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山口隆のOH! MY RADIO(J-WAVE、2007年7月26日(木)24:00-26:00)

○「山口隆のOH! MY RADIO」(J-WAVE、2007年7月26日(木)24:00-26:00)

木曜の夜、気づくと、ラジオ馬鹿のバイブル『ラジオ番組表』 (三才ブックス)を何となくめくっていた。

知らない人のために念のため解説すると『ラジオ番組表』とは、ラジオの番組改変期にあわせて毎年春と秋の2回発行されている、日本のすべてのAM・FM・短波放送局のタイム・テイブルを一冊にまとめた出版物だ。全国コミュニティーFM局リストや、海外の日本語放送のリストも掲載されている。ラジオ馬鹿をこじらせるためにつける薬だ。最新号は2007年春号

そんなこんなで、J-WAVEの木曜深夜にサンボマスターの山口隆の名前を発見。不覚にも今日まで見逃していた。

サンボマスターは、今の日本で聴くに値する数少ないバンドのひとつだと思う。ロックだ。何よりも、ヴォーカルの山口の顔がロックだ。金髪碧眼の白人ロッカーであればギターを揺らしながら浮かべる恍惚に崩れた顔もセクシーだと呼ばれるかもしれない。しかし、ズングリムックリの黄色人種が珍妙に崩れた表情で吼えながら這いずり廻る姿は、ロックとしか言いようがない。これこそ新しき日本語ロックの道と光だ。生で見たら、たぶん泣くな、オレ。一時期もてはやされた、ホストみたいな格好でスカして歌う連中がいかにロックから遠かったかが、サンボマスターの登場で一目瞭然となってしまった。ざまぁ見ろ!

驚愕に値する演奏力の高さ、ヴォーカルの声の良さ、楽曲のカッコよさ、曲からほとばしるメッセイジなど、音楽的にも優れていると思う。スリー・ピースのパンク・バンドの体をとっているが、黒っぽいサウンドも私ごのみ。各メディアのインタヴューに接して感じたのは、音楽の歴史に対するメンバーの卓抜な知識と独自のアティチュードだ。彼らはロックの歴史の中に自分たちを位置づけながら、自分たちが何をなすべきかを探る創作活動を行っているようだ。

また、山口は、「音楽による救いとは何か」「音楽で得たカネをいかにして音楽に返していくか」といったことについても各メディアでしばしば語っている。人との繋がりを探りながら自分の音楽観を、福島訛りを残した早口で、ねちっこく熱く「あんた方」に向かって語る山口の姿は、今どきの人たちにとっては「ウザい」かもしれない。しかし、その「ウザさ」こそが、サンボマスターを特別なバンドにしていると思う。

さて、初めて聴くこの日の「山口隆のOH! MY RADIO」(マイラジ木曜日)は、「苗場音頭」でスタート。「FUJI ROCK FESTIVAL'07」前夜祭会場からの公開生放送で、ベースの近藤洋一も出演、途中からドラムの木内泰史も合流。会う人会う人に「BAWDIES見に来ました」と言われた、とこぼす山口。ちなみに、この番組はネットでもサイマル放送されているとのこと。つまり、同じ時間に世界中で聴くことが出来るのだ。

内輪ネタが多いが、雰囲気は聴いていて心地悪くない。ミュージシャンの番組だが投稿ネタも募集していて、送られてくるネタも結構面白い。山口の喋り方には、AMの深夜放送が好きだったんじゃないかと思わせる雰囲気がある。「ビートたけしのオールナイトニッポン」(ニッポン放送、1981年1月1日~1990年12月27日、木25:00-27:00)あたりを聴いていたことがあったのかも?

公開放送は、人が集まり過ぎて放送開始15分で終了。「公開じゃなくしてからの、このトークの盛り上がりは何ですかね」という山口のコメントに笑ってしまう。人がハケてから再度、シャッターを開けて公開放送に戻していた。また

「おい山口、革ジャン・ロックは終わってねぇ」って、オレに言ってどうするって話だよ。

には、深夜にもかかわらず大爆笑。

さて、この番組において特筆すべきは選曲だ。こんなラインナップは他ではまずない。新曲ばかりでないところが良い。敢えて言うなら、サンボマスターを顕微鏡でのぞいて見える世界はきっとこうだろうという感じ。ファンにとっては、「サンボマスターの成分表」を知るための貴重な手がかりになるし、サンボマスターのファンでなくても音楽ファンであれば絶対に愉しめる選曲だ。曲を聴くためだけにチューニングしても絶対に損はない。この日のプレイ・リストは:

サンボマスター「VERY SPECIAL!!」
Sly and the Family Stone "I Want to Take You Higher"
はっぴいえんど「12月の雨の日」
Clash "Police on My Back"
RCサクセション「ファンからの贈りもの」
Miles Davis Quintet"If I were a Bell"
九州男「少年⇔未来~映画のようなメモリー~」
SUPERFLY「マニフェスト」
Prince "If I Was Your Girlfriend"
The Beatles "I Me Mine"
サンボマスター「愛しき日々」
サンボマスター「手紙~来たるべき音楽として~」

もうひとつ画期的なのは、曲にかぶせてトークするという点だ。曲をかけながら、かかっている曲について話すのだ。これは、ありそうで意外とない。FMラジオにとっては、ある意味では掟破りの手口だ。

終盤では、デヴュー前にFUJI ROCKの500人のルーキー・ステージに立った時に嬉しくて頭が真っ白になり、1ヵ月ぐらい眠れないほど幸せだったが、その感動が薄れてきているという話を始めた。

明日GREEN STAGEで4万5千人が来るってことは、もうとんでもないことだと思わなきゃいけないわけですよ。だから僕は、明日どんなことがあっても、無茶苦茶にやろうと思ってるわけですよ。明日僕がそれをやることによって、何が起こるかわからないぐらいのことをやってやろうと思ってるわけですよ。

もしも、その4万5千人ぐらいのところで20人ぐらいしかお客が来なくても、別に僕はそれでもいいと思ってるんですよ。20人ぐらいのお客が、4万5千人ぐらいのところに20人だけ来たら、その20人に4万5千人分のヤツをやるだけで、4万5千人分のところに4万5千人以上の人が来たら、僕はそのときは、初めてのルーキーで「新しき日本語ロックの道と光」って曲をやって、「愛しき日々」っていう、後になった曲をわぁ~ってやるだけなんです。

僕と近藤君と木内君は、それ以外何も考えないでやろうと思ってるわけですよ。ロックの意味が何かとか、世界の意味が何かとか、そんなことの前に僕は、500人のあんた方とね4万5千人の力をもったFUJI ROCKで僕は、歌おうと思ってるわけです。オレにはそれしかねぇからね。おれは、そのことを歌おうと思ってるわけ。オレが歌ってるのがロックンロールだかロックンロールじゃねぇんだかとかも、この際どうでもいいと思ってるわけよ。この4万5千人だか10万人だか、とんでもねぇ力をもったこのロック・フェス、Red Hot Chili Peppers やらが、Chemical Brothers やらがいっぱい来てね、スゲぇフェスだっつって楽しむ、そんなことね僕はね、微塵も、微塵もね、僕は……出てる人がどうこうじゃねぇとこでやりたいんですよ。オレは、出てる人がどうかじゃねぇとこでやりてぇの。500人来た、20人来た、4万5千人来た、そん中のアンタに歌うんだ、オレは明日。

ウザいぞ、山口隆。だからお前はカッコいい。

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