土曜ワイドラジオTOKYO 永六輔その新世界(TBSラジオ、2011年4月23日(土)8:30-13:00)
○「土曜ワイドラジオTOKYO 永六輔その新世界」(TBSラジオ、2011年4月23日(土)8:30-13:00)
2か月半前の放送の話だけれど、チョットづつ書き起こしているうちに時間がかかってしまったので、今さらながらこの話題。いい話は、時間が経ってもいい話。
「土曜ワイドラジオTOKYO 永六輔その新世界」(TBSラジオ、2011年4月23日(土)8:30-13:00)のゲストは愛川欽也だった。
愛川がラジオに出るのは、おそらく2009年2月15日(日)に「キンキンのサンデー・ラジオ」(文化放送、2006年4月9日〜2009年2月15日、日13:00-16:00)を突如降板してから2年ぶりではないだろうか。
この日の愛川は、かなり飛ばしていた。
登場するや、「子どもの頃、ハナクソを食ったことがあるか?」という話でひとしきり盛り上がった後、テレビ批評を経て、徐々に東日本大震災以降の時勢に話が移った。
愛川「テレビとかラジオで物言う人間はねぇ、そろそろハッキリさせなきゃいけない。ひとつは、やっぱり憲法は護るのか、護んないのか。もうひとつは、原発は賛成なのか、反対なのか」
永六輔 最近のニュースで、原発も含めて、東北の人は大人しいね。
愛川欽也 大人しい。
永 ガマンしてるね。
愛川 大人しいねぇ。
永 もっと怒ってよかったんだよ、昨日の東電の社長が行ったり、保安院が行ったら怒鳴りつけて。怒ってないもんね、みんな。
愛川 うん、なんか怒ってないようにテレビも放送してんじゃないの? 美談のようにしてんだ。見てると涙出てきちゃうんだよ。だから、あんまり見ないようにしてんだよ。
あれで、泣かしてごまかされて、冗談じゃない。あれを天災だって言うなよ。ぼくはねぇ、最初に自分のホームページでもねぇ、自分の発言として言ったのはね、「未曾有」とかね「想定外」っていう言葉はインチキ臭い。そういうから本当の責任がどっかに消えちゃう。
永 うん。
愛川 責任はあるんですよよ。あれは人災なんだよ。
永 うん。
愛川 つまり、間違いなく人間が作ったものは必ずぶっ壊れることもあると。だとしたら、人間が作ったものをぶっ壊したヤツの責任が、僕は、永さん、あると思う。
永 あります、あります。
愛川 そのことについて言えばね、謝りに行くのが当ったり前で、もっと早く謝りに行って、もっと早く補償しなきゃ。会社なんて潰れたっていいじゃない、補償して。
永 オレ、男が謝ってるのはねぇ、前に証券会社の社長が「ごめんなさい! 私がいけないんです」って謝ったでしょ? 謝るってのはああいうもんですよ。
野澤正平・山一證券社長(当時)
「社員は悪くありませんから」
記者会見で自主廃業を発表(1997年11月24日)
愛川 うん。
永 「深くお詫びを致します」っていう、変な、キレイな言葉を並べたって、謝ることにならないと思う、オレは。
愛川 うんうん。
永 ホントに謝るってのは、ああいうことですよ。泣いて、「ごめん! すみません!」て言って土下座すればいいんで。
愛川 僕ね、今日、永さんとこんな話するつもりじゃなかったんだ。
永 どんな話?
愛川 ハナクソの話をしようと思ってたんだ。
外山恵理アナ・永 はははは。
愛川 ハナクソから、永さんの顔見てっと少しづつ真面目になっちゃってさぁ。
永・外山アナ ふふ。
愛川 僕はねぇ、テレビとかラジオで物言う人間はねぇ、そろそろハッキリさせなきゃいけないって、オレたち、だんだん死期が近づいてる人間は。
ふたつあると思うんだよね。ひとつは、やっぱり憲法は護るのか、護んないのか。これがひとつ。
永 はいはい。
愛川 もうひとつは、原発は賛成なのか、反対なのか。僕はもう自分の番組でハッキリ言ったよ。憲法は護る。今の憲法はね、誰がつくったっていいんだよ。良いものは良いんだ。そういう考えなの。
永 うん。
愛川 で、例えば、それがどうのこうのって言って、「アメリカのマッカーサーがつくった」とか、「マッカーサーの弟子がつくったんだ」と、「日本語としてヘンだ」と。日本語そのものがこんなにヘンなんだから——
永 はははは!
愛川 何でも、良いものは良い。で、どこが良いんだって言うから、「戦争をしない国」って。こんな素晴らしいことはないよ。
永 うん。
愛川 世界に冠たる日本のエバれるものは、僕はやっぱり平和憲法だと思う。
永 そういうふうに言えるのは、この番組のゲストだからですよ。オレ、ホストでしょ? ホストってねぇ——
愛川 ホストか?
永 うん。ゲストだと言いたいこと言えるんだよ。
愛川 オレ、自分の番組でホストで言ってるよ。
永 でも、それは、人があんまり観てないから。
愛川 あ、そうなの?
永・外山アナ ははははは。
愛川 そりゃそうなんだよ。この番組はやたら聴いてるからねぇ。
永 この番組は強い番組だからねぇ、オレなんか遠慮してるけど、今みたいにあなたが言ってくれると、「そうだよ、ホントにそうだよ!」っていうのはホストとして大丈夫なの。
愛川 大丈夫なの? ホストが先に言っちゃいけないの?
永 そう。
愛川 でも今度、永さん、許すから言って。
永 うん。
永「オレは9条じゃないんだよ。99条を護りたいの」
愛川 それからねぇ、やっぱり原発は——
永 オレ、ついでに、ひとつみんなにも、井上ひさしにも「それは、永さん、大事だ」って言われたのはね、「憲法9条を護る」って言う、9条、9条、9条でしょ?
愛川 うん。
永 オレは9条じゃないんだよ。99条を護りたいの。「99条って何だろう?」って思うじゃない?
愛川 うん。
永 思うでしょ?
愛川 うん。
永 99条って良いんですよ。
愛川 オレ、知らない。
永 99条。天皇陛下、外務大臣をはじめ大臣、閣僚、裁判官、公務員はこの憲法を守らなければいけない、って書いてある。これが99条なの。
資料:日本国憲法 第九十九条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。
愛川 はあ〜。
永 良いでしょ?
愛川 良い。
永 天皇陛下をはじめとして、公務員に至るまで。で、国民が入ってないの。
愛川 ほうほうほう。
永 国民は守んなくていいの。
愛川 ほう。
永 権力が守れば良いの。
愛川 うんうん。
永 だから、今度なんかのチャンスの時に99条も——
愛川 僕ねぇ、毎日僕のバッグ、今もアイツが持ってるけど、あんなかにはねぇ、小さな憲法の本がいつも入ってるの。2冊ぐらい。オレ、憲法、離したことないんだよ。
永 うん。
愛川 まぁ、そんなことは自慢話でも何でもない。オレが憲法が好きだから。
永 はい。好き。オレも好き。
愛川 99条、ちゃんともう一回今日……良い話聞いた。
あのね、憲法ってのはどういうものかって言ったらね、あのね、国民の側に向かって何かを強制するものじゃないっていうことをそこで言ってるんだよ。
永 はいはいはい。
愛川 つまりね、権力側が暴走しないように歯止めをかけてんのが憲法なんです。
永 そうです!
愛川 つまり、だから、権力が——権力ってのはとかく暴走するんだよ。力をもってしまうから。だから、そいつらに歯止めをかけるのが憲法なんだよ。日本の憲法は、その「歯止め」を書いてんのは99条なんだ?
永 そう。聖徳太子の憲法も、あれは役人に言ってるんですよ。人びとに言ってるんじゃないんですよ。
愛川・外山アナ ふ〜ん。
永 だからやっぱり、憲法って面白い、勉強すると。
愛川 今日は良い話聞いた。99条。
愛川「「だまされた」って言っていいんだよ。だって、安全じゃなかったんだから」
愛川 もうひとつ、原発はね——
永 原発。
愛川 原発はねぇ、反対運動だって今だってありますよ。その前からもずっとやってるんですけど、ず〜っと続けていらっしゃるかたから思えば、僕なんか最初反対って言いましたよ、だけど、どっかでねぇ、すごく安全なモンだって仕込まれて——
永 はいはいはい。うん。
愛川 福島県のあの辺だって、被害にあってる人たちだって、みんなどっかで、安全で安心だと思ったから反対なんかしなかった。
永 うん。
愛川 で、それなりにスゴい補助金が出て、公会堂が出来たり、道路が出来たり、公園造っちゃたりなんかして、お金出すんですよ、国は。東電と一緒になって。
永 うん。
愛川 で、そういうものをつくっちゃって、恩恵に浴しちゃったんだよね。どっかで自分のつらさがあると思うんだよ。でも、つらいけれども、考えたら、「だまされた」って言っていいんだよ。だって、安全じゃなかったんだから。
永 うん。
愛川 そうでしょ? これはねぇ、どこにあったって安全じゃないし、日本全国ねぇ、57箇所かな——57基だ、炉が建ってるわけだ。で、今17基つくろうかと思ってるわけ……状態なんです。ただ、菅[直人・内閣総理大臣]さんが17基に関しては白紙ってしたから、今止ってるかもしれないけど。
だけど、半分半分ぐらいで、原発は必要だっていうのと、原発は要らないっていうのが、半分半分ぐらいにはなったんだよ。
永 はい。
愛川 オレね、世論調査は大嫌いなんだよ。テレビのワイドショーでいうと[この部分は聴き取れず]。嫌いなんだけど、「心底危ねぇなぁ」って思ったと思うんだよ。「心底危ないな」っていうところから、もう一回考えたほうがいいと思う。
永 うん。
愛川 で、やっぱり危ないんだよ。
永 危ないんですよ。
愛川 そう。例えばね、火力発電所って爆発すっかもしれないけど、それはその界隈で、そこだけで燃えて、放射能は飛ばない。火事はちょっとその近所の工場かなんかに行くかもしれないけど。
永 うん。
愛川 原発っていうヤツは見えない放射能が飛んでって、コイツが半減されたり消えていくまで、色んな種類がいっぱいあって、科学的には変な名前ばっかり素人がいろいろ知っちゃってさぁ、言ってるけども、だけど、何がシーベルトか知らないって。シューベルトでたくさんなんだよ、そんなものは。
永 はははは。
愛川 それで、こう、ずっと、そんなことだけ詳しくなっちゃって。危険なんだよ、見えないから。それが土地とかね、空気中に、沈殿されていって、だんだん消えていくのに時間かかるわけ。
永 うん。
愛川 風で飛んできゃ、どこまでも飛んでくんだよ。ちっちゃくて見えないんだから。これ、色でもついてりゃまだいい。
永 はい。
愛川 ね。だから、中国のほうから来る黄砂についてあんだけ文句言うでしょ、色がついてるから。放射能についてはどっか安心しちゃうんだよね。ところが、それがだね、子どもがいちばん肺ガンとかなっちゃうのにうつりやすいって言われてるんでしょ? そんな危険なものを初めて気がついて、見えない物の恐怖を出すもんなんだよ。
で、安全っていうことは、人間がつくったモンで何もない。
永 うん。
愛川 よくこんなこと言うヤツいるんだよね。「あのね、そりゃ何だって人間がつくったものはねぇ、絶対完全に安全じゃないじゃないか」と。「飛行機なんか落っこったらみんな死んじゃうよ」って、こう言うんだけど、飛行機が落っこちるのは、乗らなきゃいいんだよ。
永 うん。
愛川 でしょ? 原発の飛んでる放射能は逃げようがないじゃないの。
永 うん。
愛川 つまり、そういうものに関して、もう危険だからやめるのか、やぱりアイツはつくると元手が安い——元手なんか安くない。今度のことで本気になって東京電力とね、国が、国民の税金使いながら補償して行ってご覧なさい、こんな高い買い物ないじゃないの? そういうことも全部知った上でね、原発まだやりますか?
永 うぅん。
愛川 いちばん平たく言えば、ちっとも安かないんだよ。今までは、事故がないから安かったんだ。で、安かったから東電は儲かったんだ。儲かったから、東電に対しては銀行でもどこでもカネを貸すんだよ、安全な会社だから。
永 うんうん。
愛川 今度から貸したくないでしょ、こんな危険な会社? つまり、そういうことをね、まぁ、僕の番組では勝手にやってんだけど、少数のかたを相手に——
永 はははは。
愛川 僕はね、少数大好きなんだけど。
永 オレも少数好き。
愛川 そう?
永 うん。
外山アナ ふっふふふ。
愛川 少数、好き?
永 少数、好き。
愛川 人間って、最後は少数になっちゃうんだよね。
永 ははははは。
愛川 最後はホントにひとりになって終るんだよ。だんだん少数になるんだよ。
愛川「「これは間違いだった」って変るのは、それは認めてあげなきゃいけないんじゃないの?」
永 終る話をチョッと憶えててくれる?
愛川 うんうん。
永 仮設住宅つくってるでしょ? 色いろつくってるでしょ? パッと見てねぇ、ヘンだなと思うことがあるんですよ。
愛川 何?
永 棺。棺桶。たくさんの人が亡くなってるでしょ。いくらでもあるんですよ、アレは。そういう大事故のために。
愛川 どっかにしまってあんの?
永 しまってあんの。
愛川 知らない。
永 作って、しまってあるの。
愛川 お寺さんの出身だから詳しいんだよ。
永 いくつあってもまにあうんですよ、アレは。そういうものなの。だから、安全じゃないんですよ。安全じゃないことを想定しながら安全だって言ってんのよ。
で、「安全神話」っていう言葉がまた下らない言葉で——
愛川 うん。
永 神話ってのは、楽しいよ。楽しいけどホントじゃないでしょ?
愛川 うん。ホントじゃないよ。
永 だから、安全神話はホントじゃないんですよ、最初っから。
愛川 神話だからホントじゃないんだよ。
永 神話を信じるんなら別です。そうじゃないんだったらば、なんでアレを安全って言ったのか? それから、さっきのに便乗すると、自民党の人が今さら反核って言うのはおかしいよね、原子力発電所に反対してんのは。あいつらがつくったんだから。
愛川 オレねぇ、その辺はねぇ、ワリかし、永さんねぇ、頭丸くなってきてね——
永 うん。
愛川 かつて賛成でも反対に回っていい。
永 うん。
愛川 特に、政治家とかそういう連中は、権力者は、変っていいと思った。永さんねぇ、だってねぇ、考えたらこの国がねぇ、まぁ、あんなに原爆2個も落とされて終戦を迎えるのに、国民は全部そこに乗せられて、ちょうど安全神話の原発に賛成したようにやってきて、戦争になって、大勢の連中がくたばっちゃったんだよ。
その時に、その前から、その、戦争に使うお金を集めるためにオレのおふくろなんかも——とうの昔に死んじゃったけども——戦中はシコシコシコシコ、何か知らないけど国債みたいなの買わされて、戦時中のそういうの、戦後チャラですよ。
永 うん。
愛川 つまり、そういうことは年じゅう国民の側は犠牲を払っていっているわけだから、例えば、その人たちが戦後ね、権力者だったら引っ込むべきだよ。引っ込まないでウヨウヨいるけどさぁ。
やっぱりホントはね、そうじゃなくて、普通の人間で、例えば,テレビやラジオでしゃべってる人が、「オレはチョッと失敗した」と、「大きな失敗した」と、「オレは間違ってた。オレは原発反対だよ」と。「オレは大きな間違いをしてた。オレ、『憲法ヤッパリ改正すべきだ』と。『あんな外国人がつくったやつは何だ?』って言ってたけど、これは間違いだった」って変るのは、永さんさぁ、それは認めてあげなきゃいけないんじゃないの?
永 「永さん」って僕にあんまり言わないでくれる?
外山アナ あはは。
愛川 何で?
永 たぶんこの放送は今日ひょっとすると終るかもしれない。
愛川 ほお?
永 あなたのせいで。アイツをゲストにしたために。
外山アナ えぇ?
愛川 あぁ、だとしたら、おめでたい日じゃないの?
永・外山アナ はははははは!
愛川 ねぇ?
外山アナ またつづくということで、またぜひ、愛川さん、いらしてください。
愛川 たぶんねぇ、僕は2度と呼ばれないと思うけどねぇ——
外山アナ そんなことないですよ〜!
愛川 この程度のことで呼ばれないとなったら、この国は民主主義の国じゃないよ。
永 そうですね。はい。
愛川 99条、読みますよ。
永 で、オレもあなたに呼ばれればどこへでも行くから。
愛川 うん……たいしたところじゃないよぉ。
永・外山アナ ははははは。
永 おカミさんによろしく。
愛川 ありがとうございました。どうもおじゃましましたね。
外山アナ 今日は愛川欽也さんをお迎えしました。
愛川 オレ、なんておしゃべりなんだろうねぇ。
外山アナ ありがとうございました。
愛川 永さん、お元気で。
永 過激になったねぇ。
愛川 え?
永 過激になった。「パック・イン・ミュージック」のころに比べると。あの頃に比べると。
愛川 永さんが教えてくれたんじゃないの?
永 教えてない、オレ。
外山アナ また、もう。
永 こんな過激な番組にしちゃぁ、来週わかんないよなぁ。
外山アナ 何をおっしゃいますやら、もう。
愛川 来週ちゃんと続くように陰でお祈りしてます。
愛川の発言内容で、「論理的に正しいのかな?」とか「科学的に正しいのかな?」と思う点はいくつかあるけれど、御用学者のような「精神なき専門家」に比べれば、このような信念をもったアマチュアのほうが、人間としてよっぽど共感できる。あと、頑さと寛容さがないまぜになっている感じが、とても人間的だ。
その後のパートでゲスト出演した大橋巨泉は、この話を受けて、愛川を次のように評した。愛川は昔は前述のような発言をする人ではなかったが、
大橋巨泉 歳を取ってきて、[……]ヒット番組があって、そういう風になってから、とっても「憲法を大事にしよう」とか、「原発反対」とかってことを言い出したのね。
で、そういう人は信用していいのよ。
カネが出来ると体制ベッタリになる人より、カネができたり地位が上がったりしてから、なんか、根本的な、何て言うんだろ、庶民って言うの?国民って言うの?が大事にしなきゃいけないってことをハッキリ口にするようになったのはね。
愛川欽也による曲(曲名・発表年不詳)
「狂うという字はアニマルキング」。
「死ね死ねブルース」に負けないスゲェ歌だ!
永六輔が言った99条の内容、即ち近代的な民主憲法の本質あ、意外と人口に膾炙していないと思われる。
日教組の力が強いはずの義務教育の現場でも、「憲法は法律の上にある法律」ぐらいの言い方でしか私は習わなかった。これは、最高法規性の話のうちでも、98条の話。憲法が国の最高法規だという事実だけでなく、なぜそうなのかが重要なのに。さては連中、ホントは理解していないのかも。
また、中曽根康弘や安倍晋三はかつて新憲法案を起草した際、愛国心に関する規定を盛り込もうとした。総理大臣経験者が雁首そろえて、民主憲法が何なのかを全く理解していない証左。恐ろしい国ですワ。
左も右も中途半端。
そういえば、つい先日、自衛隊がジブチ共和国に初の「海外基地」を建設というニュースが報じられたばかり。現行の憲法でも、海賊退治の名目で海外に軍事拠点をつくれてしまう。しかも、日本に有利な「地位協定」をジブチと結んでるんだってサ。いいツラの皮だね。
○自衛隊が初の海外基地を開設へ、アフリカ・ジブチ共和国に 2011/06/04(土) 13:26:36 [サーチナ]
○参議院会議録情報 第171回国会 外交防衛委員会 第19号(国会会議録検索システム)
※「特に、この交換公文の中で、すべての刑事裁判権を日本側にゆだねているという、大変日本に有利な地位協定の内容になっていることに私は一種の感慨を覚えるものです。」森本敏拓殖大学大学院教授・海外事情研究所所長(参考人)
そもそもこの例を待たずとも、自衛に関係ないアフガンやイラクにだって派兵できてしまう現状。
今の9条を護るということは、こういう事実を追認することに他ならない。運動としては理解できるけれど、ゴールに名はあっても実がない。
むしろ、恣意的解釈や特別措置法で捩じ曲げられない、堅固な平和憲法に改憲すべきだ、と私は考えている。
※当ブログ内の関連エントリー:
○書き起こし1:「今晩は 吉永小百合です」(TBSラジオ、2010年8月15日(日)22:30-23:00)
○書き起こし2:「今晩は 吉永小百合です」(TBSラジオ、2010年8月15日(日)22:30-23:00)
○書き起こし3:「今晩は 吉永小百合です」(TBSラジオ、2010年8月15日(日)22:30-23:00)
○書き起こし4:「今晩は 吉永小百合です」(TBSラジオ、2010年8月15日(日)22:30-23:00)
※憲法ブックガイド
『日本国憲法』
わざわざ書籍のかたちで買わなくても、総務省のサイトでも読むことが出来るし、中学の社会の教科書の巻末なんかにも載っているはず。
奥平康弘/宮台真司『憲法対論——転換期を生きぬく力』(平凡社新書、2002年)
世代も立場も異なる学者の対論で、ひとつひとつのトピックスに関しての分量も多すぎず、読みやすい。軽めだけれど面白くて、絶妙のバランス。新書なので薄いし、安いし、1日で読める。
アントニオ・ネグリ『構成的権力——近代のオルタナティブ』(松籟社、1999年)
「「憲法=constiution」ってそういうことか!」と膝を打った本。数年前、マイケル・ハートとの共著『<帝国>——グローバル化の世界秩序とマルチチュードの可能性』が人文書のベストセラーなったネグリだけれど、私は『構成的権力』のほうが本としては面白いと思う。両方読めば、世界の権力編成を、垂直・水平両方の広がりで立体的に理解できる。でも、高いし、たぶん1日では読めません。
まだ読んでないけれど、こんなのも気になる:
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コメント
この放送は私も聞いていました。そういえば、もう3カ月前になるんですね。タイムリーで聞いていた者として、キンキンの暴走ぶりが最高に面白かったと記憶しております。もっともキンキン以上に福島第一1号機や3号機の方が暴走しているのに、表メディアではしきりと安心安全DEATH!と訴えてた頃。で、引き気味のホストに対して「なんだよ永六輔、腰が引けてるなあ」「永さんにはガッカリだよ」という感想でした。
改めてMasaruSさんのテキスト起しを読み返してみると、永六輔のリアクションは面白いですね。てゆうか世論がテンパッている時に、あえてキンキンをフリーランさせて、その暴走を「引き気味」に受ける永六輔、という構図のように読めました。やはり元祖・放送作家はスゴイと(笑)。新しい発見としては憲法話が主だったんですね。当時、原発でテンパッてた私は気づきませんでした。
先に9条を振ったキンキンが99条を「知らない」って言うのも面白かったです。名も財も成した人が、知らないことは知らないと言っちゃう。誰かと違ってキンキンは「我欲」が無くなってるんだなあと。それにつけても憲法は権力をしばるための最高法規。主権国民をしばるために憲法を変えたがる奴、もしくはそんな馬鹿をヨイショする馬鹿は死ねばいいのに・・・と、思うのですが、最近は官僚の方に腹がたつ私でございます。
投稿: やきとり | 2011年7月14日 (木) 23時41分
本当に勉強になりました。
近畿圏の土曜日は、このような
学のある番組が皆無ですので、
ある意味うらやましいです。
投稿: とくなが | 2011年7月18日 (月) 19時13分