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東島 大『なぜ水俣病は解決できないのか』(弦書房、2010年)

○東島 大『なぜ水俣病は解決できないのか』(弦書房、2010年)

 

ウェブラジオFMCでおなじみのH3(えっちさん)の本が出た。FMCリスナーも、そうでない人も、ぜひ読みましょう。

私は池袋のジュンク堂で購入。棚に面出しで置いてあった。

水俣病患者のイメージや認定基準の問題などが解りやすく解説され批判されている。劇症型でない重篤以下の患者の話、汚染魚類の経口摂取による患者と胎児性の患者との違いの話など、なるほどと思う気づきが多い。よく考えてみれば患者の症状に程度の違いがあることは当然のことだが、巷間流布している一面化されたイメージによって、いかに私たちの認識が規定されているかを再認識した。

この本の特徴的な点は、ほとんどの節のタイトルの末尾に、具体的な患者や関係者の名前が付されていること。水俣病が、抽象的な観念でも過去に帰属する「教訓」でもなく、生きている人/死んで行った人の具体的な経験として記述されている。

実態を知り、一面化されたイメージから多くの市民が脱却することができれば、患者の立場に立った認定基準設定への気運を高めることができるのかもしれない。

「QIC」第667回(ウェブラジオFMC、2009年7月19日放送分)で、H3が水俣病被害者救済法を斬っていたが、これを機に保存している音源を聴き直した。チッソ分社化批判・背後にある電力利権の話など、とても聴き応えがある内容だった。出版を記念して、もう一度聴けるようにならないかなぁ、などと呟いてみる。

QIC 第667回(ウェブラジオFMC、2009年7月19日放送分)(当ブログ内)

※最近の動き:

水俣病訴訟:熊本地裁が和解勧告 不知火患者会と被告に(毎日新聞、2010年1月22日)

 水俣病不知火(しらぬい)患者会(熊本県水俣市、2600人)が国と熊本県、原因企業チッソ(東京都)を相手取り、1人850万円の損害賠償を求 めた訴訟で、熊本地裁は22日午前、原告と被告双方に和解を勧告した。午後に和解協議が始まる見通し。未認定患者の訴訟派のうち、9割以上を占める不知火患者会との合意が成立すれば、国が進める水俣病救済策は、実現に向けて加速することになる。

 不知火患者会は、未認定患者の主要5団体のうち、裁判での解決を求める「訴訟派」の最大組織。05年10月の第1陣50人を皮切りに、18陣まで 計2018人が提訴している。昨年7月に成立した水俣病救済特別措置法(特措法)に反対し、国などと対決姿勢を取ってきた。しかし昨年10月、田島一成副環境相が示した和解方針を受け、環境省と2回の事前協議をしてきた。

 熊本のほか、東京や関西でも相次いだ水俣病関連訴訟で、国が和解協議に応じるのは初めて。

 和解勧告後に地裁前で開いた集会で、患者会の大石利生会長は「すべての水俣病被害者救済への新たな闘いが始まった。心を一つにして共に頑張りましょう」と述べた。

 特措法に基づく救済措置について、水俣病出水の会(鹿児島県出水市、3700人)など3団体は既に受け入れ方針を表明している。

 一方、残る訴訟派団体の水俣病被害者互助会(水俣市、170人)は被害の全容解明など、より抜本的な解決を求めて裁判を続ける意向を表明している。【西貴晴】

 【ことば】▽水俣病未認定患者▽ 公害健康被害補償法(公健法)に基づく水俣病認定を受けると、1人1600万~1800万円の一時金や医療費な どが支給される。認定患者は熊本、鹿児島で2271人(うち生存者579人)。一方、95年政治決着では、認定に至らない被害者約1万人に一時金(1人 260万円)などを支払い、解決が図られた。

 現在の未認定患者問題の対象者(チッソ分)は、認定申請中の7293人と、医療費が無料となる「新保健手帳」所持者2万5475人の計3万 2768人。このうち新保健手帳は、95年政治決着時の救済策を水俣病関西訴訟最高裁判決後の05年10月に復活させたものだが、一時金を伴っていないため、政府は新たな救済策の対象者に含めている。このほか、いまだ救済に手を挙げていない潜在患者もいるとみられるが、人数は不明。

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