ラジオの電リク今や昔…メールに押され電話窓口次々廃止(朝日新聞、2009年4月13日)
○「ラジオの電リク今や昔…メールに押され電話窓口次々廃止」(朝日新聞、2009年4月13日)
『ラジオ中毒』臨時増刊号を発行したとき、話題に上った番組の多くは東京のラジオ局の番組で(というか、ほとんど TBSラジオの番組で)、東京圏以外の地域の状況はどうなっているのだろうかと思っていたところに、下のような新聞記事が目に留まった:
「ラジオの電リク今や昔…メールに押され電話窓口次々廃止」(朝日新聞、2009年4月13日)
関西のラジオ番組でこの春、リスナー向けの電話窓口が相次いで廃止された。メールやファクスでのアクセスに押され、電話利用が減っていた事情もあって、 番組改編や経費削減の波にのまれた。かつて隆盛を誇った音楽番組の電話リクエストも消えつつある。年配のファンからは、一時代の終わりを惜しむ声が絶えな い。
朝日放送(ABC、大阪市福島区)の看板番組「おはようパーソナリティ道上洋三です」(平日早朝)が、リスナー投稿用の電話窓口を廃止したのは今月3日。オペレーター10人が電話応対し、聞き取った内容をアシスタントディレクター(AD)が選んでプロデューサーに伝えていたが、メールなどに比べて手間がかかる、との理由だった。
同局では、ほかの2番組の電話窓口も同時期にやめた。編成制作部の担当者は「ここ数年、通信手段の選択肢が増えて投稿数が伸びる半面、スタッフの数は減るばかり。番組進行の効率を考えた」。3月末に窓口廃止を告知した際、「寂しい」などの声が10件ほど寄せられたという。
毎朝のように電話してきた高齢男性から「長い間いろんなこと言うて悪かったなあ。話を聞いてもらうのが楽しみやった」と言われ、涙が出た——。そんな話を電話窓口終了後、オペレーターの送別会で聞かされたという道上洋三・エグゼクティブ・アナウンサー(66)は「電話は多くの人の力を積み重ねてリスナーの思いを受け止めてきた」と振り返る。「かかった人の数だけ思いが詰め込まれ、マイクの前に届いていた。その思いを今後は少ない人間で感じていかなければならない」
平日朝、吉本興業の芸人が日替わりで出演するラジオ大阪(OBC、同市港区)の人気番組「むっちゃ元気スーパー!」でも、電話窓口が3月いっぱいで廃止された。経費削減で番組のADが2人から1人に減り、オペレーター役に人員を割けなくなった。担当者は「サービス低下と言われても仕方がない」と嘆く。
毎日放送(MBS、同市北区)の「西靖&桜井一枝のわくわく土曜リクエスト」では、電話でリクエスト曲を受け付ける「電リク」が3月末で終了し、 メール、ファクス、はがきのみの受け付けとなった。春の番組改編で放送時間が短縮されたためだが、一方で一般番組での電話投稿は継続する。担当者は「大阪の人は話すことが面白い。番組で生かさない手はない」。
電リクは1952年、ラジオ神戸(現・ラジオ関西)がクリスマスの特別番組で実施したのが全国初とされる。60〜70年代には、各地のラジオ局に並んだ黒電話がひっきりなしに鳴った。ライブ感があり、双方向性に優れた電話窓口は、情報番組の投稿でも活用されるようになったが、ファクスやメールの台頭で次第に追いやられていった。
先駆者のラジオ関西(神戸市中央区)でも電リクは88年に、一般番組での電話投稿も06年に消えた。かつて使った電話は年1回程度の特番で利用するだけという。
そんな電リクも東京では健在だ。ニッポン放送(千代田区)は今月5日、「デジタルにはない臨場感がある」として、日曜朝の音楽番組で、長年途絶えていた電リクを復活させた。初回は電話が殺到したという。文化放送(港区)の編成部担当者は「電話はリスナーの生の声を聞ける重要なツール。ニーズはなくならない」。同局は音楽番組やトーク番組など複数の番組で電話窓口を維持している。(宮崎園子)
東京では電話窓口廃止の話はあまり聞かない。
私が聴いている範囲では「BATTLE TALK RADIO アクセス」(TBSラジオ、月〜金22:00-24:00)や「サタデー大人天国!宮川賢のパカパカ行進曲!!」(TBSラジオ、土15:00-16:55)のように電話をフル活用し、それどころか電話窓口が番組のアイデンティティーにとって必要不可欠な要素になっている番組も少なくない。「A&G 超RADIO SHOW〜アニスパ〜」(文化放送、土21:00-23:00)では放送中に、チケットの先行予約などで電話窓口を使っている。
とはいえ、番組の形態が変わり複数のオペレイターを配した電話窓口を使わず、留守番電話での受付になったという例はある(「全国こども電話相談室」→「全国こども電話相談室・リアル!」TBSラジオ、日9:00-9:55)。
気になって改めてサイトなどでザッと見たところ、東京圏のワイド番組では、TBSラジオは基本的には生放送中の電話窓口を確保している。しかし、他の局では電話窓口は開けずメールとFAXの番組も多いが、番組によっては電話での受付をおこなっているものもあり、窓口廃止には至っていないのではないかと推測する。
とくにコレといった分析も出来ないが、興味深い話だ。
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