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麻生太郎副総理のナチス発言と憲法改正について。

○麻生太郎副総理のナチス発言と憲法改正について。

 

朝日新聞デジタル:麻生副総理の憲法改正めぐる発言の詳細 - 政治

ナチス云々は当然問題だけれど、本題の憲法と直接関係のない靖國神社参拝の話を強引に挿入したことで論理が破綻している。

序盤では、ナチスが民主的な手続きを経ていつの間にか台頭したという負の歴史を教訓にせよと言いつつ、終盤では、靖國参拝も憲法改正もナチスの手口に学んで「静かに」「だれも気づかないで」やれと言っている。片方が建前でもう片方が本音ということだろう。

ジョークのつもりかもしれないが、ジョークだから本音ではないという法はない。それに、これを面白いと思ってることが不見識と無責任の証左。軽口にこそ本音は出る。

見識も矜持もない人が副総理を務める政権下での憲法改正には断固反対。

愛川欽也 三百何十万人もの人がね、戦争で亡くなって、広島・長崎に原爆落とされてさ、それで3月10日には東京がもう無くなっちゃうぐらい空襲を受けて、その中で死んじゃった人が犠牲となって。

誰に民主主義を教わったかどうかは別として、少なくとも軍国主義より民主主義なんだよ。それをまとめたのが憲法なんだよ。

だから、今の憲法はマッカーサーが作っただとかなにか色んなこと言うけど、オレ昔っからね、いいものは誰が作ろうといいじゃねぇかって、これ、ず〜っとそう言ってんだよ。

「爆笑問題の日曜サンデー」(TBSラジオ、2012年4月15日(日)13:00-17:00)

現憲法が誕生した時、それが〝占領軍(DHQ)製〟であることなぞ全くと言ってよいほど気にならず、広く歓迎されたのは、その前の戦前・戦中の抑圧的な体制があったからである。それから解放され、「新しい時代」がやって来るのだという「保証書」がこの憲法だった。

「翻訳調の悪文」といった批判が出てくるのはずっと後のことであって、「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う」「日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓う」といった文言は多くの人の琴線に触れるものだった。

筑紫哲也「新憲法ではない」『週刊金曜日』2005年11月4日号、『週刊金曜日臨時増刊号 憲法 特別編集』2013年7月9日号 p.67に再録

増大する社会的不満は外部へ反射することとなり、それは国家社会主義の重要な源泉となった。すなわち旧中産階級の経済的社会的運命を認識するかわりに、その成員は自己の運命を意識的に国家と関係させて考えた。国家の敗北とヴェルサイユ条約は現実の不満——社会的不満——がすりかえられるシンボルとなった。

1918年の勝利者によるドイツの取り扱いが、ナチズム勃興の主要な原因の一つであるとしばしばいわれてきた。この考えは限定が必要である。大多数のドイツ人は平和条約が不正であると感じた。しかし、中産階級は極度のはげしさで反発したとしても、労働者階級のあいだではヴェルサイユ条約にたいする恨みははるかに少かった。彼らは旧体制に反対し続けてきたのであり、敗戦はかれらにとっては旧体制の敗北を意味した。かれらは自分たちは勇敢に戦ったのであり、みずからを恥じるなんらの理由もないと感じていた。他方、君主制の敗北によってはじめて可能であった革命の勝利は、かれらに経済的政治的人間的な収穫をもたらした。

エーリッヒ・フロム『自由からの逃走』(1941;東京創元社、1951年)pp.238-239

「[……]ニーメラー牧師は、[……]何千何万という私たちのような人間を代弁して、こう語られました。ナチ党が共産主義を攻撃したとき、私は自分が多少不安だったが、共産主義者でなかったから何もしなかった。ついでナチ党は社会主義者を攻撃した。私は前よりも不安だったが、社会主義者ではなかったから何もしなかった。ついで学校が、新聞が、ユダヤ人等々が攻撃された。私はずっと不安だったが、まだ何もしなかった。ナチ党はついに教会を攻撃した。私は牧師だったから行動した——しかし、それは遅すぎた、と」

ミルトン・マイヤー『彼らは自由だと思っていた——元ナチ党員十人の思想と行動』(未來社、1983年)p.167

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