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自然災害に関する寺田寅彦随筆選の収録作品比較

○自然災害に関する寺田寅彦随筆選の収録作品比較

 

天災は忘れた頃来る。

伝・寺田寅彦(1)

2011年3月11日の東日本大震災以降、寺田寅彦によって書かれた災害に関する随筆が注目された。

なかでも「天災と国防」は様ざまなところで紹介・引用された。

 人類が進歩するに従って愛国心も大和魂もやはり進化すべきではないかと思う。砲煙弾雨の中に身命を賭して敵の陣営に突撃するのもたしかに貴い日本魂であるが、○国や△国よりも強い天然の強敵に対して平生から国民一致協力して適当な科学的対策を講ずるのもまた現代にふさわしい大和魂の進化の一相として期待してしかるべきことではないかと思われる。天災の起こった時に始めて大急ぎでそうした愛国心を発揮するのも結構であるが、昆虫や鳥獣でない二十世紀の科学的文明国民の愛国心の発露にはもう少しちがった、もう少し合理的な様式があってしかるべきではないかと思う次第である。

寺田寅彦「天災と国防」(1934年)

寺田がどの程度「愛国心」「大和魂」の信奉者だったかは不明だが、これが軍国主義・帝国主義を腐すレトリックだとすれば、非国民の私にも充分首肯できる立論になっている。

さて、寺田寅彦の随筆集は既に岩波文庫から全5巻で出ているけれど(災害関連作品は第5巻に多く収録)、2011年の震災以降、災害に関する作品だけを集めたセレクションがいくつか出ている:

3冊全てに収録されているのは、「流言蜚語」(1924年)、「津浪と人間」(1933年)、「天災と国防」(1934年)、「災難雑考」(1935年)、「震災日記より」(1935年)の5編。「地震雑感」(1924年)も2冊に収録。

あくまでも主観だけれど、読んでみた感じでは、

という雰囲気の編集。

中から1冊だけ選ぶなら、『地震雑感/津浪と人間——寺田寅彦随筆選集』(中公文庫)。関東大震災の被災状況を活写した絵はがきもカラーで10葉収録されている。寺田が漱石門下の兄弟弟子・小宮豊隆に送ったものだ。

目次の比較
※比較のため収録順と異なる順序に入替え。

天災と国防
『天災と国防』
(講談社学術文庫)
地震雑感/津浪と人間
『地震雑感/津浪と人間』
(中公文庫)
天災と日本人: 文庫: 寺田寅彦
『天災と日本人』
(角川ソフィア文庫)
天災と国防 天災と国防 天災と国防
災難雑考 災難雑考 災難雑考
震災日記より 震災日記より 震災日記より
流言蜚語 流言蜚語 流言蜚語
津浪と人間 津浪と人間 津浪と人間
地震雑感 地震雑感
 
火事教育
静岡地震被害見学記
小爆発二件
函館の大火について
神話と地球物理学
厄年とetc.
 
断水の日
事変の記憶
石油ランプ
時事雑感
地震の予報はできるか
大正十二年九月一日の地震について
地震に伴う光の現象
小宮豊隆宛書簡(大正十二年九月−十一月)
無題
 
政治と科学
何故泣くか
颱風雑俎
日本人の自然観

※上記のうち無料で読める作品(青空文庫)

(1)「実はこの言葉は、先生の書かれたものの中には、ないのである。しかし話の間には、しばしば出た言葉で、かつ先生の代表的な随筆の一つとされている「天災と国防」の中には、これと全く同じことが、少しちがった表現で出ている。」
中谷宇吉郎「天災は忘れた頃来る」『西日本新聞』1955年9月11日


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