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上柳昌彦 お早うGood Day!(ニッポン放送、月〜金6:00-8:30)

○「上柳昌彦 お早うGood Day!」(ニッポン放送、月〜金6:00-8:30)

ニッポン放送の早朝ワイド番組は、静かだなぁといつも思う。

うえやなぎまさひこが名前を漢字表記の「上柳昌彦」に戻して早朝ワイド番組を担当することになった。

秋の改編前までは「うえやなぎまさひこのサプライズ!」(ニッポン放送、2002年9月30日〜2007年9月28日、月〜金8:00-11:00)を担当し、番組のコーナー「10時のちょっといい話」を書籍化した『車いすのパティシエ』(扶桑社、2006年)『母ちゃんダンプ』(扶桑社、2007年)はベストセラーとなった。「10時のちょっといい話」は「8時のGOOD STORY」と名前をかえて新番組でも継続しているが、私の歳では、このテのいい話はまだチョッと照れくさいし、本も買ってはいない。うえやなぎは、「うえやなぎまさひこのサプライズ!」でギャラクシー賞も受賞した。

上柳で想い出すのは、少年時代に聴いていた「HITACHI FAN! FUN! TODAY」(ニッポン放送、1986年4月-1990年3月)。「ヒタチィ〜、ファンファ〜ン、トゥデイ トゥデイ トゥデイ トゥデイ」って、懐かしすぎる。音楽番組を担当するカッコいい声のアナウンサー——どんな男前かと思っていたが、写真を見たのはつい最近になってから(『笑芸人』VOL.14<特集・笑うラジオ>(白夜書房、2004年)での吉田照美×うえやなぎまさひこ×伊集院光の鼎談)。

他に、『ラジオDEパンチ』VOL.01(白夜書房、2005年)の単独インタヴュー、『ラジオDEパンチ』VOL.02(白夜書房、2006年)の野村邦丸(文化放送アナウンサー)との対談でも、上柳の人となりを知ることができる。

伊集院に言わせると上柳の見た目は「人生で一回も悪いことしなかったジャン・レノ」「ちょいイイおやじ」(「伊集院光 日曜日の秘密基地」(TBSラジオ、2006年5月14日(日)13:00-17:00))。また「ニッポン放送で唯一のオレの理解者」とも呼んでいるが、くりぃむしちゅーの有田哲平とゲームをするためにニッポン放送にこっそり訪れた際に本番前の上柳をスタジオに訪ねたが、生放送の準備に忙しくまったく気づいてくれなかった、とか(月曜JUNK「伊集院光 深夜の馬鹿力」(TBSラジオ、2007年10月8日(日)25:00-27:00))。

この9月まで担当した「サプライズ!」は、放送時間帯が私のラジオ聴取時間と合わなかった。しかし偶然、一度だけ聴くことができた。その日は岡村孝子がゲスト出演していた。アルバムなのかライヴなのかは忘れたが、何か音楽活動の告知のためだったと思う。しかし当時の岡村孝子の近況についての一番の話題は、元プロ野球選手の石井浩郎との離婚であった。

想定上のリスナーのニーズは、岡村の離婚の真相であった。そして当然のことだが、うえやなぎはためらいがちにそのニーズを充足する努力をした。離婚の真相として巷間噂されていたのは石井に好意的なストーリーであった。この噂を岡村にぶつけて反応を放送に乗せるのがうえやなぎの仕事だった。岡村は「当事者にしか解らないことがあります」と、静かだが棘のある調子で不快感を隠さなかった。スタジオの凍り付いた空気がこちらにもビリビリと伝わってきた。その時、マイクは単に人の声でなく、空気の振動を伝えるのだと改めて思った。うえやなぎは「もうこの話は聞きませんね」と直ぐに退いた。

番組ホストとしてのうえやなぎのためらいがちな切り出し方からは、人間としての上柳の次のような本音が見隠れしていたように私は感じた——離婚話についての「想定上のリスナーのニーズ」なんてじつは存在しないのではないか、そして何よりも「こんな話は本当は聞きたくはない」。うえやなぎ程のプロフェッショナルであれば「仕事」に徹することなど造作もないはずだが、このときの彼のためらいに、この人は信用できる喋り手だと確認した。

さて、本題の「上柳昌彦 お早うGood Day!」だが、その日の朝のニュースや情報を次つぎに紹介していく早朝ワイド番組の性質上、上柳が自分の意見をじっくり話す時間はあまりない。したがって、「サプライズ!」で前述のようなかたちで上柳の喋り手としての姿勢を知った私としては、ややもの足りない。また、感想や批評の対象にしにくい番組でもある。

ただ、比較すると、ニッポン放送の早朝ワイド番組は、静かだなぁと思う。つまるところBGMの使い方のせいだとは思うが、非常にスペイスィー(spacy)な雰囲気が漂い、時にもの悲しく感じさせることすらある。恭しく朝を迎えるような番組という感じ。それに対して、TBSラジオの「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ,月〜金6:30-8:30)は、情報量が多く慌しい。ラッシュ・アワーの満員電車のサラリーマンの番組という印象か。文化放送の「吉田照美 ソコダイジナトコ」(文化放送、月〜金6:00-8:30)は、とにかく明るい。昼ワイドの雰囲気を早朝に持ち込んだような感じで、それはそれで画期的かもしれない。

朝の電車では、たいていはTBSラジオかエア・チェックしておいた「JUNK」(TBSラジオ)、時どき文化放送という感じだった。しかし、しばらくは「上柳昌彦 お早うGood Day!」を聴いてみようと思う。

ラジオ局のアナウンサーが深夜放送からだんだん早い時間帯へ上がってゆき早朝ワイドの担当になると気になるのが、今後のことである。カメとアンコーの亀渕昭信は現場を離れて社長になり、斉藤安弘は一旦は現場を離れたものの現役の喋り手として活躍中である。放送によると上柳は50歳。定年にはまだまだ早いが、カメとアンコーのどちらの途を選ぶのだろうか。

個人的には後者の途を進んで、週末の夜あたりにゲストとフリー・トークするような番組を長く担当して欲しい。

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