« 誠のサイキック青年団(ABCラジオ、2007年7月22日(日)25:00-26:45) | トップページ | 山口隆のOH! MY RADIO(J-WAVE、2007年7月26日(木)24:00-26:00) »

キミラジオ(調布FM、2007年7月23日(月)22:00-23:00)

○「キミラジオ」(調布FM、2007年7月23日(月)22:00-23:00)
 制作:学生・ラジオ放送プロダクションYoungWave
 調布FMは、東京都調布市周辺で聴取可能なコミュニティFM局

21:00過ぎ、帰路の途中、調布駅で降りる。

ふと、調布FMを聴いてみようと思った。

しかし、電車の中で聴いていた「こちら山中デスクです」(TBSラジオ、月20:00-22:00)が意外と面白く、調布駅南口前のベンチでしばらく聴いていた。ゲストの露木茂が新人アナとして関わった「吉展ちゃん誘拐殺人事件」や、フジテレビ時代に某政党から衆参院選挙出馬要請を受けた話が面白かった。「バックネット裏(=報道)の人間がダグアウト(=政界)に入るべきではない」という言葉には、「この人はマスコミの最低限の作法をちゃんと心得た人間だ」と好感触。ただ、久保田智子アナが「ぐーぐる」と言うときの平板アクセントはいかがなモノか。小雨が気になり、駅から少し南のモスバーガーへ移動。注文を済ませると、電波の入りやすい窓際の右隅の席に陣取る。

「こちら山中デスクです」のエンディングあたりで調布FMにチューニングすると、ジャズのノンストップ・チャンネルがフィラーとして流れていた。

22:00、「キミラジオ」放送開始。この番組は今日が初めて。

コミュニティーFM局の多くは、学生に機会を提供し、彼/彼女らが制作する番組を放送していることがある。そういう番組は、「放送局の中のもうひとつの放送局」みたいな感じがして、結構好きだ。

ただ、もし「キミラジオ」の制作に関わっている人が、以下の文章を読んだら良い気持ちがしないかもしれない。決して悪意はない、と断言できる。恩着せがましいが、私は真剣に聴いたのだ。ラジオという病の熱にうなされる男のうわ言とでも理解してほしい。

この日の「キミラジオ」の構成はこんな感じ:

・オープニング(ピアノの話)
・献血ルームの話
・高田塾塾長・高田城先生の聞かなきゃ損する、聴いて得する、就職タメトク語録!
・インディーズ・バンドの紹介

オープニング(ピアノの話)・献血ルームの話
献血ルームの話は、男女のパーソナリティーの会話にロケで録ってきた音源を交えて、渋谷の献血ルーム「SHIBU2のサーヴィスが意外とリッチでお得だ、という紹介。オープニングのピアノの話も献血ルームの話も、スタジオの2人の会話はとても聴き易かった。でも原稿を読んでいる感じ。

高田塾塾長・高田城先生の聞かなきゃ損する、聴いて得する、就職タメトク語録!
この番組の後ろ楯をしているらしい「高田塾」の塾長の話。途中の『七人の侍』の話が、必ずしも本題にフィットしていなかった様な気もする。聞き手の女子学生は「胸に響きました」と締めていたが……。上司のありがたいお言葉を賜わるという感じで、会社の忘年会・忘年会みたいだった。こういうのが、いちばん学生っぽくない。そして、塾長の話を学生が一方的に聴くというスタイルは、リスナーにとってはつまらない(限られた時間でまとまった内容にするためには仕方ないのかもしれないが)。聞き手の学生が質問や話題を振ったり、時には喰ってかかってみたり、対話のかたちになっていた方が面白い。

インディーズ・バンドの紹介
必然的に「知らない人が知らない人にインタヴューする」ことになるわけだから、大スターとのインタヴューのようなありがたみは無いのは仕方ない。従って、その瞬間の面白さでリスナーの関心を惹起して勝負せざるを得ない。聞き手は「あなたは知らないかもしれないが、この人たちは、実はこんなに興味深い」という提示の仕方を工夫しなければ、県域局の単なる悲しいミニチュアになってしまうのではないか。今回、聞き手が「自分たちと同年代」という点を強調していたので、これをフックにして、インタヴューという形式に囚われず、どうせなら雑談風に展開させて、アーティストから「同年代の男子」の側面を引き出しても良かったのではないか。

選曲
オープニング後・エンディング前にかかった曲は、普通のヒット曲だった。せっかく小さな放送局で流すのだから、メジャーな放送局ではかからない曲を紹介したほうが、特徴を出せるのではないか。例えば、まだマイナーだった頃のアコーディオン奏者cobaをいち早く評価したのは、カレッジ・チャートだったと思う。発掘なき発信には刺激がない。

番組全体
番組の後ろ楯の「高田塾」とは、マスコミ志望者の私塾みたいなものなのだろうか。そのためか、先のインディーズ・バンドの紹介のコーナーも、聞き手のアプローチが放送局のアナウンサーのようだった。この番組は、表現者のアトリエというよりは、マスコミ志望者の練成道場という印象を受けた。アナウンサー的に振る舞うロール・プレイではなく、反実仮想の楽園から離れて今の自分のアプローチを採るほうが聴き手の共感を呼ぶのではないか。

それと同時に、「学生による学生のためのラジオ」という呪縛の悪夢を感じた。たしかに学生らしい番組。しかし、社会人が描く学生イメージの最大公約数を進んで引き請ける必要があるのだろうか? 「学生」という外皮を剥がしても、その下にどのようなアティチュードが確然として有るのかが、詰まるところの肝なのだ。

また、学生の最大の特徴は、「まだ何者でもない」ということなのではないだろうか。まだ何者でもない人たちが、誰もやらないことをやるヤバい番組こそが面白い、と私は思う。「キミラジオ」は、コミュニティーFM10局でネットされているそうなので(コレはスゴい)評価も高いのだと思う。非常にきちんと構成されていて聴き易い。でも、少しは奇を衒ってもいいのではないか?

以前に聴いた「DHK第一放送」(調布FM、月22:00-23:00)のほうが、ちょっとオタク寄りではあったが、粗っぽくて面白みがあったような気がする。

偉そうに永ながと書いてきたが、ひとえに、YoungWave の皆さんのように番組制作に参画するチャンスを得ている人たちが羨ましいのだ。私はラジオを愛するあまり二の足を踏んで、結局ただのラジオ聴きに終わってしまっている。中学時代、自分の部屋の勉強机から「オレのオールナイトニッポン」を放送している夢を何度見たことか。すべて、そんな悲しき輩の恨み節だと思って頂いて差し支えない。「四の五の言わずに、お前も番組をつくってみろ」といわれても仕方ない。でも私は「バックネット裏」から「ダグアウト」に移動する予定は今のところない。

Google

|

« 誠のサイキック青年団(ABCラジオ、2007年7月22日(日)25:00-26:45) | トップページ | 山口隆のOH! MY RADIO(J-WAVE、2007年7月26日(木)24:00-26:00) »

コミュニティーFM、ミニFM」カテゴリの記事

ラジオ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: キミラジオ(調布FM、2007年7月23日(月)22:00-23:00):

« 誠のサイキック青年団(ABCラジオ、2007年7月22日(日)25:00-26:45) | トップページ | 山口隆のOH! MY RADIO(J-WAVE、2007年7月26日(木)24:00-26:00) »