文化系トークラジオ Life <クリスマス資本論>(TBSラジオ、2010年11月28日(日)25:30-28:00)
○「文化系トークラジオ Life」<クリスマス資本論>(TBSラジオ、2010年11月28日(日)25:30-28:00)
ほしいものはいつでも
あるんだけどない
ほしいものはいつでも
ないんだけどある
ほんとうにほしいものがあると
それだけでうれしい
それだけはほしいとおもうほしいものが、ほしいわ。
糸井重里、西武百貨店広告(1988年)
今回の「Life」は、いままででいちばん面白かったかも。
○文化系トークラジオ Life: 2010/11/28「クリスマス資本論」 アーカイブ
※上記サイトから本編全てと外伝がポッドキャストで聴けます。
澁谷知美 vs 古市憲寿のバトルも良かったけれど、今回は、柳瀬博一によるバブル消費の解説(ポッドキャストでいうとpart2、Part3あたり)が秀逸だった。そういう意味では、いろんな位相で愉しめた。
柳瀬によれば、それ以前は本当の金持ちだけのものだった商品やサーヴィス(貴金属、シティ・ホテルなど)のほうも大衆化・廉価化することで一般人にとっても消費可能な選択肢になり、いわゆる「バブル消費」が可能になったとのこと。ティファニーのオープン・ハートはそれほど高くないので、みんなが買えたらしい。「あのころは経済成長でみんな調子コイていた」という価値裁断的な話ではなく、社会経済的基盤からの説明が良かった。
東京では、アッシーはお金を持っている自宅生じゃないとできなかったという話も、言われてみれば納得。そもそも、車がないとできない。
※B'z「GIMME YOUR LOVE ~不屈のLOVE DRIVER~」(1990年)
オレが子供のころ、ウチの母親が突然B’zの『RISKY』を買ってきて驚いた。"Risky, where do we go?" 下通りのマツモトレコードで「今いちばん売れてるヤツを」と言って買ったらしい。
うちの母親は、流行りものにはとりあえず乗る人で、
ゆえに、東京への憧憬とコンプレックスに満ちた人だった。
その影響で、オレは標準語を話す教育を施され、
生まれは福岡市であるにもかかわらず、博多弁が全く話せない。
誰の発言だったか忘れたけれど、バブル・マニュアルが実は東京マニュアルだという話にも納得。
そういえば、JR東海の「クリスマスエクスプレス」のCM、九州では流れていなかったはず。コッチはJR九州だし、そもそも当時は九州新幹線もなかったし。関東発のローカルな話題が、あたかも全国区のものであるかのように語られ、地方の人々がそれを受け入れるという文化的編成。
オレのような九州人をはじめ、地方の人の多くはたぶん、「とんねるずのみなさんのおかげです」(フジテレビ、1988年10月13日〜1990年3月、木21:00-21:54)を通じてこのCMに接したはず。
当時、とんねるずは、業界人っぽい言動をよくネタにしていた。彼らは、おもしろがって相対化しつつも、同時に感化もされていたのだと思う。平板アクセントをマス・メディアで初めて使い出したのも、たぶん彼ら。広告代理店カルチャーをお茶の間に持ち込んだという意味では、とんねるずもバブルを象徴する人たちだったと私は思う。
※JR東海「クリスマス・エクスプレス」1988年
厳密には「HOME-TOWN EXPRESS(X'mas編)」
「クリスマス・エクスプレス」と銘打つのは次の年から。
深津絵里のメイクや革ジャンはちょっと不良っぽいイメージなのだそうです。
消費への同調圧力の話もおもしろかった。豊かな経済的基盤から生起した主体性のない欲望が、人びとを押し流したり、さまよわせたりしていたんだなぁ。「ほしいものはいつでも/あるんだけどない/ほしいものはいつでも/ないんだけどある/ほんとうにほしいものがあると/それだけでうれしい/それだけはほしいとおもう/ほしいものが、ほしいわ。」
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コメント
その空気に、「違うなにかがないか?」
それから聞き出したのが、都会の枯れた
匂いがする「ビートたけしのオールナイト
ニッポン」と大阪の業界文化が煮詰まった
「鶴瓶・新野のぬかるみの世界」でした。
思えば、その空気を大阪流に加工して
流してきたのが。
「誠のサイキック青年団」でもあった訳
で、世の流れとラジオの最先端とは常
にリンクしていたんですね。
投稿: Q@N | 2010年12月12日 (日) 07時51分