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ギャラクシー賞入賞作品を聴いて、語り合う会Vol.14(日本大学藝術学部南棟B1 録音スタジオA、2011年10月2日(日)13:00-17:00)に行ってきた。

○「ギャラクシー賞入賞作品を聴いて、語り合う会Vol.14」(日本大学藝術学部南棟B1 録音スタジオA、2011年10月2日(日)13:00-17:00)に行ってきた。

 

今年の夏に続き、第48回ギャラクシー賞ラジオ部門で入賞作品を聴くヴェントが開催されたので、再び参加してきた。

放送批評懇談会

今回上演されたのは下記の2作品:

実は同じ日に渋谷で、第1回NHK・民放連共同ラジオキャンペーン「はじめまして、ラジオです。」が開催されていた。夕方から用事があったため両方には参加できそうになかったので、私はコチラを選択。まぁ、今さらオレもラジオとは「はじめまして」って仲でもないし、単純にコッチのほうが面白うそうだったので。今回は入場無料だった。

日本大学藝術学部に到着 

会場は日本大学藝術学部。西武池袋線・江古田駅に到着。


西武池袋線・江古田駅北口
新しい駅舎です。こちらのサイトの3枚目の写真が
2010年1月8日までの駅舎のほぼ同じアングル。

 

少し時間の余裕があったので、江古田駅周辺を散策。


この商店街の向こうが日藝
 

飲み屋の前のたぬき
ふつう焼き物でしょ?
 

練馬まつりのポスター
サンバ、武者、鼓笛隊……
いろんな要素がてんこ盛りで、カオスなポスター。
開局準備中の練馬放送も出展するようだ。

練馬まつりホームページ

練馬放送
※練馬区でコミュニティFM開局に向けて準備中。
Twitter / @neribro:さて10/16(日)に練馬総合運動場で開催される「練 ...


日本大学藝術学部
狭い敷地にいろんな建物がビッシリ建っている感じ。
 

この建物の地下が会場
日本大学藝術学部南棟B1 録音スタジオA
 

前回に続き、会が始まるまでしばらくスタジオ内をキョロキョロと観察。またしても完全に不審者。さすがに写真は撮れないのでスケッチで再現:


当日の日本大学藝術学部南棟B1 録音スタジオA内部 
大きなスピーカーは、たぶん JBL 4344
音響レンズは外してあった。

  

席数は横5席縦6席の島が左右にひとつづつ。参加者は40人ぐらい。


左側の窓の向こうは調整室
放送局なみの設備です。これなら学生はほとんどOJT状態。
  

調整室の窓の上
左からスピーカー(たぶん BOSE 101HI)、マイク、
時計(ESE LX-5116)、マイク、カメラ(カーテンの陰)

  

調整室の窓の上のマイク
時計の左右にひとつづつ。メーカー・型番不明。
ホルダーと一体型。ご存知の方はご教示を。

  

右側の壁
ギザギザに波打っていました。 
 

会場で頂きました。
 エフエム沖縄タイムテーブル(レアだ!)、
書籍『放送ウーマンのいま』チラシ、日藝の学校案内

 

優秀賞:FMシアター「薔薇のある家」(NHK-FM、2010年7月31日)

FMシアター 2010年 放送済みの作品 : NHKオーディオドラマ(公式サイト)

まずはドラマ自体にシビれ、続いて演出の江澤俊彦(NHK)のトークにシビれた。

出演は、大竹しのぶ、奈良岡朋子。

あらすじ:舞台や映画への出演はおろか、足の怪我の後遺症で家から外出すらできなくなった往年の大女優。そして、彼女と同居している献身的な付き人の中年女性。この二人が、ある夏の日の一夜に繰り広げる、残酷だがハートウォーミングな葛藤のドラマ。

FMシアター 2010年 放送済みの作品 : NHKオーディオドラマ

1箇所か2箇所、大竹しのぶがモノローグ的に状況を説明する部分があったかもしれないけれど、基本的にはふたりの会話だけで展開。私が好きなナレイションのないラジオ・ドラマ。希代の傑作と言ってもよいかもしれない。特に、大竹しのぶがスゴすぎる。


演出の江澤俊彦氏(NHK)
 

通常NHK局員は地方が初任地だが、江澤氏は最初にドラマ斑に所属。ドラマ制作・劇場中継・演劇番組などを担当し、同時に数かずの俳優と交流してきたとのこと。

「薔薇のある家」の制作にあたり、大竹しのぶ・奈良岡朋子のふたりをキャスティングすることを前提に話を進め、脚本が出来てからふたりのスケジュールが合うまで1年以上かかったとか。テレビ・ドラマでもこのようなことは異例とのこと。

脚本執筆にあたり、まずは江澤氏がかなり詳しいシノプシスをつくって、作家に依頼という流れ。江澤氏曰く「放送作家は番組や放送のことはよく知っているけれど、俳優のことは知らない」。従って、劇団の座付作家もやっているオカモト國ヒコを起用。

分かった気にならない為の装置(オカモト國ヒコのブログ)

ただ、座付作家をやっている人は、同世代の俳優たちのと付き合いはあるものの、「薔薇のある家」の登場人物のような大物俳優の生理が解らないので、江澤氏が見聞き経験した俳優たちとのエピソードや、氏が担当した演劇番組などの資料を提供して、登場人物の肉付けが行われているとのこと。

ちなみに、大物女優の台詞回しには杉村春子の口調が、ストーリーの核となる大物女優と中年女性の関係には寺島しのぶのエピソードが大きく反映されているらしい。その他、人物を特定して公にできない数かずのエピソードが作品に反映されているとのこと。ちなみに、杉村春子の死後、彼女が最も懇意にしていた後輩女優が奈良岡朋子だったことが判ったりもしたらしい。

質疑応答の段になり、日藝の放送学科でラジオ制作を専攻している学生からの効果音についての質問をきっかけに、とても面白い話を聴くことができた。

このドラマの効果音のほとんどは後から付けられたものであるが、たくわんを食べる音だけはその場で撮られたものとのこと。江澤氏曰く「食事シーンだけは、本人の口まわりでないとダメ」。確かに、人間の口まわりは調音器官だ。

また、ドラマの設定では、カウンターを挟んだ対面型のダイニング・キッチンが舞台になっているので、ダイニング側にマイクがある時には壁やソファーが音を吸収し、キッチン側では音が反響しているような音響になっているらしい。

もうひとつ面白かったのは、氷とグラスの音の話。最初は、コンビニで買った氷とNHKの音響準備室のグラスで撮ったけれど、狙った音が録れなかったらしい。そこで、硬質でよく響く音を撮るために、まずは飲食店に納品しているような専門の氷屋から氷を取り寄せたとのこと。そして、音響マンが合羽橋の道具街に赴き、4種類ぐらいのグラスを購入しその中からいちばん良いものを選んだらしい。最も高価なものはひとつ7,000円もするものだったとか。道具街の店主から、マグネシウム含有率の高いグラスほど硬質でよく響く音が出るという情報を得たりもしたようだ。演出家も音響マンも合羽橋の店主も、みんな本物のプロだなぁと感動した。

 

優秀賞:「ゴールデンアワー」 (エフエム沖縄、2011年3月28日)

ノリのいいFMラジオのトークを、みんなで集まって静かに聴くのは、最初のうちはなんだか照れくさかった。でも、西向幸三アナウンサー糸数美樹のコンビは愉しくてノリがよく、沖縄にもスゲぇ人たちがいるなぁと感心。糸数美樹はこの番組でブレイクして沖縄では大変な人気なのだそうです。美人だよ。

ゴールデンアワー - ラジオの中のラジオ局「ゴールデンラヂオ放送」(公式サイト)
ゴールデンアワー「ギャラクシー賞優秀賞受賞に寄せられたメッセージ」(公式サイト内)
局長室(西向幸三アナのブログ)
There's no place like home.(糸数美樹のブログ)

東京近郊で聴ける番組に例えるなら、「HITS! THE TOWN」(NAKC5、土12:55-17:55)がいちばん近い雰囲気かなぁ。

受賞回のテーマは「ラジオ」。

番組序盤にパーソナリティーでプロデューサーの西向アナが自身のラジオ聴取遍歴を語っていて、この部分が興味深かった。名前が挙がったパーソナリティーおよび番組はこんな感じ:

  • 高良茂
  • ケン&マスミ(ケンマス)
  • ロバート&シェリー
  • 「ポップンロール・ステーション」
  • 「気分はメロンパン」

西向アナ(1972年生まれ)と同世代の沖縄のラジオ・リスナーにとっては、何と言っても高良茂の影響力は圧倒的だったとか。糸数美樹(1985年生まれ)にとっては「お名前だけは……」という感じのようだ。2006年に慢性腎不全で死去(享年46歳)。

高良茂さん死去 県内のラジオ、テレビで活躍 46歳 -  琉球新報

エフエム沖縄の全盛期にはロバート&シェリーに代表される「チャンプルーDJ」が人気だったとのこと。「チャンプルーDJ」とは、ウチナーヤマトグチと英語をミックスしたトークに乗せて音楽かけるようなスタイルらしい。

LOCK ON RADIO: podcast アーカイブ
※ロバート&シェリーがポッドキャストで復活(更新は終了)。

そういえば、上演された番組内で、高校を辞めようか悩んでいたという人の投稿が読まれていた。伊集院光の番組を聴いて、高校中退でもこんな人がいるんだと踏ん切りが付いて高校を辞めたらしい。いいのかなぁ。


西向幸三アナ(エフエム沖縄)
似せられませんでした。しかも雑ですみません。
実際は、「声が男前のビビる大木」みたいな人でした。

 

番組上演が終って質疑応答に突入すると、トラブル発生。最新の機器を備えたスタジオであることが却って仇になったのか、ソフトウェアーのトラブルでマイクが使えなくなってしまった。地声でトークと相成ったものの、会場の後ろまでハッキリ聴こえる通る声の西向氏。やっぱりプロの発声は違うなぁ。

西向アナは、前日まで宮城県の石巻・女川で1週間ヴォランティア活動を行った後、朝に東京入り。午前中に「はじめまして、ラジオです。」をちょっと覗いて、午後に日藝というハード・スケジュールだった模様。ちなみに、「はじめまして、ラジオです。」で配られていた冊子を見て、ラジオは聴かれていないという前提に立った内容に「ここまで危機感をもっているのか」と感じたのだとか。

「ラジオの中のラジオ局」という設定は、エフエム沖縄全盛期のチャンプルーDJのイメージや他の時間帯と違って、この時間帯はバカな話をしてますよ的な意味が込められていると言っていたような気がする(記憶に自信なし)。

この番組には若手しゃべり手の育成という目論見もあり、元々は西向アナと日替わりパーソナリティーが番組を担当していた。糸数美樹が価値残るかたちになったらしい。西向アナは、沖縄では若手の男性のしゃべり手があんまり育っていないとこぼしていた。

日本の中では東日本大震災の被災地からいちばん遠い土地である沖縄のラジオでも、地震は大きな話題になっていたそうで、実は「ゴールデンアワー」には仙台在住のリスナー(「だいち」さん)がいて、彼の安否を気遣うメッセイジが番組に寄せられ、本人からもメッセイジが届いていたようだ。

この番組は、番組メール・マガジン登録しているリスナーを「リスナー社員」と呼び、番組に投稿することを「出社」と呼んでいる。Wikipedia によれば、「社員」数は4,600人超。番組はポッドキャストでも配信されているので、世界中にリスナー社員がいる。

実は、この日のイヴェントに、東京都在住のリスナー社員と件の仙台市在住のリスナー社員も来ていて、司会に促されて番組について語っていた。パーソナリティーに負けず劣らずウケていた。

社員番号946ササキマサオ(akirahills)は Twitter を利用しています
※東京都在住のリスナー社員。当日は西向アナとペアルックでした。

だいち 社員No.1162(dych1162)は Twitter を利用しています
※仙台市在住のリスナー社員。ご無事でなにより。

* * *

渋谷のイヴェントがどんな感じだったかは判らないけれど、「ギャラクシー賞入賞作品を聴いて、語り合う会Vol.14」 は、ラジオの面白さを凝縮されたかたちで愉しめる、とても素晴らしい会でありました。今回は内容が濃かったなぁ。

※当ブログ内の関連エントリー:

ギャラクシー賞入賞作品を聴いて、語り合う会Vol.13(ニッポン放送イマジンスタジオ、2011年7月3日(日)13:00-17:00)に行ってきた。(当ブログ内)
※前回のレポート


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