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2012年(平成24年)日本民間放送連盟賞(ラジオ関連のみ抜粋)

○2012年(平成24年)日本民間放送連盟賞(ラジオ関連のみ抜粋)

 

日本民間放送連盟賞/2012年(平成23年)入選・事績

日本民間放送連盟賞について

 日本民間放送連盟賞(連盟賞、英文名:NAB Awards)は、番組、CM、放送技術の向上と、放送活動のより一層の発展を図ることを目的に、日本民間放送連盟(民放連)が1953(昭和28)年に創設した賞です。民放連の会員である全国の民放各社から参加のあった番組・事績を対象に毎年1回実施し、優れた番組、優秀と認められた事績を顕彰しています。表彰は、毎年秋に開催する「民間放送全国大会(民放大会)」の式典席上で行います。
 このように長い歴史を持つ連盟賞ですが、平成18年に「青少年向けのテレビ番組」とラジオ・テレビ共通の「放送と公共性」の2種目を新設しました。このうち、「青少年向け番組」は、青少年への影響やメディアリテラシーの向上など、民放に対して求められている放送活動に照らして、新たな種目として設けたもので、現在、全国のテレビ各社で選定・放送している「青少年に見てもらいたい番組」を対象としています。また、「放送と公共性」は、放送の公共性を強く意識しながら民放各社で取り組んでいる企画や開発の事績に対して賞を贈ります。

※メモ:番組部門以外に、CM部門、放送技術部門、特別表彰(青少年向け番組・放送と公共性)も顕彰。番組部門もいくつかのカテゴリーに分類。ラジオに関しては、ラジオ報道番組・ラジオ教養番組・ラジオエンターテインメント番組・ラジオ生ワイド番組の4つに別れている。放送技術部門があるのも特徴的。民間放送全国大会で表彰。

ラジオ関連部分のみ抜粋&関連リンク貼付:

番組部門

ラジオ報道番組

ラジオ教養番組

ラジオエンターテインメント番組

ラジオ生ワイド番組

CM部門

ラジオCM 第1種(20秒以内)

  • 最優秀 <朝日放送> 二階堂酒造 大分むぎ焼酎二階堂/好きな音 篇(20秒)
  • 優 秀 <文化放送> 日本製粉 小麦粉/おき手紙(20秒)
  • 優 秀 <ニッポン放送> 統一キャンペーン・スポット/守ろう地球環境「告白」篇(20秒)
  • 優 秀 <エフエム東京> 味の素 クノール スープDELI/きょうの夫婦 その3(20秒)
  • 優 秀 <信越放送> 宮坂醸造 創業350周年(20秒)
  • 優 秀 <中部日本放送> 花田時計店 時計/雨香 ~豊かな時間~(20秒)
  • 優 秀 <エフエム大阪> 環境EVOT事務局 EVタクシー/「見つけたら」篇(20秒)

ラジオCM 第2種(21秒以上)

  • 最優秀 <ニッポン放送> 統一キャンペーン・スポット/守ろう地球環境「出席簿」篇(40秒)
  • 優 秀 <文化放送> ライオン スマイル40EXゴールド/冥土喫茶(40秒)
  • 優 秀 <エフエム東京> キヤノンマーケティングジャパン 「走馬灯」篇(120秒)
  • 優 秀 <エフエム東京> 味の素 イエモトのチャーハン(150秒)
  • 優 秀 <エフエム大阪> 環境EVOT事務局 EVタクシー/「口癖」篇(60秒)
  • 優 秀 <和歌山放送> 和歌山放送事業センター 和歌山放送カルチャースクール/△△歳・○○○○、□□□を…(70秒)
  • 優 秀 <山口放送> 統一キャンペーン・スポット/守ろう地球環境~物に宿る思いを紡ぐ~(120秒)

特別表彰部門

放送と公共性

 

受賞作詳細:

番組部門

ラジオ報道番組

最優秀
<北海道放送> 凍えた部屋~姉妹の“孤立死”が問うもの~

ラジオ報道.jpg
プロデューサー 花里康生
ディレクター 岩下恵子、磯貝 拓
ナレーター 赤城敏正

近所づきあいも頼れる身寄りもない40代の姉妹が、凍えた都会のマンションで死後何日も経って見つかった。姉 は区役所に3回も生活保護の相談をしていたが、役所側は対応に落ち度はないと主張する。相談の記録や担当職員の証言、友人の声などを丹念に積み上げ、姉妹 が窮乏を極めていくさまを切迫感をもって描いた。二人の部屋を閉ざしたものは何か、なぜ救いの手は差し伸べられなかったかを問いかけ、警鐘を鳴らした意義 は大きい。

優 秀
<ニッポン放送> ニッポン放送報道スペシャル『東日本大震災と視覚障がい者~またひとつ試練を越えて』

プロデューサー 上村貢聖
ディレクター 森田耕次
ナレーター 上柳昌彦
構成 桜林美佐

東日本大震災の際、視覚障がい者は、迫り来る危機がわからない、身動きがとれない、命は助かっても慣れない場 所での避難生活に不自由が多い、などの苦難を経験した。平時でさえ困難に直面してきた人々が、震災による新たな試練を正面から受け止め、力強く生きるさま を、61歳の弱視の女性と全盲の少女の姿を通して追った。障がい者の視点から被災の実態を捉え直し、「あと少しの支援」とは何だったのかを深く考えさせ る。

優 秀
<信越放送> SBCラジオスペシャル ふるさとをもう一度~ウィーンに響く「コカリナ」復興への誓い

プロデューサー 長岡克彦
ディレクター笠原公彦
技術 茂木裕光
ナレーター 牛山美耶子

木の楽器「コカリナ」の第一人者であり名づけ親でもある黒坂さんは、震災で焼け残った宮城県石巻市の1本の松 を材料に、被災した地元の子どもたちのためにコカリナを作った。そして黒坂さんの提案で、全国の愛好者とともに5人の子どもたちがウィーン楽友協会ホール のステージに立つ。今後の復興を担う子どもたちのふるさとや海への想い、音楽とともに成長する姿に希望が見える。コカリナの澄んだ音色が心に染み入る作品 である。

優 秀
<中部日本放送> ラジオ特集 隙間~おひとりさまを支える現場から

プロデューサー 山室雅子
ディレクター 菅野光太郎
効果・編集 舘 一孝ほか
ナレーター 榊原忠美

名古屋市内のNPO「ぷらっとほーむ」は、一人暮らしの高齢者を支える活動を行っている。身の回りの世話から 介護、そして看取ることもあり、家族に代わって一人の人間の人生を背負う。元名古屋市中区長である糸柳さんの同NPOでの活動に密着し、“おひとりさま” を取り巻く現状、認知症の高齢者を支えるための成年後見制度の不備、NPOに依存する行政の姿など、超高齢化社会の今日的課題を優れた構成により浮き彫り にした。

優 秀
<毎日放送> 報道特別番組『作業員が語る福島第一原発』 

ディレクター 森俊雄
出演 水野晶子、上田崇順
技術 亀田悠一

原発事故の収束宣言は出されたが、政府や電力会社から知らされる原発の姿はどこまで真実に近いのか、多くの国 民が不信感を募らせている。番組では、日々命を削りながら働いている原発作業員の貴重な証言から、原発内部の現実に迫った。仕事を失うおそれから重い口の 作業員からは、信じがたい労働環境や雇用形態、驚くべき現場の実態が語られる。粘り強い取材で、何重もの下請け構造の問題にも光を当てた力作である。

優 秀
<南海放送> 四度目の被ばく~ビキニ事件から58年~

プロデューサー 松本直幸
ディレクター 伊東英朗
ナレーター 月岡 瞳
構成・編集 日野 聡

日本が被ばくしたのはヒロシマ、ナガサキ、フクシマだけではなかった。1954年にアメリカがビキニ環礁で6 回もの水爆実験を行った際、「第五福竜丸」だけでなく、近くにいた多くの遠洋マグロ漁船が被ばくしていたのである。元高校教師による精力的な追跡調査を きっかけに、局としても2003年から高知船籍の漁船の取材を続けた結果、乗組員の多くが50代、60代で病死していることが判明。遺された妻や乗組員へ の丁寧なインタビューと緻密なデータが説得的で、埋もれた事実を掘り起こした意欲作である。

優 秀
<九州朝日放送> 原発マネーの代償~佐賀・玄海町 シナリオの誤算~

プロデューサー 花田明男
ディレクター 岡本郡治
編集 富山孝洋
録音 衛藤紀幸

かつて過疎と貧困に苦しんだ玄海町は、原発に夢を託し、「原発マネー」を得て大きな発展を遂げた。しかし現 在、玄海原発は全原子炉が運転を停止し、再稼働の目処は立っていない。将来の財政不安から一刻も早い再稼働を切望する町長。町の予算の大半を占める交付金 や税収、立派な公共施設の建設など、複雑な原発マネーの実態を多角的に取材し、村長が「脱原発」を宣言した茨城県東海村などとの対比も交えつつ、原発との 依存関係からの脱却が困難な地元自治体の現実とこれからを鋭く見つめた。

 

ラジオ教養番組

最優秀
<中国放送> 核と向き合う~ヒロシマからフクシマ~

ラジオ教養.jpg

プロデューサー 柏原清純
ディレクター 岡本 幸
番組進行 吉田 幸
出演者 肥田舜太郎

広島原爆忌の8月6日に「内部被曝」の専門家2人をゲストに招き、その危険性について対談。原爆による内部被 曝経験者の証言や福島での原発事故について不安を持つ当事者の声を聞く生放送番組。内部被曝の実態がとても詳しく説明されており、知らない情報、知識を与 えてくれる。原爆の被害を受けた広島ならではの視点を持った番組で、現在福島で起きている事態について改めて考えさせられる内容となっている。

優 秀
<青森放送> RABジオスペシャル ドキュメンタリー 金正美の青春 詩人桜井哲夫との17年

ディレクター 三浦明子
ミキサー 川瀬光平
出演 桜井哲夫、金 正美

17年前、当時19歳の金正美は、大学の活動で訪れたハンセン病療養所で盲目の詩人桜井哲夫と出会う。祖父と 孫娘のような関係になった二人。療養所から外出しての二人旅やローマ法王への謁見などを描き、桜井の詩と正美の話に取材カットを交え構成する。桜井の詩が うまく組み込まれており、彼の声を一生懸命に伝えようとしているのが感じられ、桜井流の生きていくうえでの哲学を教えてくれる。桜井と正美の魅力が見事に 引き出されており、二人の生き方が心に染み入る作品である。

優 秀
<ニッポン放送> テレフォン人生相談

ディレクター伊藤了子
パーソナリティー 市川森一、今井通子
回答者 大原敬子

40年以上の歴史を持つ長寿番組で、相談者が電話で悩みを伝え、回答者がそれに真摯に向き合い、解決の糸口を 一緒になって探していく。冗長になりがちな相談を15分ほどの短い時間の中で、過不足なく伝えている構成は素晴らしく、回答者の親身な姿勢に感動を覚え、 また回答自体にも納得させられる。これだけ長い間親しまれているのも理解ができ、ぜひ続いていってほしい番組である。

優 秀
<信越放送> 心から心へ 時代を超えて~唱歌・故郷

プロデューサー 西沢 透
ディレクター 中島拓生
ナビゲーター・シンガー 手仕事屋きち兵衛

ナビゲーターは長野県出身のシンガーソングライター、手仕事屋きち兵衛。唱歌「故郷」を「守り」「受け継ぎ」 「伝える」がテーマ。長野県中野市出身で「故郷」の作詞者・高野辰之の関係者へインタビューした内容ときち兵衛の語りを交えて構成した。きち兵衛の語りに とても惹かれる番組である。また、「故郷」という日本人なら誰でも知っている歌を取り上げており、日本人の琴線に触れる聴きごたえ十分の作品である。

優 秀
<東海ラジオ放送> よみがえる話芸 節談説教

プロデューサー 秋田和典
ディレクター 松波宏治
構成 高橋真裕美
技術 杉浦 実

僧侶が言葉に抑揚をつけ身振り手振りを交えながら信仰の啓蒙のために行う「節談説教」。名古屋の住職・祖父江 省念がこれを講じた30年前のテープが自社の番組保存用ロッカーから見つかった。その歴史を伝え、後継者として活動する人や説教を聴く人を取材し、魅力や 現代における意義を探る。ともすれば地味になりそうなテーマであるが、講談師の神田京子が面白おかしく伝えていて聴きやすい。あまり馴染みのない「説教」 だが、話芸の源流といわれる「節談説教」について理解を深めることができ、知識を豊かにする番組である。

優 秀
<毎日放送> 春山満の 若者よ、だまされるな!

プロデューサー 今道 彰
アシスタントディレクター 磯野順子
出演 春山 満、和泉夏子

難病により車椅子生活を送る春山満氏がメインパーソナリティを務め、失意と再興の体験で得た生きるためのエッ センスをメッセージにして提示する番組。若者だけでなく、幅広い世代から反響が寄せられる。春山氏の言葉には説得力があり、ひしひしと伝わる彼の力強さに パワーをもらうことが出来る。構成がシンプルでメッセージも明瞭なため、分かりやすい。  

優 秀
<エフエム鹿児島> 鹿児島弁で若衆と語いもそ

プロデューサー・ナレーター 中村 香
ディレクター 松下順一
出演者 ありまゆき、新坂恵梨

新聞に投稿された鹿児島弁についての小学生の作文がきっかけとなって作られた番組。鹿児島内外の人に鹿児島弁 のイメージをインタビューした内容と、鹿児島弁で繰り広げられる遊びを紹介しながら、「若い人も年配の人ももっと鹿児島弁で語り合いましょう」というテー マで進行していく。出演者の爽やかな声や掛け合いに引き込まれ、元気になる番組である。鹿児島の言葉や県民の様子がよく表されていて面白く、聴き入ってし まう。

 

ラジオエンターテインメント番組

最優秀
<琉球放送> RBCiラジオスペシャル 復帰40周年特別番組 ラジオドラマ「40才のタンカーユーエー」

ラジオエンタ.jpg

プロデューサー 比嘉京子
ディレクター 宮國宏美
脚本・演出 小波津正光
出演 仲座健太

本土に復帰して40年経った沖縄を舞台に、復帰の年に生まれた「復帰っ子」で宜野湾市で喫茶店を営む主人公の 日常を切り取ったラジオドラマ。本土復帰とともに生きてきた復帰っ子世代の物語が、復帰前後の沖縄の世相を象徴する時々の音声と沖縄をテーマにした音楽を 織り交ぜながら展開される。悲しい歴史を笑い飛ばしてきた沖縄の文化が伝わる完成度の高い作品。リスナーに「これを聞かせたい」という制作者の気概も伝 わってくる。

優 秀
<青森放送> 伊奈かっぺい 旅の空うわの空 800回記念特別バージョン ノンフィクション?フィクション! 時空を超える旅 縄文の声が聞こえる

プロデューサー・ディレクター 渡辺英彦
企画・出演 伊奈かっぺい
出演 松崎菊也
脚本・出演 今野 仁

放送800回を記念して、縄文遺跡・青森県三内丸山遺跡にちなみ、縄文土器の縄目を題材に嘘八百を放送した奇 想天外な生ラジオドラマ。伊奈かっぺいが以前から懇意にしていた縄文学者が、「縄文土器の縄目に規則性があり、文字であることを発見した」と言うのだが、 リスナーは放送を聞いていくうちに奇妙な展開であることに気づいていく。虚と実の際をバランスよく進み、リスナーを引き付けるエンターテインメントの王道 を歩む作品である

優 秀
<J-WAVE> DOCOMO SOUNDS OF STORY ~ASADA JIRO LIBRARY~  

プロデューサー 宇治啓之
ディレクター 戸田健太郎
構成 大塚和宏
出演者 杏

週替わりのゲストがストーリーテラーを担当し、小説家・浅田次郎の短編小説の数々に触れる機会を提供する番 組。渾身のリーディングとその物語にイメージされる楽曲がコラージュされ、いわゆるラジオ朗読番組とは一線を画す魅力あふれる音世界を紡ぎ出していく。タ イミングの良い音楽と効果音の使用で、浅田次郎の世界を音の力で魅力的に伝えることに成功している。

優 秀
<FM NACK5> スギテツのGRAND NACK RAILROAD

プロデューサー 清水 誠
ディレクター 三國 游
出演 杉浦哲郎、岡田鉄平

古くから鉄道にゆかりのある大宮に本社を構えるFM NACK5ならではの、鉄道をテーマにした番組。鉄道 ファンの「スギテツ」こと杉浦哲郎と岡田鉄平のふたりが、鉄道と音楽を連結させる。今回は、多くの鉄道の車内アナウンスの英語バージョンを担当しているク リステル・チアリをゲストに招き、車内アナウンスにまつわる興味深いエピソードを紹介。音中心の優れた構成で、鉄道ファンでなくとも楽しめる番組である。

優 秀
<岐阜放送> 「帰ってきた ヤングスタジオ1430-往年の深夜放送 一夜限りの復活-」

ディレクター 竹林良樹
アナウンサー 伊藤伸久

ラジオファンの語り草となっていた「ヤングスタジオ1430」が、岐阜放送の開局50年記念特別番組の一部と して一夜限りで復活した。70~80年代の岐阜の中高生に絶大な支持を得ていた番組を、当時のリスナーからの投稿を紹介しつつ、パーソナリティが回顧す る。単に昔を振り返るだけでなく、今後のラジオの在り方のヒントなども探っていく。パーソナリティの力、言葉の力、ラジオの力が伝わり、あらためて若者向 けの深夜放送を待望させる作品である。

優 秀
<大阪放送> OBCベジスタワンダーランド

プロデューサー 納谷有可里
ディレクター 中川さよ子
出演 和田麻実子、樹リューリ

ラジオ大阪のアイドルまみりんが、「野菜の王様・ベジキング」から、食べることの大切さ、食に関する正しい知 識、健康な体作りのヒントなどをゲーム感覚で学んで行く番組。全国の子供たちへのインタビューからは、「食」に関する地域の特色や文化が垣間見られる。構 成と演出に工夫がされ、教育と娯楽が融合した番組である。幅広いリスナーに向けた企画が光る。

優 秀
<エフエム香川> ことひらどれじゃ~ハンティング番外編「心の町」 

プロデューサー 蒲野誠一
取材・スクリプト・パーソナリティ 甲山万友美

琴平の町に魅かれて集まった人たちの足跡を追って、明治・幕末・戦後の時代へと迷い込み、平安時代さながらの 「例大祭」を楽しむうちに現代に戻ってくるという、時空を超えた紀行番組。丁寧に選んだ言葉の力により、歴史的にも文化的にも奥が深く、広がりのある琴平 の景色が見えてくる。地域の歴史を紹介するお手本のような番組で、リスナーに琴平への旅情をいざなう。

 

ラジオ生ワイド番組

優 秀
<東北放送> ロジャー大葉のラジオな気分

プロデューサー 伊香由美子
ディレクター坂戸貴之
パーソナリティ ロジャー大葉
リポーター 川野目亭南天

月~金/13時~16時の放送。東北放送は震災後の昨年6月から、宮城県内各地の避難所や仮設住宅などをアナ ウンサーが訪問するミニイベント「キャンドルナイト」を行ってきた。この日は、津波の被害が大きかった東松島市の仮設住宅でのイベントの模様を紹介。あわ せて市町村の支援情報やリスナーからの防災のアイデアを放送した。パーソナリティとリポーターの役割分担がしっかりと作られている。その場の雰囲気をうま く引き出しながら、必要な生活情報をポンポンと的確に入れている。

優 秀
<TBSラジオ&コミュニケーションズ> 久米 宏 ラジオなんですけど 

出演 久米 宏
プロデューサー 池田卓生
ディレクター 長谷川和正、星 迅

土曜日/13時~14時55分の放送。この日は久米 宏の石巻の街からの震災レポート。5日間の滞在中にインタビューした人数は、石巻駅で出会った乗客、商店街の楽器店・精肉店の店主、小学生、女川町の病院 の警備員、石巻漁港の競りで働く人々、途方に暮れて海岸沿いを歩く老人など99人。その一部だが、意図的な編集などを行わずそのまま放送した。被災地にい ま暮らす人々の、その生活の場を歩き、話しかけることで、被災地の暗さと明るさと希望を全部合わせた感じをメディアに乗せている。

優 秀
<山梨放送>Talk魂765 GO!GO!イチ「やまなし涼活のススメ」

プロデューサー 浅川俊介
ディレクター 若尾佳那
パーソナリティ 難波紀伝
リポーター 角田郁帆

月~金/13時~16時29分の放送。トークテーマへのメッセージを募集し、リスナーとの「双方向」を意識し た昼ワイド。「涼活」とは節電を意識して涼しく過ごす活動のこと。この日は環境生理学の専門家を招き、盆地の地形でとりわけ暑い山梨の夏を涼しく楽しく過 ごす方法を考えた。構成がしっかりしており、聴きやすく分かりやすい。ゲストをうまく番組に取り込んでいる。

優 秀
<エフエム愛知> サンデー・エクスプレス 子どもたちの心の音~被災地 陸前高田・石巻より~

プロデューサー 植田英樹
構成 高橋真裕美
出演者 内藤 聡、矢野きよ実

日曜日/6時30分~8時30分の放送。この日は陸前高田の子どもたちが書いた「書」と子どもたちの笑顔いっ ぱいの「写真パネル」を展示した作品展を紹介。ゲストの矢野きよ実はラジオパーソナリティで書道家。書で子どもたちの心を癒やすボランティア活動を行って きた。その思いを内藤 聡が問いかけながら、名古屋からは距離のある被災地とどのように向き合えばよいのかを考えた。書というラジオでは伝え辛いものを通じて子どもたちの気持ち を伝えようというチャレンジが成功している。

優 秀
<大阪放送> 高岡美樹のべっぴんラジオ

プロデューサー 内田 修
ディレクター 竹中淳子
パーソナリティ 高岡美樹
アシスタントディレクター 吉岡あゆみ

月~木/15時05分~17時30分の放送。関西のおねえちゃん、高岡美樹が健康、美、生活情報、お得情報、 芸能情報などを生活感たっぷり、好奇心満載で伝える。東京スカイツリーが開業したこの日は、大阪らしい反骨精神で開業100周年が間近の通天閣・新世界に スポットを当てた。「聞いて想像して行動」というラジオならではのアプローチに成功しており、リスナーに「改めて通天閣に行ってみたい」と思わせる。

優 秀
<南海放送> やのひろみのゴゴモリ!!~愛媛の行商モノガタリ~

プロデューサー 日野 聡
ディレクター 真田嘉雄
パーソナリティ やのひろみ

月~木/13時45分~16時50分の放送。水・木のプレゼンターをやのひろみが務める。この日は街で聞こえ る行商の声の裏側にある「思い」や「エピソード」を紹介することで、商売以外の「何か」を探すことを試みた。行商や移動販売を行う人たちやお客さんの声を 集めるうちに「何か」とは「互いを思う気持ち」であることが分かってくる。パーソナリティの親しみやすさと話を広げる力量、ディレクターの事前準備による 情報量の豊富さが光る。

優 秀
<九州朝日放送> PAO~N

プロデューサー 窪田雅美
ディレクター 佐藤雅昭
出演者 沢田幸二、中島浩二

月~金/13時~17時の放送。1990年に一旦終了した中高生向けの夜ワイド番組を2003年にお昼のワイ ド番組として復活させ、今では40代となった当時のリスナーをコアターゲットに制作。幅広い話題にパーソナリティの独自の解釈や意見を交えながら、フリー トーク主体の番組構成を行う。この週の1週間を通してのメッセージテーマは「わが家の年代物選手権」。この日は出演者から「実家には西郷隆盛直筆の掛け軸 がある」との発言が飛び出し、この「お宝話」をプロの技で素晴らしく展開。生放送ならではのドキドキ感を感じさせる。

 

CM部門

ラジオCM 第1種(20秒以内)

最優秀 <朝日放送> 二階堂酒造 大分むぎ焼酎二階堂/好きな音 篇(20秒)

プロデューサー 野本友恵
プランナー 北田 淳
ディレクター 村上正道(ビー・ジー・エム・サービス)
コピー 森田一成(ビッグフェイス)

“トク トク トク トク……”、焼酎がボトルから流れ出る、あの音。なぜか、友人と話している最中に、そんな音が聞こえてくる。「えっ、なに、なに~?」と不思議がる友人 に、本人はケータイを取り出し、「はい、もしもし~」と話し始める。着信音にしてしまうほど、好きな味、好きな音なのだ。効果的に“音”を使いながら、商 品の魅力も伝え、さらにハッピーな気持ちにさせてくれる、ラジオCMの見本のような作品。

優 秀
<文化放送> 日本製粉 小麦粉/おき手紙(20秒) 

プロデューサー・ディレクター 見目幸伸
プランナー 橋本庸介
ミキサー 上原裕司
企画 白石仁司

妻は夫に置き手紙を残し、友達と2週間のハワイ旅行に出かけてしまった。手紙には「私が留守のあいだ、お好み 焼きでもパスタでも天ぷらでも自由に食べられるよう“小麦粉”を置いていきますね」と書いてあった。夫は一言、「自由すぎるだろ……」。いまどきの熟年夫 婦事情で笑わせながら、“さまざまな料理に使える”という商品特長もさりげなくアピールしている。

優 秀
<ニッポン放送> 統一キャンペーン・スポット/守ろう地球環境「告白」篇(20秒)

プロデューサー 高橋晶子、林 尚司(電通)
ディレクター 松田哲雄(サウンドマン)
コピー 佐藤延夫(ロケットペンシル)

愛の告白を、ワット数で表現していく。100ワットの告白は、とても元気に「愛してる!!」。50ワットの告 白はやや元気に、4ワットの場合はささやくように。すごく良い雰囲気になったところで、最後に「電気を消して」と一言。省エネを実行すると、家族の愛も深 まるのだった。どうせなら節電を楽しもうというメッセージを、あやしい雰囲気を醸し出しながら伝える演出が楽しい。

優 秀
<エフエム東京> 味の素 クノール スープDELI/きょうの夫婦 その3(20秒)

クリエイティブディレクター 石井利始(アサツー ディ・ケイ)
ディレクター 林屋創一
コピー 渋谷三紀(アサツー ディ・ケイ)
出演 内田春菊(ノックアウト)ほか

リビングで交わされる夫婦の会話。「もう一回結婚式やりたいなぁ」と語る妻に、どうして、と尋ねる夫。すると 妻は「一生愛し続けますか?って聞かれたら………、正直に言う」とつぶやく。最後に「あったかいスープで夫婦関係もあっためたい」とのナレーションで締め る。妻が正直にどんなことを言おうとしているのか、リスナーそれぞれが思わず考えてしまう構成となっており、コピーの巧みさが光る。

優 秀
<信越放送> 宮坂醸造 創業350周年(20秒)

プロデューサー 田中穂積
ディレクター 松田 隆(アンチテーゼ)

宮坂醸造は1662年に創業し、350周年を迎えた。仕込みからたった1年でこんなにうまいお酒ができるので すか、という問いに、「いやぁ、この味になるまでに350年かかっています」と語る職人さん。熟練した蔵人による精緻な仕事ぶりが言葉から伝わる。老舗で なければできないCMであり、1日1日を大事にしているというモノづくりの姿勢が、うまく表現されている。

優 秀
<中部日本放送> 花田時計店 時計/雨香 ~豊かな時間~(20秒)

プロデューサー 山室雅子
ディレクター 森合康行
ナレーター 渡邊美香
音響効果 今井志のぶ(東海サウンド)

あいにくの天気、足元が悪い――など、雨には外出を避けたくなるような言葉がある。しかし、昔の人たちは、花 の香りが高くなると言われる雨の日を選んで、出かけたという。「雨香(うこう)」という言葉を紹介しながら、スピード・効率の求められる現代でも、先人た ちが楽しんだ“豊かな時間”を感じてほしい、と訴える。メッセージが印象的で、企業のイメージアップに貢献している。

優 秀
<エフエム大阪> 環境EVOT事務局 EVタクシー/「見つけたら」篇(20秒)

プロデューサー 小田切武史
ディレクターディレクター・コピー 森田一成(ビッグフェイス)
出演 下間都代子(グループエコー)ほか

タクシーで繰り広げられる、運転手とお客さんの会話。どこまで行きますかとの問いに、「とりあえず、まっすぐ 行って…」とお客さん。さらに「EVタクシーがみつかったら、そこで止めてください」と伝えるのだった。そこまでしなくても、EVタクシーはスマホのアプ リで呼び出せることをPRする。EVタクシーに乗るという新しい選択肢があることを、コンパクトに伝えることに成功している。

 

ラジオCM  第2種(21秒以上)

最優秀
<ニッポン放送> 統一キャンペーン・スポット/守ろう地球環境「出席簿」篇(40秒) 

プロデューサー 高橋晶子、林 尚司(電通)
ディレクター 松田哲雄(サウンドマン)
コピー 廣瀬 大(電通)

先生が「青山」「海野」「小川」と出欠を取り始めると、「はい!」と元気な返事が返ってくる。「清水」「畠 山」と続くが、「最近、見ません」「ぐれました」との返答。「森」にいたっては、「消えました!」と生徒全員から言われてしまうのだった。名前を通じて、 日本人が豊かな自然の中で暮らしてきたことを気づかせてくれるとともに、その自然が危機に瀕している現状を訴える構成が見事だ。

優 秀
<文化放送> ライオン スマイル40EXゴールド/冥土喫茶(40秒)

プロデューサー・ディレクター・コピー 見目幸伸
プランナー 原 敏生
ミキサー 上原裕司

初めて“メイド喫茶”を訪れた男性。ハートのオムライスを注文すると、代わりに焼き飯を勧められたり、メイドのカチューシャが三角形だったり、何か雰囲気が違う。実は、そこは高齢の女性たちがお出迎えする“冥土喫茶”だったのだ……。目の疲れから看板を見間違え た主人公とメイドとの思わず笑ってしまうやり取りを通して、商品特性を巧みに訴えている。

優 秀
<エフエム東京> キヤノンマーケティングジャパン 「走馬灯」篇(120秒)

プロデューサー 林屋創一
ディレクター 山口景子
コピー 井田万樹子(ペープロ)
ミキサー 安田慎一(Weed)

階段を踏み外した男性の頭に、それまでの人生が走馬灯のように駆け巡る。その映像には奥さんの声でナレーショ ンがついており、すべてが奥さん目線で一方的に語られてしまう。挙句の果てに、最後は「人生に、たくさんの、思い出を。ENJOY! PHOTO & MOVIE」とのナレーションで締めくくられる。斬新な手法を用いて、写真と映像の大切さを訴えかけるCMで、脚本のうまさが評価された。亡くなったと思 わせたあとに、意識が戻り、「俺の走馬灯にコマーシャルがついてたぞ」との一言が、また笑わせてくれる。

優 秀
<エフエム東京> 味の素 イエモトのチャーハン(150秒)

ディレクター 林屋創一
コピー 三井明子(アサツー ディ・ケイ)
出演者 立川談春(オフィス フラジール)}
クリエイティブディレクター 早乙女修(アサツー ディ・ケイ)

2011年に亡くなった落語家・立川談志を弟子の立川談春が語る。空腹の弟子たちを見かねて、汗を流して10 人前のチャーハンを炒めてくれたにもかかわらず、師匠の分を考えずに平らげてしまい、怒らせたことがあるという。食事を通じた、師匠と弟子との心温まるエ ピソードにより、“食生活を応援する”という企業姿勢を、うまく伝えている。「俺はやっぱり、なんだなぁ~腹いっぱい食って死にてえね」と話す人間味あふ れる談志の声が心に残るCMである。

優 秀
<エフエム大阪> 環境EVOT事務局 EVタクシー/「口癖」篇(60秒)

プロデューサー 小田切武史
ディレクター・コピー 森田一成(ビッグフェイス)
出演 Fジャパン(リコモーション)、関 敬(同)

EV(電気自動車)タクシーがスマホで呼び出せることを、若い男性の2人の掛け合いで軽妙に伝えるCM。さん ざん語ったあとに、「よう知らんけど」と付け加える大阪人のクセをネタに、スマホ呼びだしの利便性に加えて、渋滞の減少や、CO2削減という環境面の利点 までを、無理なく簡潔に盛り込んだ点が評価された。

優 秀
<和歌山放送> 和歌山放送事業センター 和歌山放送カルチャースクール/△△歳・○○○○、□□□を…(70秒)

プロデューサー・ディレクター・コピー・作曲 三宅良治
ディレクター 鶴岡さなえ(グループエコー)
出演者 福山秀見(グループエコー)、柘植義信

カルチャースクールのCM。小さい男の子の「ごさい。ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト。はじめて、 さっきょくを、する」という声に続き、「14歳、樋口一葉、塾に入門し、和歌・古典を学ぶ」と少女のハキハキとした声。年齢を重ねていく声色により、95 歳で衆院選に出馬した尾崎行雄まで10名の偉人たちの事績を、その時の年齢とともに伝える。「いくつになっても“適齢期”です。あなたも始めませんか?」 というメッセージが背中を押し、勇気や元気を聴取者に与えてくれる。

優 秀
<山口放送> 統一キャンペーン・スポット/守ろう地球環境~物に宿る思いを紡ぐ~(120秒)

プロデューサー 藤田史博
ディレクター 大谷陽子
ナレーター 小野口奈々
ミキサー 寺岡岳男

山口市に住む関ヨシミさん(77歳)は、使用済みの古い布団の綿から糸を紡ぎ、娘のシャツを仕立てている。元 となる布団は、50年前に嫁入り道具として母親が作ってくれたもの。12枚の布団から仕立てた200枚を超えるシャツは、着られなくなると、布巾や雑巾と し、最後は灰にして畑の肥料にする。物を大切にし、物に宿る母の“思い”を娘へとつなぐ姿が胸に迫る、環境キャンペーンCMである。

 

特別表彰部門

放送と公共性

優 秀
<エフエム仙台> Date fm Hope for MIYAGI 

実施責任者 澁谷彰一

エフエム仙台は、震災直後から1年続けてきた「Pray for MIYAGI」という復興支援キャンペーンを一歩踏み出すための震災復興応援プロジェクト「Date fm Hope for MIYAGI」として本年3月に改めてスタートした。ラジオカーが県内に13局あるすべてのコミュニティFM・臨時災害FMをまわり、放送関係者の活動や 被災地の今を伝えた。同社は、現在もコミュニティFMなどと取材等で交流を続けている。県域のFM局がコミュニティーFMと日常的に連携するという取り組 みが、これからのラジオ局のひとつのあり方を示すものと評価された。

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