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桜川マキシム 第158回 「ポッドキャスト考の六 好物はコーヒー味のチューインガム」(ポッドキャスティング、2009年7月2日配信)

○「桜川マキシム」第158回 「ポッドキャスト考の六 好物はコーヒー味のチューインガム」(ポッドキャスティング、2009年7月2日配信)

「桜川マキシム」は、JUS と gyasya のふたりによるポッドキャスト番組で、政治・社会・風俗・芸能などの多岐にわたる話題で放談を展開するトーク・ラジオ。去年あたりに「ラジオファンブログ」を通して知った。

そういう話題の他に、著作権やポッドキャストについての深い考察が特徴的だ。ポッドキャストをビジネスとして成立させるにはどうすれば良いか考えたり、ポッドキャスト配信者同士で他のポッドキャスト番組を紹介しやすくするために、FLASHを使ったバナーを自作して公開たりもしている(もうちょっとデザインがリファインされると、みんなが使いたがるかも)。自分の番組だけでなく、ポッドキャスト全体を盛り上げようという意識が高い。

さて、ようやく本題。

第158回 「ポッドキャスト考の六 好物はコーヒー味のチューインガム」(桜川マキシム)

この回の前半は、先日このブログでも紹介した「タイムマシン部」(ポッドキャスティング)とトーク技術とネタ帳についてのトーク。

もちろんこの話も面白かったが、後半の、「無名の人がポッドキャストを配信する意義」というリスナーからの提題に応えたトークがさらに興味深かった。

この質問の答は、「オレの意見が反映されていないままの世の中がイヤ」「なんの不満もなければこんなんやってませんやんか」。私もこんなブログを書いたりやミニコミ誌を発行したりしているので、共感を以って聴いた。私はええ格好しいなので、JUS のように「チヤホヤされたい」とストレートに言う勇気はないけれど、今夜もこうして、屈折した自己顕示欲をブログで全開にしている。

もうひとつは理由は「世の中に発信したい」とのこと。Freenet などの例を引きながら、「もっと匿名でものをしゃべりたいですもんね」、今後あり得る言論の自由がない状況で「言論の自由を守ろうと思うと、匿名性は必要だろう」と、匿名で情報発信する意義を強調していた。

ブログやポッドキャストの匿名性とFreenetの匿名性は、やや位相が異なるようにも思われるが、私はちょっと感動すらしてしまった。

すなわち、匿名性の無責任さを弄びたいのではなく、

いざとなったら自分が矢面に立ってでも言わなアカンていうことを言うてるんやけども、とりあえず矢面に立つほどやる気はないけど、言うとかんと気ぃ済まへん的なことを言うてる。

という箇所では「よく言ってくれた」という思いを強めた。

ブログやポッドキャストにおける匿名については、自分なりの考えもある。

某大型掲示板のようなひとこと言い切りタイプの情報発信とは異なり、ひとつのサイトを構えて同じ名義で継続的にコンテンツを配信し続けていれば、そのコンテンツの蓄積からは、ある種の一貫性をもった人格のようなもが立ち現れてくるのではないかと私は思う。

ただ、情報発信は開示であると同時に隠蔽であるので、配信されたデータの蓄積と配信者を直ちに同一視できるかは定かではない。配信の際の取捨選択によって、不必要・不都合なものは隠蔽されている。このブログで言えば、私が私のラジオ・リスナーとしての側面を全面に押し出すことで、他の側面は後景に退いている。

しかし、閲覧者の側から見れば、そのコンテンツを継続的に鑑賞することを通じて、会ったこともない配信者の擬製的な人格のようなものがシミュレートされているかもしれない。例えば、ポッドキャストを聴きながら、「JUS らしいね」とか「gyasyaらしくないね」とか、リスナーは勝手に考えることがあるかもしれない。

そのときの配信者の状態は、本名や素性こそ詳らかにしていないが、もはや単純に「匿名」と言い切れる状態ではないと私は考えている。

私が応援しているTBSの小島慶子アナが先日、「でも匿名なんでしょう? 自分を賢いと思ってもらいたいんだったら実名でやんないと意味ないじゃない? 何のためにと思いますけどねぇ」と匿名の配信者に対する卑下と怒りを露にしているのを聴いた時に少しだけカチンときたので、このポッドキャストを紹介してみた。顔と名前を出して仕事している人の大変さはお察しいたしますが。

TBS RADIO 2009年6月23日(火) キラ☆キラ オープニング - 小島慶子 キラ☆キラ

小島慶子 キラ☆キラ(TBSラジオ、2009年6月23日(火)13:00-15:30)(当ブログ内)

追記

この回の他に、最近面白かったのは、第155回「 「キリヤート」&蔵出マキシム・その十 「OP&ED」」の紀里谷和明いじり。『CASSHERN』(2004年)『GOEMON』(2009年)を 撮った監督ですね。もちろん、どちらも観ていない。興味もない。銀馬車の子らしいよ(一部の九州人には解る)。

彼の映画は、テレビなどの予告編を観た限りでは、VFXを多用してスケールの大きな活劇を演出しようとしているが、画面内に空間の広がりが感じられず、むしろ真空恐怖的な窮屈ささえ感じてしまう。

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