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週刊タケダ記者(仮)vol.37 (2009年10月11日(日)-2009年11月28日(土)分)

○週刊タケダ記者(仮)vol.37 (2009年10月11日(日)-2009年11月28日(土)分)

2009年11月13日、武田記者の初の単著、武田一顯『ドキュメント政権交代——自民党崩壊への400日』(河出書房新社、2009年)刊行!


国会担当、中国通として活躍する「タケダ記者」ことTBSラジオの武田一顕記者は、いまや同局の名物記者。国会で動きがあると颯爽と登場し、独特のアイロニーで辛口に調味された情報提供・分析で番組を盛り上げている。

小林信彦の『週刊文春』連載コラム「本音を申せば」でも好評価を受けている武田記者の、「BATTLE TALK RADIO アクセス」(TBSラジオ、月〜金22:00-23:50)における発言のなかで「これは!」と思ったものをご紹介。表現の面白さを重視した「タケダ節」収集といった趣を目指す予定。

* * *

武田一顯『ドキュメント政権交代——自民党崩壊への400日』(河出書房新社、2009年)が刊行されました!

構成としては、各章に2008年9月から2009年9月までの各月を割当て、福田康夫・総理大臣辞任から鳩山由紀夫政権成立までを、最後に、小沢一郎・民主党幹事長の独占インタヴューが掲載されています。

内容としては、ラジオでの武田記者のようなスパイシーさは表向きにはあまり見られないものの、質実剛健とした筆致のなかに見られる鋭い分析は、一歩遅れて鼻にスッと抜ける辛みに似た赴き。

最初の章から目から鱗の内容で、福田総理(当時)と小沢代表(当時)とのあいだで進められていた、例の大連立構想について、小沢が味方にも伏せていた真の目的について語られており、「そういうことだったのか!」と納得させられます。小沢一郎の政治活動の底流に一貫して流れてきたものが何かを踏まえると、こういう見晴らしが利くのかもしれません。裏を返せば、あの当時の大連立構想報道が、いかに感情的・皮相的・大衆迎合的だったかが剔抉されます。

「鳩山の街頭演説での盛況ぶり」(p198-)の節では、「おぉ、それバラすんだ?」という小ネタも出てきます。

TBSラジオのリスナーにとっては、衆議院議員選挙特番での小西克哉と麻生太郎総理大臣(当時)とのやりとりの再録が収められた p.211 は、なかなかの見所かもしれません。再三コラムで武田記者を取り上げている小林信彦についても、同じページで言及されています。

巻末の小沢一郎・民主党幹事長のインタヴューは、鋭く切り込むところがないのはやや寂しくもあり評価が分かれるところかもしれません。おそらく、ふだん公に持論を披露することの少ない小沢一郎になるべく話させようという意図で触媒役に徹しておられるのではないかと思われます。最初の章の大連立構想の真意についての話が、小沢一郎自身の口からも語られます。

ただ、全体的に、ちょっと小沢贔屓かなぁという感じはなくもありません。

ひとつ残念なのは、歴史的な政権交代を扱っているとはいえ、時事を扱っている本なので、これ一冊では、すごく息の長い本になるというわけではないかもしれないというところです。

したがって、このようなスタイルで今後も、日本の政治過程ドキュメントの著書をシリーズで発表して頂きたいものです。そうとう売れているようなので、可能性はあるかもしれません。

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「BATTLE TALK RADIO アクセス」(TBSラジオ、2009年11月19日(木)22:00-23:50)

「民主党も、強行採決のやり方が下手でしたね」

民主党による中小企業金融円滑化法案(「返済猶予」法案)の衆議院強行採決について:

渡辺真理 [……]予想されたことだったんですか、これは?
武田記者 あの、ちょっと突然の感はありますねぇ。びっくりしましたよねぇ、いきなり戦闘モードに入りましたから。[……]初めての、政権交代して初めての強行採決ですから、民主党も強行採決のやり方が下手でしたね。

「後ろに乗ってた小沢さんが、初めは目つむってたんだけども、イライラし出して、いきなり「なにをノロノロお前は運転してんだ!」つって、前に足でアクセル踏んじゃったと」

ひきつづき、民主党による中小企業金融円滑化法案(「返済猶予」法案)の衆議院強行採決について:

武田記者 民主党側がですねぇ、初めは安全運転で慎重に慎重に議会運営をしてたんですけども——
渡辺真理 はい。
武田記者 2日前ぐらいから小沢[一郎・民主党幹事長]さんが、小沢一郎党幹事長が、あのぅ、急に、この会期内に、30日までに全部やるんだと——
渡辺・井上トシユキ うん。
武田記者 これも早く上げないと参議院行きますからね。
渡辺 はいはい。
武田記者 こういう譬えを言っている人がいましたねぇ、山岡[賢次]国会対策委員長——民主党ですけども——、が、こう、ロー・ギアでブレーキ踏み踏み、こう、ず〜っと運転してたわけですね、ゆっくり——
渡辺・井上 うん。
武田記者 そこで、だんだん乗ってるうちに、後ろに乗ってた小沢さんが、初めは目つむってたんだけども、イライラし出して、いきなり「なにをノロノロお前は運転してんだ!」つって、前に足でアクセル踏んじゃったと。そこでガタガタっとなってしまったもんですから、議会運営でこういうおかしくなっちゃったということなんですよね。。

 

「議員は本会議場で寝てます」

深夜の国会審議について:

渡辺真理 今日って、普通にどのくらいまでやるもんなんですかねぇ?
武田記者 まぁ、このまま行けば、これ、まだ1本目の議案で1時間半かかりましたから、今度は「議院運営委員長が本会議を開いたのがけしからん」と言って、いま[松本剛明]議院運営委員長辞めろ決議案ってのを出してますからね——
井上トシユキ あ〜、はいはいはい。
武田記者 これが1時間ぐらいかかると、もうそれだけで午前様になってしまうんで。
渡辺 なりますね。国会って、武田さん、一番深いところだと何時ぐらいまでやるもんなんですか?
武田記者 いやぁ、徹夜国会がありますから。
渡辺 で、そのときってね——
武田記者 はい。
渡辺 皆さん寝ないんですか?
武田記者 皆さんってのは、記者ですか?
渡辺 議員の、先ずは議員。
武田記者 議員は本会議場で寝てますから。

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武田記者の画像

『ラジオライフ』2009年11月号(三才ブックス)の堀尾正明(「土曜朝イチエンタ。堀尾正明+PLUS!」TBSラジオ、土5:00-8:30)のインタヴューの写真の一枚に武田記者が写っています。

ケンイチさんがコメント欄で、武田記者の画像を紹介して下さいました。度たびありがとうございます。助かります。TBSラジオのメール・マガジン『954プレスメール』に貼られたリンクから見ることのできるコンテンツ「〜TBSラジオプレスメール〜 954写真缶」の一部です。ケンイチさんのコメントに貼られたリンクからも見ることはできますが、下記のサイトから『954プレスメール』を購読してからご覧になることをおすすめします:

TBS RADIO 954kHz | 〜TBSラジオプレスメール〜

◇「週刊タケダ記者(仮)vol.11」にコメントしてくださった方(残念ながら無記名)が、「久米宏 ラジオなんですけど」(TBSラジオ、土13:00-15:00)のウェブページに武田記者の画像が掲載されていると紹介して下さいました:

久米宏 ラジオなんですけど[先週のエンターテインメント!!
(2008年04月12日(土曜日))]

◇既にコアな武田記者ファンであればご存知かもしれませんが、武田記者の画像が、意外なことに文化放送のサイトに載っています。

「文化放送報道部日記 「健司と宏枝 22センチのマイク」」という文化放送報道部のブログの2006年10月10日付けのエントリーで、安倍晋三首相(当時)の中国・韓国訪問の同行取材の韓国編で、取材中のスナップのひとつとして掲載されています。下記のページの3枚目の画像に注目:

○文化放送報道部日記 「健司と宏枝 22センチのマイク」:
安倍とどこまでも(韓国篇)   =吹野=

● △ ■ ×

私 は「アクセス」ぐらいしかチェックできないので、武田記者が登場していると思われるTBSラジオの他のワイド番組(「森本毅郎・スタンバイ!」「荒川強啓 デイ・キャッチ!」など)で「これは!」と思われる発言を聴いた方は、お手すきの際にでもこのエントリーのコメント欄で情報提供して下されば嬉しいです。 例えば、「「デイ・キャッチ!」で○×について△□と言っていた」程度で構いません。

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「週刊タケダ記者(仮)」バックナンバー:

週刊タケダ記者(仮)vol.1

週刊タケダ記者(仮)増刊号

週刊タケダ記者(仮)vol.2(2007年11月11日(日)-11月17日(土)分)

週刊タケダ記者(仮)vol.3(2007年11月18日(日)-11月25日(土)分)

週刊タケダ記者(仮)vol.4(2007年11月25日(日)-12月1日(土)分)

週刊タケダ記者(仮)vol.5(2007年12月2日(日)-12月29日(土)分)

週刊タケダ記者(仮)vol.6(2007年12月30日(日)-2008年1月12日(土)分)

週刊タケダ記者(仮)vol.7(2008年1月13日(日)-2008年2月2日(土)分)

週刊タケダ記者(仮)vol.8(2008年2月3日(日)-2008年2月29日(土)分)

週刊タケダ記者(仮)vol.9(2008年2月30日(日)-2008年3月15日(土)分)

週刊タケダ記者(仮)vol.10(2008年3月16日(日)-2008年3月29日(土)分)

週刊タケダ記者(仮)vol.11(2008年3月30日(日)-4月12日(土)分)

週刊タケダ記者(仮)vol.12(2008年4月13日(日)-2008年5月3日(土)分)

週刊タケダ記者(仮)vol.13(2008年5月4日(日)-2008年5月10日(土)分)

週刊タケダ記者(仮)vol.14 (2008年5月11日(日)-2008年6月7日(土)分)

週刊タケダ記者(仮)vol.15(2008年6月8日(日)-2008年6月15日(土)分)

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週刊タケダ記者(仮)vol.19(2008年8月3日(日)-2008年8月9日(土)分)

週刊タケダ記者(仮)vol.20(2008年8月10日(日)-2008年8月30日(土)分)

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週刊タケダ記者(仮)vol.26(2008年10月26日(日)-2008年11月1日(土)分)

週刊タケダ記者(仮)vol.27(2008年11月2日(日)-2008年11月15日(土)分)

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週刊タケダ記者(仮)vol.30(2008年12月14日(日)-2009年1月3日(土)分)

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週刊タケダ記者(仮)vol.36(2009年7月5日(日)-2009年10月10日(土)分)



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