『Radio Comfort(ラジオコンフォート)〜ラジコン〜』(楽工社、2009年)
○『Radio Comfort(ラジオコンフォート)〜ラジコン〜』(楽工社、2009年)
※若干加筆(2009年8月30日)
※表紙は上柳昌彦・吉田照美
『Radio Comfort(ラジオコンフォート)〜ラジコン〜』(楽工社、2009年)という本を偶然書店で見つけた。表紙には「ラジオを総合的に楽しむためのガイドブックが登場」とある。全186ページ。
楽工社という出版社の名前は今回はじめて聞いた。
『Radio Comfort(ラジオコンフォート)〜ラジコン〜』は、唐沢俊一や桃井はるこなどを起用している点では『ラジオライフ』(三才ブックス)的と言えなくはないが、無線および受信機愛好者寄りの雰囲気の漂う三才ブックスのラジオ本に比べると、総じてラジオ・リスナー寄りで、番組やパーソナリティーに焦点を当てた内容になっている。『ラジオマニア』(三才ブックス)よりもさらに、番組やパーソナリティーについての記事が多い。
高度な受信テクニック・機材の改造・「○×をタダで見る」的な記事はないけれど、「三才ブックスのラジオ本、悪くないけど微妙にツボが違うな〜」と思っていたラジオ番組ファンにとっては一読の価値が充分にある。
三才ブックスがスルーしていた水曜JUNK ZERO「エレ片のコント太郎」(TBSラジオ、水27:00-28:00)を取り上げていたり、FM局の番組も多く取り上げていたりする。「NISSANN あ、安部礼司〜beyond the average〜」(TOKYO FM、日17:00-17:55)の登場人物の相関図も載っている。「いきものがかり吉岡聖恵のオールナイトニッポン」(ニッポン放送、金25:00-27:00)なんかも、三才ブックスの触手は伸びないのではないかなぁと感じた。
気になった個別の記事についていくつか紹介してみる:
◇さらばコサキン!——ラストイベント追憶レポート pp.3-7
巻頭を飾る記事でオール・カラーで5ページの特集。
私も最終回は聴いたけれども(詳しくはコチラを参照)、水木一郎アニキと冠二郎御大の衣装は想像以上だった。
特集の最後には「コサキン27年の歴史」と題した「コサキン」の年表が掲載されている。
◇出演・制作両面の達人 宮川賢 pp.31-35
「テレビ化しているラジオがそろそろ終焉を迎える時期」という宮川の発言を興味深いと思いつつも、一瞬ピンとこなかった。読み進むと「TBSラジオはテレビっぽい作りが多くて、ゲストを入れるとか、結構手間のかかったコーナーをやってたりするんで」という表現が出てきて、「テレビ的か、なるほど」と思った。あまりそういう風に考えたことがなかったので、そういう見方もあるのかと感心した。ラジオはテレビとは違うという思い込みが私の目を曇らせていたのかもしれない。
インタヴューによると、「テレビ化したラジオ」の対概念は「パーソナリティ番組」のようだ。例としては「玉川美沙 たまなび」(文化放送、月〜金15:30-17:50)や「大竹まこと ゴールデンラジオ!」(文化放送、月〜金13:00-15:30)のような「割と普通な作り」の「パーソナリティに対するウェイトがものすごくでかい」番組が挙げられていた。
宮川賢のインタヴューを読むと、いつも何らかの気づきがあって愉しい。
ところで、ラジオ・パーソナリティーやゲストが「ラジオのほうがテレビよりもじっくり喋れる」という趣旨の発言をすることがよくある。しかし、たとえば "Late Show with David Letterman"(CBS、いわゆる Letterman Show) のようなアメリカのテレビ・トーク・ショウでは、結構じっくり喋る。テレビが登場した時に、先発のメディアであるラジオの番組構成がそのまま導入されたからだという話を聞いたことがある(ラジオ番組をテレビで映している感じ)。ラジオっぽい作りのテレビということだ。
※Letterman - Sacha Baron Cohen Interviews a Terrorist
◇各局のスタジオ紹介 pp.48-63
写真を多数使いつつ、下記の放送局のスタジオを紹介している。
・ニッポン放送第3スタジオ
・TBSラジオ第7スタジオ
・TOKYO FM アースギャラリー2
・J-WAVE Aスタジオ
放送局ごとに特徴があって面白い。J-WAVEのスタジオの机の上にはドリンク・ホルダーがついていたり。
◇桃井はるこの「モモーイの初めての遠距離受信」
記事の雰囲気や内容は『ラジオライフ』の連載に似た感じ。
高度な受信テクニックの紹介というよりは、タイトルの通り「初めての遠距離受信」という感じで、「まずは、こういう感じで始めてみては?」とやり方を紹介する内容。
使用機材はSRF-M100 と ICF-EX5 MK2(ともにSONY)。後半ではミズホ通信のループ・アンテナ UZ-8DXs も使用している。
記事の下段にはこのとき受信した局のSINPOコードも掲載されている。2009年6月10日、東京都墨田区の鉄筋5階建てビルの2階での受信だとか。楽工社の編集部と思われる。
ほかには、『ラジオパラダイス』の「クリアキャッチレスキュー隊」の薬師神亮も「AMラジオをクリアに聴きたい」を寄稿している。それなりに遠距離受信を試したことのある人であれば知っている内容ではあるけれど、次号以降(が出れば)どうなるか愉しみ。
※追記(2009年8月30日)
トトロ大嶋氏のブログによると、『Radio Comfort(ラジオコンフォート)〜ラジコン〜』の仕掛人は、三才ブックスを去年退社された編集者さん。『ラジオマニア』や『ラジパラ』復活(2007年)の仕掛人もこのかたとか。
目次を全部下記の通り引用してみる。気になる記事があったら是非お手に取ってください。これが売れれば、きっと次号も出るだろう。ラジオ・ファンとして、2号3号と続いてほしい:
巻頭カラー企画
・さらばコサキン!——ラストイベント追憶レポート
・第1特集連動企画 吉田照美・上柳昌彦対談「僕らのこれまで ラジオのこれから」
・ラジコン編集部が選ぶ おススメ番組はコレだ!
・「小島慶子 キラ☆キラ」(TBSラジオ)
・「THE CLICKERS」(J-WAVE)
・「flowers」(JFN系)
・「よんぱち〜48hours〜」(TOKYO FM)
・「立川こしらのこしら・える時間」(ラジオ日本)特集
第1特集 ラジオの達人大いに語る
・FMラジオの達人 クリス・ペプラー
・AMラジオの達人 笑福亭鶴光
・出演・制作両面の達人 宮川賢第2特集 深夜放送・夜ワイドを楽しむ
・TFM系『やまだひさしのラジアンリミテッドDX』を聴け!
・J-WAVE『ROCKETMAN SHOW!!』の世界にハマる
・ニッポン放送他『銀河に吠えろ! 宇宙Gメン TAKUYA』に迫る
・TBSラジオ他『エレ片のコント太郎』を楽しむ
・ニッポン放送他『吉岡聖恵のオールナイトニッポン』インプレション第3特集 スポーツ実況の極意を探る!
第4特集 日曜日の憂鬱をぶっ飛ばせ!
・TFM系『あ、安部礼司』を丸ごと楽しむ
・ニッポン放送『笑福亭鶴瓶 日曜日のそれ』インプレッション
・TFM『平原綾香のヒーリングビーナス』に癒されろモノクロ企画
・ラジオ用語辞典
・各局のスタジオ紹介
・TBSラジオ他『アクセス』電話オペレーター体験
・AMラジオをクリアに聴きたい
・桃井はるこの「モモーイの初めての遠距離受信」
・FMラジオの遠距離受信を可能にする『Eスポ』とは!?
・ICF-EX5 MK2レビュー
・BCLの楽しみ方
・ラジオディレクターの告白
・デジタル録音のすすめ
・ラジオは何を伝えたか
・TOKYO FM パーソナリティー・カレッジに体験入学
・唐沢俊一のラジオよもやま話
・ラジオ局のお仕事
・テレビ単営局でラジオ!?『アナ Pod cafe』山本浩之アナにインタビュー
・ポッドキャストで番組を聴く〜ラジオのこれから
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