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ラジオのミニコミ誌を発行しております(30):文学フリマで『アラザル』を買った。みんなもどう?

○ラジオのミニコミ誌を発行しております(30):文学フリマで『アラザル』を買った。みんなもどう?

ネットを通じて有志のみなさんを募り、『ラジオ中毒』というミニコミ誌を発行しています。2008年9月20日に創刊号を発行して以来、約半年ぶりの最新号です。

今回は¥200です。値上げの理由は下記のチラシの通りです:


※上の画像をクリックすると、
目次付きのチラシ(PDFファイル2ページ:373.4KB)が
ダウンロードされます。

新刊である臨時増刊号の表紙は、ここではお見せできません。なんと言うか、お笑いで言うと「出オチ」みたいなものなので。上のチラシのロゴがヒントです。

表紙は失笑必至のネタをフィーチャーしておりますですので、店頭でご確認下さい。ネット通販を行っているお店のサイトではご覧になれるという噂も……。

文学フリマで『アラザル』を買った。みんなもどう?

さて、『ラジオ中毒』の創刊号にご寄稿頂いた安東三さんが参加していらっしゃる、ジャンル横断的ハードコア批評誌『アラザル』vol.2を買いに、2009年5月10日(日)に文学フリマに行って来ました。

日々:文音体触 〜compose&contact〜(安東三さんのブログ)

ハードコア・インディペンデント批評誌『アラザル』

文学フリマ - 文学フリマ公式サイト-お知らせ

文学フリマ——コミケの言語表現版と考えれば、ご存知ない方もイメージが湧くのではないでしょうか。ミニコミ・自費出版物を中心にした販売・交流イヴェントといった感じ。

携帯ラジオで「爆笑問題 日曜サンデー」(TBSラジオ、日13:00-17:00)を聴きつつ蒲田へ。

実を言うと、私も『ラジオ中毒』を携えて文学フリマに参戦しようかと思案していましたが、今回は何となくやめました。何となくやめるあたりが、いかにも意気地のないダメ人間です。次回はどうするかわかりませんが、とりあえず様子を見ておこうという考えもあり、偵察もかねて会場である大田区産業プラザPiOへ。

13:30過ぎぐらいに着くと、ちょうどいい具合の込み具合。スムーズに移動でき、かつ匿名性を確保しつつ行動できる人の数。会場内は鳴り物が禁止のようで、話し声や雑踏は耳の生体ノイズ・リダクション機能でカット出来る程度。騒がしく感じませんでした。

とりあえず、『アラザル』を買う前に一度各ブースをひと巡り。「コレはバカだな(いい意味で)」と思える物があれば即買いしようと思っていましたが、全体的におとなし目。逆に、インパクトのある表紙のものや、陳列の方法を工夫しているブースは目立っていました。ああいう会場だと、行間を読ませるような文学性の高い表紙だと埋没してしまいますが、目立つ事を優先すると作品性が犠牲になったりして、文学者としては引き裂かれる思いかもしれません。

『アラザル』のブースは、ブース内に人が多く、私のような小心者は、「1対1も緊張するけど、4対1とかになるのも、それはそれでイヤだな」と思っていました。ともあれ、結構売れているみたいで、買っている人の後ろにスッと忍び寄り、購入。


インディーズながらも、これは本気ですぞ。

手に取ると、何と言っても本がキレイ。三省堂や紀伊国屋のような大書店に並んでいたとしても見劣りしない装丁です。会場に見本誌のコーナーがあったのですが、多くの人が順繰りに手に取っておりました。われらが『ラジオ中毒』は、マニュファクチャー感を好む私の趣味嗜好でコピー誌にしておりますが、『アラザル』を見て、「一回ぐらいは印刷所に頼んでキレイにつくってみようかな」と思ったりしました。

ただ、ひと目では何の雑誌なのか判りにくいところがちょっと残念。表紙に「ハードコア・インディペンデント批評誌」と大きく明示したほうがよかったのではと思ったり思わなかったり。

『アラザル』のブログによると近ぢか大手書店での展開も予定されているとのことで、お求めになってはいかがかと思います。400ページ超・30万字のヴォリュームで税込み1,000円、かなりお得だと思います。

ラジオの雑誌ではありませんが、おススメです。

安東三さんの「童貞論」

全部で30万字ということで、まだほとんど読めておりませんが、まずは安東さんの「童貞論」を帰りの電車の中で読み始めてみました。

面白かったところ:

3部構成で、それぞれ、童貞・女の「童貞」・既存の表象芸術作品に即した議論という感じ。序盤のセックスの定義(p.94ページ上段)のキレがよく、ついつい続きを読みたくなりました。掴みはOKです。

人生を通じてヘテロセクシュアルな男という自意識に揺らぎを感じてこなかった私としては、最初のパートは腑に落ちる(というか、身に覚えがある)ところが多い感じでしたが、第2パートの「「誰よりも」かわいくなりたい女子」という概念にはやや疑問。身近な女子に聞くと、「「人並みに」かわいくあろうと努力している女子」が多いというだけのことなのですが、私の周りだけかもしれません。カネも手間もかかり、キャッチ・アップし続けるのは結構大変なんだそうです。どっちが多数派なのかは判らないので、女の人が読んで実際にどう感じるのか興味深いです。この論文は、童貞論であると同時にセックス論でもあるので、次は女性と共著の「童貞論」というのも面白いのではないかと思いました。

構成主義的な「母」像(p.100上段の「母が覚悟の問題ならば、男性の母はありうる??」他)と、「童貞から母へ」という提言は、私には面白く響きました。U野C子だったら「男は男であることから逃れられないのよ。あなたは男としてどう思うの? 論争よ!」ってなりそうな気もしますが……。また、ラディカル・フェミニズムずきな私としては、「母」像そのものもぶっ壊してしまいたい衝動に駆られますが、予想外の結論でインパクトがありました。そう来たか。

各パートの末尾に設けられている「skit」は、本論をうまく微分していて、技ありでした。とても親切。

ときどき出て来る「〜じゃね?」みたいなくだけた口語は、巧いやら、ズルいやら。

批判というほどではないけど:

・自意識としての童貞に方法的個人主義っぽく斬り込むと同時に、歴史的・社会的形成物としての童貞への視角があるともっと面白くなりそう。

新井英樹『ザ・ワールド・イズ・マイン』(1997〜2001、2006年)ヴィンセント・ギャロ『バッファロー'66』(1998年)の他に、近代小説のカノンとなっているような作品をもうひとつぐらい挙げて、「同じ自意識が見て取れる」とか「まったく別様だ」とかやるとキレが増すと思いました。梶井基次郎の『檸檬』は文学史上ではメジャーですがカノン的ではないように思えます。例えば「漱石のこの作品だってこうだ!」とか言えると議論の強度も高まり、ロートル連にも解ってもらえそう。

『ザ・ワールド・イズ・マイン』のトシとモンの自意識と世界との関係について考えるときにヒグマドンの存在を迂回するのは勿体ない気もしました。ただ、私はそれほど『ザ・ワールド・イズ・マイン』に詳しくないので、見当外れかもしれません。すみません。

・言葉遊びから展開するうちに面白いものが出てくれば、と最初に断ってあるので良いのですが、いま童貞を論じるアクチュアリティーは何なのか明確なほうが、読み手としても読み甲斐が増すと思いました。

* * *

会場のチラシのコーナーに、5つの一輪挿しの写真にブログのURLだけが書いてある栞が置いてあり、気の効く人がいるもんだと感心して、頂いて帰りました。

『ラジオ中毒』創刊号

安東三さんが「文化系トークラジオ Life」(TBSラジオ、通常毎月最終日曜25:30-28:00)についての記事を寄稿して下さった『ラジオ中毒』創刊号は、下記のお店に在庫がありそうなので、よろしければご覧になって下さい:

模索舎(東京都:新宿御苑新宿門むかい)地図通販

タコシェ(東京都:中野ブロードウェイ3F)地図通販

Lilmag(オンライン・ショップ)通販

 

『ラジオ中毒』臨時増刊号取扱店

模索舎(東京都:新宿御苑新宿門むかい)地図通販

タコシェ(東京都:中野ブロードウェイ3F)地図通販

貸本喫茶ちょうちょぼっこ
(大阪市西区北堀江1-14-21第一北堀江ビル4F)地図
※第一北堀江ビルは、地元では「鳥かごビルヂング」として親しまれているそうです。
 営業日にご注意ください(
第1〜第3週末のみの営業)。

ちんき堂
(兵庫県神戸市中央区元町通1-11-8 千成堂ビル2F)地図

キララ文庫(熊本県熊本市黒髪6-9-9)地図

万一売り切れているというようなことがありましたら、「今度はいつ入荷しますか?」などと、あくまでも紳士・淑女的な物腰を保ちつつ、お店のかたにやんわりプレッシャーをかけてください。

執筆者[50音順、敬称略。()内は執筆なさっているブログなど]

・朝起亭音箱

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