ニュース探求ラジオ Dig(TBSラジオ、2010年5月20日(木)22:00-24:50)
○「ニュース探求ラジオ Dig」(TBSラジオ、2010年5月20日(木)22:00-24:50)
アップし忘れていたエントリーをアップ。
2010年5月20日(木)の「ニュース探求ラジオ Dig」(TBSラジオ)のテーマは、「セクシュアルマイノリティとは何かを知ろう。」だった。
この日の放送全編を通して語られていた(と私が思う)内容を、端的に表現している動画を発見したのでご紹介:
「徹子の部屋」(テレビ朝日、2010年4月23日(金)13:20-13:55)
上掲動画全編興味深いのだけれど、特に、後半のマツコ・デラックスの発言が秀逸。メジャー・シーンで発言する「オネェ系」の中では最もラディカルでプログレッシヴな認識かもしれない。こういう価値観が遍く共有されることを望む。
また、黒柳徹子の「言ってみれば、私だって女装してるっちゃ女装してる」という発言も、他意なく言ったのだろうけれど、ジェンダー論的には、かなり味わい深い。
ちなみに、マツコ・デラックスのような発言の先駆者は、キャロル・スミス-ローゼンバーグ(Carroll Smith-Rosenberg)ではないかと思う。1975年の論文。早いね。早い。
○Carroll Smith-Rosenberg, "The Female World of Love and Ritual: Relations between Women in Nineteenth-Century America", Signs, Vol.1, No.1. (Autumn, 1975), pp.1-29(PDFファイル、英語)
※19世紀アメリカの女性同士のあいだで交わされた手紙を多数引用しつつ分析した論文。ジェンダー研究に興味のある人にも、百合モノずきの腐女子の人も愉しめるよ。
この論文の日本語訳が存在することをつい先日知った。カール N. デグラーほか『アメリカのおんなたち』(教育社、1986年)という本に収録されている。しかし、邦題が「同性愛が認められていた十九世紀アメリカの女たち」となっていて、論文の射程を著しく狭めていて残念("ritual" はどこへ行ったよ?)。
この論文の最終段落は、ほんとうにシビレた:
[...] Based on my research into this nineteenth-century world of female intimacy, I would further suggest that rather than seeing a gulf between the normal and the abnormal we view sexual and emotional impulses as part of a continuum or spectrum of affect gradations strongly effected by cultural norms and arrangements, a continuum influenced in part by observed and thus learned behavior. At one end of the continuum lies committed heterosexuality, at the other uncompromising homosexuality; between, a wide latitude of emotions and sexual feelings. Certain cultures and environments permit individuals a great deal of freedom in moving across this spectrum. I would like to suggest that the nineteenth century was such a cultural environment. That is, the supposedly repressive and destructive Victorian sexual ethos, may have been more flexible and responsive to the needs of particular individuals than those of mid-twentieth century.
[※強調は引用者=MasaruSによる]
ところで、この日の「Dig」で、セクシャル・マイノリティー への理解を示すことを自分のリベラルさを喧伝する道具に使っている人もいるのではないかという趣旨のメッセージが紹介されていた。
コレを聴いて私は、ずいぶん余裕のある人の考え方だなぁと思った。
2001年以降、個人の自由や公正な社会の価値は、国際的にも国内的にも著しく目減りした。具体的には、911と第1次小泉純一郎内閣成立以降ということ。「兎角にこの世は住みにくい」——21世紀的な意味で。
そういう世界で生きるからには、組める人となら誰とでも組む。使える知的構えであれば何でも借りる。個人の自由を愛する人であれば、何ぴとであろうとも共闘可能な味方だ。
そのような関心でジェンダー論に触れることが道具的ジェンダー論だといわれれば、それまでだけれどね。
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