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新藤兼人監督に関して、小林信彦のほうが正しいことが判りました:「ニュース探求ラジオ Dig」(TBSラジオ、2012年1月29日(木)22:00-23:50)

○新藤兼人監督に関して、小林信彦が正しいことが判りました:「ニュース探求ラジオ Dig」(TBSラジオ、2012年1月29日(木)22:00-23:50)

 

新藤兼人[監督]『裸の島』(1960年)を観てきた


新藤兼人[監督]『裸の島』(1960年)テーマ
 

川崎市市民ミュージアムで行われていた新藤兼人監督の追悼企画『裸の島』(1960年)を観に行った。6月24日(日)の『竹山ひとり旅』(1977年)につづき2週連続の川崎通い。

全編にわたり台詞がない上に、作品中盤まではほとんど何も起きない。だけれど、全然飽きさせない。厳密には、飽きさせないのか、飽きていることが一周廻って面白くなっているのか判らない。そういう時間感覚。だけれど、独特のテンポがある。農作業に限らず、人が作業をしている様子を見ると、その動作のリズムに自分がいつの間にか迷い込んでいることに気づく。それが愉しい。

若き乙羽信子はスタイルがいいので、毎日あんな重労働を繰り返している人の体躯としてはちょっと不自然で、櫓を漕ぐ姿や浴衣姿が妙に妖艶だった。重労働のルーティン・ワークによって後景に退いていた女性性が時おり不意を衝いて顕在化することで、彼女の実在としての立体感は増す。

クライマックスでありアンチクライマックスでもある終盤のあのシーンでは、客席のそこかしこから忍び泣きの声が聴こえた。オレのとなりの席のじいちゃんは嗚咽を抑し殺すのに必死のようだった。

「Dig」(TBSラジオ)vs 小林信彦

以前、「ニュース探求ラジオ Dig」(TBSラジオ、2012年1月29日(木)22:00-24:50)で新藤兼人監督が話題に上ったことがあった。「映画雑誌のキネマ旬報が2011年映画ベストテンを発表!・・・ってみんな映画どのくらい観てる?」の回:

放送後記 1月19日(木)「キネマ旬報ベストテン映画発表」(Dig | TBS RADIO 954kHz)

2011年 第85回キネマ旬報ベスト・テン

『キネマ旬報』の2011年ベストワンが新藤兼人[監督]『一枚のハガキ』(2011年)だったことについて、出演者たちは『キネ旬』の投票システムの特殊性などに言及しつつ、強く推す人がだれもいなくても、99歳の監督に対する功労賞的な意味合いで多くの選者が5位や6位に選べば票が積み重なって1位になると分析。また、出演者の誰も作品を観ていないと語った。

この放送について、小林信彦は、『週刊文春』2012年2月9日号の「本音を申せば」第686回で、『東京新聞』に寄せられた「選ばれた作品を小ばかにするような発言が続き、不愉快になりました」「居酒屋での会話のよう」というリスナーからの投書に同意しつつ引用し、「新藤[兼人]さんに対する敬意のかけらもない」と一喝し、

「[新藤兼人は]九十九か、そのうち百になるぞ、ケッケッケ」といった雑談をナマで流したTBSラジオは保守的であり、ズレているのだろう。

と苦言を呈した。

かく言う私も……すみませんでした

私は、この放送を聴いて、出演者の誰も観ていないという事実が何ごとかを語っているようにも思えたし、小林御大のコラムを読んだ後にも、居酒屋風の会話も悪くないと、やや「Dig」を擁護したい立場だった。

実際、かく言う私も『一枚のハガキ』に食指が動かなかったし、新藤作品自体にそれほど興味がなかった。

以前、ウェブラジオFMCの榎田信衛門氏が『裸の島』を強く推していたので、一度観ておいたほうがいいだろうなぁ、とは思っていたけれど。

『一枚のハガキ』はまだ観ていないけれど、この度『竹山ひとり旅』『裸の島』を観て、小林信彦の言うことが正しそうだと感じた。映画は、やっぱり作品をちゃんと観ないと何も始まらない。基本の「き」でありました。

小林御大、すみませんでした。

※当ブログ内の関連エントリー:

高橋竹山生誕100年記念番組 ラジオドキュメンタリー「故郷の空に」(RABラジオ、2010年)


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