ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル(TBSラジオ、2010年6月26日(土)21:00-24:30)
○「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」(TBSラジオ、2010年6月26日(土)21:00-24:30)
この日の「シネマハスラー」は井筒和幸[監督]『ヒーローショー』(2010年)と北野武[監督]『アウトレイジ』(2010年)。待ってました。
○TBS RADIO ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル: シネマハスラー
※上掲サイトから「6月26日ヒーローショー&アウトレイジ」をお聴きください。
『ヒーローショー』
ついに上映館が全国で7館になってしまった井筒和幸[監督]『ヒーローショー』(2010年)。まぁ、7月から2番館での上映が始まるようだけれど、館数は少ない。
私はこの映画を推していたので、酷評されないかドキドキしつつ聴いた。
宇多丸の感想は、賛否が分かれるだろうし、作品としてのバランスも悪く、傑作というのとは違うけれど、オレはかなり好き、という感じだった。
たぶん、この映画が好きな人の感想はだいたいこういう感じになると思う。とてもよく解る。
他には、偏狭なアメリカン・ニュー・シネマ原理主義者である事がプラスにはたらいている、傑作と駄作の落差が大きいが傑作打率が意外と高い、井筒監督本人の発言やキャラクターが作品の内容を矮小化しているおそれがある、あさみ=まじめ疲れエロ女、などの指摘が面白かった。
リスナーから、この作品は人が死ぬ瞬間をちゃんと映していないのが問題だという趣旨のレヴューが寄せられていた。
「切り株映画」を取り上げた時に高橋ヨシキが「カネ払ってんだから、想像させるのではなくてちゃんと見せろ」という趣旨の主張をしていたことがあるけれど、そのへんの影響なのだろうか。
「死ぬところを見せろ」という批判は、サニタイズされた中途半端な暴力描写を批判する際の一般論としては良いけれど、個々の作品については、その作品に即して論じなければ意味がない。確かに、絶命の瞬間はぼかされてはいたけれど、虫の息の人に大して執拗に暴力を振るい続ける描写には、よっぽど残忍なリアリティーがあったと思うけれど。それに、そんなに死体が見たいのかね? それは目的ではなく手段だと思うけれど。
「暴力っていうものの何がイヤだったか、何が怖いかっていうことを改めて思い知らされた」——宇多丸のラジオを聴いていると、ラッパーにもこんなに文化系な人がいるんだなぁといつも思わされる。
Manodona「真っ赤なマイクが召集礼状」
劇中で使われていた右翼ラップ。
この映画のために依頼されてつくられた内容で、
アーティスト自身の思想信条の発露ではないらしい。
『アウトレイジ』
私は『アウトレイジ』にあまりピンとこなかったのだけれど、宇多丸によると、『アウトレイジ』はジャンル映画で、「われわれ普通の人ですね、つまり notヤクザな人たちにとっては、かなり安全圏感が強い。つまり「一般人は大丈夫だな」感があるわけですよ。そこらへんはやっぱ、あの、ね、過去の、その、武映画に漂っていた、すべて、空気のすべてが暴力的っていうのとはちょっと違う気もしますけど」という解説を聞いて腑に落ちた。
私はこの映画は期待はずれだったけれど、宇多丸曰く、この映画は「いいね、俗悪!」という感じでみんなでワイワイ愉しむタイプのジャンル映画で、その点では合格とのこと。
ただ、「たけしさんの役、大友というこの役がたけしさんじゃなかったら、ハッキリ、なんにも中心がない話になって、非常に見づらい映画になっていたと思いますが」とも評していた。また、バジェットの面でも、現状では武なしでは許されなかったジャンル映画とも。
気になる着眼点としては、例の歯医者のシーンで宇多丸は「見慣れてるつもりだったのに、ホントに目を背けてしまいました」とのことだったけれど、あのシーンは私も正視できず、時どき目を反らしてしまった。
面白かったとした上で、宇多丸は、銃器による殺人のシーンが、他の暴力描写に対して「わりと普通」だったと言及。
また、「サブ・マシンガンがMP5だったりとか、まあその、ヤクザたちが持ってる銃とかが——これねぇ、この映画に限らずなんですけど——なんかあの、しょうがないんだろうけど、なんかトイ・ガンのラインナップなんですよね。」「「ヤクザ、こんなん持ってっかなぁ?」というのが多かったりして」と、私と全く同じ所が気になっていたのがうれしかったなぁ。
私は三浦友和のマグナムのショボさに失笑。
○井筒和幸[監督]『ヒーローショー』(2010年)がスゴい!(当ブログ内)
○来週の「シネマハスラー」は『アウトレイジ』と『ヒーローショー』らしい(「ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル」TBSラジオ、土21:00-24:30)(当ブログ内)
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