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馬場康夫[監督]『波の数だけ抱きしめて』(1991年)、DVD&Blu-rayで発売中。

○馬場康夫[監督]『波の数だけ抱きしめて』(1991年)、DVD&Blu-rayで発売中。


馬場康夫[監督]『波の数だけ抱きしめて』(1991年)
 

以前にこのブログでもご紹介した、馬場康夫[監督]『波の数だけ抱きしめて』(1991年)が、ついにDVD&Blu-rayで6月25日に発売&レンタル開始。

『波の数だけ抱きしめて』は、4人の大学生が湘南で運営するミニFM局「Kiwi FM」を舞台にした、織田裕二、中山美穂主演の青春映画。

VHFでは発売されたが、なかなかDVDにならなかった。「使用されている音楽の権利関係が複雑」「主演男優が渋っている」などの理由が噂されていたものの、このたび初のデジタル・ソフト化。

同時に発売されたサントラ盤『波の数だけ抱きしめて Kiwi FM ORIGINAL SOUNDTRACK(コンプリート版)』には、1991年版未収録曲のほか、映画の中で使われていたKiwi FM のジングルも収録されている。


 

あらすじ

茅ヶ崎のミニFM局 Kiwi FM を舞台にした青春映画。

田中真理子(中山美穂)・小杉(織田裕二)・裕子(松下由樹)・芹沢(阪田マサノブ)の4人の大学生が運営する Kiwi FM は、国道134号沿いに100台の中継機を設置することで、放送出力を上げることなく湘南全域を放送エリアにすることを目指していた。

渡米が決まっている真理子と小杉はたがいにひかれあっているが、気持ちを言い出せずにいる。

たまたま知り合った博報堂の若手広告マンもこれに加わり、Kiwi FM はたばこ専売公社のキャンペーン企画と連動した大プロジェクトになってゆく。

批評・感想など

「どうせ、バブルだろ? 女子大生ブームだろ? ホイチョイ・プロダクションズだろ?」などとタカをくくっていたけれど、概して意外と愉しめて、飽きずに観ることができた。

公開年は1991年だが、ストーリーの大半は1982年が舞台。作品冒頭の現在のシーンがモノクロで、メイン・ストーリーの1982年の部分がカラーになっている。

レコードやテープの頭出しをする中山美穂は意外と格好よく見えたし、放送を通じて、駐車違反取締のパトカーを見つけてサーファーに教えたり、ドライヴァーに抜け道を教えたりする感じは、愉しげに見えた。英語の発音は……。

でも、後半の色恋の話の所は間延びして見えた。

バブル時代の青春とポストバブルの青春はかくも異なるものなのかと愕然とした。表象芸術におけるバブル的青春は、消費社会的でメインストリーム志向であるのに対して、ポストバブル的青春は、メインストリームに対する他者としての自分と消費社会とのあいだの葛藤として描写されることが多いような気がする。

愉しめたが、作家性は感じられない映画だった。青春映画にも関わらず、恋愛以外の葛藤が基本的に存在しない。ある意味では当時の雰囲気がよく転写されている映画だとは思う。1982年を懐かしむ主人公たちは確かに大人になっているが、映画の中で実存に関わる危機に瀕したり、人間的な成長を経験するわけではない。

80年代のコカコーラのCMや、作中にも登場するタバコのCMのように、夢のようなだが生活感のない世界の物語。無線マニアの芹沢ですら、80年代コカコーラCMの「あいつ」みたいにオシャレだ。

英語直訳調の台詞がたまに出て来たり、Kiwi FM の開局が7月4日だったり、飲んでいるビールがハワイのビールだったりする。かと言って過度にバタ臭くもない。ライムスター宇多丸風に言えば、「ガイジン憧れ期」を経て「日本人調子コキ期」に入りかけたあたりの雰囲気。

TBS RADIO サタデーナイトラボ「コカコーラCM特集!」【前編】 (ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル)
TBS RADIO サタデーナイトラボ「コカコーラCM特集!」【中編】 (ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル)
TBS RADIO サタデーナイトラボ「コカコーラCM特集!」【後編】 (ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル)


コカコーラCM
 

たばこCM
 

主人公・小杉の「結局オレたちを商売にするだけじゃないか」「あんたの点数稼ぎに使われるのはごめんだよ」という台詞を聴いて、「この映画のことかよ」と思った。

でも、観ることができてよかったとは思った。辛口のことを書いてきたけれど、言うほど悪くはない。

この映画に触発されたキャスターの木村太郎が湘南ビーチFMを開局したとのこと。この映画がなければサイマルラジオもなかっただろう。この映画に憧れてミニFMを始めた人も少なくないはず。そう考えると、ラジオ界に対する功多き作品と言えるかもしれない。

Shonan BeachFM 78.9

サイマルラジオ

日野エフエム 76.8MHz

蛇足の豆知識:

(1)織田裕二が今とあまり変っていないのに驚いた——見た目も演技も。

(2)映画の中で技術担当の芹沢良明を演じる阪田マサノブが、自身のブログで撮影秘話を語っている。おもしろい:

最後の会話 〜1991 夏 〜 - 阪田マサノブ〜向かってあしたの方に走れ〜

(2)中継機やその部品等は、秋葉原のパーツ・ショップやツクモ電機で買っていた。

(4)序盤に劇中でカー・ラジオから流れる TOKYO FM(当時はFM東京か?)の「City Stream」という架空の番組で、一瞬だけ城達也の声も聴くことができる。

(5)スタジオで使われているオープン・リールのデッキは TEAC の TASCAM 33-2。10号リールの「ツートラサンパチ」。「ツートラサンパチ」とは2トラックでテープの回転速度が38cm/sのもののことを言うらしい。リール が物理的に回転しているのは、見た目にカッコいい。

(6)ミキサーは TASCAM M-106 で1と2、3と4チャンネルが、ステレオ対応のためにひとまとめにしてある。

※劇中の小道具については下記のブログに詳しい:

波の数だけ抱きしめて(ファンによるブログ)


YouTube - 波の数だけ抱きしめて①
So Free, Some Time.
このCMソング、ロバータ・フラック(Roberta Flack)の
"Feel Like Makin' Love" (1974)
どことなく似ているような気がする。

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