宮崎駿[監督]『風立ちぬ』(2013年)を観た。
○宮崎駿[監督]『風立ちぬ』(2013年)を観た。
この間の日曜日に、宮崎駿[監督]『風立ちぬ』(2013年)を観た。
零戦(零式艦上戦闘機)の生みの親・堀越二郎の半生に、作家・堀辰雄のエピソードを付加した、実話に基づいたフィクション。
土曜日に観に行ったら、混んでいて3回先まで席がなかったので諦めた。後で判ったのだけれど、前日が「バルス!」だったらしい。翌日、空いていそうな1回目の上映に合せて出かけた。それでも、ほぼ満席。
ジブリ・アニメを劇場で観るのは初めて。予告編を観て、傑作の予感を感じたので観ておこうと思ったのだ。
宮崎駿[監督]『風立ちぬ』(2013年)予告編
『風立ちぬ』の賛否は、多くの場合、庵野秀明のアフレコに対する賛否に関連しているようだ。私は「賛」のほう。けっこう良かったと思う。
例えば、妻に対する愛の言葉などは、上手くないし、プロの発声でもないし、それどころか芝居もしていない感じだけれど、それが逆にリアリティーを醸成していたように思う。
全体的に言っても、悪くない映画だった。
ただ、予告編が完璧すぎたので、そのぶん、以下のような点で少しもの足りなさも感じた。
- ジブリ映画で飛行機の話というので、斬新な工夫や実験のある飛行シーンを期待したけれど、そういうシーンはほとんどなかった。
- アニメとしての見せ場が少なかったと思う。厳密に言うと、映像的に面白い部分は全て予告編に使われているので、劇場でのサプライズはなかった。
(個人的には、予告編にも出てくるシーンだけれど、風に飛ばされた二郎の帽子を菜穂子が記者から身を乗り出して取った後、体を切り返すところが良かったなぁ。ああいうのがちゃんと再現されているアニメは観ていて愉しい。) - 國村隼の声の存在感に、絵が完全に負けていた(これは仕方ない)。
- 災害や戦争の時代の混乱のなかで若者がどのように生きたかみたいなことがテーマだと聞いていたが、終盤は二郎と菜穂子のふたりの愛の世界になっていて、時代に竿さす話にはなっていなかった。
- 有り体に言えば、地方の旧家の出の天才技術者と上野のお嬢様の恋愛モノということで、下層労働者階級出身の私には感情移入しにくい部分もあった。
まぁ、色いろ書いたけれど、悪い映画ではないので、念のため。
でも、零戦目当ての軍ヲタの人は、ハッキリ言ってガッカリすると思う。
小学生の時、紙飛行機クラブというのに入っていたので、映画に出てくる紙のグライダーが懐しかった。
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※加筆
後日もう一度映画を観直してみました。
○宮崎駿引退発表後、もう一度『風たちぬ』を観て気付いたこと。(当ブログ内)
※当ブログ内の関連エントリー:
○週刊映画時評 ムービーウォッチメン「風立ちぬ」、「ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル」(TBSラジオ、2013年8月17日(土) 22:00-24:30)
○町山智浩による、宮崎駿[監督]『風立ちぬ』(2013年)評:「赤江玉緒 たまむすび」(TBSラジオ、2013年8月20日(火)13:00-15:30)
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