伊集院光 vs Zeebra の「中二病」ビーフについてヒップ・ホップ側から書かれたブログに思わず納得の巻。
○伊集院光 vs Zeebra の「中二病」ビーフについてヒップ・ホップ側から書かれたブログに思わず納得の巻。
月曜JUNK「伊集院光 深夜の馬鹿力」(TBSラジオ、2012年2月20日(月)25:00-27:00)で話題に上った、伊集院とラッパーのZeebraとの「中二病」を巡る悶着に、先日このブログで言及した:
○月曜JUNK「伊集院光 深夜の馬鹿力」(TBSラジオ、2012年2月20日(月)25:00-27:00)(当ブログ内)
論理的に考えて、Zeebra の主張に分がないのは明らかだった。言葉の意味が変化しても、その使用によって生じる不利益の責任は常に言葉の考案者にあり、意味が変れば逐一訂正する義務を負うのだという。ただ、この発言はTwitterのDM上の発言で非公開のため、あくまでも、伊集院の話に拠ればという条件つきだ。
その場の言い争いに押し勝てば逆転できると思っているのか、分の悪さを自覚しているにもかかわらず(そしておそらく、だからそこ)、「負けっぱなしじゃ終んねぇ。そうだろう?」とばかりに愚にもつかないことを言い出す人もいる。
伊集院が「もう関係ないなぁ」と諦めたように、私もたぶんこの人を説得するのはムリだろうなという印象を受けた。
そんな時、安東三さんのブログを読んで、これならZeebraも納得せざるを得ないだろうなと感心した:
まず、骨組みだけ抜き出すと、この件に関するZeebraの態度がいかにヒップ・ホップ的でないかをヒップ・ホップ側の立場から説いている。
白眉は次の箇所:
有名な例として、ニガーという差別用語を挙げてみる。これはアフリカ系アメリカ人に向けた蔑称とされる一方で、ヒップホップコミュニティおいては自称とされる。この奇妙な変換の根底にあるのは、その語の語源に立ち返って最初に言い出した人物への糾弾ではなく、むしろ積極的にその語を使用することによって自分たちのものに書き換えてしまおうという態度である。言葉のオリジナリティは語源にあるのではなく、使用する側にある。これがヒップホップの(ひいてはアフリカ系文化に連綿と続く)理解の仕方だった筈だ。
ラッパーを自覚的に名乗るのであれば、中二病という言葉を積極的に使い、語の意味それ自体を変えようとするだろう。
日本のヒップ・ホップを「レペゼン」すると自他ともに認める彼にとっては耳の痛い話だろう。
「言葉は変化する」という表現は、単に人口に膾炙したクリシェであるだけでなく、客観的で科学的で唯物的でもある。しかし、言葉はひとりでに変化したりはしない。もし言葉が変化するとするならば、それは生きた人間の具体的な言語運用を通じて起こる。
ラップとは、言語運用を通じて、既存の支配的な価値体系から言葉を自分のもとに奪還するポリティカルな実践なのだと再確認した。
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コメント
やはり
『宇多丸』サンは残すべきだったでしょうな今な僕です…つまらない
ラッパー(ラッパーとしての立ち位置)とラジオコミュニケーションの親和性ってあるような気がしました。
関東圏のラジオ番組で『いとうせいこう』サンと『宇多丸』サン以外で、
『言葉の奪還』を意識的にされている方(または番組)をご存じですか?
在るとしたら聴いてみたいです。
今回も勉強になりました。有難うございます。
投稿: morihsgw | 2012年4月11日 (水) 15時10分