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伊集院光 日曜日の秘密基地(TBSラジオ、2007年8月4日(日)13:00-17:00)

○伊集院光 日曜日の秘密基地(TBSラジオ、2007年8月4日(日)13:00-17:00)

 

「秘密基地VIPルーム」のゲストは裕木奈江。彼女のトークを聴くのは「裕木奈江のオールナイトニッポン」(ニッポン放送、1992年10月21日~1993年9月29日、水25:00-27:00)以来。いわゆる「不思議ちゃん」だが、ひとクセある感じが番組に独特の雰囲気を醸成していた。ラジオにとって「ひとクセ」がいかに重要なことか。当時、同級生の男子には概ね不評だったが、私は結構、好きで聴いていた。案外みんなも、照れていただけで聴いていたのかもしれない。「噂の言うだけ彼氏」とかあったなぁ、懐かしい。

伊集院と裕木が、ものすごく意気投合していたのは少し意外だった。伊集院が苦手なタイプなんじゃないかと思っていた。伊集院は、当時、自分を追い抜いてオールナイトニッポンの一部に大抜擢された裕木の才能に嫉妬していたそうだ。裕木は伊集院のファンで、ARAKAWA RAP BROTHERS のCDを持っていたらしい。

このコーナーは、ゲストが過去に受けたインタヴューから出題されるクイズにゲスト自身が答えることをきっかけにトークが展開される。クイズの部分よりも、その前のフリー・トークのパートのほうが盛り上がっていた気がする。

自分の意見をもっていて、それを面白く聴かせるタイプの女の人が私は基本的に好きなので、今回の「VIPルーム」は相当に愉しめた。火曜JUNK「爆笑問題カーボーイ」(TBSラジオ、火25:00-27:00)に、「BKラジオドラマ脚本懸賞」に入賞した頃の中江有里がゲストに来たとき(2005年4月12日)の雰囲気を彷彿とさせた。

伊集院のMCも巧みだった。大半のリスナーは、アイドルとして一世を風靡した彼女が、「最近ふたたび映画を中心に復活(?)するまでのあいだ、いったい何をしていたのだろうと疑問に思ったはず。アイドル期→舞台期(バッシング以降)→ギリシャ留学→現在(裕木曰く「本当にもう、先が見えない人生」)と、裕木のキャリアを整理しつつ、リスナーの疑問に充分に答える内容だった。

以前に同時期にニッポン放送で番組を持っていた仲だということもあってか、ざっくばらんなトークで次つぎと面白い話を引き出していた。また、伊集院自身がデイヴィッド・リンチのファンということも奏功して、最新出演作『インランド・エンパイア』 Inland Empire(2006年)についても充分に聞き出していたと思う。

裕木の出演作では、個人的には高橋伴明[監督]『光の雨』(2001年)に興味あり。まだ観ていない。

裕木は現在、面白そうな映画のパイロット版に参加したりしていて、プロデュース的なことにも興味をもっているらしい。そういう夢を語る裕木に対して伊集院は、こんな感じで熱っぽく語った:

いい人生だよ、それ。スゲぇ。[……]

すごいね、このね、失礼に該たる事を言うかもしれないのは先に謝っとくけどもも、あのぉ、すごいこう「裕木奈江バッシング」みたいのがブームになって、僕らからしてみたら「あ~あ、あの娘、テレビ・ドラマとか出られなくなっちゃったね」と思ったのね。で、その、一番最初に来た、その、輝きの印象があるから、あのぅ、「すごい女優さんになると思ってたのに」とまで思ったのね。思ってたのに、「世間とか女の人って怖いな。同姓にこんだけバッシングされると、出られないんだ、かわいそうに」ってたぶんオレ思ってたと思う、ずっと。

だけど、なんかこう、こうやって話してみると、あそこでのトントン拍子はトントン拍子でまた想像はつかないけど――それと、あそこが、あのかたちがトントン拍子じゃなかったっていえる立場でもないんだけど――でもなんかこう……スゴいね、ちゃんとしてるよ、すごいちゃんとしてる。やっぱ、スゴい……あのぉ、最初の印象で「スゲぇヤツ来たなぁ」と思ったけど、そのまま、やっぱ、スゲぇヤツになってんなぁ。スゴい。

裕木のファンも裕木自身も、この言葉は、きっと嬉しかったはず。

もともと見るつもりでいたが、このインタヴューに触発されて『インランド・エンパイア』 をさっそく次の日に恵比寿に見に行った。「女性としては一番変わる時期、傷みの激しい時期」(伊集院)を経たスクリーンの裕木奈江に、「ホントに37歳かよ!」と驚くことしきり。作品全体としては、物語の断片が別の断片にリンクしているように見えて、ある程度映画全体のイメージをつかみかけたと思った途端にはぐらかされ続ける感じ――映画館を出る人たちの半分ぐらいが半笑いだった。笑うしかないだろ。あるいは、あの売春婦たちと一緒にあの部屋で踊るか? "You gotta swing your hip now"。売店で買ったプログラムにこんな映画評が引用されていた:

内容がわからなかったって? それが、リンチを理解したってことなんだぜ。
――「Premier」誌

左様ですか。トマス・ピンチョンの小説に泣く泣く挫折した人は、この映画を観ればいいんじゃないか、と思ったりもする。

伊集院はこの映画を「絶対お勧めしませんけど、僕、5回ぐらい見に行くと思います」と言っていたが、私は1回見るのがいいと思う。「物語の解体」を意図していると思われるこの作品を、自分の頭の中でもう一度解体して再構成してトリップするのが愉しいのではないか。でも最近では、もう一回観たら別のものが見えるんじゃないかという気もしてきている。

さて、この日のアシスタントは竹内香苗TBSアナウンサー。たぶん、アシスタントの中ではいちばん人気があるんじゃないか、と私は感じる。

フリー・トークのときの竹内アナは、太い腹式の声ではないし、度たび敬語と「タメ口」が混じったりする。古き良きアナウンサーの王道からは外れているのかもしれないが、以前にゲスト出演した、ニッポン放送のうえやなぎまさひこアナウンサーも「ベールがない」と評価しているように(2006年5月14日)、ヘンに構えることなく自然に話しているように聴こえて、言葉に嘘がないと感じられる。ラジオ・リスナーとしては聴いていて非常に心地良い。

丁半コロコロが講師を務めた「日曜ゼミナール」(「環境未来予想図」)も結構面白かった。

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