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ラジオな一曲(13):「ラジオの開始・終了音楽」(作曲年不詳)

○ラジオな一曲(13):「ラジオの開始・終了音楽」(作曲年不詳)


 「ラジオの開始音楽」
 

英語少年だった。

洋楽ばかり聴いて、海外に対する漠とした憧れに胸を焦がす日々だった。しかし、勉強の仕方が解らず、やみくもに、教科書を丸暗記するほど英語学習に耽溺していた。

塾も本屋もない、JRの最寄り駅まで20km以上はなれた町に住んでいたので、授業の他には、NHKラジオ第2の「基礎英語」(NHK第2)は貴重な教材だった。ラジオの電波は、そんな田舎にも届く。

私が聴いていたときの講師は二木久恵。最近になって、医療英語関係の著書・訳書を出していると知った。

最初に買ってもらったラジカセは、シンガポールだかインドネシアだかの激安品。タイマー機能がついていなかったので、早起きして6:00の放送を生で聴いていた。開始と同時に録音ボタンをガチャッと押す。

「基礎英語」の前に流れていたのが、この曲だ。

NHK第2は「基礎英語」で放送開始となるためだ。独り早起きして、静かな部屋でこの曲を聴いていると、もの悲しくて切ない気持ちにさせられた。

つい最近まで、シューマンの「トロイメライ」のオルゴール版だったと勝手に思い込んでいた。「基礎英語」を卒業してからは、あの時間にNHK第2を聴くこともなく、今日まで確認する機会もなかった。

しかし調べてみると、あの曲は熊田為広[作曲]「ラジオの開始・終了音楽」というNHKのオリジナル曲だと判った。放送開始時と終了時で曲が異なるので、それぞれ「ラジオの開始音楽」「ラジオの終了音楽」ということなのかもしれない。

しかも、オルゴールではなく三石精一によるチェレスタ演奏であることも判った。

記憶の中で曲がすりかわっていたのだ。先ほど聴き比べたら、感じは似ているが、明らかに違うメロディー。

チェレスタとは、鉄琴に近い機構をもつ鍵盤楽器の一種。有り体に言えば、フェンダー・ローズ(Fender Rhodes)やウーリッツアー(Wurlitzer)のような電子ピアノの非電化版というか、ご先祖というか、そんな感じかもしれない。チェレスタの音色は、チャイコフスキー『くるみ割り人形』の「こんぺい糖の精の踊り」や、『ハリー・ポッターと賢者の石』の「ヘドウィグのテーマ」などで聴いたことがある人も多いかもしれない。

YouTube - チャイコフスキー / 金平糖の精の踊り
YouTube - Harry Potter - Hedwigs Theme

NHK第1が、「ラジオ深夜便」の開始によって24時間放送となった現在では、この「ラジオの開始・終了音楽」はNHK第2でしか聴くことが出来ない。また残念なことに、この「ラジオの開始・終了音楽」は、CDなどの音楽ソフトとして発売はされていない。NHK第2で聴くしかないのだ。

あの曲のことを想い出すときの、少し胸が締め付けられるようなあの気持ちが、なぜか好きだ。


「ラジオの終了音楽」
 
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