ザ・トップ5(TBSラジオ、2012年1月3日(火)18:00-22:00)ゲスト:映画評論家・町山智浩
○「ザ・トップ5」(TBSラジオ、2012年1月3日(火)18:00-22:00)ゲスト:映画評論家・町山智浩
「ザ・トップ5」(TBSラジオ、2012年1月3日(火)18:00-22:00)に映画評論家の町山智浩がゲスト出演していたので、録音ボタンを押して聴取開始。
「町山智浩が選ぶトップ5」をお題にトーク。
「町山智浩が選ぶ オレの人生を作ったマンガ トップ5」のパートで、「ゲゲゲの鬼太郎」が話題に:
安東弘樹アナ そして、1位が水木しげるさんの「ゲゲゲの鬼太郎」。
町山智浩 はい、コレがねぇ、僕、いちばん最初に、小学校入る前にマンガを読み始めたのがこの「ゲゲゲの鬼太郎」で、まだアニメ化される前ぐらいだったんですけど。
安東アナ はいはい。
コンバットREC モノクロ版もつくられる前?
町山 うん、モノクロ版がつくられる前だと思います。「手」とか連載してた頃だから、そうだと思うんですけども。
これはね、鬼太郎が楽しそうでしょうがないの。
安東アナ 鬼太郎が楽しそうでしょうがない?
町山 原作読むと、鬼太郎ってねぇ、何て言うかねぇ、フーテンなんですよ、当時。
安東アナ あぁ〜。
町山 何つうか、今で言うと何? フリーター? 判らないけど。
安東アナ 追いつめられ感はないってことですね?
町山 ない。だって、鬼太郎ってね、しょっちゅうね、コーヒー飲んでんですよ。
コンバットREC・安東アナ はははは。[テーブルを叩く音]。
町山 喫茶店行って、コーヒー飲んで——
安東アナ あの感じでね。
町山 そう、コーヒー飲んで、ケーキ食べて、あと、タバコけっこう吸ったりするんだよね。
コンバットREC はいはい。
安東アナ あの少年風の感じで。
町山 そうそう。そいで、こうやって寝っ転がってさ、公園でプカ〜とかやってて、「いいなぁ、この人」とか思って。
で、前に呉智英先生に初めて会った時に、「あの、町山くんっていうのはどういうマンガが好きなの?」って。「水木しげるが好きで、「鬼太郎」が好きなんです」って言ったら、「あ、鬼太郎ってのは、アレ、フーテンだから」って呉智英先生に言われたんですよ。「マネしちゃダメだよ」って言われた、はははは。
コンバットREC つまり、「オレの人生をつくった」っていうのは、根無草的な行き方ってこと?
町山 そうそうそうそうそうそう。いい加減な人間になった。
鬼太郎って、原作読むとさぁ、女に子にだまされるんだ。女の子に弱いんですよ。
安東アナ ほぉ〜。あぁ、そうですか?
町山 テレビだと、いい人みたいじゃない?
安東アナ はい。完全に正義のヒーローっぽい感じですよね。
町山 ヒーローっぽいじゃない? 原作ではチャラチャラした男なんだ、鬼太郎がまた。
安東アナ はははは。
町山 そこがいいんだ。
で、女の人にだまされて、ヴェトナム戦争に行くんです、鬼太郎が。
安東アナ はい。
町山 ヴェトナム戦争に行って、ヴェトコンの女の子を支援して戦うんですよ。この話、知ってます?
安東アナ 知らないです。
町山 だってさぁ、子泣き爺ってもの凄く重くなるじゃん。アメリカの原子力潜水艦に子泣きじじいが取りついて、タイコンデロガ級※原子力潜水艦を轟沈するんですよ、子泣き爺が。子泣き爺の重さで。
安東アナ 子泣き爺が!
町山 砂かけ婆は、ファントム・ジェット戦闘機に向って砂をかけてエンジンを停止させて墜落させるんだよ。砂かけ婆は。
安東アナ あぁ、F-4 ファントムを! 20mmガトリング砲装備の。あぁ、そうですか!
町山 それで、何でヴェトナム戦争に鬼太郎が参加したのかなぁって思うと、ヴェトコンの女の子にかわいいコがいたからっていう理由。
安東アナ あ、そういうモチベーションで、かわいいコの味方をしたっていうことですね。
町山 モチベーションそれかよ!っていうさ。
コンバットREC 正義のためじゃない。
町山 正義のためじゃないの、鬼太郎。
安東アナ 思想、ポリシー、何もないわけですね?
町山 ない。そこが鬼太郎って感じでね、原作の鬼太郎はいいんだ。[……]
安東アナ 俗っぽいですね。
町山 俗っぽい。自由人。ヒッピーなんだよね。
コンバットREC それは、水木先生だから、個人の幸せを追求するべきだっていう。
町山 そうそう。本人なんだろうね、やっぱりね。「オレはこういう風に生きたいな」っていうだけなんですよ。一生懸命妖怪を退治したりしないんだ、原作では。そこがいいですね。
※原子力潜水艦にタイコンデロガ級は存在せず、このエピソードのモデルになっている原子力潜水艦スコーピオンはスキップジャック級。
また、2位の池上遼一「スパイダーマン」が暗い童貞の話であるという話題のついでに、「仮面ライダー」にも言及:
町山智浩 この頃ね、「仮面ライダー」とかも、そういう暗い話ばっかりなんですよ。
「仮面ライダー」とか、改造人間出てくるじゃないですか。改造人間って、一体なんで改造されるかってことが、石ノ森章太郎さんの原作には出てくるんですよ。
安東弘樹アナ はいはい。
町山 食い詰めた男と女が自分で自ら改造人間になるんですよ、ショッカーに入って。
安東アナ はいはいはいはい。
町山 「私たち、もう行き場がないんだから改造人間になるしかなかったじゃないのよ〜」って言うと、男と女が、コブラ男とヘビ女が会話するところが切ないんだ。
安東アナ う〜ん。
町山 で、互いに、相討ちで死んじゃうんですよ。
安東アナ はいはいはいはい。
町山 で、仮面ライダーはただそれを見てんの。悲しい男と女だなぁ。これ、演歌の世界だよ。
この話が異常に面白かったので、「鬼太郎のベトナム戦記」と「仮面ライダー」を読んでみた。実際には町山の話と細部が若干違うけれど、どっちも面白かった。作品そのものよりも町山の話のほうが面白いという気もしなくはないけれど……。
「仮面ライダー」に関しては、少なくとも私の読んだ版にはコブラ男とヘビ女(へび姫メドウサ)との間に町山の言うような昭和枯れすゝき的会話はなくて、チョッとガッカリ。でも、少年マンガにしては結構社会派な内容。それに、本郷猛と一文字隼人との意外でシュールでブラックな関係にも驚いた。原作の本郷猛、骨折どころの騒ぎじゃないんだよ。ともあれ、読むきっかけを得られてよかったなぁ。
ところで、「仮面ライダー」についてネットで検索してみたら、一部の平成ライダーが桂正和の「ウイングマン」(1983〜85年)を元ネタにしていると指摘する人がいるようだ。実際にそういう例もあるのかもしれないけれど(平成ライダーをひとつも観たことがないので判りません)、元を辿れば主客が逆。特に「仮面ライダー」のこうもり男の話を読むと、「桂正和もコレ読んでたんだろうなぁ。「仮面ライダー」好きだったんだろうなぁ」と思うことしきり。それが巡りめぐって平成ライダーにフィードバックしているのなら、いい話だけどね。
山中のりまさ「WING LOVE」(1984年)
※町山智浩が選ぶトップ5
町山智浩が選ぶ「好きな映画主題歌トップ5」
第5位 三上寛「小便だらけの湖」(1971年)
※中島貞夫[監督]『狂った野獣』(1976年)
第4位 頭脳警察「ふざけるんじゃねえよ」(1972年)
※中島貞夫[監督]『鉄砲玉の美学』(1973年)
第3位 白竜「誰の為でもない」(1988年)
※崔洋一[監督]『十階のモスキート』(1983年)
第2位 遠藤ミチロウ「仰げば尊し」(1984年)
※佐藤寿保[監督]『狂った触覚(激愛!ロリータ密猟)』(1985年)
第1位 麻里圭子「かえせ!太陽を」(1971年)
※坂野義光[監督]『ゴジラ対ヘドラ』(1971年)
町山智浩が選ぶ「オレの人生を作ったマンガトップ5」
第5位 赤塚不二夫「ギャグゲリラ」(1972〜82年)、「レッツラゴン」(1971〜74年)
第4位 永井豪「イヤハヤ南友」(1974〜76年)
第3位 萩尾望都 初期短編全部
第2位 池上遼一「スパイダーマン」(1970-71年)
第1位 水木しげる「ゲゲゲの鬼太郎」
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