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爆笑問題 日曜サンデー(TBSラジオ、2008年12月21日(日)13:00-17:00)

○「爆笑問題 日曜サンデー」(TBSラジオ、2008年12月21日(日)13:00-17:00)

※最後に、M-1グランプリについてチョッと加筆(2008年12月23日)




キャンディーズ

「ここは赤坂応接間」のゲストは伊藤蘭。

私はキャンディーズ世代ではなく、テレビでオン・タイムで見た記憶はない。

ただ、キャンディーズといえば、以前に部活の試合で名古屋に行ったとき、帰りの新幹線代を浮かせるために、魚市場に行って、これから福島に帰ると言うトラック・ドライヴァーさんに頼み込んで東京まで乗せてもらったことがある。そのときの車中のBGMがキャンディーズだった。よって、想い出の音楽といえば想い出の音楽。

今回、まとめて聴いて曲とアレンジのよさに心を射抜かれてしまった。

そして、放送後に調べて伊藤蘭が1955年生まれだと知って魂消る。

チャップリン

「27人の証言」のテーマはチャップリン。

日本チャップリン協会の会長の話に出てきた未完の映画 The Freak は本当に面白そうなストーリーだった。件の脚本は現在スイスで門外不出だとか。

The Freak - Wikipedia, the free encyclopedia

日本チャップリン協会


いちばん印象的だったのは、『ライムライト』Limelight(1952)についての太田光の発言:

太田 光 最近になってねぇ、そのチャップリンの台詞っていうのが——僕は台詞に感動してたんですよ。えぇ、「私なんて生きる意味がない」って少女が言うわけですよ。だけど「生きる意味なんてもともとないんだ」と、「何だってないんだよ」と。「バラだって、何であんなに美しく咲いてるかっていったら、バラはべつに美しく咲こうとして咲いてるんじゃないんだ。ただ生きようとして咲いてる。その姿がたまたま美しいだけなんだ」と。「あなたに生きる意味なんてないんだ」と。「生きる意味なんてまるでないんだ」と。「人間なんて」ということを言うわけです。おれはその台詞に感動して。

ところがさぁ、最近になって、こう、思ったのは、あの台詞なんてどうでもよかったんだなぁっていうのは……結局オレは今のこの歳になって何に感動するかっていうと、そうやって一生懸命や……い……説得しているチャップリンが、もう終わってるコメディアンなんです。こっちはこれから未来のあるバレリーナ。こっちのほうが全然いいんですよ、バレリーナのほうが。未来があるんです。チャップリンはもう終わってるんです。

で、若い頃見たときは、チャップリンがこの女の子を助けてるっていうとらえ方だった。今見るとねぇ、そうやって自分が誰かの役に立てるっていうことで——台詞なんてどうだっていい——もう、そうやって、説得できてるチャップリンが、この若い女の子に助けられてるんだということが改めて思ったんです。

そうすると、「あの台詞に囚われてたオレは、やっぱ違ってたんだな」と思った。これはどういう解釈……自由だけど、そう思ったときに、「あ、そうか、やっぱりチャップリンはサイレントの王様なんだ」と。つまり、台詞はもちろん、すごいってオレは思ったけども、見せたいのはその「絵」なん……「絵」だとオレは思ったんだよ。そうだよなぁと思ったんだよね。「あ、何でそこに気が付かなかったんだろう」っていう。

だから、つまり、チャップリンにとっての表現方法ってのは——多才な人ですから、音楽も美術も振り付けも監督も脚本も全部やるんですから! どんな、あの、映像を使っても、どんなジャンルを使っても表現できる人なんだけど、武器はいっぱいあるんだけど、結局——絵画なんですよ。チャップリンがやりたいのは、見た目、そしてそこに何が起きてるかっていうことをただ表現するっていうことがチャップリン——

田中裕二 究極に表現したいことね。


助けられているのは若いバレリーナ(テリー)のほうではなく、チャップリン演じる落ち目のコメディアン(カルベロウ)自身だというのは作品の主要なモチーフだと思うので、気付くのが遅いのではと思ったが、台詞だけが重要なのではなく、映像で「そこに何が起きてるかっていうことをただ表現する」ことの意義を太田が強調した点に同意しつつ聴いた。

『ライムライト』を想い出してみると、改めてその絶妙な可笑し悲しさに呆然とする。芸の道に生きる先輩としてのカルベロウの矜持。心の底から若い才能を励ましつつも、同時にそこはかとなく感じる嫉妬。それでもお互いが励まされ救われていくプロセス——人生は複雑だ、だから複雑なものは結局は複雑にしか表現できないということを改めて思い起こす。

M-1 グランプリのあとのチャップリン

前日に M-1 グランプリを視たあとのチャップリン。4分でネタをパッケイジングしなければならないという制約の中で、アスレチックなお笑いの能力を練成するのが M-1 グランプリなのではないかと私は思う。その M-1 と『ライムライト』を比べるのは酷だが、「これからのお笑いは面白いだけでいいのかな?」と思わざるを得ない。

落語というジャンルは、人生の可笑し悲しさをただ表現するということに成功していると思うが、漫才はどうなのだろうか? アスレチックなお笑いの基礎体力に長けた M-1 の勝者たちがその気を出せば、漫才で人生を表現できるのではないかと私は思うけれども。

ちなみに、私が『ライムライト』でいちばん好きな台詞は:

What a day! The sun is shining, the kettle is singing, and we've paid the rent.

※M-1グランプリについてひと言。(2008年12月23日加筆)

準決勝の時点で、理屈なく笑えたのはU字工事、優勝しそうだなと思ったのは NON STYLE

私は最近、もうちょっと長いネタが見たいなぁと思うことが多いので、短い時間に畳み掛けるように何回笑いがあるか、みたいな形式にちょっと飽きてきている。後半に芸人さんの声とテンションが上がってくるに従って、テレビの前の私は置いてきぼりを食った気分になる今日この頃。あんなにあからさまに頑張られると笑えないよ。

U字工事やナイツはM-1用のネタというよりは、いつも通りのことを縮約してやっている感じで、気構えせず見ることができて、純粋に愉しめた。

来年は寄席やライヴになるべく行こうと思った。






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コメント

残念です!「爆笑問題 日曜サンデー」みごと聞きのがしました。

「M-1グランプリ」は見ました。ぜんぜん最近の漫才には疎く、はじめてこの番組を見たのですが、おもしろかったです。

個人的にはオードリーの飛び方が好きですかね〜(最終決勝戦ネタはいまひとつでしたが…)

投稿: 月本夏海 | 2008年12月24日 (水) 08時48分

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