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書き起こし2:「今晩は 吉永小百合です」(TBSラジオ、2010年8月15日(日)22:30-23:00)ゲスト:爆笑問題・太田光

○書き起こし2:「今晩は 吉永小百合です」(TBSラジオ、2010年8月15日(日)22:30-23:00)ゲスト:爆笑問題・太田光

今晩は 吉永小百合です(TBSラジオ、2010年8月15日(日)22:30-23:00)(当ブログ内)

書き起こし1:「今晩は 吉永小百合です」(TBSラジオ、2010年8月15日(日)22:30-23:00)(当ブログ内)

前回のつづき。太田光がゲストの回(2010年8月15日放送分)の書き起こしパート2。パート1同様、読み易さを期して、相槌のタイミングなどを一部ズラしている場合がある:

* * *

吉永小百合 あの、「お笑いの判断基準で言うと、憲法九条をもっている日本のほうが絶対面白い」という言い方もしてらっしゃいますよね。
太田 光
 ん〜、そうですね。
吉永
 「本当にこんな憲法護れるのか?」って思うけれども、それができたらホントに素敵だし——
太田
 はい。
吉永
 あの、ちょっと超えますよね。
太田 そうですねぇ。常識とか、そのぅ、何て言うのかなぁ、みんなが「ここまでだろう」って思ってるところを数段超えてるものだから、「それはあまりにも理想論だよ」っていう意見もいっぱい出るのは当たり前なんだけど、それを掲げてるっていう国は面白いなって思うし、グチャグチャにああでもないこうでもないって、それでも今までやってきた——
吉永 えぇ。
太田 この国は、僕は、むしろ何か、ナショナリズムっていう、いわゆる一般的に言われている、武士道精神だとか、そのぅ、「日本という国に誇りをもっと持たなきゃ」っていう人とはまた別の、日本国憲法をとりあえずここまで繋いできたっていう何だかよく解んない国に対する誇りみたいなものが僕のなかにはあるんですよねぇ。
吉永 えぇ、えぇ、えぇ。はい。はい。私もそうなんですよね。それで、みんなで、あのぅ、世界中でこの憲法に注目して、「あぁ、そうなんだ」って思えば、何か、人間自体がね、もうちょっとグレード・アップされるっていうか——
太田 そうですねえ。
吉永
 そんな気がしますよねぇ。
太田 だから、吉永さんなんかは、ず〜っとそういう意味では、あのぅ、反戦というかたちでメッセージを発信し続けていて、で、例えば、9条の会の人たちやなんかも、すごくそれをず〜っと言い続けていて、やっぱりそのことって他にないと思うんですよ。
その、いわゆる、芸能人だったり文学者だったり、いろんな著名人が、やっぱりここに、ここにすごくこだわって、それを何とか伝えようとしている日本の表現の世界の素晴らしさというか、それって無垢で、僕はアメリカのショー・ビズの世界よりも、こういう日本の芸能の大衆に向ける表現っていうのは、もっともっと、何て言うのかなぁ、誇れるというか、自分たちの先輩たちがそうやってきたものを、これから10年後・50年後・100年後になったときに、「あそこの芸能界の、あの爆笑問題ってヤツがあそこで止めちゃった」って思われたら、それはスゴくヤだなという——
吉永 うぅん。
太田 気持ちもあったりして。えぇ。ただ、それがもってるその——何て言うのかなぁ——愚直さというか——
吉永 はい。
太田 やっぱり、平和っていう言葉は、あの、若者から見れば「何生ぬるいことやってんだ?」って——
吉永 はい(笑)。
太田 ねえ、どうしてもそこがつきまとうんだけど、そこをカッコいいことに変えるのが、やっぱり芸だという気がするんですよね。
吉永 うん。だから「世界遺産に」というのは名言だと思うんですよね。
太田 あぁ、ありがとうございます。
吉永 ただ、その一方で、私なんかも、その、「憲法9条大事だ」っていうことを話すと、あの、周りから「じゃぁ、ミサイル打ち込まれたらどうするんだ?」っていうふうに聞かれて、そのときに、何か、なかなか巧い答えがね——
太田 はい。
吉永
 あのぅ、見つからなかったんですけど、この番組で、2年ぐらい前だったと思うんですけど、姜尚中さんが出て下さって、そのときに、「あの、世界一の軍事力をもっているアメリカでもあれだけ攻撃されて、911があったじゃないか——
太田 はい。はい。
吉永 「だから、決して、その、軍事力っていうのは国を護ることにならないんだ」っていう話を伺って——
太田 はい。
吉永 それで何か「あぁ、ホントにそうなんだ」というふうに思えたんですよね。
太田 そうですねぇ。だから、いちばん安全んなはずのニュー・ヨークのど真ん中に、あれができちゃうっていうことは、「何だったんだアメリカの軍隊って?」っていうこともあるし——
吉永 はい。
太田 同時に,まぁ,ある種危険と言われればそうかもしれないけど、僕は自爆テロや、そういう表現をする人たちの気持ちが、やっぱり、自分が何かを世間に向かって「オレはこうなんだ」っていうことを表現する仕事にいる以上、あっちにも共感できちゃったりするんですよね。
吉永 はい。
太田 で、その、それは、イスラムの人たちが、圧倒的に無視されてる。そうすると、僕らは何とか手を替え品を替え「こっち向いてくれ」って、面白い漫才つくったり、ぜんぜんレベルは違うんですけど、大衆をこっちに向けて「オレが言いたいのはこういうことだよ」「オレがここにいるのを認識してくれ」っていうのをやるわけだけど、それが何度も何度も彼らは繰り返してるけど、世間はそこに反応しない、世界は。
吉永
 はい。はい。
太田 で、反応しないっていうのは、「伝わってないのかな?」って思うと、そんなはずはないと思うんですよね。
吉永
 はい。
太田 つまり、見て見ぬふりをしている。「ちょっとメンドくさいから避けてこう」ってときに、どうやってこっち向かすんだってなったときに、「もう爆発するしかないじゃないか?」っていうところに、なんか、むしろだから政治的な問題っていうよりも、表現者としての問題として、あれが共感できちゃったりする部分があるので——
吉永 そうですねぇ。うぅん。
太田 だから人ごとじゃないし、でも、決してあの表現が、じゃぁ、人に何かを訴えられるかっていうと、「そんなことないよ」っていうのは、人の前に……の舞台に立って「こうじゃないか? ああじゃないか?」ってやってる人じゃないと解らないですよね? あんな単純な、ただ自分が爆発するみたいなことで人の心を打つわけないじゃないかっていうのは、それを上回る表現をして彼らに見せないと対抗できないと思うんですよね。
吉永 はい。うぅん。
太田 だから、それが全部つながってるような気がしてるんですよねぇ。
吉永 そうですねぇ。

えぇ、それではここで、太田さんのリクエストを1曲頂きたいんですけれども。何にしましょうか?
太田
 えぇ、ミリ・ヴァーノンという、アメリカのジャズの歌手なんですけども、僕が大好きな向田邦子さんのエッセイのなかに出てきて——
吉永 はい。
太田 あのぅ、水ようかんを食べるときに必ずBGMでこれを流すという。
吉永 そうなんですか?
太田 水ようかんによく似合うっていう、なんかそれが向田さんらしい表現で僕は好きで——
吉永 はい。
太田 それを是非。
吉永 はい。


Milli Vernon, "Spring Is Here" (1956)
  

吉永 素敵な曲ですねぇ。
太田 はい。
吉永 水ようかんによく似合う(笑)。
太田 水ようかんによく似合うっていう、今日も吉永さんに頂いた和菓子が、この——
吉永 はい。
太田 テーブルの上に。
吉永 ありますけど。えぇ、じゃあ後半またいろいろなお話をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
太田 お願いします。(つづく)

* * *

水ようかんだけでなく、誉の陣太鼓も合うと思います。

※印象に残った言葉

[憲法を護るということが]常識とか[……]みんなが「ここまでだろう」って思ってるところを数段超えてるものだから、「それはあまりにも理想論だよ」っていう意見もいっぱい出るのは当たり前なんだけど、それを掲げてるっていう国は面白いなって思うし[……]。

「日本という国に誇りをもっと持たなきゃ」っていう人とはまた別の、日本国憲法をとりあえずここまで繋いできたっていう何だかよく解んない国に対する誇りみたいなものが僕のなかにはあるんですよねぇ。

自分たちの先輩たちがそうやってきたものを、これから10年後・50年後・100年後になったときに、「あそこの芸能界の、あの爆笑問題ってヤツがあそこで止めちゃった」って思われたら、それはスゴくヤだなという気持ちもあって。

やっぱり、平和っていう言葉は、あの、若者から見れば「何生ぬるいことやってんだ?」って、ねえ、どうしてもそこがつきまとうんだけど、そこをカッコいいことに変えるのが、やっぱり芸だという気がするんですよね。

ある種危険と言われればそうかもしれないけど、僕は自爆テロや、そういう表現をする人たちの気持ちが、やっぱり、自分が何かを世間に向かって「オレはこうなんだ」っていうことを表現する仕事にいる以上、あっちにも共感できちゃったりするんですよね。

あんな単純な、ただ自分が爆発するみたいなことで人の心を打つわけないじゃないかっていうのは、それを上回る表現をして彼らに見せないと対抗できないと思うんですよね。

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コメント

お手数をお掛けしました。えーとMasaruSさんと、BUZZさんに、まず感謝いたします。さっそく読み返してみて、小泉さんの発言について勘違いしていたことに気付きました。太田氏が言及していたのは香田君殺害事件ではなく、高遠さんら3人が拉致された事件についてでしたね。


(あえてこういう表現をしますが)たかが人気商売の芸人ですら、小泉=ブッシュ翼賛体制だった時代の自らの言動を総括しているのに、当の小泉さんはもちろん自民党の政治家は誰ひとりとして小泉政権の負の遺産について何も語らず反省もしない。そのくせ民主党の批判だけは大声でする。まあ民主党も民主党だから、どっちもどっちとも言えますが。


蛇足ながら、ミリ・ヴァーノンのLPについて語っている向田邦子の「水羊羹」というエッセイを、太田氏が以前からあちこちで言及してきたせいで、数年前に初CD化されたんですよ。まあそれだけ影響力があるのは確かにスゴイですが、ジャズファンとしては少しベタかなあと思いました。(失礼!)

投稿: やきとり | 2010年8月31日 (火) 01時00分

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