既に映画を観た人にとっては、謎解きの答え合わせみたいなところも聴き所です。

オレはほぼ思った通りでした(ゾルゲぐらい気づくよねぇ、普通)。飛行機の音を人の声で表現している理由は、山里亮太同様、言われるまで気づきませんでしたけど。


「赤江玉緒 たまむすび」
(TBSラジオ、2013年8月20日(火)13:00-15:30)

 

そんな町山の話のなかで、いちばんハっとしたのは次の箇所:

町山智浩 あそこでこう、煙ががこう、もの凄い火災が起きて、大震災で、煙が舞い散るとこで、主人公の堀越二郎は、突然妄想を始めて、飛行機が飛んでる妄想をするんですね。

赤江玉緒 そうそう。「ここで?」みたいな。

町山 この人は、どんな危険なときでも妄想をやめないんですよ。

で、これはね、僕の友だちの映画監督の人たちが「オレだよ!」っつってるんですよ。「あれはオレだ」って言ってるんですよ。

[……]

町山 映画監督とかシナリオ・ライターをやってる人たちとか、撮影やってる人とかアニメーターやってる人とかは、みんなそういう人たちですよ。

赤江 そうなんだぁ?

山里亮太 全てがそこに——

町山 全てがそうなんですよ。ビルを見て、ビルを見上げると、ビルの向こうから怪獣が出てくるのを想像するんですよ、彼らは。

赤江・山里 はぁ!

町山 それこそ大震災であるとか、大変な事件があって悲劇が起こっても、どう撮ろうか、どうこれを表現しようかってことばっかり彼らは考えるんですよ。頭の中に絵コンテがバァ〜っと出てくるんですよ。

人の話を聞いて改めて思い出すこともあるものです。

私は、プロのクリエイターとしての経験は全くないけれど、小中高ぐらいまではよく絵を描いておりました。言われてみれば、その当時は「ビルを見上げると、ビルの向こうから怪獣が出てくる」のに近い妄想に明け暮れておりました。

大人になるにつれ絵を描かなくなり、世俗の垢にまみれてしまっているせいか、町山が言うようなクリエイティヴな精神をすっり忘れている自分に気付いて赤面致しました。

もうひとつ付け加えて言うと、大学時代に批評理論とか言説分析とかをなまじっか学んでしまったがために、表象芸術を外在的に分析するのが習い性になってしまい、作品に対して「あれはオレだ」という参与や没入ができなくなっている自分にも気づかされました。

まぁ、私はクリエイターではないのでどっちでもいいのかもしれませんが、人間が人間として生きるということは即ち、どんな苦境や試練の時にも想像力を捨てないということではなかろうかと、若干ベタではありますが得心した次第であります。そういう意味でも「生きねば。」ということです。

さて、賛否両論の、庵野秀明が主人公の声を演じている件について、町山は次のように評しておりました。どっち側の人も、ほとんどこれで納得するのではないかと思います:

町山智浩 あれは、声優さんとかプロの人が、要するに、世慣れして誰だれの心も演じられるような人が演じちゃダメで、人の心なんか解らないし、世の中のことなんか解らないけれども、好きなことだけやり続けるアホのような男が声をやらなきゃいけないんですよ。

[……]

人の話を聞いてないっていうシーンがすごく多いんですね。妄想してんですよ。「何だっけ?」とか言ったり、返事もしない。そういう人じゃないと、この声はできないんですよ。

『風立ちぬ』については、色いろな人が色いろに評論しているけれど、町山の話が一番面白かったと私は思います(たまに、映画そのものより面白いことがあるから困るのだけれど)。

聴けて良かったなぁ。公式ポッドキャストはもうちょっと長く聴けるようにしといてほしいけどね。

※当ブログ内の関連エントリー:

宮崎駿[監督]『風立ちぬ』(2013年)を観た。

週刊映画時評 ムービーウォッチメン「風立ちぬ」、「ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル」(TBSラジオ、2013年8月17日(土) 22:00-24:30)

宮崎駿引退発表後、もう一度『風たちぬ』を観て気付いたこと。

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