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花輪如一『ラジオの教科書』(データハウス、2008年)

○花輪如一『プロが教えるラジオの教科書』(データハウス、2008年)

書店で偶然見つけた、放送作家・花輪如一の本、『プロが教えるラジオの教科書』(データハウス、2008年)を、この連休にようやく読んだ。電子工作の教本ではないので、念のため。

347ページの大部で図版多数。ちなみに、筆者の娘さんも図版のなかで登場したりしている(pp.150-164)。

■[メモは少し長いけど] こんにちは、私はAカップです。(Hi!I’m“A cup”.)

一応通読したものの、じっくり読み返せばまた何度か愉しめそうだ。単なるラジオ界雑記ではなく、歴史・社会と絡めた叙述・構成は私ごのみ。

ただ、気になる点がある。図版が多いのはいいが、ネットから引用したと思われるものが多い。例えば、p.334のTBS戸田送信所の画像は、Hashizume's Homepage の「TBSラジオ戸田送信所」の画像だ。このページの写真はもともとサイズが大きいのでよいのだが、小さな画像をそのまま大きくして本に載せているものも多数あり、画像が粗くて見づらい(例えば、p.307の文化放送川口送信所の写真など)。「本として出すのだから撮り直せばいいのに」と思ったりした。歴史的史料写真の場合は「原典にあたっていないのでは?」と思われかねない。また、許可は取っているのだろうけれどもクレジットがないものがほとんど。私のように、出典を知りたい人もいるはず。

まぁ、瑣末で野暮なクレームはこのへんにして、面白かった点をいくつか挙げてみたい。

永六輔の番組で度たび言及される三木鶏郎。永の話ぶりを聴いていると戦後のラジオ界の最重要人物らしいのは判っていたが、みんな知ってるだろうと思っているのか、番組ではあまり詳しくは説明されない。この本では、三木鶏郎と「日曜娯楽版」の周辺についても項が割かれていて(pp. 88-97)、やっと感じがつかめた。「日曜娯楽版」は音楽と諷刺をふんだんに盛り込んだ娯楽番組だったそうで、花輪の説明では、番組の監督・検閲がGHQからNHK自身に移った際に政府の締め付けが強くなり、打ち切りになったとのこと。「スネークマンショー」なき今、ラジオ聴きとしては、こういう番組は現代にも欲しい。

KBS京都と許永中事件について書かれた「其の六 バブルの牙とラジオ」(pp. 98-110)。許らと住友銀行が仕組んだ会社喰いの餌食になるKBS京都。これに対して、KBS京都の労働組合が、未払いボーナスを労働債券と見立てて債権者の立場で会社更生法を申請し、市民からの書名を後ろ楯にしつつ、放送免許失効を乗り越えたとのこと。こういう話は、政治・経済ルポなどでは取り上げられているが、ラジオについての本の中ではなかなか読めないのではないかと思う。

ラジオ日本についての章(pp.290-299)では、もともと洗練されたオシャレなラジオ局が、どうして演歌ばかり流すラジオ局になったのかという疑問が、その背後にある「U局争奪戦」を繙きつつ説明されており、当時をリアル・タイムには知らない者にとっては「なるほど、そうだったのか!」という内容になっている。

ほかにも「その拾壱 ラジオ放送各局の長寿番組」(PP. 170-217)のような気軽に読める章もある。「其の拾七 ラジオ番組ができるまでを最新の設備を持つ文化放送でみる」(pp. 300-308)では、番組制作のプロセスが、文化放送のスタジオ内部や放送機材などの写真を多数用いて説明されているのも、ラジオ・ファンとしては嬉しい。

最後には「其の弐拾 ラジオの仕組み」(pp. 326-335)と題して、簡潔ながらラジオ受信機の原理まで説明されている。

筆者のあまりの博覧ぶりに、いちラジオ・ファンの私ひとりの能力では記述のひとつひとつについて検証できないが、ラジオ番組やラジオ・パーソナリティーの裏話だけでなく、ラジオについての話題を全方位的にフル・カヴァーすることを目指した本になっている点には好感を覚える。

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