フランス誌で福島原発特集:Fukushima: et si le pire était à venir? Le Nouvel Observateur, du 23 au 29 août 2012.
○フランス誌で福島原発特集:<<Fukushima: et si le pire était à venir?>> Le Nouvel Observateur, du 23 au 29 août 2012.
ラジオと関係ない話だけれど、フランスのリベラルな有名週刊誌 Le Nouvel Observateur 2012年8月23-29日号の特集が福島原発。題して <<Fukushima: et si le pire était à venir?>>(フクシマ:もし最悪の事態が起こるのはこれからだとしたら?)。
現在、福島第1原発4号機の使用済み燃料冷却用プールが、ビニール1枚かぶせただけの野ざらし状態になっており、台風・地震など何らかの理由でこの水が無くなったり、プールが崩壊した場合、「控えめに見積もっても広島原爆5,000発分」(小出裕章)の放射能が放出される最悪の事態も起こりうるという背筋も凍る内容!
海外報道は貴重なセカンド・オピニオンのひとつ。既に日本語に訳している人たちもいるので、記事本編はそちらをどうぞ:
ウェブ版
○Fukushima : et si le pire était à venir ? - Le Nouvel Observateur(公式サイト、フランス語)
日本語訳:
○Canard Plus ♡ Tomos und Entelchens Blog: 仏ヌーヴェル・オプセルヴァトゥール誌「福島の最悪事故が起こるのはこれから?」
○Fukushima : et si le pire était à venir ?|PAGES D'ECRITURE
Le Nouvel Observateur, du 23 au 29 août 2012
「福島:未だ隠されたもの」
前掲ブログで訳されている部分の後に、反原発デモを取材した短い記事 <<Vers une révolution antinucléaire?>> が掲載されていたので、私はそっちを訳してみた。記事は1段落構成けれど、読みやすいように適宜段落を切った。筆者は、本編と同じヴァンサン・ジョヴェール(Vincent Jauvert)。
果たして反原発革命につながるのか?
大惨事の一年半後、タブーは覆された。全能なる原子力ロビーに対して、反乱が唸りを上げている。7月16日、炎天下、日本の歴史は動いた。その日、「さようなら原発」の連帯の呼びかけに応じて、中産階級は大挙して東京の街頭に飛び出した。10万人以上の人びとが、ひとつのスローガンのもとに行進した——「原発再稼働反対」。1960年代以降、日本の首都では一度もデモが組織されることなどなかった。いらい政府は、かかる大衆動員に揺さぶりをかけられている。人呼んで「紫陽花(あじさい)革命」(日本で夏に花咲くことから)。
7月16日、老いも若きも、全国から代々木公園に集まった。28歳のナオキは、東京から電車で4時間の日本海沿岸、福井県で歯科助手をしている。彼によれば「デモに参加するのはこれが初めてです。総理は私たちに嘘をついてきました。彼が政権にいるあいだ、福島の事故以降、彼は原発の再稼働に反対すると断言しました。でも彼は、私の家のすぐそばの大飯原発を再稼働させました。でも、在野の専門家たちは、大飯は活断層の上にあると言っています」。
35歳のヒコノは東京郊外で教師をしている。彼女によれば、「福島の事故までは、むしろ原子力エネルギーに賛成でした。実際、疑問はありませんでした。その後少しづつ、震災後、政府が私たちにずっと嘘をついてきたことが判ってきたし、被曝地域からの避難を適切に組織しなかったことすら判ってきました。もう彼らを信用できません」。
建設業を引退したコウジは、第二次世界大戦の初めに生まれた。彼によれば、「40年間、政府は原発は絶対に安全だと繰り返してきたし、実際それを信じてきました。しかし、原子雲が上がった場所を知ろうと思ったら、アメリカのウェブサイトを見なければなりませんでした。政府は何も言わなかったのです。政府は原子力ロビーの利権に奉仕しています」。
年老いた反原発運動家たちは天にも昇る心地だ。「私が生きている間にこんな光景を目にするとは思ってもいませんでした」とチェルノブイリ以来全てのデモに参加している堀口邦子は感無量だ。「20年の間、私たちは荒れ野で説法しているようなものでした。私たちは今、論争の中心にいるのです」。
彼らの声を広めるのは、ノーベル文学賞受賞者の大江健三郎だ。彼は演壇で怒りをあらわにする:「私たちは700万人分以上の原発再稼働反対の署名を集めました。6月末に、私はその署名を首相官邸に提出しに行きました。しかしながら、その翌日に、総理は大飯原子炉の再稼働を決めました。総理は国民の声に耳を傾けない」。
世論調査によれば、日本人の約80%が原発の早期廃止に賛成している。政府はといえば、原子力政策存続に未練を持っている。政府は、原子力比率25%(ほぼ全ての原発の再稼働と同等)、10%、0%の、3つのシナリオを考えている。政府は、8月末に結論を発表しなければならなかった。しかし、このデモはそれを先送りさせた。8月11日、反原発の市民たちは、首相官邸前で大規模集会を組織した。その翌々日、政府は最終的に、再度検討するつもりだと発表した。V.J.
※当ブログ内の関連エントリー:
○ル・モンド紙、震災と原子力ロビーに関する記事を翻訳してみました:「福島、罪深き沈黙」 <<Fukushima, silences coupables>>, Le Monde, 26 Mars 2011
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コメント
おはようございます。
海外のジャーナリストから寄せられる諫言、心して聴く。
投稿: 石崎亮史朗 | 2012年9月 8日 (土) 09時59分