ベルトラン・ドラノエ(Bertrand Delanoë)パリ市長も毎年参加して先頭を歩くゲイ・プライド(Gay Pride)は、LGBTの人権パレードであると同時に、全ての差別に対する闘争(la lutte contra toutes les discriminations)でもある。LGBTに関する運動は、当事者たち個別具体的な生の問題であると当時に、ジェンダー以外にも、民族・ネイション・階級など、あらゆる差別に対する闘争の最前線でもあるのだ。
学者が一般向けに書いた本はガッカリなものが多いけれど、この著者でこのタイトルなのでチョッと期待して購入。まぁ、安かったってのもあるんですけどね。原題は Cinque Scritti Morali——イタリア語は解らないけれど、たぶん「モラルに関する5つの論稿」みたいな意味だと思う。こっちのタイトルだったら、たぶん買ってない。
バリーは、リスナーを挑発する発言で人気のユダヤ系のDJ。例えば、電話をかけてきたリスナーからホモ呼ばわりされると、"Your brother [...] is a pimp, and your wife is a fucker, isn't she?"(あんたの弟はポン引きで、カミさんは売女なんだろ?)などと応酬する。
Yes, the world is
a terrible place! [...] Everything's screwed up and you like it that way, don't you? You're
fascinated by the gory details. You're mesmerized by your own fear! [...] You're
happiest when others are in pain. And that's where I come in, isn't
it? I'm here to lead you by the hand through the dark forest of your
own hatred and anger and humiliation. I'm providing a public service! (そうさ、世界ってのは酷い所だ![……]何もかもメチャクチャで、お前らはそいうのが好きなんだろ? 血腥い話のひとつひとつにうっとりし、自分自身の恐怖にクラクラする。[……]他人の不幸は蜜の味。そこでオレのお通りだ。そうだろ? オレはお前らの手を取って、憎しみと怒りと屈辱の鬱蒼とした森の中を案内するのさ。オレの仕事は公共サーヴィスなのさ。)
Marvelous technology is at our disposal. Instead of reaching up for
new heights, we're gonna see how far down we can go, how deep into the
muck we can immerse ourselves! (オレたちは素晴らしい技術を手に入れた。新しい高みを探求する代りに、どれだけ地に堕ちることができるのか、どれだけ深く糞に埋もれることができるのかを、オレたちは身を以って確かめようとしている。)
そして、ついにバリーは本音を語り始める。
I come up here every night and make my
case. I make my point...I say what I believe in. I have to, I have no
choice. You frighten me! I come up here every night and I tear into you,
I abuse you, I insult you...and you just keep calling. Why do you keep
coming back? What's wrong with you? I don't want to hear any more. I've
had enough. Stop talking. Don't call anymore! Go away! (オレは毎晩現れて、自説を唱え、力説する……自分の信念を語るのさ。そうせざるを得ない。それ以外の道はない。オレはお前たちが怖いんだ! オレは毎晩ここへ来て、お前たちをなじり、罵り、侮辱する……なのにお前たちは何度も電話してくる。どうして凝りもせずに戻ってくるんだ? お前らどうかしてるのか? もう何も聴きたくない。もうたくさんだ。話をやめろ。もう電話してくるな! あっちへ行けよ!)
この映画には実在のモデルがいる。コロラド州デンバー(Denver, Colorado)で人気を博したショック・ジョックのアラン・バーグ(Alan Berg 1934-1984)。劇中に登場する The Order というネオナチ集団も1983から84年にかけて実在した。映画のストーリーも、彼らの間に起きた実際の事件にインスパイアーされたものである。
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