経営苦しく正念場のコミュニティFM、災害放送で差別化や新たな収益源模索も/神奈川(神奈川新聞、2010年5月11日)
○経営苦しく正念場のコミュニティFM、災害放送で差別化や新たな収益源模索も/神奈川(神奈川新聞、2010年5月11日)
6月6日はコミュニティ放送の日。そんな日にこんな話題もなんですが:
経営苦しく正念場のコミュニティFM、災害放送で差別化や新たな収益源模索も/神奈川(神奈川新聞、2010年5月11日)
3月に開局した「むらラジやまラジ836」のスタッフ=清川村 県内のコミュニティFM放送局が正念場を迎えている。災害放送などで期待される半面、景気の悪化による広告収入の減少などで経営環境が厳しいためだ。新たな収益源を模索する動きも出てきた。
清川村に3月、「むらラジやまラジ836」が開局した。県内では12局目。「災害情報の発信や地域住民の情報の共有と交流」(朝倉徳男社長)を目指す。
放送区域内の世帯数は県内最少だ。第三セクター方式の局が多い中、自治体の出資を受けていない。加えて景気低迷の逆風下での開局。志村寧子放送局長は 「放送はボランティア2人が担うことで人件費を抑えている。広告収入で年間約400万円の運営費は確保したい」と意気込む。
県内ではほぼ全局が放送対象地域の自治体と防災協定を結ぶ。緊急時の割り込み放送などが柱だ。
FMおだわらは「災害時の放送に最も重きを置いている」。リスナー獲得競争は厳しいが「災害時に地域情報をリアルタイムに流せるのはうちだけ」と差別化を図る。住民からの期待も高いという。警報が出ると24時間態勢で対応し、公共交通などとの連絡網も構築。小田原市内在住の気象予報士とも独自に契約して いる。
どの局も経営基盤の強化が課題だ。自治体から請け負う広報番組への依存度が高いところが多い。スポンサー企業からの広告収入は「昨年度は落ち込みはなかったが、本年度に入り余波が来ている」(湘南ビーチFM)など、不況の影響が出始めている。
さらに1990年代に開局した放送局は設備更新も迫る。「売り上げの90%以上は年間運営費に充てられる。もともと利益が少ないため機材の更新がネック」(FM湘南ナパサ)という悩みもある。
県外では3月、広告収入の減少などを理由にエフエム多摩(東京都多摩市)が閉局。4月には神戸市の県域局が破綻(はたん)するなど、取り巻く環境は厳しさを増している。
新たな手法で収益を確保する取り組みもある。エフエム戸塚は「放送だけで生き残るのは難しい」(福原稔取締役)との判断から、イベントの企画・開催と番組をセットで販売している。当日は生中継も行う。「イベントなら『集客が100人』という形で宣伝効果を示せる」(営業担当者)との狙いもあるという。昨秋には二つ目のスタジオを開設。今期は黒字転換を見込んでいる。
◆コミュニティFM放送局 市区町村など狭いエリアを対象に、超短波放送用の周波数を使用する放送局。総務省の無線局免許が必要。地域情報の発信などに 特化し、災害放送の担い手としても期待されている。2004年の新潟県中越地震では地元局が被災者向けの情報発信に徹し、ライフラインや安否情報をきめ細 かく伝えた。
オールナイトニッポンのスポンサーがあれだけ減っているのだから、コミュニティーFMはもっと大変だろう。
「売り上げの90%以上は年間運営費に充てられる。もともと利益が少ないため機材の更新がネック」という話は、記事にもあるように、2010年3月31日に閉局したエフエム多摩を思い出させる。
「イベントの企画・開催と番組をセットで販売」というのがいちばん現実的な方法だと思う。イベントによって、ラジオ局の存在を周知させることもできる。地元の人は、地元にラジオ局があることを意外と知らない。
ラジオ・ファンとしては、放送しているところを見たいというのもある。有名人が出ているわけでもないラジオをわざわざ遠くから聴きにくるラジオ・マニアをあなどってはいけない。「排除の対象」とか言ってんじゃねぇぞ、バカ! 辞めちまえ! 人が動けばお金も落ちる。
コミュニティーFMの話になると、災害放送への期待が話題に上るけれど、災害が起きても、知らないラジオ局にチューニングする人はいない。いかに平時に住民に浸透しているかが重要。
私見だが、コミュニティーFM局がエリア内の学校を回って、小学校の総合学習などで「ラジオ番組のつくり方」的な特別授業を行い、その様子を番組にして放送すればいいのにと思う。メディア・リテラシーの授業になるだけでなく、とりあえず生徒と保護者は自分の学校に来た回は聴くはずだし、ラジオ局の存在と周波数ぐらいは憶えるかもしれない。
以前『ラジオライフ』2007年11月号(三才ブックス)のインタヴューでNHKの高山哲哉アナウンサーが小学校でFMトランスミッターなどを使ったラジオの出前授業を行ったら、子供たちが面白がって食いついてきたと語っていた。そのうちの何人かはラジオの面白さに目覚めてラジオ・リスナーになるかもしれない。三つ子の魂百まで。
ところで、記事によると、宮ヶ瀬ダムのほとりにできた出力2WのコミュニティーFM局・宮ヶ瀬レイクサイドエフエム(神奈川県愛甲郡清川村宮ヶ瀬、83.6MHz)の愛称は「むらラジやまラジ836」になったようだ。「みやがせレイクサイドエフエム」のほうが言いやすいと思うけれど。まぁ、地元の人が勝手に縮めて呼び始めるだろうけど。
「放送区域内の世帯数は県内最少」にもかかわらず、「第三セクター方式の局が多い中、自治体の出資を受けていない」というのもスゴい。頑張ってほしいなぁ。
記事の写真の放送ブースの設備のシンプルさが良いと思う。多くのコミュニティFMの放送設備は過剰だと思う。
サイト内の「受信報告書の受付について (BCLのみなさまへ)」の説明がとても丁寧。
宮ヶ瀬ダムを訪れるダム・マニアの皆さんは、ぜひラジオを持って行って欲しい。
ちなみに神奈川県のコミュニティーFM局の数は、北海道に次ぐ第2位。馬場康夫[監督]『波の数だけ抱きしめて』(1991年)の影響もあるのかなぁ。
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