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2007年8月

Early Morley Bird(J-WAVE、2007年8月19日(日)5:00-6:00)、調布・朝の光と風(調布FM、2007年8月31日(金)7:00-9:00)

「Early Morley Bird」(J-WAVE、2007年8月19日(日)5:00-6:00)

「調布・朝の光と風」(調布FM、2007年8月31日(金)7:00-9:00)
  ※調布FMは、東京都調布市周辺で聴取可能なコミュニティFM局(83.8MHz)

今日の朝の移動中に調布FMを聴いていたら、たまたま WiKiScannerの話題が話題に上っていた。WiKiScannerとは、オンライン百科事典「Wikipedia(ウィキペディア)」の編集履歴をスキャンして解析するソフトの模様。「Wikipediaの執筆者を暴露するツール」(ITmedia News、2007年08月17日 13時02分)のほうがしっくりくる説明か?

「調布・朝の光と風」(調布FM、月〜金7:00-9:00)という朝の情報番組の中で、新聞各紙の記事やコラムを紹介しているのだが、その中で上述の話題になった。どうやら『サンケイスポーツ』の記事を紹介していたようだ。WiKipediaのエロゲームやアニメなどの記事の編集に勤しんでいる国家公務員がいるとのこと、しかも勤務中に各省庁内部の端末から。

一部を引用:

 舛添要一氏(58)がトップに就任した厚労省からはアダルトゲーム「ななついろ★ドロップス」の記述が編集されていることが判明。大臣が2人交代した農水省からは「ガンダム」関連や「北斗の拳」、首相官邸からは今年1月26日に「愛の戦士レインボーマン」について加筆・修正があった。

 政党なら政敵に関する編集があるかと思いきや、自民党からは「笑福亭鶴光」の編集が25件もあった。政党職員はセーフにしても、公務員は勤務時間内外は問わず業務外のネット使用はご法度。このため関係省庁が“捜査”を開始した。

 厚労省では昨年9月にWikipediaの記述に対し編集できなくしており、編集はそれ以前の話。担当者は「犯人が見つかれば国家公務員法に照らし合わせた処分が出ることになる」。農水省では「事実関係と調査方法を検討中。職員は地方事務所も含めて3万人強おり、個人まで特定をするのは難しいかも」と話す。ガンダムと農水省の関係について、担当者は「全く関係ない」とあきれた。

 首相官邸のレインボーマンについて、内閣広報室は「全容までは把握していない」と一部で問題視していることを認めた。安倍晋三首相(52)がレインボーマン好きで自ら書き込んだ可能性は「わかりません」と困惑気味。ただ一般論として「業務でも意外なところで接点がある」という。首相が♪インドの山奥で修行して…と考えていたりして?
『サンケイスポーツ』2007年8月31日(金

スポーツ紙らしい茶化し方がいい。

しかし、実はこのWiKiScannerの話、2007年8月19日(日)の「Early Morley Bird」(J-WAVE、日5:00-6:00)でもいち早くやっていた。マスメディアでは最速だったかも。この番組ではもう少し取り上げ方がシリアスで、企業が自らにとって不利な記述を削除していたことがWiKiScannerによって判ったというような話だった。その成り立ち上、信憑性に疑いがあることは論理的に必然なのだが、やっぱりWiKipediaは便利なので、これだけで済ましてしまう人も少なくないだろう。従って、企業も必死なんだろう。

『サンスポ』のやり方も悪くないが、茶化しに入る前に、先ずはモーリーのような紹介の仕方を経ないと、単なる官庁バッシングで溜飲が下りてしまって良くない。『サンスポ』の記事でも、松井証券の話が付録程度に紹介されてはいたが……。とはいえ、モーリーはモーリーで、最終的には、ビッグ・ビジネスのチャンスをWiKipediaの記述を見た担当者のビビりで反故にされた「幻のポルシェ」話という我田引水的に至っていた。「たぶんコレが例の記述か?」と思いながら、WiKipwdiaのモーリーの記述を読む私。

※最後におまけとして、「調布・朝の光と風」豆知識。番組のジングルとして使われている、いわば番組テーマ曲のような "Dance with me, I want to be your partner. ..." という、あのイイ曲。この番組のリスナーの中には気になっている人もいることでしょう。答は、以下の通り:

アーティスト名:Orleans
曲名:Dance with Me (1975)
収録アルバム:
Let There Be Music (Warner, 1975)
Dance with Me -- The Best of Orleans (Sbme Special MKTS, 1997)
『breeze AOR best selection SUMMER』(ビクターエンタテインメント、2002年)
  ※いち時期話題になり大ヒットしたAORのコンピレイション・アルバム

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世界陸上開幕! 伊集院光 日曜日の秘密基地 2番手が世陸を面白くするスペシャル!(TBSラジオ、2007年8月26日(日)13:00-17:00)

○「世界陸上開幕!伊集院光日曜日の秘密基地 2番手が世陸を面白くするスペシャル!」(TBSラジオ、2007年8月26日(日)13:00-17:00)

今回は、世界陸上の代表に惜しくも選ばれなかった選手に取材し、それぞれの種目の面白さや、選手自身が「2番手」という位置で感じたり考えたりしたことを紹介するという趣向。種目もいわゆる「マイナー種目」中心だったのも面白かった。

放送で取り上げられた選手は以下の通り:

荒井謙(男子やり投げ、七十七銀行)
 インタヴュアー:伊達みきお(サンドウィッチマン)

十亀慎也(男子三段跳び、法政大学)
 インタヴュアー:伊集院光

野口裕史(ハンマー投げ、群馬綜合ガードシステム)
 インタヴュアー:今野浩喜(キング・オブ・コメディ)

磯谷昇太(男子競歩、京都教育大学)
 インタヴュアー:伊集院光

對馬庸佑(男子400mハードル、アスレティクスジャパン)
 インタヴュアー:松雪オラキオ(弾丸ジャッキー)

桝見咲智子(女子走り幅跳び、九電工)
 インタヴュアー:サードメン高橋卓也

いつも伊集院のラジオで聴くたびに思っていたのだが、伊達(サンドウィッチマン)は声が非常に良い。喋り方もとてもさわやかで、ブログで写真を見たときは正直言って、ギャップにびっくりした。

松雪(弾丸ジャッキー)の謙虚さのにじむ喋り方にとても好感がもてた。 本当に良い人そうだ。少しゆっくり目のしゃべり方だが、内容は整理されていて頭の回転が速そう。

面白かったところ:

いちばん興味深かったのは、二人目に登場したアスリート、男子三段跳びの十亀慎也が語った、身体感覚と言語に関する話だ:

いい動きできた時の感覚っていうものを憶えて、で、それが一日目で憶えて、次の日にまた新しい感覚出たとするじゃないですか。んで、それは感覚、新しい感覚なんで、その前の日の感覚とは違うじゃないですか。それをいっぱい集めてきて、共通するモノを、こう抜粋してくるんです。

で、それをまず自分の言葉にするんですよ。感覚って言うのはすぐ消えてしまうモノなんで、一回言葉にしないとダメなんですよ。だからその抜粋してきたモノを言葉にして、で、その言葉を使って、次、また次の練習で感覚に戻して、で、その感覚をやる、っていう作業じゃないかなと思うんです。

気になったところ:
(1)インタヴュアーの腕
やはり単純に、インタヴュアーの腕前はコンテンツの面白さを物凄く左右する。伊集院とそれ以外の若手芸人の実力差が歴然としていて、残念ながらパート毎に面白さのムラがあった。今回はいわば「マイナー種目」の選手が取材の対象だったため、リスナーのほとんどは、その種目に関する知識も経験もほとんどないはずなので、どのくらい話を聴き出すインタヴュアーの腕にすべてがかかっていたのだが。

(2)個別具体的な細部の翻訳不可能性の問題
伊集院自身が番組内で語っていたが、

全然、こう、自分が門外漢なのにスポーツ選手に話とか聞いたりとかする時に、僕の中で大事だと思うのは、自分の立場と、こう、重ねて考えてみるってことだったりすると思うのね。で、そうじゃないと、ほら、陸上選手以外、面白くない番組になっちゃいかねないから。いつも過剰なぐらい俺は自分のこととして大体捉えるようにしてんだけど。

確かに聴き手の側に戦略やアティチュードがあると、インタヴューの内容は興味深く締まったものになる。むしろ、そうでないとインタヴューする意味はないとすら思う。先述の通り、伊集院とそれ以外の若手芸人との差は、そこに由来していたと思う。初めて接する対象から引き出される誰も知らない話をうまく「通訳」することは、インタヴューにとって非常に重要だと思う。

しかし、トップアスリートの「通訳者」としての役割をインタヴュアーが自認し過ぎると、取材対象がもっていて他の誰も持っていないせっかくの面白みが後景に退いてしまう。

今回はその「通訳」が多少過剰だったように思えた。説明しようとしすぎていた。今回の場合は、例えば、やり投げのやりを持っていないほうの手の使い方の重要性のような、他の人には語れない個別具体的な細部のをたくさん掘り出すことのほうが、リスナーにとっては愉しいかもしれない。知らないことを知ることは単純に痛快であるし、テレビではなかなか得られない情報なので今どきラジオを聴いていることのプレミア感も増すはず。今回は伊集院の「通訳」回路を経ることで、個別具体的な細部よりも陸上競技とお笑いの共通点などに焦点が移ってしまい、結局は例えば精神力云々という抽象的な話にが収斂してしまっていて勿体なかった。

陸上のマイナー種目との共通点探しはリスナーに委ねて良かったのではないか? 今回のようなテーマの場合、リスナーにズバリ答えを提供する必要はないと思う。

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文化系トークラジオ Life (TBSラジオ、2007年8月26日(日)25:40-28:00)

○「文化系トークラジオ Life」(TBSラジオ、2007年8月26日(日)25:40-28:00)

※末尾に若干の加筆。(2007年8月30日(木))

前回は小林信彦の評を叩き台にしつつ批判的な感想を書いたが、「文化系トークラジオ Life」(TBSラジオ、毎月最終日曜日25:30ー28:00)はワリとよく聴いている。最近は「誠のサイキック青年団」(ABCラジオ、日25:00-26:45)を聴くことが多く、実はこの日も「サイキック」と「Life」を交互に聴いていた。

今回の「文化系トークラジオ Life」(TBSラジオ、2007年8月26日(日)25:40ー28:00)は、単純に愉しかった。 「ひと夏の思い出」がテーマで、リスナーから送られてくる童貞話や胸キュン話(昭和っぽいスか?)のメールも平均して高レヴェルで結構笑えた。元来、このテの話は盛り上がるものだ。とはいえ、参院選の投開票日だった前回のテーマとはかなりの落差だが。

ネットを検索すると、「文化系トークラジオ Life」支持者は多いようで、肯定的な言及が多い。そういう人がいると知った上で多少意地悪い言い方をすれば、この番組の魅力は、「なんか頭良さげなところ」に尽きるだろう。多少なりとも自分で何かを考えてみようという意志を持った文化系のお客が、アニメやゲームからコッチに流れてきている感じなのではないだろうか。確かに、高校生〜大学の1、2年生ぐらいの人たちにとっては、刺激になりそうな番組だと思うが、正直言って目から鱗が落ちたり、パーソナリティー陣の論理や語りに圧倒されるようなことはあまりない。

それに、爽やかでお洒落で知的な「文化系トークラジオ Life」よりも、正直なところ私にとっては、脂ぎった下世話で阿呆な「誠のサイキック青年団」のほうが魅力的に聴こえる。

しかし、「文化系トークラジオ Life」は、文化系少年少女たちの思索の滑走路としては充分のクオリティーだと思う。そういう訳なので、今回の「ひと夏の思い出」は面白かったが、こういうテーマばっかりになると常連さんは離れていってしまいそうな感じもしなくはない。

ラジオの深夜放送の影響力が大きかったころ、社会や政治はお決まりの話題のひとつだったようだ。その時代の雰囲気を体感したことのない私でも、過去の音源としてそのような例を聴いたことがある。しかし、例えば今のTBSラジオの若年層向け深夜放送では、そのような話題はほぼ聴かれない。「JUNK」「JUNK2」の布陣はみなお笑い芸人で(それ自体は悪くない)、面白くはあるがタイムレスで、時代に棹さそうという志向は希薄だ。そういう意味では「文化系トークラジオ Life」は今や貴重な存在だとは言える。

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小林信彦「本音を申せば」第470回、『週刊文春』2007年8月30日号

○小林信彦「本音を申せば」第470回、『週刊文春』2007年8月30日号

今回の「本音を申せば」は「裕木奈江さんのこと」と題して、一本丸ごと裕木奈江の話題だった。通常、二つか三つの話題を取り上げていることが多いので、ひとつの話題で一本というのは、かなりの思い入れだ。

このブログでも話題にした2007年8月5日(日)の「伊集院光 日曜日の秘密基地」(TBSラジオ、13:00ー17:00)の「秘密基地」の「秘密基地VIPルーム」の話題を引き金に、小林自信の裕木奈江に関する話題が展開される。

 八月五日の日曜日、久しぶりに裕木奈江さんのナマの声をきいた。

 あまりの暑さにダレて、伊集院光のラジオの四時間番組(TBS)を聞いていた時である。裕木奈江さんがVIPルームに出演することは予告で知っていたが、銀座のアスファルトの上の測定が43度になるという日だから、ウトウトしていた。はっと気づいて、ラジカセの録音スイッチを押したとき、トークはもう始まっていた。(p.62)

前もって知っていて愉しみにしていたが、あまりの暑さに寝過ごして最初を聴き逃して後悔している様子に、私ならずともラジオを愛する民であれば、「あるある」と親近感をおぼえずにはいられない。しかも爺ちゃん、エア・チェックの準備までして待機していらっしゃる。大作家小林信彦もひと皮むけば私たちと同じ、ラジオの病の罹患者のひとりに過ぎないことが、本当に嬉しい。

実は、ラジオに関する話題はこの導入部分ともう一箇所だけ。コラム全体が女優裕木奈江の才能に対する小林の評価に割かれている。小林の小説を裕木主演で映画化する話が途中でボツになった話、小林が朝日新聞で連載した『極東セレナーデ』が後に裕木主演で「ウーマンドリーム」としてテレビ・ドラマ化された話などが展開される。このドラマ、タイトルから察するに「とりあえず東京でなんとか成功するまでは頑張るぞという役ばっかり多かったんだよね。ん〜、たぶん99%のシェアが私のところにきてたと思う」(「伊集院光 日曜日の秘密基地」2007年8月5日(日))と裕木自身が語ったもののうちのひとつだろうか。

また、例の「バッシング」についても概略が紹介されており、小林は裕木を弁護する。実は私は「ポケベルが鳴らなくて」(日本テレビ、1993年7月-9月)については辛うじて聞き及んでいるが、元来テレビ・ドラマを見ないので、裕木の女優としてのテレビにおける活躍をほとんど知らない。私にとって裕木奈江は、完全にラジオの人なのだ。小林によると、

 それでも、彼女がニッポン放送の「オールナイトニッポン」のDJになった時は、人気最高だったビートたけしの時よりも葉書が多い、と同局の人に教えられた。(p.63)

とのこと。本当だとしたら、これはスゴい。みんな「和也」のプロフィールとかをこぞって送ってたんだろうか。ただ、「裕木奈江のオールナイトニッポン」の放送期間はたったの一年間(1992年10月21日-1993年9月29日)だったと知って、「そんなに短かったっけ?」と驚く。太く短い放送だったということだろうか。

ラジオの話題はこれで終わりなのだが、

 彼女が「硫黄島からの手紙」で、二宮和也の妻の役を演じているのを見て、さすが、イーストウッドだ、と感心した。<戦時中の妻>を演じられる女優が、今の日本で、他にいるとは思えないからだ。(p.63)

と、女優裕木奈江への小林の手放しの褒め様は続く。水を差すようだが、裕木奈江に、かなりの年齢差がある二宮和也の妻を演じさせるなんて、東洋人がみんな同じに見える西洋人にしかできない荒業だと、私は別の意味で感心したのだが……。ちなみに、文面から察するに、小林はまだ『インランド・エンパイア』 Inland Empire (2006)は観ていない模様。ふふふ、この点に関しては、先手を取りましたよ、私は。

小林の今回のコラムを読んだ人には解ると思うが、2ページを費やしてもなお想いが字数制限に収まらないのか、小林がこの話題について書き足りていない感じがひしひしと伝わってくるような気がした。書き切ることでなく、書き足りないことで伝わる想いもあるのだなあ。

ナンというか、このお爺さんは、女優裕木奈江にチョっと「イタい」ぐらい惚れ込んでいたのだなぁ、としみじみ思う。

「本音を申せば」に関する過去のエントリー:
○小林信彦「本音を申せば」第467回、『週刊文春』2007年8月2日号、pp.64-65
○小林信彦「本音を申せば」第469回、『週刊文春』2007年8月16・23日夏の特大号

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放送室(TOKYO FM、2007年8月18日(土)26:00-27:00)

○「放送室」(TOKYO FM、2007年8月18日(土)26:00-27:00)

この番組について、面白いか面白くないかと聞かれれば、面白くなかった。

ちゃんと聴いたのは今回が初めてで、しかもこの一回しか聴いたことがない。実は、先週・先先週も聴いてみたのだが、途中で寝てしまった。

少なくとも私にとってなぜこの番組が面白くなかったのか、理由はハッキリしている――それは、この番組における松本人志の中途半端さだ。塩を入れ忘れたすまし汁のような感じだった。

とはいえ、何度も改編を乗り越え、書籍化もされている番組であるから、多くの人たちに支持されている番組なのだろう。そう、どうかしているのは私のほうなのだ。

松本はかつて、彼にとってラジオとはいかなるものかについて、『Quick Japan』がラジオを特集した号で次のように語っていた:

松本 十七年前。「ガキ」で、TVでフリートークができる状況になったら、ラジオをやる意味がよく分からない、ってなってきたのよ、俺。
高須 何のためにやってるのかわからん、と。
松本 で、もう少し年齢が経てばできるって、俺、その時から言ってたはず。というのは、当時の俺らがラジオをやったら、ものすごく「笑い」を求められるから。俺は「笑い」はもちろん好きやけど、「ガキ」でそれはできてて、「ガキ」とかぶるような番組をもう一つってのはないな、と思った。ラジオはもっと、それこそ「ぬかるみの世界」みたいなもんがいい。あんまり「笑い」を意識しないやつ。普通~の、おっさんの普通の話ができる時が来たら、ラジオをやらしてもらいたいな……って言うた記憶がある。だからしばらくラジオは封印してた。
「松本人志・高須光聖 誌上「放送室」 雑談の中の雑談がしたかった」『Quick Japan』vol. 63(太田出版、2005年)p.86

一旦脇道に逸れるが、現在放送中のラジオ番組で「普通~の、おっさんの普通の話」と言われてすぐに思いつくのが、「笑福亭鶴瓶 日曜日のそれ」(ニッポン放送、日16:00-17:30)「誠のサイキック青年団」(ABCラジオ、日25:00-26:45)だ。ふたつの番組のウリをそれぞれ端的に表現するなら、前者は雰囲気、後者は内容だろう。具体的に言えば、放送を文字に書き起こした場合、「サイキック」は読むだけでも充分愉しめるが、「日曜日のそれ」は文字で読んでも何の面白味も伝わらないだろう。その代わり「日曜日のそれ」は、実際に放送を聴いた者だけが共有できる気分を、伝達される意味内容に還元しきれない何かを放送を通じで伝達している――ひょっとしたらラジオの価値としては、こちらのほうが一段上なのかもしれない、という気がしないでもない。

「日曜日のそれ」には、すべてを受け入れる共同体主義的な居心地の良さの精髄に満ち溢れている。「サイキック」には、怪しげな森の中からメイン・ストリームを嗤い、エスタブリッシュメントを撃つ、「義賊的」な痛快さがある。

「放送室」には、残念ながら、そのどちらもない。

松本の整理では、「テレビでやりたくてもできない人」(『Quick Japan』vol. 63、p.88)のラジオ、テレビでの活躍、年齢を経てからのラジオへの回帰というコースが想定されているようだ。言いたいことは理解できるし、実際にそのような事例は枚挙に暇がない。お笑い芸人として成功し、年齢も重ねた松本が、「一応、これは残しておかなあかん言葉もあるやないか」(同上、p.87)と思い立ち、帰ってきた――松本にとって「放送室」はそうした位置付けの番組なのだろう。

しかし、「放送室」はそのような番組に成りえているのだろうか?

考えてみれば、「普通~の、おっさんの普通の話」は、大概は面白くも何ともない。「あんまり「笑い」を意識しない」となればなおさらだ。「笑福亭鶴瓶 日曜日のそれ」において鶴瓶は、自分が気に入った若いミュージシャンのことを「ほんとにええ曲なんですよ」「ええ子なんですよ」と、こっちが拍子抜けするほど飾り気の無いストレートな言葉で普通に褒める。リスナーから送られてくるなんでもない日常の心の機微を綴ったハガキに、何でもない言葉で返す――まさに「「笑い」を意識しない」「普通~の、おっさんの普通の話」の極致。そこには「一応、これは残しておかなあかん言葉もあるやないか」などという気負いも衒いもまったく感じられない。それにもかかわらず、鶴瓶の番組があれほど聴く人を幸福な気分にさせてくれるのはなぜなのか? 陳腐ではあるが、結局のところその理由は、鶴瓶の人間的な魅力に他ならない。ひとりの魅力ある人間として結実した年齢の蓄積が、じんわりと電波を通してにじんでくるのだ。深みのあるだしに、さりげないが完璧な調味の京風すまし汁――そんな味わいがある。

松本は、テレビでは天才として笑いの最前衛を邁進し、活字媒体では知識人・教養人的な側面を強調してきたように思う。つまり、「普通のおっさん」を迂回するようなキャリアを通じて押しも押されぬスターに登り詰めた。そんな男が、急に「普通のおっさん」として「帰って」来られてもピンと来ない。彼は人間的な成熟やだらしなさを曝け出すようなコースを辿って来なかった。すなわち、松本は、「高踏派の天才」であり「人から一目置かれる面白いおっさん」ではあるが、「共感される普通のおっさん」ではない。ちゃんと「普通のおっさん」になり切れていない男が「おっさんの普通の話」をしようとして空転する中途半端さに、私は居心地を悪くしたのだ。

とはいえ、かく言う私もガララニョロロのノンセンスさに笑い転げた時代があり、テレビ芸人としての松本人志の才覚に疑問を挟む者ではない。しかし今や、普段それほどテレビを見ない私にとって、「放送室」には「テレビのスターの、あの天才松本人志が、ラジオで普通の話しをしている」という類のありがた味がない。この番組の面白さは、つまるところ、松本人志にテレビを通じてどれだけ心酔しているかに比例して実感されるのかもしれない。

「放送室」が終わると村上隆の「エフエム芸術劇場」(TOKYO FM、土27:00-28:00)が始まる。TOKYO FMのセンスには辟易する。

その流れで久びさにTOKYO FMを聴き続けてみたが、田中美登里の「トランスワールド・ミュージック・ウェイズ」(TOKYO FM、放送期間不詳、日5:00-5:45)をやっていないのに愕然とした。最近はご無沙汰していたが、この番組はTOKYO FMの隠れた看板番組だと思っていたので、非常に残念。どの局にも、終わらせてはならない番組が必ずあるはずだ。クラシック寄り(「音大的センス」と言ったほうが近いか)だが、実験的な音楽や民族音楽をノン・ジャンルで紹介する、今どきアティチュードのある希有な番組だった。YOKYO FMの水平尾翼というか錨というか、そんな番組だった。この番組を終わらせたTOKYO FMは、反省しなさい。

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クラブ954スペシャル(TBSラジオ、聴取率調査週間、月1:00-4:00)

○「クラブ954スペシャル」(TBSラジオ、聴取率調査週間、月1:00-4:00)

「クラブ954スペシャル」(TBSラジオ、聴取率調査週間月1:00-4:00)という番組が気に入っている。

気持ちの上では日曜日、暦の上では月曜日という時間帯。ラジオ界には4:00あたりに見做しの深夜/早朝の境界線があるような気がする。したがって、リスナーの実感としては「クラブ954スペシャル」は25:00から始まる深夜番組なのだが、聴取率調査週間との関係から見ると、1:00から始まる早朝番組扱いになっているのだろうか。

「クラブ954スペシャル」は、「TBS954情報キャスター」と呼ばれる人たちが担当している。彼女たちは、普段は中継やTBSラジオ関連のイベントの司会などをやっている。この番組は二部構成になっていて、基本的に音楽番組。前半が邦楽、後半が洋楽中心という感じ。どっちかというと後半のほうが好き。トーク・ラジオずきの私だが、この番組の雰囲気はとても心地よい。

ただ、今回の聴取率調査期間中は「クラブ954スペシャル」の放送はなさそうだ。

第一週目にあたる2007年8月19日深夜(20日早朝)には、「沢木耕太郎〜真夏の夜の夢」(TBSラジオ、2007年8月19日(日)25:00-28:00)が放送され、二週目の8月26日(日)は最終日曜日にあたり、「文化系トークラジオ Life」(TBSラジオ、毎月最終日曜25:40-28:00)の放送が決まっている。

「沢木耕太郎〜真夏の夜の夢」は、井上陽水や瀬戸内寂聴が登場し、それなりに面白い話ではあった。それに、沢木耕太郎の人柄の良さというか、「永遠の好青年」然とした物腰の柔らかさに好感を持った。それに、ラジオではあまりかからない、私の好きなSteely Dan"Gaucho"(Gaucho(1980)所収)がかかったのも良かった。沢木自身の選曲なのかな?

でもやっぱり「クラブ954スペシャル」が聴きたかったなぁ。実は、この番組のファンは少なくないはず。

後日、久びさに放送がありました。その時の放送については:
○「クラブ954スペシャル」(TBSラジオ、2007年10月15日(月)1:00-4:00)
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大竹まこと ゴールデンラジオ!(文化放送、2007年7月23日(月)13:00-15:30)

○「大竹まこと ゴールデンラジオ!」(文化放送、2007年7月23日(月)13:00-15:30)

8月21日(月)の深夜、NHK総合テレビで萩本欽一のインタヴューをやっていた。民放某局の24時間テレビのマラソンは、40%以上の視聴率を獲得したという。NHK総合テレビのインタヴュー自体はかなり以前に録られたものだと思うが、ここで放送するとは、絶妙のタイミング。世間が「ミキティー、ミキティー」と騒いでいるときに荒川静香のドキュメンタリーを制作していたラッキーさと同様に、今回もNHK総合テレビは幸運にありついた。

この他にも、マラソン前の萩本欽一にインタヴューしていたラジオ番組がある。「大竹まこと ゴールデンラジオ!」(文化放送、月~金13:00-15:30)だ。「「ゴールデンラジオ!」のメインコーナー」の「大竹メインディッシュ」のゲストとして萩本が出演したのだ。普段は番組を聴けない私は、このコーナーだけはポットキャスティングでチェックしている。萩本の回は、携帯プレイヤーに保存していたのだが、聴くのを忘れていたので、つい先日聴いたばかりだった。

萩本に対して大竹は「近ごろ、あのぅ、「村上ファンド」とか呼ばれてないですか?」と軽いジャブ。「お笑いは基本的にセコくてナンボ、セコいのが面白い」という話題を経て、お笑い界について、大竹と萩本は次のように話を進める:

大竹 欽ちゃん、ちょっと説教しようと思って。
萩本 おぉ、面白いね。
大竹 「面白いね」じゃなくて、ちょっと真面目に聞いて下さいよ。あのね、近ごろテレビ出てるね、芸人さん、全部、なんか修行が足りない。思いますでしょ?
萩本 そうそうそう。
大竹 修行、足りないでしょ?
萩本 最近ね。
[……]
大竹 若い奴、素人みたいで、修行が足りない。そこら辺の人が出てきて面白い話ししてるみたい。この元をつくったのは、だれ・なん・だ、と。 
萩本 なるほどなぁ。
大竹 コラコラコラ、と。
萩本 俺か?(笑)
大竹 「良い子・悪い子・普通の子」。「良い子・悪い子」はイイよ。「普通の子」ってどういうことよ? 「普通の子」が面白いんだよ。
萩本 ねぇ。アレびっくりした。
大竹 「良い子・悪い子」なら俺も、「あ、これはテレビだな」と思って納得して見るよ。これ、「普通の子」が出るんだよ。コレがウケる。
萩本 あれね、普通なら「良い子・悪い子・とぼけた子」って落とすんですよ、「三段落とし」って。あの本を書いたのが、素人だったんです。だから落とせなかったのよ。「良い子・悪い子・普通の子」って「普通の子」採っちゃった。そこが新しい。気がつかない。
[……]
萩本 あれはねぇ、だから言ってんの、「芸能界」と「テレビ界」ってのがあって、あれはテレビ芸という。分けてくれないと。一緒にすると、芸が違うんだから。
阿川佐和子 ホントのお笑いの芸の舞台と、テレビとは違う媒体だと。
萩本 違う違う、もう、全く違うところですね。
大竹 芸っていうのは、何か二郎さんが何かやったとき、ちょっと向こう側向いてると、後ろからパンパンパ~ンって出て二郎さんの背中に跳び蹴り食らわすんだけど、二郎さんは痛くないのよ。これが芸なのよ。
萩本 あぁ~、ウマい。ウマい、ひと言で言ってくれて。
大竹 ここが芸。叩かれたヤツが痛くないていうのが。
阿川 ほぉ~。
萩本 蹴ってもね、実はね、痛くないように蹴るんですよね。
大竹 痛くないように蹴るのが芸なんだよ。一回背中に乗せてから押すんだよ。
萩本 どうしてそれを!
大竹 ず~っと見てました、私は。
萩本 蹴ったらホントにね、危ないんですよね。
大竹 蹴ったら、二郎さんの背中、逆に伸びるはずですから。こっちに反るはずですから、蹴ったら。二郎さんまわったまま向こう行ってるでしょ? 突っ伏してるでしょ? あれ、蹴ってない。
阿川 それ相当訓練しないと。
萩本 スゴいトコ言ってくれましたね。
[……]
大竹 それで、俺は「芸だなぁ」って思ってずっと見てたら、あるとき、アゴ&金造っていうのが出てきて、槍を投げるっていうギャグだったの、芸だったの。で、アゴさんが金造の背中に槍――ったって先っちょは尖ってないんだけどね、棒なんだけど――ボンって投げたの。金造の背中にモロにあたって、二郎さんだったら丸まるところ、金造の背中は逆に反ったの。アレは、俺、テレビで見てて、ホントに痛かったんだと思って、コレみて大笑いしたんだから。こういう芸もあるのかと。投げたら刺さるぐらいに。金造、逆反りしてる時あった。
萩本 はぁ~。
大竹 それでなんか、お笑いは、あの辺でもう一回、なんか、生の痛さ、「芸」から「生の痛さ」、それが欽ちゃんの言うところの、テレビの中の生っぽさ、リアリティーにもう一回ここで反転するんだよね。
萩本 「テレビ」芸。
大竹 舞台の芸からテレビ芸に、こう反転して。
阿川 リアルだから。
大竹 そうそう。その後に、やっぱり、たけしさんが出てきて、あのぅ、たけしさんの、何だっけ? あのぅ、「[お笑い]ウルトラクイズ」で、塀乗り越えると一面に糊と鳥もちが敷いてあって、顔がもう、お笑い芸人の顔が鳥もちで。後で聞いたらアレ、もう全然、「カット~」ってOK出てたって、もう全然はなれないんだって。

テレビの世界に入った舞台の芸が変容し、そこで新たなテレビ芸が生成、そしてテレビのリアリズムが芸にもう一度フィードバックする――昭和のお笑いの歴史を、たかだか6分程度のやりとり中にこれだけ凝縮されたかたちで聴くことができて、驚嘆した。

他にも、「中途半端に稽古したお笑いはワザとらしさが出るが、自然さで言えば10年の芸と素人は同じ」など興味深い話がつづいた。

25分ぐらいのコーナーのうち、お笑いや芸の話は10分強であった。NHK総合テレビの件の番組はどのくらいの長さだったか分からないが、少なくとも1時間以上はやっただろう。この回の「大竹メインディッシュ」は、それに勝るとも劣らない充実した内容だったと思う。

以前私は、大竹のインタヴュアーとしての才能を「凡庸な聞き手」という言い方で表現したような気がする。これは、小手先のトークのテクニックに走らない大竹の聞き手としての誠実な態度を評した表現のつもりだった。しかし今回のインタヴューで、個々の芸に対する大竹のミクロな分析眼と、それをお笑いの歴史の中に適切に位置付けてみせるマクロな視角も垣間見ることができた。凡庸の外皮をまとった慧眼と誠実さ――そんじょそこらのしゃべり手とは、ひとつもふたつも格が違うと、改めて感心すること頻りであった。

残念なのは、このコーナーは文化放送のウェブサイトでは一週間程度の期間しか聴くことができない。「ストリーム」(TBSラジオ、月~金12:30-15:30)「コラムの花道」のように、長期間聴けるようにアーカイヴ化してもらいたい。

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あのグラ・スーパーナイト ラジオ冒険王(FM世田谷、金24:00-28:00)

○「あのグラ・スーパーナイト ラジオ冒険王」(FM世田谷、2007年8月3日(金)24:00-28:00)

かねてから興味をもっていた「あのグラ・スーパーナイト ラジオ冒険王」(FM世田谷83.4MHz、金、24:00-28:00)の、元TBSアナウンサーの宮内鎮雄氏が担当する回を聴いた。

つい最近、うちの比較的近所の荒川土手でもFM世田谷を聴くことができると判明したが、その日の時点ではまだ未確認だったので、聴きに行った。京王線で言えば仙川から西が調布市のようなので、それより東のどこかで降りようと思ったが、世田谷区にそれほど土地感がない。従って、駅のすぐ近くに大きな道(環八)の通っている八幡山で降りてみた。ホームにあるガラス張りの待合室で「BATTLE TALK RADIO アクセス」(TBSラジオ、月~金22:00-23:40)を聴きながら、ちょっとした仕事を片付けつつ待機。

24:00直前に改札を出て街へ。番組が始まる。

コミュニティーFM局で、生の深夜放送を行っているところは珍しいのではないか。CMも流れていたので、スポンサーもついているのだろうか。多くのコミュニティーFM局は、深夜はMUSIC BIRDなどの音楽専門チャンネルの番組を再送しているケースがほとんどだ。

番組のオープニングは宮内アナが旅行したチベットのラサの話。意外だったのは、テレビのナレイションなどのイメージと異なり、宮内アナの語り口は非常に柔和で、おやじギャグや下ネタ(チベットのトイレの話を何回か蒸し返していた)なども次つぎと飛び出す。「もっとクールで強面の放送を想像していたが、あに図らんや、癒し系の優しい放送がアシスタントの小野寺小町とともに展開される。パックインミュージック」(TBSラジオ)の頃もこんな感じだったのだろうか? 「祭あれこれ」というテーマでメールやFAXも募っていた。

その頃、私はとにかく土地感がないので、環八を南下。迷わないように路地などには一切入らない。しばらく行くと世田谷通りにぶつかり右折(西へ)。このコースを取ったのには実は訳があった。FMえすかれぇしょんというミニFMが番組を24時間リピート放送していると言うのでついでに聴こうと思ったのだ。モスバーガー世田谷大蔵店の周辺で聴くことができる。ここまでくると、ラジオの病膏肓に入るといった感じだ。たまたまこの翌日に、FMえすかれぇしょん活動開始12周年記念特番が生放送されたことを、つい先日知った。

番組に話を戻すと、宮内アナの選曲はロックやポップスのクラシックス中心で、その日は夏にちなんだ曲がかかり、放送までの一ヶ月に鬼籍に入ったミュージシャン・作詞家・作曲家の作品も紹介された。後半の「宮内鎮雄の30ミニッツ」では、夏の映画音楽が特集された。

柔和な癒し系といいつつも「輝け!大人バンド」のコーナーでは、ゲストのアマチュア・バンドの人の話を補足したり、道筋をつけたりと、宮内アナの音楽に対する該博な知識の一端がチラリと垣間見られた。

ターゲットのリスナーが団塊の世代(の男性)ということもあってか、話題に上るのは古い曲中心だったが、宮内アナは最近の曲についてはどのような印象をもっているのだろうか?

その頃、私は飽きるまで直進した後でUターンして環八まで戻り、右折(=南下)。さすがに疲れたので落ち着いて聴ける場所を探し始めると、すぐに砧公園が見えた。最初に見つけたベンチは、一人分づつに仕切られたサディスティックなベンチ。ホームレスの人たちが居つくのを防ぐ目的なのだとは思うが、ホームレスでなくてもベンチで寝っ転がりたいときはあるのだ。

仕切りのないベンチを見つけて仰向けに寝ると、ちょうど大きな木の下だった。枝越しに空がほとんど見えないほど、葉が密集している。葉が鬱蒼と茂った枝が風に吹かれて、生き物のようにうねっている。時どき原付の少年が公園内をプチ暴走する以外は、いたって快適。枝の動きを目で追っているうちにだんだん瞼が重くなり、「30ミニッツ」の夏の映画音楽の途中で、宮内アナが発した「ロシアン・タンゴ」という言葉の記憶を境に眠りに落ちた。ニキータ・ミハルコフ[監督]『太陽に灼かれて』(1994年)という映画で使われた「疲れた太陽」という曲だと、後に判った。

目が醒めると、番組では、宮内アナが同級生の男性と自作パソコンの話をしていた。話によると、宮内アナもMacユーザーらしい。

放送が28:00に終わっても、当然、まだ電車はない。仕方がないので、しばらくベンチで寝てから、頃合を見て八幡山まで戻ることにした。

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誠のサイキック青年団(ABCラジオ、2007年8月12日(日)25:00-26:00)

○「誠のサイキック青年団」(ABCラジオ、2007年8月12日(日)25:00-26:00)

過去の「誠のサイキック青年団」に関するエントリー:

誠のサイキック青年団(ABCラジオ、2007年7月22日(日)25:00-26:45)

誠のサイキック青年団(ABCラジオ、2007年7月29日(日)25:40-27:25

夜ベランダに出たら思いのほか涼しかったので、「どうせだからまた荒川土手で「サイキック」でも聴くか」、と出かける。

以前に見つけたポイントへ向かうも、夏休みということもあってか、河原で奇声を上げる若者たち、土手で花火に興じる男女、明らかにフェ○×オの真っ最中と思われる音と動きのカップルなど、夜の荒川土手はキケンがいっぱい、暗闇まつりだ。例のイルカが死んだのも、きっとヤツらの毒にやられたせいだと決め付けたりする。ときおり、孤独な自転車乗りの少年が、何かを歌いながら猛スピードで駆け抜けたりする。

なんとかよい居場所を見つけて土手に寝転ぶ。真っ黒な夜空に、輪郭のハッキリした夏っぽい雲が浮かんでいた。晴天で星も見える。今日の「サイキック」は怪談特集みたいだった。それはそれで充分面白いが、どっちかというと、いつも通りのアホ話の方が愉しいかもしれない。番組のあいだ、少なくとも流れ星を5個以上目撃した。「ジェットストリーム」(TOKYO FM 月~金24:00-24:55)でも聴きながらの流れ星であればロマンティックなのだが、怪談を聴きながらの流れ星では、がぜん意味合いも変わってくる。南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏。

北から南へ飛行していく10-15機からなる飛行機の編隊のライトが見えた。何だあれ?

途中まではすごくクリアに聴こえた。酔いどれ会社員さんのサイトの掲示板の書き込みによると、東京都の荒川土手は、大阪府枚方市よりも「サイキック」がクリアーに聴こえているとのことだ。しかしその夜は、26:00直前で朝鮮語の放送が突然混信してきて「サイキック」が聴こえなくなる。朝鮮語の混信がなくなったころには、何も聴こえなくなっていた。今日は1時間ヴァージョンだったのだろうか?

実はその夜は思いもかけぬ発見があった。「サイキック」もどうやら終わったようなので、他を聴こうと思ったが、放送しているのは「ラジオ深夜便」(NHK第一放送、毎日23:00-29:00)AFNだけだった。しかたなくFMでも聴くかと思いオート・スキャンしてみたが、どこもパッとしない。

土手に寝転がった状態でラジオを右手にもったまま背伸びした瞬間、山下達郎の曲が聴こえた。スキャンを止めると83.4MHzだった。これは、世田谷区周辺でしか聴こえないはずのFM世田谷の周波数だ。荒川土手でこんなにクリアーに聴こえるはずがないと思ったが、演歌や歌謡曲がその後もノン・ストップできれいに聴こえる。しかし、FM世田谷だという確証はない。

正時にステイション名の入ったジングルが流れるに違いないと思い、26:59に83.4MHzにチューニングされるようにタイマーをセットして、あれこれ聴いて待機。時間になりタイマーが作動したのを確認してもう一度背伸びすると、確かにFM世田谷のジングルが流れた。

ついでに83.8MHzにあわせてみたが調布FMはダメだった。手許に周波数表がなかったので確認できなかったが、23区内のコミュニティーFM局だったら、ひょっとしたら荒川土手で聴こえるかもしれない。

ちなみに、場所を変えたり、姿勢を変えたりするとFM世田谷にチューニングが微妙に合わなかった。荒川土手のあの場所で、土手に寝転んだあの状態で、ウルトラマンの変身よろしくラジオを天に突き上げるあのポーズ――これがベストな聴き方のようだ。

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1-Day Acuvue Moist Allegro Andante(J-WAVE、2007年8月11日(土)23:00-23:54)

○1-Dau Acuvue Moist Allegro Andante(J-WAVE、2007年8月11日(土)23:00-23:54)

J-WAVEで海の日に放送したジェイク・シマブクロの特集番組「J-WAVE Holiday Special American Express Presents Relaxing Moments with Jake Shimabukuro」(J-WAVE、2007年7月16日(月)18:00-19:55)を聴き逃してしまった。このことに対して地団駄を踏みながらルサンチマンを募らせて過ごしていると、またジェイクがラジオ出演すると言う情報をゲット。2007年8月11日(土)放送の「1-Day Acuvue Moist Allegro Andante」(J-WAVE、(土)23:00-23:54)という番組に出演するとのこと。今回は聴き逃さぬよう用心に用心を重ね、当日を迎えた。

はっきり言って、この番組を聴くのは初めて、パーソナリティーの松下奈緒もよく知らなかった。調べてみたら、この人は音大生で、女優をやったり、ピアノを弾いたり、最近ではアニメ映画の主題歌を歌ったりしているのだとか。

番組の雰囲気は、同じJ-WAVEで言えば、「NOEVIR SAUDE! SAUDADE...」(J-WAVE、日17:00-17:54)「ASIENCE SPIRIT OF ASIA」(J-WAVE、日18:00-18:54)に似ているかもしれない。

個人的には女性の低い声は好きなので、その点では松下の声は悪くはないし、トーンも落ち着いている。しかし、音圧が何となく安定しない感じで聴いていて気分が少し落ち着かない。MCを交えながら自分のアルバムから何曲か演奏。MCの途中で笑いが来るのを期待していると思われるポイントがいくつかあったが、笑いは起きず。

「ここで、あのぅ、まずサプライズとしておひとかたゲストをお呼びしております」という松下の言葉の後に、音楽プロデューサーの松尾潔が登場――この方、存じ上げませんでした。松下をプロデュースしたのだとか。J-WAVEで番組ももっているとのこと。ふたりの可もなく不可もないトークがひととおり続く。

その後ようやくジェイク・シマブクロ登場。「すごい「キャー」という歓声が上がりましたが、私のときはなかった」という松下の言葉の通り、放送が始まってはじめて客席から歓声が上がる。ジェイクの登場後、明らかに会場の雰囲気が変わる。ところで、私は、ジェイクについてネットで検索している時に、偶然この番組のことを知った。ひょっとしたら、この公開録音のお客もジェイク目当ての人たちが多数を占めていたのかもしれない。

ジェイクは最新アルバムMy Life(2007)から、ビートルズのカヴァー"In My Life"をソロ・ウクレレで披露。ハーモニクスが「ピキ~ン」とキレイにビシバシ決まる。私は時どき「ぶろろっ」となってしまい、安定して決められない。その後、松下を交えてシンディ・ロウパーの"Time After Time" をセッション。演奏前に、テレビCMでおなじみの「よろしくお願いシマブクロ」も炸裂。客席から笑い。ジェイクは独特のオープンでフレンドリーな雰囲気をいつも持っている。以前テレビで見た、チェロ奏者のヨーヨー・マもそんな感じだった。

個人的には、今回のベスト・アルバムよりもGently Weeps(2006)のほうが好きだ。ウクレレ・ソロの"Spain -solo-"にはシビレた。"While my Guitar Gently Weeps -solo-"は、最近のジェイクの名刺代わりの感じもする。

しかし、23:33ごろに登場したジェイクは2曲だけ演奏して23:47ごろには退場。会場ではもっと演奏したのかもしれないが、放送されたのは54分の放送時間のうち13分のみ。ゲストというのでもっとフィーチャーされるのかと思っていたのに……。ジェイクの演奏を聴きたくて番組にチューニングを合わせた人にはトホホな内容だったかも。

松下が最後に演奏したオリジナル曲「わんこ」は良かった。「わんこ」だけあってワルツ。こういう感じの、気の利いた短い曲は聴いていて単純に愉しい。

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裕木奈江のオールナイトニッポン(ニッポン放送、1992年10月21日-1993年9月29日、水25:00-27:00)

○「裕木奈江のオールナイトニッポン」(ニッポン放送、1992年10月21日-1993年9月29日、水25:00-27:00)

 

2007年8月4日(日)の「伊集院光 日曜日の秘密基地」(TBSラジオ、日13:00-17:00)で裕木奈江の声を久びさに聴き、映画『インランド・エンパイア』Inland Empire (2006)で37歳だとは信じられない姿を見たせいで、裕木奈江に対する懐かしさが突如爆発。

そこで「裕木奈江のオールナイトニッポン」」(ニッポン放送、1992年10月21日〜1993年9月29日、水25:00-27:00)についてあれこれ想い出そうとしたけれど、ハッキリ言ってほとんど何も想い出せない。

「噂の言うだけ彼氏」というコーナー名、裕木の『旬』というアルバム発表時に細野晴臣がスタジオに来たこと、そのときレコーディングに細野晴臣・松本隆・鈴木茂が参加したことについて裕木が「「3/4はっぴいえんど」なんですよ」と言っていたことなどをかろうじて想い出したぐらいで、面白かった投稿ネタなどの具体的な記憶が全くない。つまり、具体的な内容というよりは、番組全体の雰囲気が好きで流して聴いていたってことんだなぁ。

なにか手がかりを得ようとネットを検索して見るが、案外情報が少ない。

裕木の目立った活動は90年代前半に集中しており、インターネットが一般に普及し始めた90年代中盤以降は、裕木が活躍の場をテレビから舞台へ移し、私たちの前から「消えた」ように見えた時期である。したがって、裕木の充実したファン・サイトの数は案外少ない。存在するサイトも、数年間更新の途絶えたものがほとんどで休止状態だ。

とはいえ、興味深いサイトはいくつかああり、その中でも興味深いのは藤木尚氏の「裕木奈江の世界」だ。ご自身が所有する「裕木奈江のオールナイトニッポン」のエア・チェック・テープ数本のリストが掲載されている。当然、番組の音源は聴けないが、番組のジングルが5パターンアップされている。

○裕木奈江の世界(ANN特集)

さっそくジングルを聴いてみると、とにかく懐かしい。このあいだ伊集院の番組で聴いた声よりも少し若い、BGMに乗って番組名をコールする少女然とした声は、ある意味では昨今はやりの「萌え」の先駆けかもしれない。私は、ちょっと中国テイストなシンセのパッセイジで始まるジングル(「Ver.4」)が良いと思う。エア・チェックしたテープならではのノイズ感も、藤木氏があのときラジオを確かに聴いていたという事実が感じられて、リスナーたちのパーソナルな時間が共時的な広がりのなかで繋がっていたことが判る。

いろいろな番組をエア・チェックしたテープは私の手許にはほとんど残っていない。当時は小遣いの都合などもあって上書き消去してしまったものも多く、「もっと保存しておけばよかったなぁ」と反省することしきり。


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『954press』2007年8月号(TBSラジオ&コミュニケーションズ)

○『954press』2007年8月号(TBSラジオ&コミュニケーションズ)

TBSラジオの広報誌(フリー・マガジン)『954press』の2007年8月号を偶然ゲットした!

たまたま買い物に行ったイトーヨーカドー店内の、パンフレット・チラシ類が置いてあるラックにあった。

この『954press』、TBSラジオを聴いていると時どき宣伝しているので気にはなってはいたが、切手を同封して取り寄せたりするのが何となく億劫で、 実物を見るのが今回が初めて。

全16ページ(ページ下のノンブルの打ち方を見ると、表紙・裏表紙もそれぞれ1ページとカウントしている)、すべてカラーだ。

ページ数が少ないので、全ページの内容を紹介:

表紙 p.01
上の画像参照

「コサキンそれぞれインタビュー」pp.02-03
関根勤・小堺一機のふたりが、「コサキンDEワァオ!」とお互いについて同じ質問にそれぞれ一問一答。

「コサキン揃ってインタビュー」p.04
「コサキンDEワァオ!」について、ふたり一緒に回答。

「音の花束~「OTTAVA」(オッターヴァ)~」p.05
ネットおよびデジタル・ラジオで配信中のクラシック専門チャンネルの紹介。

雰囲気としては、ヒルズ族御用達の例の「アーテリジェンス」の臭いがプンプン漂って来るが、実際のところ誰をターゲットにしているのか今ひとつ不明なプロジェクト。ヒルズ族が聴くとは思えない。「団地のモーツアルト」たちは「N響アワー」で充分だろう(最近では「ベスト・オブ・クラシック」(NHKFM、月~金19:30~21:10)と言うらしい)。

「「エキサイトベース」女子マネージャー磯山さやかがアナタに教える エキサイトベースボール パワーアップ応援ガイド」pp.06-07
TBSラジオのナイター中継の紹介。

磯山さやか、痩せたなぁ。個人的にはあまり痩せないほうがよかったのではないかと……。木曜JUNK「アンタッチャブルのシカゴマンゴ」(TBSラジオ、木25:00-27:00)の「粋なうわさ」の影響で、最近、磯山さやかに妙な親近感を覚えるようになって来た。

ちなみに、「粋なうわさ」コーナーのジングルはヒデとロザンナ「粋なうわさ」(1969年)という曲らしい。

「NEWS & EVENT INFO. 954発!」pp.08-09
世界陸上、「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」などの紹介。

「BayStars Room」pp.10-11
工藤公康インタヴュー。私はベイスターズ・ファンなのでちょっと嬉しい。どうせならTBSラジオには「ベイスターズ・ナイター」をやってもらいたいのだけれども……。

「週間番組表」pp.12-13

「from 954 press」p.14
プレゼント、『from 954 press』の入手方法などの情報。

「TBSラジオ環境プロジェクト「今日よりちょっといい、明日を」」p.15
TBSラジオ環境キャンペーンの紹介。

裏表紙 p.16
TBSラジオの月間カレンダーとコサキンの写真。ココがいちばん面白いかも。ケレルッ!!

感想:
コサキンのインタヴューの部分に3ページを割いているものの情報量が少なめでモノ足りない。聴いたことのない人に番組を紹介するという意味ではちょうど良いかもしれないが、リスナーはもっとディープなインタヴューを期待するのではないかと思う。誰かがおカネを出してくれたら、ラジオ馬鹿を集めてもっとディープに偏向したヤツをつくるのに、といった感じ。ただ、コサキンのリスナーなら裏表紙を見るためだけにでもゲットすべし!

全体的にも、読み終わったときの充実感はいまひとつかも。140円ぶんの切手を同封して郵送で取り寄せると、チョっとガッカリかも。イトーヨーカドーまたは都営地下鉄の駅でゲットするのが吉。

入手方法:(TBSラジオのウェブサイトより

<郵送で取り寄せ>
郵送代として140円分の切手を同封し、郵送先を明記の上お申込みください!
宛先〒107‐8066 TBSラジオ「954press」7月号係
※140円分の切手で2部まで、3部ご希望の場合は200円分の切手を同封の上、希望部数を明記しお申込みください。

<配布場所で直接入手>
■都営線(計15駅)
●都営浅草線   東日本橋、泉岳寺、三田、浅草橋
●都営三田線   巣鴨、水道橋、三田
●都営新宿線   市ヶ谷、九段下、小川町、馬喰横山
●都営大江戸線   青山一丁目、六本木、大門、上野御徒町

■イトーヨーカドー(計90店舗)
●東京都
亀有駅前店/高砂店/四つ木店/金町店/立石店/小岩店/葛西店/木場店/三ノ輪店/恋ヶ窪店/エスパ昭島店/綾瀬店/西新井店/千住店/竹の塚店/大森店/国領店/滝山店/東久留米店/東村山店/八王子店/南大沢店/上板橋店/戸越店/大井町店/府中店/武蔵境店/赤羽店/曳舟店
●埼玉県
浦和店/大宮店/大宮宮原店/三郷店/加須店/久喜店/坂戸店/春日部店/上尾店/上福岡東店/川越店/川口駅前店/西川口店/新田店/草加店/東松山店/埼玉大井店/和光店/錦町店/蕨店
●神奈川県
伊勢原店/若葉台店/鶴ヶ峰店/洋光台店/桂台店/能見台店/上永谷店/上大岡店/綱島店/たまプラーザ店/立場店/鶴見店/横浜別所店/大船店/茅ヶ崎店/厚木店/溝ノ口店/川崎港町店/エスパ川崎店/橋本店/古淵店/相模原店/大和鶴間店/藤沢店/湘南台店
●千葉県
新浦安店/エスパ我孫子店/我孫子店/臼井店/新四街道店/市原店/姉崎店/津田沼店/東習志野店/五香店/八柱店/幕張店/蘇我店/柏店/八千代店/流山店

※数に限りがございますので、品切れの際はご了承ください。
※毒蝮三太夫のミュージックプレゼントの
中継現場でも配布しております。

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伊集院光 日曜日の秘密基地(TBSラジオ、2007年8月4日(日)13:00-17:00)

○伊集院光 日曜日の秘密基地(TBSラジオ、2007年8月4日(日)13:00-17:00)

 

「秘密基地VIPルーム」のゲストは裕木奈江。彼女のトークを聴くのは「裕木奈江のオールナイトニッポン」(ニッポン放送、1992年10月21日~1993年9月29日、水25:00-27:00)以来。いわゆる「不思議ちゃん」だが、ひとクセある感じが番組に独特の雰囲気を醸成していた。ラジオにとって「ひとクセ」がいかに重要なことか。当時、同級生の男子には概ね不評だったが、私は結構、好きで聴いていた。案外みんなも、照れていただけで聴いていたのかもしれない。「噂の言うだけ彼氏」とかあったなぁ、懐かしい。

伊集院と裕木が、ものすごく意気投合していたのは少し意外だった。伊集院が苦手なタイプなんじゃないかと思っていた。伊集院は、当時、自分を追い抜いてオールナイトニッポンの一部に大抜擢された裕木の才能に嫉妬していたそうだ。裕木は伊集院のファンで、ARAKAWA RAP BROTHERS のCDを持っていたらしい。

このコーナーは、ゲストが過去に受けたインタヴューから出題されるクイズにゲスト自身が答えることをきっかけにトークが展開される。クイズの部分よりも、その前のフリー・トークのパートのほうが盛り上がっていた気がする。

自分の意見をもっていて、それを面白く聴かせるタイプの女の人が私は基本的に好きなので、今回の「VIPルーム」は相当に愉しめた。火曜JUNK「爆笑問題カーボーイ」(TBSラジオ、火25:00-27:00)に、「BKラジオドラマ脚本懸賞」に入賞した頃の中江有里がゲストに来たとき(2005年4月12日)の雰囲気を彷彿とさせた。

伊集院のMCも巧みだった。大半のリスナーは、アイドルとして一世を風靡した彼女が、「最近ふたたび映画を中心に復活(?)するまでのあいだ、いったい何をしていたのだろうと疑問に思ったはず。アイドル期→舞台期(バッシング以降)→ギリシャ留学→現在(裕木曰く「本当にもう、先が見えない人生」)と、裕木のキャリアを整理しつつ、リスナーの疑問に充分に答える内容だった。

以前に同時期にニッポン放送で番組を持っていた仲だということもあってか、ざっくばらんなトークで次つぎと面白い話を引き出していた。また、伊集院自身がデイヴィッド・リンチのファンということも奏功して、最新出演作『インランド・エンパイア』 Inland Empire(2006年)についても充分に聞き出していたと思う。

裕木の出演作では、個人的には高橋伴明[監督]『光の雨』(2001年)に興味あり。まだ観ていない。

裕木は現在、面白そうな映画のパイロット版に参加したりしていて、プロデュース的なことにも興味をもっているらしい。そういう夢を語る裕木に対して伊集院は、こんな感じで熱っぽく語った:

いい人生だよ、それ。スゲぇ。[……]

すごいね、このね、失礼に該たる事を言うかもしれないのは先に謝っとくけどもも、あのぉ、すごいこう「裕木奈江バッシング」みたいのがブームになって、僕らからしてみたら「あ~あ、あの娘、テレビ・ドラマとか出られなくなっちゃったね」と思ったのね。で、その、一番最初に来た、その、輝きの印象があるから、あのぅ、「すごい女優さんになると思ってたのに」とまで思ったのね。思ってたのに、「世間とか女の人って怖いな。同姓にこんだけバッシングされると、出られないんだ、かわいそうに」ってたぶんオレ思ってたと思う、ずっと。

だけど、なんかこう、こうやって話してみると、あそこでのトントン拍子はトントン拍子でまた想像はつかないけど――それと、あそこが、あのかたちがトントン拍子じゃなかったっていえる立場でもないんだけど――でもなんかこう……スゴいね、ちゃんとしてるよ、すごいちゃんとしてる。やっぱ、スゴい……あのぉ、最初の印象で「スゲぇヤツ来たなぁ」と思ったけど、そのまま、やっぱ、スゲぇヤツになってんなぁ。スゴい。

裕木のファンも裕木自身も、この言葉は、きっと嬉しかったはず。

もともと見るつもりでいたが、このインタヴューに触発されて『インランド・エンパイア』 をさっそく次の日に恵比寿に見に行った。「女性としては一番変わる時期、傷みの激しい時期」(伊集院)を経たスクリーンの裕木奈江に、「ホントに37歳かよ!」と驚くことしきり。作品全体としては、物語の断片が別の断片にリンクしているように見えて、ある程度映画全体のイメージをつかみかけたと思った途端にはぐらかされ続ける感じ――映画館を出る人たちの半分ぐらいが半笑いだった。笑うしかないだろ。あるいは、あの売春婦たちと一緒にあの部屋で踊るか? "You gotta swing your hip now"。売店で買ったプログラムにこんな映画評が引用されていた:

内容がわからなかったって? それが、リンチを理解したってことなんだぜ。
――「Premier」誌

左様ですか。トマス・ピンチョンの小説に泣く泣く挫折した人は、この映画を観ればいいんじゃないか、と思ったりもする。

伊集院はこの映画を「絶対お勧めしませんけど、僕、5回ぐらい見に行くと思います」と言っていたが、私は1回見るのがいいと思う。「物語の解体」を意図していると思われるこの作品を、自分の頭の中でもう一度解体して再構成してトリップするのが愉しいのではないか。でも最近では、もう一回観たら別のものが見えるんじゃないかという気もしてきている。

さて、この日のアシスタントは竹内香苗TBSアナウンサー。たぶん、アシスタントの中ではいちばん人気があるんじゃないか、と私は感じる。

フリー・トークのときの竹内アナは、太い腹式の声ではないし、度たび敬語と「タメ口」が混じったりする。古き良きアナウンサーの王道からは外れているのかもしれないが、以前にゲスト出演した、ニッポン放送のうえやなぎまさひこアナウンサーも「ベールがない」と評価しているように(2006年5月14日)、ヘンに構えることなく自然に話しているように聴こえて、言葉に嘘がないと感じられる。ラジオ・リスナーとしては聴いていて非常に心地良い。

丁半コロコロが講師を務めた「日曜ゼミナール」(「環境未来予想図」)も結構面白かった。

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裕木奈江出演作品
裕木奈江のCD
裕木奈江の書籍・写真集

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伊集院光 日曜日の秘密基地(TBSラジオ、2007年7月28日(日)13:00-17:00)

○「伊集院光 日曜日の秘密基地」(TBSラジオ、2007年7月28日(日)13:00-17:00)

先週と今週の「伊集院光 日曜日の秘密基地」は非常に充実した内容だった。

この番組は、「打った、勝った!、草野球で大売り出し!」「秘密基地VIPルーム」「日曜ゼミナール」「ヒミツキッチの穴」、それぞれ約一時間のコーナー4つで構成される長尺のワイド番組だ。

武田鉄矢は、「秘密基地VIPルーム」にゲスト出演したときに(2006年5月14日)「野球のヤツ、つまんない」と言っていたが、私はそれほど嫌いじゃない。ただ、最近の挑戦者が大企業ばかりなのはちょっと……。「日曜ゼミナール」は、最近の話題を整理して紹介してくれるので、それだけで充分価値がある。水道橋博士は、このコーナーをいつでも聴けるようにサイトでアーカイヴ化すべしと言っていた。「ヒミツキッチの穴」は単純に面白い。

私にとって、この番組の充実度を左右するのは「秘密基地VIPルーム」だ。

先週のゲストは柳沢慎吾、今週は裕木奈江だった

先週(2007年7月28日)の回

柳沢慎吾との「秘密基地VIPルーム」は、とにかく笑いっぱなしの一時間だった。白眉は以下のやり取り:

伊集院 僕『スーパーの女』でご一緒させて頂いたときに、映画、伊丹さんの映画——したときに、津川雅彦さんが大病したあとで、復帰作だったの。で、津川さん、すんごい長台詞とかがあって、いつも、そのぉ、セットの隅のところで一所懸命ね、あのぉその、独りで稽古してるわけ、あの津川さんが。そいで、もう慎吾さんは、オレたち集めてず〜っとね、スーパーが舞台だったから、もうホントにふざけて、ず〜っとふざけて、あのぉ、ドジな万引き犯のマネとかやってるわけ、そこでず〜っと。うるさいわけ。[……]

ふと目線やると、そこで津川さんが一所懸命稽古してるから、もう慎吾さんに、僕、後輩だけど、「あのぉ慎吾さん、津川さん、津川さん」て指差したら、周りも慎吾さんが笑わせっから笑ってたんだけど、シ〜ンとなって「あぁ……」ってなったんだけど、「いけね!」って慎吾さんが「仲間に入れてやんなきゃ」。津川さんに「今みんなで面白いのやってんですよ、面白いの」。

柳沢 その観点がスゴいよな。

伊集院 スゴいよ。自分で聴いてもスゴいと思うでしょ。

柳沢 津川さん独りだから、仲間に入れてやろうと思って。仲間に入れちゃったんだから。

伊集院 独りぼっちじゃないよ。距離置きたくて、絶対、津川さんやってんだよ、アレ。

柳沢 津川さん、芝居のことで頭いっぱいだったんだよね。それをオレがね、仲間に入れてやれって。みんな仲間に入れて。

伊集院 津川さんも一緒にノッてね。

柳沢 ノッてくれて。

伊集院 補導員の役とかやってくれんだよね。

伊集院は、柳沢慎吾と明石家さんまを「人を楽しませるために生まれた人」と評していたが、褒められても謙遜する所がない点もふたりの共通点だ、と私は思った。ふたりが尊大だと言いたいのでない。ふたりは天然のキャラクターのように見えて実は自己演出に意識的で、賞賛を謙遜なく受け入れるのは、意図した通りの結果が得られたことを確認しているためではないかという気がした。

第五日曜日のアシスタントは特に決まっておらず、その時どきで違う人が担当する。今回は外山惠理TBSアナウンサーだった。これも、もうひとつの聴き所だった。

この週のFAXテーマは「育ちを感じる瞬間」だったのだが、外山アナは、ケラケラとよく大笑いするものの、そこはかとない品がある。「お上品」でなく「品」。「品」というのはにわかな後付けでは、決して身につかない資質だと思う。

番組冒頭で「アナウンサー10年目」と紹介されていた(ということは今年で32歳か!)。それにしては「土曜ワイドラジオTOKYO 永六輔その新世界」(TBSラジオ、土8:30-13:30)の「ニュース惠理ごのみ」で見せる不公正に対する憤りは実直だがやや幼く感じられるし、「X-Radio バツラジ」(TBSラジオ、月〜金24:00-25:00)の「スジいぢり」における語りもどこかピントがずれている。そうしたボケっぷりの一方で、言葉の端っこが真理にちゃんと届いている感じが、リスナーに愛されているのだろう。

また、外山アナの

アシスタントのほうって、あまり見て話して下さらないゲストの方って多いんですけど、[柳沢は]すごく、気ぃ使って下さって、目を見て話して下さる。

という言葉は、柳沢と外山の両方の人となりをよく表しているような気がした。

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小林信彦「本音を申せば」第469回、『週刊文春』2007年8月16・23日夏の特大号

○小林信彦「本音を申せば」第469回、『週刊文春』2007年8月16・23日夏の特大号

※少しだけ加筆修正しました。(2007年8月13日)

今回の「本音を申せば」は、本当に良み応えがあった。「全文を引用したいぐらいなのだが、それではルール違反になる」。このブログを読んで下さった方には、必ずお読みになられることをお勧めする。念を押すと、『週刊文春』2007年8月16・23日夏の特大号に載っている。

今号の「本音を申せば」を概観すると、立花隆が『朝日新聞』夕刊2007年7月23日付に寄稿した文章を端緒に、「文化系トークラジオ Life」(TBSラジオ、毎月最終日曜25:30-26:00)を厳しく批判しつつ、「今の若い人」が戦後という時代をいかに知らないかと苦言を呈し、それに選挙の話題を絡めつつ、小林自身が生きた時代としての戦中・戦後を語るという構成。「敗者と怨念(ルサンチマン)」と題されている。

本当に「全文を引用したいぐらいなのだが」、本ブログの関心に沿ってラジオに関するところだけを引用:

ぼくに言わせれば、<今の若い人>は、戦後がどういう時代だったのかも知らない。

二十九日の参院選の夜中、もう三十日に入ってからだが、TBSラジオで若い人が徴兵制って簡単にはできないだろう、と話している。もちろん、甘い。朝鮮戦争のころの日米関係をペラペラしゃべる。大いにお勉強したのだろう。まったく間違っている訳ではないが、ニュアンスとか重みというものがない、これは莫迦だな、と思って、ラジオを切ってしまった。

その前(午前二時まで)、武田一顕記者を混えて、小西、麻木、二木、宮台といったTBSラジオ系の文化人の話していた選挙結果発表後の雑談の苦さと笑いにくらべたら、ウスッペラで、こんな連中が改憲に賛成したりするのか、とウンザリした。

○小林信彦「本音を申せば」第469回、『週刊文春』2007年8月16・23日号

ちなみに、ひとりだけフルネームで登場するTBSラジオの国会担当記者・武田一顕(「タケダ記者」は、漢字ではこう書くのか)は、今や「BATTLE TALK RADIO アクセス」(TBSラジオ、月~金22:00-23:40)の名物となっている。武田記者は小林のお気に入りのようで、私も「武田節」のファンだったりする。

コラムで、小林は「TBSラジオ系の文化人の話していた選挙結果発表後の雑談」を称揚し、「若い人」に厳しい。しかし、「文化系トークラジオ Life」の面々の多くは、多かれ少なかれ「宮台チルドレン」なのではないか……誤解か? 

実は7月29日(日)深夜、「文化系トークラジオ Life」の放送中、私は「誠のサイキック青年団」(ABCラジオ、日25:00-26:45)を遠距離受信していた。こちらでは、ガッキー(新垣結衣)は映画で脱ぐか、スクール水着なら可能かとか、映画『トランスフォーマー』はスゴいとか、いい歳のおっちゃん3人が熱い議論を交わしていた(当ブログ「誠のサイキック青年団(ABCラジオ、2007年7月29日(日)25:40-27:25)」を参照)。

それはさておき、小林の批判も少々不当な気もする。「文化系トークラジオ Life」のサイトに行けばmp3で番組が聴けるようなので、さっそく……と思ったら、小林評に対するリアクションが既にアップされていた。批判に正面から応じていないのが残念(「残念って言えば残念だけど、ぼくたちを支持してくれている年寄りもいるんだから大丈夫だよ~ん」てな感じか):

○酷評された! (文化系トークラジオ Life)2007年08月08日 21:43

親切にも、小林が酷評していると思われる箇所にもリンクが貼ってあった:

http://podcast.tbsradio.jp/life/files/20070729_3.mp3

実際聴いてみると、「こんな連中」のなかで「9条改憲反対でない」のは、スタジオの6人(か7人)のうち2人だけ。従って、むしろ改憲派は少数で、2人のうち1人は「賛成でも反対でもない」(上のmp3の16分あたり)。

ただ、「莫迦」とは言わないが「ウスッペラ」という評は中っているかもしれない。「北朝鮮問題のキャスティング・ヴォウト」だとか「食料自給率と国防」だとか、議論は共時的な関心と観念で専ら占められていて、歴史的なパースペクティヴが感じられない。

しかしながら、心身に刻み込まれた歴史に依拠して紡ぎ出す小林の言葉の「ニュアンス」や「重み」に、「若い人」が太刀打ちできるはずはない。小林は実際の戦争を「地ベタ」で文字通り「体験」しているが、戦争を知らない若い知識人の戦争論はいきおい「空中戦」にならざるを得ない。仕方ないのだ。小林の期待は、はっきり言って過大だと言える。

むしろ、戦後知識人の反戦平和論が、現代知識人に引き継がれていない――これが一番の問題だと思う。戦後の反戦平和論は、専ら敗戦による被害者意識を機軸に構築されてきたと思う。一見すると加害者としての責任を引き受けているように見える「一億総懺悔」も、実は、甚大な被害によるショックの裏返しなのではないか。

これをそのまま引き継げと言うのではない(むしろそれは問題だと私は思っている)。重要なのは検証と批判だ。戦後反戦平和論に正面から腰を据えて向き合い、その問題点(例えば、加害の実態に対する周知と考察の永き欠如)を徹底的に精査して、同時に被害の経験を決して軽んずることないよう留意しつつ歴史とのリンクを切らないようにしなければならない。ひとことで言えば、歴史に依拠した、新しい反戦平和の概念の構築だ。

放送中に入った速報で小田実の死去が告げられたのは象徴的だ。戦後民主主義を代表する知識人が次つぎと鬼籍に入り、いわば「反戦平和運動の生物学的な終焉」が迫っている。戦後反戦平和論の批判的継承のチャンスが、日に日に狭まりつつある。

小林の酷評は、閉まりつつある現代の裏口から差し向けられたチャンスに他ならないのではないか?

僕はこの番組について「全員にわかってもらおう」とは思っていないんですが、と同時に「1人でも多くの人にわかってもらいたい」とは思っているので、途中で切られてしまったのはプロデューサーとして悔しいですねえ。[……]

あ、でも昨日、68歳の女性のリスナーさんから「Lifeをはじめて見つけたときは大喜びしましたよ。深夜放送でないとなかなか聴けないので、今度また深夜に移ってきてよろこんでいます。~ともかく応援してますから頑張っていい番組を作ってください。」なんてメッセージを頂戴したんですよ(号泣)※1。だから年齢や世代とは関係なく伝わるものあるのだと心強く思ったりもしているので、いつか小林さんにも「何かしら耳を傾けるべきところはあるな」ぐらいには思ってもらえるといいな、と思いつつこれからもLifeはLifeらしくやっていこうと思います。
○酷評された! (文化系トークラジオ Life)2007年08月08日 21:43

そんなこと言っていないで、小林の酷評に正面から向き合ってみてはどうだろうか。

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