「ビートたけしの欠陥ってどこだと思う?」:田原総一朗×伊集院光「伊集院光の週末TSUTAYAに行ってこれ借りよう!」、「小林悠 たまむすび」(TBSラジオ、2012年10月26日(金)13:00-15:30)
○「ビートたけしの欠陥ってどこだと思う?」:田原総一朗×伊集院光「伊集院光の週末TSUTAYAに行ってこれ借りよう!」、「小林悠 たまむすび」(TBSラジオ、2012年10月26日(金)13:00-15:30)
「伊集院光の週末TSUTAYAに行ってこれ借りよう!」(「小林悠 たまむすび」TBSラジオ、2012年10月26日(金)13:00-15:30)のゲストは田原総一朗。
「伊集院光の週末TSUTAYAに行ってこれ借りよう!」
「小林悠 たまむすび」(TBSラジオ、2012年10月26日(金)13:00-15:30)
田原総一朗「ビートたけしの欠陥ってどこだと思う?」
コーナー冒頭で伊集院は、田原と以前に共演した際に生放送で突然「伊集院君、天皇陛下のギャグやってくれる?」などと求められたエピソードを披露。
そして、ゲストの登場・紹介・AKB48の話などを経て、しばらくしたところで突然:
田原総一朗 芸能界でビートたけしの悪口言いにくいでしょ?
伊集院光 そうですね……。
田原 ビートたけしの欠陥ってどこだと思う?
伊集院 欠陥!?
小林悠アナ えへへへ。
伊集院 欠陥はシャイなとこです。
田原 シャイって、良いとこじゃない?
伊集院 その、良いとこと悪いとことって……。
田原 悪口言えないでしょ、この人?
伊集院 だって……。
小林アナ そういう発想がないですね、悪口言おうっていう。
田原 全然、悪口なのにほめてるでしょ? お世辞しか言えないんだよ。
伊集院 だけど、ビートたけしってものに、例えば悪い面だけが独立してあるのかっていうと、オレらビートたけしチルドレンたちは……ないですよ、それは。
田原 なんでこの人、ビートたけしの弁護士ばっかりやってんの?
伊集院 僕ホントにそう思うんですけど、ビートたけし世代で、オレたちビートたけしの影響で——
田原 な〜んでビートたけしはさぁ、テレビで売れたのにね、テレビに力入れないで、なんで映画に力入れてんの?
伊集院 だから……たけしさんは……。
田原 テレビはつまんないと思ってんだよ。
伊集院 う〜ん。
小林アナ はぁ〜。
田原 でしょう? だって、テレビで稼いだお金をねぇ、全部映画にブチ込んでるわけよ。
伊集院 う〜ん。
田原 やっぱり、テレビなんてラジオなんてくだらない番組だから、こんなもんに興味もたないビートたけしは素晴らしいと思うけどね。
伊集院 いや、違いますよ。ビートたけし自体はビートたけしがやりたいことをやって、その中の僕らは愉しみたいものを愉しめばいいんじゃないかと思うんですよ。
田原 ね? ここカットされないんでしょ、どうせ?
ここで本題に入り、映画の話。
その後、コーナー終盤で伊集院がビートたけしに話を戻す。
伊集院 なんか、でも、こうやって話してて少し解ったこと、僕が少し解ったこと、「ビートたけしの悪いとこはどこだ?」っていう質問に対して僕がオタオタするっていうのは判ってて訊くじゃないですか?
田原 うん。
伊集院 で、たぶん、僕の悪いところが、ビートたけしさんの悪いところだったら、イコールだったら良いなと思うんですけど——
田原 うん。
伊集院 僕やっぱり、たけしさんに、そのビートたけしに影響されて生きてきたせいで、ビートたけしさんが照れるところとかが、すごく尊敬するところだったりする。
だからたぶん、丸裸には自分からはなるけど、人にはされたくない。
田原 されたくない。そう。
小林アナ あぁ、脱がされたくない。
伊集院 だから、それを僕は尊敬してるんです。僕、人前で自分のムケてないチンコを出すのは全然大丈夫です。だけど、人から脱がされるのはイヤですっていう、それが悪いとこだとすれば悪いとこだと思う。
田原 でもねぇ、芸能人ってねぇ、ある程度脱がされるのが好きじゃないとダメだと思うけど。
伊集院 これ難しいのは——
小林アナ えぇ〜。
田原 そうでしょ? こんなガチガチにねぇ、服装やってたら面白くも可笑しくもないじゃない。
伊集院 これが、僕は、何とか脱がされないように僕が引っぱってるパンツを田原さんが破くって言うんなら、そらぁしょうがないと思います。それは、普通の人よりはカメラ前から逃げようとは思わない、ギリまで行こうと思うんですけど。
田原 破かないよ。それは自分で脱いでもらう。
小林アナ それがねぇ!
伊集院 この戦いになるから、最終的に「オレは脱ぎたくない。自分からは絶対脱ぎたくない」になって——
田原 で、どこまでいけるかやってみようと。これがドキュメントだと思う。
伊集院 はいはい。
田原 どこまで行けるか。
伊集院 その田原さんが推薦するのがドキュメンタリー映画だと思ったら、そうじゃないのもまたちょっと面白いですね。
終り際に伊集院がスタジオの玉袋筋太郎に同じ質問を振った。玉袋は話をはぐらかしつつ、「殿もムケてない」と明していた。
田原総一朗の質問に答えつつ、田原総一朗を批評しながら、田原総一朗のポジションを語らせた伊集院。なかなかの技アリ。
田原総一朗のおすすめ映画:『ブラックブック』(2006年)
田原総一朗のおすすめ映画は『ブラックブック』Zwartboek(2006年)。放送の中ではオランダ映画でナチスとレジスタンスの話であることと、ストーリーのとっかかりぐらいしか説明がなかったけれど、この映画の監督は、ポール・ヴァーホーヴェン(Paul Verhoeven)。
- 『ロボコップ』RoboCop(1987年)
- 『トータル・リコール』Total Recall(1990年)
- 『氷の微笑』Basic Instinct(1992年)
- 『スターシップ・トゥルーパーズ』Starship Troopers(1997年)
などの人。意外な監督の作品を推めてきたなぁ。
ポール・ヴァーホーヴェン[監督]『ブラックブック』
Zwartboek(2006年)予告編
『ブラックブック』のDVDがAmazon.co.jpで1,000円しなかったので、さっそく買って観てみたら、けっこうしっかりした古風で本格派の映画。後世に残る超大作という程ではないけれど、現代史に材を取ったサスペンス映画としてはなかなか愉しめると思う。ストーリーそのものはよくあるドンデン返しの連続という感じだけれど、チョッとした台詞などに深長な含意があって「ほぉ」と感心するところがいくつもある。1,000円の価値は充分あった。
トム・ホフマン演ずるアッカーマンによるヒトラーのモノマネがすごい。
あと、ミュンツェ大尉が岡田克也に似ていた。
実は、町山智浩による『スターシップ・トゥルーパーズ』の解説を聞くまで、私はポール・ヴァーホーヴェンを誤解していた。
○町山智浩の映画塾!Vol.14(町山智浩の映画塾!|WOWOWオンライン)
町山の解説によると、ヴァーホーヴェンは少年時代をナチス占領下のオランダで送り、友軍である連合国による空爆で多数の人が命を落とす様子を目撃し、善悪の価値観を信じない、死体を見慣れた子どもとして育ったとのこと。
『ブラックブック』も、善悪の価値観を信じない、死体を見慣れた人の映画という感じ。
『トータル・リコール』の人間を盾にするシーンとか、『スターシップ・トゥルーパーズ』で次々に兵士がちぎれて死んでいく様子も、町山の話を聞いた後では意味合いが違ってくる。
『スターシップ・トゥルーパーズ』をまるでナチスのプロパガンダ映画だと真に受けたりはしなかったけれど、ただの露悪的なバカSF映画ぐらいにしか思っていなかった。
○'Starship Troopers' (R) (The Washington Post ウェブサイト内、英語)
※"Verhoeven draws parallels with vintage World War II movies, right down to a reenactment of D-Day landings at Normandy, but he seems more drawn to Nazi chic than Yankee gumption. [...] Alas, Verhoeven's tone, which varies from camp to cynical, is so inconsistent that it's impossible to decide whether he's sending up the Third Reich or in love with it. On the other hand, maybe this is just his misguided idea of a big old scary bug movie. In any case, he'd be right at home in a roach motel."
ちなみに、『スターシップ・トゥルーパーズ』原作者のロバート A. ハインライン(Robert Anson Heinlein)が右翼の運動家だというのも知らなかった。私のSFずきの友人はあの映画を観て「原作を台無しにしている」と怒っていたけれど、ヴァーホーヴェンは原作を換骨奪胎、脱構築して、正反対のメッセージを込めて、ナチスのプロパガンダ映画のパロディーとして突き返していたのだ。
また、プロパガンダ映画のパロディーとして作られた『スターシップ・トゥルーパーズ』と、大真面目に作られたであろうローランド・エメリッヒ[監督]『インディペンデンス・デイ』Independence Day(1996年)に類似点が多いのは、笑えない話。
ヴァーホーヴェンの少年時代の話。どこかで聞いたような話だなと思ったら、カート・ヴォネガットJr.(Kurt Vonnegut Jr.)と似たところがある。ヴォネガットの場合は、アメリカ兵としてヨーロッパ戦線に遠征し、ベルギーはアンデルヌでバルジの戦いにおいてドイツ軍の捕虜になる。ドイツのドレスデンに連行され、1945年2月にその地で、味方である連合国軍(英・米空軍)による空襲を経験(ドレスデン爆撃)。『タイタンの妖女』The Sirens of Titan(1959年)の火星人襲来の話なんかも、きっとその影響。
ヴォネガットの小説をヴァーホーヴェンが映画化したら面白いのに。
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