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2007年9月

ヒルズ水島『キミにもできるコミュニティFM』(CQ出版社、2007年)

○ヒルズ水島『キミにもできるコミュニティFM』(CQ出版社、2007年)

本書は、「電波の世界で遊んでみよう」というシリーズの中の1冊で、コミュニティーFMを題材に、「放送局で番組をつくり放送することを疑似体験できる」(p.3)本。

内容の概略は次の通り:前半は、開局への道のり(巻の一)と、放送局の運営(巻のニ)についてページが割かれている。中盤は、コミュニティーFM局の送り手・聴き手へのインタヴューを通じて、ラジオをとりまく人びとの人間的な側面に焦点をあてている。後半は、これからコミュニティーFM開局あるいはラジオの仕事に携わろうという人たちに向けたガイダンス的な内容。

面白かったところ
まず、冒頭には、放送機材・設備の写真がふんだんに掲載されている。これが、ラジオに興味をもつ者にとっては「こんな機械を使ってるんだ〜」という風に単純に愉しい。

次に、著者自身が開局に関わったレインボータウンFMを例にして、設立準備→申請→開局の流れが具体的に示されている。中でも電波混線を理由に一度申請が却下され、もう一度電波調査を行い適切な周波数を見つけて再申請に漕ぎ着けるまでの過程は、今後の開局を志す人たちにとっては非常に参考になりそうだ。この一連の過程は、プロジェクトなんとかみたいでストーリーとしても読んでいて面白い。

また、この本の良い点は、冒頭の写真以外にも図版が非常に豊富で、実際の開局申請書や添付書類の写真なども見ることができる。それらが、ある時は資料として、またあるときは適度な箸休めとして読み手を愉しませてくれる。

欲を言えば、巻末付録にコミュニティFMやミニFMなどに関係する法律を資料として掲載してほしかった。

機材よりもコンテンツ志向のラジオ・ファンである文系の私にも、充分愉しめる内容でした。 ラジオ好きの人であればとにかく愉しめる内容のはず。

そう言えば、足立区でコミュニティーFM開局の準備が進められているという話を以前に聞いたが、今はどうなっているのだろうか。足立区民ではないものの、開局されればウチも可聴地域に入るはずなので期待していたのだが。

長い蛇足
この本の本題ではないところに、気になる記述が。この本のなかで、ミニFM(放送免許なしでも開局できるラジオ局)についても話題に上がるのだが、ミニFM局を開設しようとする人を悩ませる「微弱電波」について、具体的な記述がある。これはためになった:

一般的なロッド・アンテナを伸ばしたFMラジオで受信する場合、微弱電波の規定で送信電波が届く範囲は、およそ70cm〜1m強までとなります。受信に使うFMラジオやアンテナの設置条件にもよりますが、それでも現在の規定では10mの距離に到達させるのが精一杯というところでしょう。(p.87)

今までに見た説明は、「無免許で送信できる「微弱電波」とは○×mの地点で○×μVの電波云々」というのがほとんどだった——文系のオレにそんなもん解るかぃ、ボケぇ! 私が求めていたのは、つまるところ、「○×mまでなら無免許で電波を飛ばしていい」という説明の仕方だったのだが、それを見たのは今回が初めて。もちろん受信機や受信地・送信所の周辺の環境によって差が出るのは知っているが、やっぱりこういう風に言ってくれないと。

この説明によれば、無免許ではカー・ステレオなどで使うFMトランスミッターが精ぜいというところだろう。私はコロナ電業というメーカーのTelster TR-10RDXというトランスミッター所有しているが、実質的には合法的に使えるのはこのテの普通の市販品ということになるだろうか。でも、私が今まで聴きに行ったミニFM局は、もっと遠くまで電波を飛ばしているような気がするが。

それと「電波の世界で遊んでみよう」シリーズでウェブラジオFMC種田守倖氏(ParaTのほうが通りがいいかな)あたりを起用して『キミにもできるミニFM』とか『キミにもできるウェブラジオ』とかを出してくれないかなぁと希望。

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ELPA ER-21T(ELPA 朝日電器株式会社)

○ ELPA ER-21T(ELPA 朝日電器株式会社)

ビックカメラ池袋店で2,480円で購入したAM・FM・SWが受信可能な12バンド対応ラジオ。

このテの短波も聴くことのできる安価なラジオはその場に3種類あった。ひとつは、『ラジオマニア2007』(三才ブックス、2007年)の「AMラジオ遠距離受信大実験!!」で使用され低評価のRAD-S311N(オーム電気)、もうひとつはELPAのアナログ表示のラジオER-20T。私がELPA ER-21Tを選んだのは単に表示がデジタルだったから。チューナー自体はアナログなのだが、私のような素人には表示がデジタルだというだけでも充分ありがたい。

時刻設定の入力方法が独特。ボタンを押したときのクリック感が硬くイマイチ気持ちよくない。そういえば、以前に東急ハンズ池袋店で買ったANDOのAR1-286Sも同様の設定方法だった。

それに「スヌーズ」ボタンについて、マニュアルに説明がない。「何に使うの?」と疑問を抱きつつ、「スヌーズ」(snooze)だから「おやすみみタイマー」と何か関係あるのかと思いいろいろいじっていると、アラーム作動時に「スヌーズ」ボタンを押すと一旦電源がOFFになり、数分後に再度作動するようです。有り体に言えば「二度寝機能」のような感じ。

気に入った点は、見た目がそれほど貧乏くさくないところ。また、液晶画面のライトはバック・ライトではないが、点灯したあとフェイド・アウトしつつ自動で消えるところ(電池が無駄にならないところがいい)。そして、なんと言っても、ダイヤル表示がデジタルなので私のような素人にも安心というところ。

さて、いちばんの注目の受信感度だが、中波については先日、荒川土手から「サイキック青年団」(ABCラジオ、日25:00ー26:45)を無事受信した

今回は短波放送についてチェックしてみた。

ちなみに、マニュアルおよびラジオ本体の背面の記載によると、短波は10バンド、3850〜21850kHzをカヴァーしているとされているが、実際にダイヤルを回すと3660〜22105kHzが、5kHzステップで選局できる。

受信感度については口で説明してもわかりづらいし、素人の私には適切なSINPOコードの表記ができる自信もないので、録音したサンプルを以下にいくつかご紹介しよう。以下の音源は、コンテンツの複製を目的としたものではなく、受信状況の目安を示すことを目的として任意の時刻にそれぞれ任意の時間録音したものである(どこの放送局か判る程度の長さが目安)。従って、内容的に区切りの悪いところで始まり、区切りの悪いところで終わっている。つまり、コンテンツとしては愉しめない音源となっているのでそのつもりで。

調査方法概要:

受信日時:2007年9月24日(時刻は下記参照)
受信地:東京23区北部(地面の海抜が1m前後の住宅地)の室内
受信方法:ロッド・アンテナにリード線をつないで、もう一端をコンセントの片方の穴に差し込んだ状態で受信
録音方法:ER-21T(ELPA)で受信した音声をTalkMaster(サン電子)にライン入力して録音
参考サイト
時間別 英語放送周波数一覧[A07](kay2さん作成)
Web2.0上最強(笑)の海外日本語放送スケジュール(IWATAさん作成)

受信結果:

○ドイチェ・ヴェレ(英語) 19:01JST 15340kHz
 ダウンロード 200709241901.mp3 (118.0K)

○BBC World Service 19:11JST 15360kHz
 ダウンロード 200709241911.mp3 (274.0K)

○ドイチェ・ヴェレ(ドイツ語) 19:40JST 7355kHz(?)
 ダウンロード 200709241940.mp3 (118.5K)

○台湾国際放送 20:18JST 9735kHz
 ダウンロード 200709242018.mp3 (118.0K)

○中国国際放送 20:21JST 7190kHz
 ダウンロード 200709242021.mp3 (118.0K)

○朝鮮の声 20:31JST 11865kHz
 ダウンロード 200709242031.mp3 (118.5K)

※後に、録音時刻が数秒ズレている可能性が判明。従って、時刻はあくまでも目安ということで。

その他雑感
KBSワールドラジオ(韓国国際放送)は少しだけ聴こえたが(韓国のラーメンは出汁が云々という話をしていた)、今回はほぼ聴こえず。また、最近モンゴルが何かと話題なので、モンゴルの声が聴こえればと思ったが、ダメだった。Voice of America は放送していない時間帯だった(?)ようで、またいずれ。9月23日には、BBC World Service が窓際でロッド・アンテナを伸ばしただけで聴こえた(安倍晋三首相辞任などを報じていた)。

さて、いちばん聴きたかったBBC World Service が聴こえただけで充分なのだが、上の受信結果から判断するに、2,480円でこれだけ聴こえれば、ELPA ER-21Tはそれほど悪くないのではないかと思う。試しに短波放送を聴いてみたいけどSONY製品は高いし、という私のような素人が買ってみるのにちょうどいいかもしれない。

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伊集院光 日曜日の秘密基地(TBSラジオ、2007年9月16日(日)13:00-17:00)

「伊集院光 日曜日の秘密基地」(TBSラジオ、2007年9月16日(日)13:00-17:00)

この日の「秘密基地VIPルーム」のゲストは萩本欽一。

「大竹まこと ゴールデンラジオ!」(文化放送、2007年7月23日(月)13:00-15:30)にもゲストとして登場したので、その時の話を思い返しつつ聴いた。

その時についてのエントリーはこちら:

「大竹まこと ゴールデンラジオ!」(文化放送、2007年7月23日(月)13:00-15:30)

番組の前半の一部は、以前にゲスト出演した坂上二郎の発言(2005年1月30日(日)放送)の真偽を確認するというスタイルで進行したせいで、既に聴いた内容だった。例えば、二郎さんに練習させなかった話や、二郎さんとは個人的にはつきあわないという話、当時は専門職として芸人よりも地位の高かったカメラマンがコント55号の動きの激しい笑いを撮るのを渋るのに対して「野球のホームランを追えるんだから、追えるはずだろう」と言って撮らせた話など。この新しいカメラ・ワークの前後で笑いの質が変わったとのこと(手塚治虫の映画的なコマ割りの登場で漫画が変わったのと似ている、というのが私の個人的な感想)。「ちょっと遅れてるからアドリブなんだ、そこを撮る」(萩本)――ちょっとずらして撮るからこそアドリブの映像が成立するというのもなるほどという感じ。

また、予想はしていたが、「大竹まこと ゴールデンラジオ!」(文化放送、2007年7月23日(月)13:00-15:30)と重複する内容が多かった。例えば、苦手な仕事に運があるという話。具体的には、苦手な司会を引き受けているうちに、「日本で初めての前へ進まない司会」(萩本)がウケた話。「はい、次のチーム——誰だっけ?」——そういえば、萩本がいかにも使いそうな言い回しだなぁと思った。これに関して今回新しく出た興味深い話としては、

萩本 それで日本で初めてよ、前へ進まないんでアシスタントの女性が入ったのは。

真偽は判らないが、本当なら面白い。

もうひとつ面白かったのは、二郎さんの提案で結成されたコント55号だが、ネタづくりは完全に萩本に一任され、坂上は一切参加しないことになっており、

萩本 だから、二郎さんが舞台出てから一気に燃えるわけよ、その分取り返そうとして。出来上がると半分半分なの。

とのこと。

また、コント55号は解散したわけでなく、萩本は3年か5年に一回坂上に声をかけてお笑いをやるとのこと。それにちなんだ話として

萩本 でも50ん時にねぇ二郎さん呼んだ時にねぇ、「やろう」って言った時、楽屋でひと言ったのが泣けたもん俺。
伊集院 なんですって?
萩本 「俺、欽ちゃんと別べつにやって、笑いやったことない。やっぱり俺、欽ちゃんいねぇと[お客が]笑わないんだなぁ」つったら、俺、涙出ちゃって。
伊集院 へぇ〜、すごいなぁ。やっぱり二郎さんの中でも一番充実してんのは、やっぱり欽ちゃんと一緒の55号のときなんですねぇ。
萩本 俺ホントに楽屋で涙ポロっと流しちゃって。俺だから言ったの、「坂上二郎の、俺、葬式では泣くぜ」って言ったら、「あの言っとくけど、そっちが先死ぬから」って。

今回の伊集院の切り口は、お笑い芸人の後輩として話を伺う、というオーソドックスなものだった。「ゴールデンラジオ」の大竹の印象的な切り出し方に比べればごく普通だった:

大竹 欽ちゃん、ちょっと説教しようと思って。
萩本 おぉ、面白いね。
大竹 「面白いね」じゃなくて、ちょっと真面目に聞いて下さいよ。あのね、近ごろテレビ出てるね、芸人さん、全部、なんか修行が足りない。思いますでしょ?
萩本 そうそうそう。
大竹 修行、足りないでしょ?
萩本 最近ね。
[……]
大竹 若い奴、素人みたいで、修行が足りない。そこら辺の人が出てきて面白い話ししてるみたい。この元をつくったのは、だれ・なん・だ、と。 
萩本 なるほどなぁ。
大竹 コラコラコラ、と。
萩本 俺か?(笑)
「大竹まこと ゴールデンラジオ!」(文化放送、2007年7月23日(月)13:00-15:30)

しかし、大竹が、萩本欽一を分水嶺としたお笑いの流れをマクロに概観したのに対して、伊集院はコント55号に重点を起きつつ、もち時間が長いという利も生かして比較的細かく話を聴いていた。ふたつ合せて萩本欽一と日本のお笑いが良く解る内容を成している。こうやって聴くと、日本のお笑い界における萩本欽一は、ジャズ界におけるマイルス・デイヴィスのような存在なのかな、などとも感じた。

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誠のサイキック青年団(ABCラジオ、2007年9月16日(日)25:00-26:45)

○「誠のサイキック青年団」(ABCラジオ、2007年9月16日(日)25:00-26:45)

まずは、りょうさん、良かったですね。

さて、今日はループ・アンテナをつくるための材料を買いに出かけ、ひと通り揃えたが、アンテナのコイルの巻数が判らず、結局、製作には至らず。何となく池袋に寄って本を見たあと、ビックカメラにも寄ってBCLラジオを見た。やっぱりラジオは値段も品揃えも秋葉原が充実している。吊しの安いラジオのコーナーに\2,480でAM・FM・短波が聴けるラジオを売っていた。勢いで購入。

ELPA という聞いたことのないメーカーのER-21Tという型番。チューナーの画面は液晶でデジタル表示だが、たぶんチューナ自体はアナログの模様。なかなかピタリと狙った周波数に合わず、しばらく行ったり来たりしてしまう。チューナーの操作性はあまりよくない。液晶画面のライトは、灯けた後だんだんフェイド・アウトするようになている。

結局今日も荒川土手で聴くことに。せっかくなのでELPA ER-21Tも持って出かける。

いつも通りでは芸がないと思い、途中のコンビニで飲み物などを買ってアメニティーの向上を図る。土手につくと、夏草がもさもさと茂っている。足で草を踏みならして、まずは巣作りから。寝っ転がると草のなかにすっぽり体が隠れる。今日も西から東へ吹く風が強い。雲のほとんどない漆黒の空。見上げると右の地平線近くにオリオン座が見えた。

やたら土手の下の道や対岸を原チャリの少年たちが通るなぁ、と思ったら、月曜も敬老の日で休みだ。

この日の受信は非常に安定していた。ELPA ER-21Tの感度は、いつも使っているTalkMasterと同等かそれよりやや上。「サイキック」を聴くには問題ない。イヤーフォンは疲れるので、今日はELPA ER-21Tのスピーカーで聴取。聴こえ方はこんな感じ:

◯TalkMasterで受信した音声
ダウンロード 200709162609.mp3 (19.5K)
(内臓マイクで録音、ヴォリュームがちょっと小さい)

◯ELPA ER-21Tで受信した音声
ダウンロード 200709162610.mp3 (23.5K)
(TalkMasterのマイクで録音、ノイズは風の音)

この日の放送は、全体的に昭和のエロを感じさせる内容。安定した面白さではあったが、「コレだ」という感じの話がなかなかなかった。

ただ、番組の一番最後に、先週の冒頭で取り上げられた山口県光市母子殺害事件の話題について再度語られたときは、思わず聴き入ってしまった。経緯としては、まず先週、竹内義和が被告である元少年の弁護団について批判的な論調でとりあげ、刑事裁判の問題点、弁護士の弁護活動の問題点などをアニキなりに論じた。その後、酔いどれ会社員さんのウェブサイトの掲示板でりょうさんという方が、ご自身の立場を書き込まれたところ、鉄さんという方がアニキも反論は歓迎するということで番組にメールを出してはどうかと促した。そのメールが読まれたのだ。

「サイキック」はちゃんと反論に応じるんだなぁ、と驚いた。アニキの話によれば、りょうさんのメールは長文の力作だったようで、想像するにデータなども充実した論理的な構成の、正当な反論としての形式と内容を備えたものだったのだろう。だからこそ応答がなされたのだと思う。りょうさんを満足させる解答だったかは判らないが、それにしても、東京の番組でこんなことがあるかどうか考えると、やや疑問。東京と大阪の差というよりは番組の個性の問題だとは思うが、こういうアツいのはナンか好きだ。

どうせ明日も休みだと思うと、すぐには帰りたくなくなった。荒川を渡って左岸(郊外側)を北上。途中、停車したビッグ・スクーターにまたがったカップルの女のほうが、急に何か羽織ってこちらに背を向けた。男が女を脱がせて乳でも吸ってたんだろうか? ジロジロ見るようなことはせず通過。紳士だな、オレ。新岩渕水門(青水門)の対岸あたりで寝っころがる。今度はオリオン座が左手に見える。相変わらず強い風、遠い空の闇の底、ラジオの音——「こんな時間がずっと続けばいいのに」とやや現実逃避気味。

AMは「ラジオ深夜便」(NHK第一、日〜土23:00ー5:00)しかやっていないので、仕方なくFMで選局。NACK5bayfmで人の声がしたのでウロウロしつつ、結局NACK5に落ち着く。パーソナリティーのがDragon Ashについて熱く語っていた。高校時代に「陽はまたのぼりくりかえす」がヒットしていたと言っていたので、20代中盤から後半ぐらいか? 他に、イタリア南部や中国・台湾ではコーヒーにレモンを浮かべた「レモン・コーヒー」というのが飲まれている、みたいな話もしていた。帰ったらやってみよう。

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伊集院光 日曜日の秘密基地(TBSラジオ、2007年9月9日(日)13:00-17:00)

○「伊集院光 日曜日の秘密基地」(TBSラジオ、2007年9月9日(日)13:00-17:00)

それにしてもオープニングでの竹内香苗アナは、いつになくとばしていた。「自分を小者だと思う時」というFAX・メールのテーマについて:

伊集院 あるの小者感?

竹内 あ〜ります、いっぱいありますけど、なかでも、ものすごく私は自分で「私は小者でイカンなぁ」と思うのが、彼氏とかができたりするじゃないですか? 中学校・高校・大学生・社会人と。かならず私は前の彼女問題で小者だなぁと思うんです。

伊集院 え? どういうこと、どういうこと?

竹内 なんか、前の彼女が気になって気になってしょうがないの!

伊集院 それは、その、何? 会話のなかに——例えばその前の彼女から、そのぅ、電話が掛かってきたりとか、そういうことじゃなくて?

竹内 じゃなくて!

伊集院 ナンもないのに?

竹内 例えば、じゃぁ、例えば、「今度、ディズニーランド行こっか?」って話したとするじゃないですか、そうすると彼氏が「ディズニーランド、あそこ最近さぁ、ミッキーがサインしてくれるんだよね」って言ったるすると、「え? 誰と行ったわけ?」みたいな話になって、「前の彼女」って言うと、あぁ、前の彼女と、そんなディズニーランド行って楽しいことがあって、こういうことがあってって思って、私イジケるんですよ、私。

伊集院 それは言えんの? その彼氏だったら彼氏の人に、そのぅ、前の——「どうせアレでしょ? 前の彼女と一回行ってんでしょ?」とか。例えば「ナニナニ温泉ってイイらしいぜ」とか言うわれると——

竹内 そう、そう、そう、そう。アハハハハ……。

伊集院 あのさぁ、さっき気ィ遣ってさぁ、小学校・中学校・高校とか言ってたけどさ、リアルタイム、社会人の話じゃん、それ間違いなく。あんまり高校生がさぁ、「お前、温泉行こうゼ」って言わねぇだろ、どう考えたって。

こんなことまで普通に喋ってくれる、うえやなぎまさひこ(ニッポン放送)言うところの「ヴェールがない」ところが竹内アナの魅力といえば魅力だが、こんなにぶっちゃけて大丈夫かと要らぬ心配などしてみたりする。そのワリには「竹内アナ、恋人発覚!」みたいな噂を聞かない気がする。単に私が世情に疎いだけなのだろうか。

このブログ内での竹内アナの話題
伊集院光 日曜日の秘密基地(TBSラジオ、2007年8月4日(日)13:00-17:00)

竹内アナ応援サイト
竹内香苗アナ(TBS)勝手に応援?ブログ
ラジオ発!TBS女子アナを応援しよっカナっと
ほぼ週刊竹内香苗のススメ

その他
竹内香苗「“女童貞”青春期」の話
伊集院光+竹内香苗「豊胸手術」の話
伊集院光「俺は竹内香苗ちゃんが大好きだから」

さて、VIPルームのゲストはスピード・スケート選手の岡崎朋美だった。トップ・アスリートがゲストということもあって、基本的にはこの間のスペシャル・ウィークの「世界陸上開幕!伊集院光日曜日の秘密基地 2番手が世陸を面白くするスペシャル!」(TBSラジオ、2007年8月26日(日)13:00-17:00)と同じアプローチの伊集院だったが、今回は自分自身を「スポーツとは逆ベクトルにいる人間」「へこたれ派」と位置づけて岡崎との対比を出していた。

前回は伊集院がアスリートとリスナーの間に入って、アスリートの経験を伊集院なりに「翻訳」してリスナーに伝えるという感じだったので、アスリートよりも伊集院の言葉の印象のほうが強く残ってしまった。しかし今回は、「トップアスリート」と「へこたれ派」という対比がはっきりしていたので、このふたつを両極にしてその間のどこかに自分を位置づけつつ両方の言葉を交互に聴く感じで、聴きやすかった。

岡崎は、オリンピック4回連続出場という超人的な選手ながら、気負いも衒いもない語り口はごくふつうの女子という感じだった。

そして、次回のVIPルームのゲストは萩本欽一。「大竹まこと ゴールデンラジオ!」(文化放送、2007年7月23日(月)13:00-15:30)の「大竹メインディシュ」での、萩本と大竹の対談は本当に絶妙だった。伊集院は萩本にどう応じるのかが愉しみだ。

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誠のサイキック青年団(ABCラジオ、2007年9月9日(日)25:00ー26:45)

○「誠のサイキック青年団」(ABCラジオ、2007年9月9日(日)25:00ー26:45)

※2007年9月17日(月)、一部加筆。

先週聴き逃したので、今週は忘れぬよう時間までに荒川土手のいつもの場所で待機。こうやって「サイキック」を聴くための土手に上る生活をしていると、東京の日曜深夜は晴れの日が多いことに気づく。先週は台風が東京を直撃したが、日曜日には通過していた。

秋に入ると雨の日も出てくるだろうから、家で聴けるような対策をそろそろ講じたほうがよさそうだ。『ラジオマニア 2007』(三才ブックス、2007年)によると、SONYのICF-EX5が「中波受信最強機種」だそうだ。コレでウチからもABCラジオが受信できるのだろうか? 定価\15,900のラジオ受信機はさすがに高価なので、まずは自作ループ・アンテナを試すか? などと自問自答。


SONY ICF-EX5

その日はいつにもまして風が強く、西から東へ物凄い速さで雲が流れてゆく。時おり錯視で星が東から西へ流れているように見える。

今日はなぜかフェイジングと韓国の放送の混信がひどい。いつもほど安定して聴取できない。ちなみに、キレイに聴こえたときはこんな感じで良好なのだが:

○ダウンロード 200709092546.mp3 (21.5K)

さて、番組はといえば、最初の弁護士の話はなかなか強烈だった。弁護士が弁護活動において保護されるのは解る(とりわけ刑事事件の場合は国民の代理人として国家(行政)と争うことになるわけだし、新憲法下ではなおさら保護された立場になるだろう)が、それが特権化して聖域を成しているということなのだろう。労働組合とか部落解放同盟なんかの最近の話もきっと、構造としてはこれとパラレルな例なのだろう。個人の権利の守護者は絶対に必要だと思うのだが、正義の顔をして人の期待を裏切るようなことをされると切ない。

番組は思いがけずロー・ライズ、スキニーなどファッション話へと展開、ファッション・リーダーの不在という話の中の「最近、中島美嘉見たけどさぁ、マリリン・マンソンみたいになってる」には大爆笑。土手で独りで大声で笑っているヤツ——いつ通報されてもおかしくない。

講談社VOCE編集部[編]『紀香バディ!』(講談社、2007年)が売れているという話題の中で、『紀香魂』はまったく面白くない(しそれ程売れていないとも言っていたかな?※)という感想は、よく言ってくれたと思う。ご祝儀のつもりなのか、あるいは大人の事情か圧力か、藤原紀香『紀香魂』(幻冬舎、2007年)がやたらと持ち上げられていた時期があったが、たぶん大したことはないだろうとは踏んでいた。他方、『紀香バディ!』が飛ぶように売れているということは、人びとが藤原紀香に求めているのは外見であって中身ではないという事実を残酷にも剔抉してしまっている。藤原紀香は決して感じは悪くないし善い人そうだが、有り体に言えば、商品「藤原紀香」の価値は「顔とスタイルの女」ということなんだなぁ、としみじみ感じた。

※この部分は私の勘違いだった模様。teardropさんのご指摘では、「紀香魂はそれなりに売れたんじゃないの印税1000万分を寄付したみたいだから」とのこと(下記、コメント欄参照)。印税1000万円を寄付ということは、寄付分だけを考えても少なくとも売り上げで1億円、部数では5万9000部近くは売り上げていることになる。売り上げ全体はもっと多いはず。
足なが紀香、著書でカンボジアの子供たちへ寄付(スポーツニッポン、2007年9月11日)

サイキックでも『新劇場版ヱヴァンゲリヲン』が話題になっていた。「ヤシマ作戦を見るために行ったとしてもいいぐらい」「予告編は度胆を抜かれる」など概ね高評価。ところで、「ヤシマ作戦」って、近隣から電力を集めて「ハイテク元気玉」みたいなのを撃つアレのこと? 予想以上のカネが入ったガイナックス社長は人が変わった→社長が補完された→シト不明金という一連の流れはよくできていて可笑しかった。宮台×竹熊のTBSラジオのヤツもワリかし面白かったが、こんな感じで時どき茶化して箸休めさせてくれないと聴いていてドッと疲れる。

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『ラジオマニア 2007』(三才ブックス、2007年)

○『ラジオマニア 2007』(三才ブックス、2007年)

書店で偶然見つけて購入。昨年の『ラジオマニア』(三才ブックス、2006年)に続く第二弾。三才ブックスの月刊誌『ラジオライフ』のラジオ関連の話題を前面に押し出した感じのつくり。無線や電子工作に必ずしも強くない私のようなラジオ・ファンにとっては、リスナー志向の待望の情報誌(厳密にはムック)。番組改編にあわせて年2回発行されている『ラジオ番組表』(三才ブックス)の読み物の比率が下がってきたのを補うのにもちょうど良い。税込み\1,260。

ちなみに、前号の『ラジオマニア』(三才ブックス、2006年)の記事でいちばん面白かったのは「コミュニティFM ラジオ番組の作り方」。FMさがみに番組提供している 制作会社、Blueberry Project に取材して番組づくりの一連の流れが紹介されている。番組企画書の書き方までわかる。

それでは、最新号に該たる『ラジオマニア 2007』(三才ブックス、2007年)の内容を一部紹介。

宮川賢のラジオいぢり
まず、白眉だったのは「宮川賢のラジオいぢり」。東京圏では「X-Radio バツラジ」(TBSラジオ、月〜金24:00-25:00)「サタデー大人天国!宮川賢のパカパカ行進曲!!」(TBSラジオ、土15:00ー17:00)でお馴染みの宮川賢が、各局の編成を斬るという内容。

ラジオ好き(聴くほうも)で知られる宮川は、本人も「意外なことだと思いますけど」と言うように、FMの話題からスタート。bayfmの女性パーソナリティー発掘の妙を評価。門脇知子(残念ながら私は聴いたことがない)に言及しつつ語った言葉が印象的だった。

「ボクは個人的にお喋りな女性が好きなんですね。そしてその考え方に触れるっていうのが興味深い」

「とくに自由度の高いオープニングトークに注目してたりするんですけど。これってエッセイみたいなものだと思うんです。」
『ラジオマニア 2007』(三才ブックス、2007年)p.10

自分が日ごろ感じていたことを見事に代弁してくれて痛快だ。FMに限らず、すべてのトーク・ラジオを愉しむ真髄のようなお言葉。

ほかに印象的だったのは:

まぁ『オールナイトニッポン』ですよね。中でも『ナイナイのANN』は”牙城”と言う感じ。[……]現在は”尻に火”ですよね。アンタッチャブルの『JUNK』が猛追していますから
『ラジオマニア 2007』(三才ブックス、2007年)pp.13-14

以前このブログで、ナインティナインとアンタッチャブルの聴き比べみたいなことをしたとき、私はアンタッチャブル寄りの結論を出したが、やはり「猛追」中なのかと、またもや納得。

ちなみにその聴き比べとはこのこと:

木曜JUNK「アンタッチャブルのシカゴマンゴ」(TBSラジオ、2007年7月5日(木)25:00-27:00)——「JUNK」「JUNK2」勝手に面白率調査(7)
ナインティナインのオールナイトニッポン(ニッポン放送、2007年7月19日(木)25:00-27:00)

他に、この春のTBSラジオの土曜の夜の大改編については、

どこの局でもそうだと思うんですけど、調子の良い時って、変えるのは土日しかない。しかも土日でも浅い時間はワイド大物がたくさんいるし。
『ラジオマニア 2007』(三才ブックス、2007年)p.14

「そういうことなのかぁ」と、内部事情を少し知った気分で嬉しい。

土曜大改編に絡めて小池栄子の『オンテナ』(TBSラジオ、2005年4月11日〜2007年3月31日、土26:00-28:00)に言及している。「誰でも顔を知っている美人」(p.14)かどうか評価は分かれると思うが,「一生懸命喋っているところが伝わって来て、綺麗な作文の朗読を聴いているような心地よさがありましたよね〜」(p.14)という点に関しては納得させられる経験がある。

去年の夏、京王線沿線で友人と飲んで新宿経由で帰ろうとしたとき、遅い時間で電車が空いていたので席に座ったが最後、眠ってしまい、気が付いたら反対方向の終点、橋本駅で「終電です」とのアナウンスを聴くはめに。「オレ、いったい何往復したんだろ?」と思いながら仕方なく駅を出てバス乗り場のベンチで夜明かし。そのとき携帯ラジオをつけたらやっていたのが『オンテナ』。聴いたのはこの一回きりだったが、酔ってグッタリしていたせいもあって心地いいのなんのって。別に小池栄子に興味はなかったけれど、うかつにも癒されそうになった夏の夜でした。

それはさておき、宮川のインタヴューは、ラジオ・ファンなら思わず納得の、正鵠を射た分析が随所にちりばめられた充実の内容。こういう風に聴けたらラジオが数倍愉しくなること請け合い。宮川のこのインタヴューを読むためだけに『ラジオマニア 2007』(三才ブックス、2007年)を買っても損がないと言えるほど。

実録 BCLラジオをヤフオクで安く落札してみた!
実は最近BCLラジオに興味をもっている。70年代から80年代に大ブームになったAM/FM/SWが受信可能な、AMラジオの遠距離受信や短波の国際放送の受信に適した高性能ラジオ——という説明でいいのだろうか。ピンとこない方は、このページをご覧頂ければ感じはつかめると思う。私は、機能というよりもメカっぽい外観に心躍らせているだけのなだが。

この記事は、Yahoo!オークションで実際にBCLラジオを落札する流れをレポートしている。落札のさいのリスクなどについても丁寧に説明されていて、非常に勉強になる。

全国AMラジオ番組欄
全体の約3分の1を占めている全国のラジオ局のデータ。このテのコンテンツは、各局の概要(コールサイン、出力、etc.)に数本の番組紹介が普通だが、何とこの号は「全国AMラジオ番組欄」と銘打って、タイムテーブルが載っている。なかなか便利だが、掲載されているのはナイター・シーズンの番組表で、改編直前なので有効期限が短すぎるのが残念。

巻末には、「次号の予定などは未定ですが、1年に1度は必ず発行しますのでお楽しみに!」という力強いお言葉。『ラジオDEパンチ』(白夜書房)は年2回の発行を宣言していたが、2005年から今日まで2号しか発行されておらず、最新号の vol.2 からすでに1年半が経過している。二の舞いにならぬことを祈る。

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まとめ(3)「急」:ヱヴァンゲリヲン新劇場版公開記念 深夜の緊急対談(TBSラジオ、2007年9月2日(日)25:40-28:00)

○「ヱヴァンゲリヲン新劇場版公開記念 深夜の緊急対談」(TBSラジオ、2007年9月2日(日)25:40-28:00)

「ヱヴァンゲリヲン新劇場版公開記念 深夜の緊急対談」(TBSラジオ、2007年9月2日(日)25:40-28:00)についての先日のエントリーにアクセスが思いのほか多かったので、需要があると見込み、放送内容のまとめノートを公開します。

個人的な関心などによってメモ内容に濃淡があるので、悪しからず。

なお、放送内容は現在、「文化系トークラジオ Life」のサイトでも聴くことが出来る。出演は、宮台真司新井麻希(TBSアナウンサー)

※深夜の緊急対談:序をダウンロードする ( mp3 42'20'')
※深夜の緊急対談:破をダウンロードする ( mp3 43'04'')
※深夜の緊急対談:急をダウンロードする ( mp3 38'56'')


新劇場版について

庵野の声明文

竹熊
映像的クオリティは最高だが、話としてはテレビ版6話のなぞりなので、今後の展開は未詳。
ガイナックスを離れ新会社を設立 →制作だけでなく配給も担当、万全の制作体制
何故いまさら『エヴァ』なのか?
 決意表明に嘘は感じられないので誠実に制作するだろう。
 大人の事情が作品に表れたら許さん。
宮台
新劇場版に垣間見られる「迷走」
∵平穏無事な日常の終焉
◇95年(オウム後)
 『終わりなき日常を生きろ』
 人間的な欲望の範囲内で生きることの肯定 cf. 援交少女
◆現代
 それだけでは幸福になれないという意識
◇エデンの楽園
 「知恵の実」「生命の樹」獲得以前の、動物状態
◆脱自的存在としての人間
 欲望に向き合うだけ、 超越の否定・内在の肯定だけでは不十分
◇映画の観客:泣けて笑えればそれでいい
◆映画批評家:「ただのコピペじゃないか」、欲望に向き合うだけでいいのか?cf. 「夏エヴァ」の庵野
→新劇場版は、欲望の肯定だけでは不十分じゃないか?という問に答えるものでなければアナクロになる。
竹熊
説教だけでは不十分
→完結した作品として語るに足るものになればいい。
 当時の異常な高揚感はないかもしれないが、アニメとしての出来はよい。
竹熊、『寄生獣』『ドラゴンヘッド』『20世紀少年』
 90年代:『デビルマン』『漂流教室』の反復の始まりと失敗
 =オウム事件→漫画家・劇作家(飴屋法水)の挫折
 この時代と『エヴァ』の偶然のシンクロ
宮台
宮沢章夫 も挫折
∵フィクションの想像力を現実が凌駕
 現実に拮抗せんとした特異な作家としての庵野
竹熊
オウムはサブカルの負の側面の凝縮
宮台
『デビルマン』
天空における超人たちの血塗の争いによる日常性の維持
=『エヴァ』的な神学的世界観と「終わりなき日常」の同居
 cf. 『童夢』=『デビルマン』的モチーフの反復の希有な例
庵野=『エヴァ』的大世界から等身大の小世界への傾斜
内在系/超越系のうねり
現状への不満(「知恵の実」)に続く可能性:
・全能を目指す者が出てくるので「知恵の実」を食べるのはヤバい
・「知恵の実」を食ったヤツが救済されるにはどうすればいいか
・ロボトミーで知恵を奪えば楽になる
・徹底して全能を目指す
→庵野的問は終わっていない。しかし、10年前の答え方では不十分

メール(リスナー)
序盤は退屈だが、後半はスゴい。映像のクオリティー、テンションの高さ。
宮台
構図・レイアウト・色指定・CGなど、映像のクオリティーは上がっている。
作品における魂の入れ方が問題。
竹熊
続編を見ないと判らない。「ハイ・クオリティーな予告編」
宮台
アニメの神学的色彩
『テビルマン』『火の鳥』
→『エヴァ』で決着したと考えるのは早い。
 問いは終わっておらず、時代に合った解答への需要はなくなっていない。
 内在/超越の二項対立では済まなくなっている。
 =超越も人間の性(内在)だ。eg.宗教的原理主義への批判・相対化
竹熊
例えば、ゼーレが使徒を派遣しているかも知れないという疑い。
→裏のつながりが建て前で隠ぺいできない現実
宮台
二項図式の崩壊
 cf.内在/超越、右/左、先進/後進、自然/文明
 二項対立を超える(「知恵の実」を食う)存在としての人間
『エヴァ』には、この現実に追い付き、追いこしてほしいという期待
竹熊
庵野に勇気をもらった:
サブカル世代の病としての諦め
⇔庵野:コピーであっても魂を込めるんだ
『エヴァ』に匹敵する表現の不在
→もう一度『エヴァ』をつくることで決着をつける。
宮台
事件としての『エヴァ』
人びとに胸騒ぎを与える作品をつくった人がいたという事実を知るべき
しかし、12年前の方法では現在のわれわれは勇気づけられない。
庵野自身の内省に期待。

まとめ(1)「序」:ヱヴァンゲリヲン新劇場版公開記念 深夜の緊急対談(TBSラジオ、2007年9月2日(日)25:40-28:00
まとめ(2)「破」:ヱヴァンゲリヲン新劇場版公開記念 深夜の緊急対談(TBSラジオ、2007年9月2日(日)25:40-28:00)
まとめ(3)「急」:ヱヴァンゲリヲン新劇場版公開記念 深夜の緊急対談(TBSラジオ、2007年9月2日(日)25:40-28:00)

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まとめ(2)「破」:ヱヴァンゲリヲン新劇場版公開記念 深夜の緊急対談(TBSラジオ、2007年9月2日(日)25:40-28:00)

○「ヱヴァンゲリヲン新劇場版公開記念 深夜の緊急対談」(TBSラジオ、2007年9月2日(日)25:40-28:00)

「ヱヴァンゲリヲン新劇場版公開記念 深夜の緊急対談」(TBSラジオ、2007年9月2日(日)25:40-28:00)についての先日のエントリーにアクセスが思いのほか多かったので、需要があると見込み、放送内容のまとめノートを公開します。

個人的な関心などによってメモ内容に濃淡があるので、悪しからず。

なお、放送内容は現在、「文化系トークラジオ Life」のサイトでも聴くことが出来る。出演は、竹熊健太郎宮台真司新井麻希(TBSアナウンサー)

※深夜の緊急対談:序をダウンロードする ( mp3 42'20'')
※深夜の緊急対談:破をダウンロードする ( mp3 43'04'')
※深夜の緊急対談:急をダウンロードする ( mp3 38'56'')


エヴァ以降

宮台
「人類補完計画」とは?
罰・酬いとしての孤独な個人の疎外という不完全状況を贖罪などの手続きにより脱出。
cf. アーサー・C・クラーク『幼年期の終わり』
・当時、共産主義思想の体現として批判される。
・心がつながった新人類、個の消失、人類がひとつの主体となるというモチーフの起源
・「オーヴァーロード」による不完全な地球の補完。飽和後に「オーヴァーロード」、人類もろとも滅亡させる目的。
・救済観の原形。
『エヴァ』
・救済観をめぐる対立を主題としている。
 ∴ユダヤ教の聖典『旧約聖書』と外伝の反復的言及
 「生命の樹」と「知恵の実」
 詳しくはこちらの書き起こしを参照。
 東浩紀の「データベース的消費」とネタ
竹熊
『エヴァ』における情報の配置の妙
cf. 「夏エヴァ」のラストのエヴァ羽根→ルシファー、という深読みの可能性
宮台
最も重要な対立
○合一するか否か
 シンジは合一を否定
○どのような主体として合一すべきか
 ゼーレ vs 碇ゲンドウ
・ユダヤ教は神との合一を許さない(カバラは別)。
・キリスト教ではイエスの死により人間の知恵の実を食べたという原罪は購われている。贖罪されている人類の感心は最後の審判の時に永遠の命(「生命の樹」)が手に入るかどうか、「神の国」で神と合一できるかどうか。
 ゼーレ:神に許してもらう補完計画
 碇ゲンドウ:神になるための補完計画
 碇シンジ:どちらも否定
「夏エヴァ」の段階では、こうした設定のストーリー化に成功していない。

竹熊
宮台は、プロット・レヴェルの解説としては100点。
それ以外のメタ・レヴェルの要素
『エヴァ』は何のメタファーか?
アニメ界・アニメ・ファン
◇アニメによって補完されたがっているオタクへの呪詛
 「夏エヴァ」における「春エヴァ」客席の映像のインサート
◆庵野自身がオタクのなかのオタク、「オタク仙人」、20年近くアニメ・スタジオに居住。
こうした作品の捻れが物議へ
◇オタクの娯楽としての『エヴァ』「お前が言うな」「ちゃんとつくれ」
◆庵野の作品としての『エヴァ』「人生賭けてるんだから、スケジュールなんか知るか」

メール(リスナー)
オタクとそれ以外の人の、よりいっそうの乖離
宮台
以上の神学的内容、メタ・レヴェルの話は結びつく。
ユダヤ・キリスト教に対するアンチテーゼとしての初期ギリシャ思想
 ソクラテス(in プラトン「ファイディアス」)
  絶対神への相対的な依存的ポジショニングによる救済はエジプト的で依存的であると批判。
  →ニーチェ、ハイデガーへ
補完による救済に対するシンジの忌避
情報、データ・ベースへのオタク的な依存する観客の下らなさ
竹熊
『エヴァ』という作品の奇異さ
作品のテーマ、庵野の個人史、環境が妙な具合にシンクロ

メール(リスナー)
エヴァ以降のアニメの停滞、パロディーの再生産
竹熊
そもそも、竹熊の世代はパロディー世代だ。ポストモダン。
過去の作品のオイシイところをリミックス→オタクにとって気持ちいいもの。
∴オリジナルづくりの際の困惑
◇庵野の師匠としての宮崎駿と富野
 ふたりは表現することに疑いをもっていない
◆竹熊の世代
 何をやってもパロディーという自意識。
 庵野
 オリジナルをやるためには自分を出さざるを得ないという困難。私小説。
 エヴァに乗ることへのシンジの疑問=何でアニメをつくるかという庵野の疑問
宮台
若い世代には理解できない悩み
 ∵オリジナルをやろうとする人がいない。批判されても痛くもかゆくもない。
  cf. Orange Range問題
ポストモダン世代
 「オリジナルなどない」というかたちで断念を迫られている。
 オリジナル信仰の裏返し。
 庵野の戦い:だけどオリジナルだと言えるためにはどうするか。
 「レッド・ゾーン的切実さ」
竹熊
律子「エヴァは第一使徒アダムのコピー、でもただのコピーじゃないわ。人間の魂が入っているもの」
=作り手、庵野の思いの表現でもある
 過去の作品のただのコピーではなく、自分の魂が入っている。

宮台
セカイ系ラノヴェへの庵野の影響
しかし、「成長するシンジ、成長しないセカイ系」という異論

竹熊
庵野は『エヴァ』以降、アニメから実写へ
『エヴァ』のラスト
 アスカの首を絞めきれず泣くシンジ、アスカ「気持ち悪い」
 補完されなかったふたり、新世界のアダムとイヴ
 理解できない他者を殺して完結する道を採らず。
『ラブ&ポップ』
 庵野、主役級の女子高生たちと遊園地でコミュニケイションを図る。
 →『エヴァ』のつづきとはならず。「庵野さんは逃げたんだ」
宮台
「夏エヴァ」ラスト
一体化を拒絶したシンジは、解りあえない他者とそこそこうまくやっていくしかない。
変なエンディングだか、構想とは合致。
・永遠の命・人類の一体化よりも、いまここをどう生きるのかをめぐる救済
・大きな救済よりも小さな救済を求めていくしかない。
・小さな救済の困難が大きな救済へと短絡する。eg. アキバ系
概念的には成立しているが、作品として自立していない。
新劇場版は、当時の文脈喪失後、物語の中だけで意図を完結させる試み。
 しかし、現代の文脈:
 ・磐石な日常の崩壊、大きな救済の無意味化
 ・スピリチュアル・ブーム(「チャネリング的説教」)
 →当時の文脈はない。
「スクリーンと自分の間に紗がかかっている感じ」
・6話分を圧縮
 シンジの内面的逡巡を余裕をもって追体験できない。
 使徒の唐突さを謎に思う余裕もない。
・見る側の変化
 大きな救済を今さら誰も信じていない。

まとめ(1)「序」:ヱヴァンゲリヲン新劇場版公開記念 深夜の緊急対談(TBSラジオ、2007年9月2日(日)25:40-28:00
まとめ(2)「破」:ヱヴァンゲリヲン新劇場版公開記念 深夜の緊急対談(TBSラジオ、2007年9月2日(日)25:40-28:00)
まとめ(3)「急」:ヱヴァンゲリヲン新劇場版公開記念 深夜の緊急対談(TBSラジオ、2007年9月2日(日)25:40-28:00)

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まとめ(1)「序」:ヱヴァンゲリヲン新劇場版公開記念 深夜の緊急対談(TBSラジオ、2007年9月2日(日)25:40-28:00)

○「ヱヴァンゲリヲン新劇場版公開記念 深夜の緊急対談」(TBSラジオ、2007年9月2日(日)25:40-28:00)

「ヱヴァンゲリヲン新劇場版公開記念 深夜の緊急対談」(TBSラジオ、2007年9月2日(日)25:40-28:00)についての先日のエントリーにアクセスが思いのほか多かったので、需要があると見込み、放送内容のまとめノートを公開します。

個人的な関心などによってメモ内容に濃淡があるので、悪しからず。

なお、放送内容は現在、「文化系トークラジオ Life」のサイトでも聴くことが出来る。出演は、竹熊健太郎宮台真司新井麻希(TBSアナウンサー)。:

※深夜の緊急対談:序をダウンロードする ( mp3 42'20'')
※深夜の緊急対談:破をダウンロードする ( mp3 43'04'')
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『エヴァ』テレビ・シリーズについて

・竹熊(47)・宮台(48)・庵野は同世代(いわゆる「オウム」世代)
・感慨深くも気のすすまない試写
・映画は、話はテレビの前半と同じだが、原画のリアレンジはあるものの旧作のフィルムそのものの流用はない

テレビシリーズの最初の印象
竹熊
本放送でなく、評判を聞いて後で一気に見た。
最終2話も含めて面白かった。夕方の地上波でこんな表現がなぜできたのか? 何があったのか?
道で初めて会った庵野監督と意気投合、『Quick Japan』でインタヴューへ。
前半のSFとしてのクオリティー、謎解きのおもしろさ、作品から漂う殺気
 ∵異常な状況下での制作
宮台
本放送で見ていた(当時女子高生の取材中)
狂った、異常な番組といいう印象。「なんでこんな時間帯にこんな放送」。
シンジの悩み:どうしてロボットに乗って戦わなければならないのか
 ロボット・アニメのセオリー破り
 『ガンダム』のアムロより病的な悩み

宮台
○自分の謎と世界の謎の二本柱
●世界の謎:エヴァとは何か何故そこにあるのか? 使徒、ネルフ、ゼーレとは?
 「いったいそれらは何なのか?」という愉しみ方
●自分の謎:ACとしてのシンジ
     親の証認を得られない ∴反発と過剰適応
     ありがちな感情移入の対象
 「いかにして彼が証認を得られるか?」という愉しみ方
二つの謎の解決の期待がリンクする。

新井
初めて見た。自分と他人の関係を考えさせる。

宮台
どんな人がつくっているんだろうという興味。

竹熊
『QJ』赤田編集長(当時)の落胆:
「ロック・ミュージシャンにこんなインタヴュー、ディープな話がとれる人はいない。」
 →毎号特集へ
『エヴァ』の商業的成功を誰も解説できていない現状。
宮台
◆音楽における表現の衰退
◇娯楽と表現の両立に成功した希有な作品としての『エヴァ』
・娯楽としての『エヴァ』
 編集・画づくりのスゴさ(例)戦闘シーン
 黒沢の影響
・「95年」という時代
 阪神淡路大震災・オウム事件・援助交際ブーム
 平板な現実とハルマゲドン幻想→磐石な現実の亀裂から生起する無気味なモノ
 『エヴァ』がその「無気味なモノ」の正体を教えてくれるという期待(同時代的シンクロニシティ)

竹熊
退屈な日常
⇔面白い日常(政治運動・革命・戦争)への期待
 『AKIRA』『ナウシカ』『北斗の拳』
→臨海点としての90年代なかば
『エヴァ』第1話アフレコ=オウム事件の日
宮台
84年、押井守『うる星やつら2 ビューティフルドリーマー』
 「永遠の文化祭前夜への期待」という気分=80年代の幕開けを象徴する気分
90年代
 「終わりなき日常」という倦怠、ハルマゲドンへ後の廃虚の後の共同性への期待

竹熊
93年『エヴァ』制作開始
95年、10話だけ完成
宮台
2年でたった10話の理由
シナリオ執筆前に世界の宗教における「救済」思想の研究に時間を費やしたのでは。
「救済」のパターンを登場人物に配置
→物語化に間に合わなかったのでは。
竹熊
大月プロデューサーと庵野監督の関係
庵野「大月個人の意見は聞くが、会社の顔をしたら降りる」
大月「作品を見ていない」見たら口出ししたくなるからか。

『エヴァ』ヒットの理由
宮台
・自分達がどういう時代を生きているのか解るという期待
・鏤められたネタ 当時30代半ばにアピール
・シンジ世代の感情移入
 先行作品『ガンダム』善悪の境界の融解、戦う理由に対する主人公の苦悩
『エヴァ』:シンジの内的苦悩のみが前面化、世界の謎は解決せず
 岡本喜八の影響:
  戦争の大儀は一切下らない
  「世界・人類の救済より、今ここにいる個人の問題を重視」という立場
竹熊
庵野による『逆襲のシャア』の同人誌
 作家の表現になってていることの賞揚
 ⇔おもちゃ会社のためのロボット・アニメ
 ロボット・アニメに対する根底的な再考
この同人誌が『エヴァ』に直結
 富野同様、庵野も自分を曝け出す決意
 →ガチンコの自己表現へ
宮台
25、26話=レッド・ゾーンでの仕事をしていること自体が事件
 cf. キング・クリムゾン
竹熊
セメント・マッチは美しい物にはならないことが多い。
「春エヴァ」97年 未完成で異例の劇場公開
  東浩紀から「これから何を信じたらいいのか」というメール

まとめ(1)「序」:ヱヴァンゲリヲン新劇場版公開記念 深夜の緊急対談(TBSラジオ、2007年9月2日(日)25:40-28:00
まとめ(2)「破」:ヱヴァンゲリヲン新劇場版公開記念 深夜の緊急対談(TBSラジオ、2007年9月2日(日)25:40-28:00)
まとめ(3)「急」:ヱヴァンゲリヲン新劇場版公開記念 深夜の緊急対談(TBSラジオ、2007年9月2日(日)25:40-28:00)

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徳重聡の男ラジオ(TBSラジオ、2007年9月1日(土)23:30ー24:00)

○「徳重聡の男ラジオ」(TBSラジオ、2007年9月1日(土)23:30ー24:00)

そろそろナイター・シーズンも終盤に差し掛かり、ラジオの暦でいえば秋の番組改編が近付いている。そこで、日本全国のラジオ局のタイムテーブルを一冊にまとめた、ラジオ馬鹿のバイブル『ラジオ番組表 2007春』(三才ブックス、2007年)をめくって、次の改編で終了しそうな番組でも聴いてみようかと思い立った。

TBSラジオのページに「徳重聡の男ラジオ」の文字を発見。「石原プロ全面協力による/徳重聡初のパーソナリティー番組です!」とのこと。これは、かなり香ばしい感じがする。制作はABCラジオ。。「コサキンDEワァオ!」(TBSラジオ、土24:00-25:00)の前に放送している。念のために説明しておくと、ご存知のかたも多いと思うが徳重聡とは、「21世紀の裕次郎を探せ!」でグランプリに選ばれ芸能界デヴューした俳優。最近では石原慎太郎・東京都知事の製作総指揮・脚本の特攻隊映画、新城卓[監督]『俺は、君のためにこそ死にに行く』(2007年)に出演していた(私は良心的鑑賞忌避の立場で、内容は知らず)。

「徳重聡のっ、男っ、ラジオ〜ぅぃ」——男っぽいんだかナンだか判らない微妙なかけ声と、なぜか「ローハイド」のインストルメンタル・ヴァージョンとともに番組はスタート。なんかユルめ。ワリと小さめの声で、つまりながらぼそぼそ喋る。「21世紀の裕次郎」「男ラジオ」から想像される硬派で体育会系のイメージとは相反して、むしろ文化系童貞中学生のテイストすら感じさせる朴訥さ。うかつにも、ちょっとだけ親近感をおぼえてしまった。

リスナーからの投稿に応えて、今までやったアルバイトについて喋った後、「今週のゲストは、女優の東ちずるさんです」とのこと。不可解な人選。何か縁でもあるのかと思って聴いていると、

徳重 よろしくお願いします。初めましてですね。
 はじめましてで〜す。

って、えぇ〜? ますます不可解。

番組内容は、前半は東ちずるの半生、中盤は東ちずるによる料理レクチャー、後半は東ちずるのヴォランティア活動について聴かされた30分。東ちずるに興味のある人には面白いのでしょうけど……。とはいえヴェテランだけあって、東がひとりで番組を成立させていた。「構成・演出・出演:東ちずる、相づち:徳重聡」とでもいった具合。しかし、よく喋るゲストに対しては無為の相づちは案外ほどよく機能していた。

最後のほうのやり取りにこのようなものがあった:

 もっとこう、「男」みたいなラジオなのかと思ってました。
徳重 いえ、もう、いつもお料理のお話を聞いて、だいたいこういう。あとは女性から見て「いい男」ってどんな感じか。

それなりに二枚目ではあるが、「21世紀の裕次郎」の大看板のワリにはまだ俳優としてはそれに見合った開花をしていないことを揶揄されてきた徳重。しかし、小声・料理などイメージに反する番組内容は、ひと回りした可笑しみがあり、徳重自身は、性格が良さそうで先輩に好かれそうな弟キャラ。冷やかしのつもりで聴いてみたが案外と好感触をもった。番組としての面白さに関しては、ラジオ聴きをうならせるような水準ではないかもしれないが、一度ぐらいは聴いてみると、ブログの種にはなるかも。

スポンサーは、徳重が現在イメージ・キャラクターを務めている高島屋宝酒造宝酒造といえば「喜び〜の酒ぇ〜、松竹梅」だ。石原プロと宝酒造の絆を考えると、冒頭で秋で終わりそうなどと書いたが意外と続いたりして。

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ヱヴァンゲリヲン新劇場版公開記念 深夜の緊急対談(TBSラジオ、2007年9月2日(日)25:40-28:00)

○「ヱヴァンゲリヲン新劇場版公開記念 深夜の緊急対談」(TBSラジオ、2007年9月2日(日)25:40-28:00)

※現在、「文化系トークラジオ Life」のサイトでも聴くことが出来る:

※深夜の緊急対談:序をダウンロードする ( mp3 42'20'')
※深夜の緊急対談:破をダウンロードする ( mp3 43'04'')
※深夜の緊急対談:急をダウンロードする ( mp3 38'56'')

夜中、気がつくと本を読みながら眠ってしまっていた。最初に思ったのは「しまった、「サイキック」聴き逃した!」。26:00過ぎぐらいだったのでまだ聴けるのだが、今から荒川土手に行ってもチョっとしか聴けないので断念。

とりあえずラジオをつけると、宮台真司が、いつものニヤケ声でしゃべっていた。しばらく聴いていると『新世紀エヴァンゲリオン』の新しい映画についての番組らしい。「そんな映画やるのか、いまさら」という感じだった。出演は、竹熊健太郎宮台真司新井麻希(TBSアナウンサー)。竹熊は、「あべこうじのポッドキャスト番長」(TBSラジオ、2006年10月2日-2007年3月29日)内で「竹熊健太郎のたけくまラジオ」を担当していたと記憶している。あまり聴いてはいなかったが、病気か何かで途中降板したと思う。新井アナに関しては全く存じ上げない。テレビのほうによく出ている人なのだろうか。

どうやら12年前に世の中は「エヴァ現象」とやらが席捲していたそうだ。別に自分のところには何の影響もなかったので「どうせヲタクが騒いでるだけだろ。「エヴァ現象」なんて誇大広告だろ」ぐらいに思っていたし、実際そうだったと今でも思っている。テレビとファション誌しか見ない若い女の人たちが売春婦みたいな格好を「フツ〜」と思っているように、アニメばっかり見ている人にとっては「社会現象」だったかもしれない。

でも、友だちにヲタクが多いせいか、観ていないとちょっと寂しい思いをすることが続いたので、深夜で再放送していたものを録画したヴィデオを借りて一気に見た。これもいわば「補完」なのだろうか。当時の感想は「しゃらくせぇ、けど、ちょっと面白かった」というものだった。ワリと元ネタが判ったので、「「ロンギヌスの槍」っていうのはキリストの……」などと得意げに説明して喜ばれたのも今ではよい想い出。でも、それ以上の深入りはついぞしなかった。

さて、当の番組では、『エヴァンゲリオン』を、単なる娯楽としてだけではなく作家の「表現」として位置づける読み解きが展開された。それに画作りのクオリティーの凄さも称揚された。12年前の時代背景(阪神淡路大震災・オウム事件・「援助交際」の流行)などを参照しつつ、安定した自明世界の崩壊に対する答えを、当時の視聴者は作品に求めたというのが「エヴァ現象」の正体という話だった。

ちょっと面白そうだったので録音開始。

「大上段の大儀は馬鹿げた下らないものに過ぎず、大文字の「救済」よりも今ここで悩んでいる人間の問題にいかに答えを出すべきか? 主体の一体化(=「補完」)がその答えではないのではないか?」という当時の庵野秀明監督の問そのものは今でも生きているが、その問をアクチュアルなものにしていた当時の文脈が消失し、観客の鑑賞態度が「泣けるか、笑えるか」に極端に傾斜した今では、同じ問い方ではもはや有効ではない、という話は面白かった。

また、ポストモダン状況において、あらゆる創作が過去の作品のコピーやパロディーにすぎないと承知の上で、それでも人生を賭けて作品に魂を吹き込むことを諦めない庵野の気概についての話(庵野の私小説としての『エヴァンゲリオン』)などを聴いているうちに、『エヴァンゲリオン』はひょっとしたらスゴい作品なのではないか、と洗脳されかけた。あぶねぇ、あぶねぇ。観に行かないよ、オレは。

ただ、「救済」というポイントで『エヴァンゲリオン』の道具建てを「救済観をめぐる対立を主題にしている」と整理する宮台の語りは見事。それにまつわるくだりの一部は『旧約聖書』の「創世記」の概説としても優れていたと思う:

大変重要な概念「生命の樹」っていう概念が出てくるんですよね。で、対立概念は[……]「知恵の実」なのね。「知恵の実」と「生命の樹」っていう対立がある。で、僕たちは、人類は楽園に暮らしていたとこが、アダムがルシファーの化身である蛇に唆されてリンゴを食っちゃったところから知恵がつくわけです。つまりリンゴが「知恵の実」なんですけど。

知恵がついちゃった結果、楽園から追い出されるって話になってるんだけど、実際には——『旧約聖書』の「創世記」読めば解るんだけど——「知恵の実」を食ったからじゃなくて、「知恵の実」を食った後、このアダムが「生命の樹」を手に入れてしまう可能性がある、と。そうすると、「生命の樹」と「知恵の実」が合体すると全能者になっちゃうんですよね。「全能者」って神のことだよね。絶対神のこと。絶対神は——「ヤーウェ」っていうような呼び方があったりするんだけど、ホントは名前がない絶対神なんですよね——絶対神なのに、アダムが「知恵の実」と「生命の樹」を手に入れてしまえば、アダムも絶対者になっちゃうわけ。そしたら絶対者じゃなくなっちゃうよ。だから、これを絶対に禁じなきゃならないって言うことで、神様が、全能神が、絶対神が、楽園からアダムを追い出すっていうですね、そういうエピソードがある。

で、実は、人間は「知恵の実」を食った。で追い出されたでしょ。それとは対照的に……あの、そう、「使徒」ってのは何なのかって言うのが絡んでくるんだけど、『旧約聖書』の「創世記」にはね、「知恵の実」を食った人間が「生命の樹」にアクセスできないように、神様が魔物を配するんですよ——魔物っていうか、まぁ番人だよね——それを「使徒」っていう風に言うんです、「Angel」のことなんですけど。簡単に言えば、それが『エヴァンゲリオン』の「使徒」なんですよ。解ります?

で、簡単に言うと、人類が今、テクノロジーをどんどんどんどん発達させてきた結果、単に知恵がついてきただけじゃなくて、生命をいじろうとしている。例えば、遺伝子を操作してテロメアっていうですね部分を変えれば、例えば永遠に生きられるかもしれない、といったようなことを操作しようとしている——ま、そういう段階になったのもう、90年代の中ごろの段階ではね。バイオテクノロジーに手をつけるようになっている。おそらく、そのあたりにインスパイアーされたのかもしれませんけどもね。要は、そろそろ「生命の樹」に手を出そうとしている人類を、簡単に言えば抑止する、あるいは追い払うために「使徒」が放たれてくるっていうね。これは『旧約聖書』のモチーフをそのまま反復、まぁ「Genesis」ていうか「創世記」のモチーフの反復であるわけですよね。

ほかにもユダヤ教とキリスト教にとっての「生命の樹」に対する立場など、チョッと勉強になってしまった。

私の嫌いな「アニラジ」に力を入れて、細切れに千切った時間枠をスポンサーのあからさまな紐付き番組で埋めている文化放送では、このようなかたちでひとつの作品をじっくりと批評する番組はやれないだろう、とTBSラジオをチョっとだけ褒めてみる。同時にアニメに力をいれたことによって逆に、作品を忌憚なく論じる番組がつくれなくなった文化放送に憐憫の情を禁じえません。それでも人生を賭けて番組に魂を吹き込むことを諦めない気概は、ある哉なし哉?

最後に、新井アナは、盛り上がっているふたりのオヤジたちの話の流れを止めるようなことを時どき言ったりしていたが、基本的には終始所在無さ気な感じだった。それが普通だといえば普通かもしれない。普通じゃないオヤジ連は、遮られた流れを上手く元に戻したりはしていたが、どうせ気を使うなら新井アナに解るように説明するスタンスを徹底したほうがよかったのかも。最初のほうを聴き逃したので、新井アナがオープニングの自己紹介でどのような立場で番組に臨む予定だと言ったのか判らないが、「作品を見たことのない、詳しくない人」の役を引き請けて……と思ったが、こんな時間にやってるこんな番組、もともと詳しいヤツしか聴いてないんだから、そんな役目の人は不要か、とはたと気づいた。自家中毒万歳!

※番組内容をまとめたノートを公開しました。よければご笑覧下さい。

まとめ(1)「序」:ヱヴァンゲリヲン新劇場版公開記念 深夜の緊急対談(TBSラジオ、2007年9月2日(日)25:40-28:00
まとめ(2)「破」:ヱヴァンゲリヲン新劇場版公開記念 深夜の緊急対談(TBSラジオ、2007年9月2日(日)25:40-28:00)
まとめ(3)「急」:ヱヴァンゲリヲン新劇場版公開記念 深夜の緊急対談(TBSラジオ、2007年9月2日(日)25:40-28:00)

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