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JET STREAM 40th Anniversary Around the oneworld(TOKYO FM、月~金 2007年6月18日~ 7月2日24:00-24:55、7月3日23:00-24:55)

JET STREAM 40th Anniversary Around the oneworld(TOKYO FM、月~金 2007年6月18日~ 7月2日24:00-24:55、7月3日23:00-24:55)

THE HOUR REMEMBERED

IN RADIO SILENCE

RADIO SILENCE
RADIO SILENCE
RADIO SILENCE

William Gibson, "THE BELOVED (VOICES FOR THREE HEADS)", ROBERT LONGO,  ArT RANDOM 71 (Kyoto: Kyoto Shoin, 1991)

「ジェットストリーム」40周年メモリアル・フライト前の2週間はほとんど聴けなかった。かろうじて聴けた7月4日(月)深夜の放送を聴く限りは、通常の放送のフォーマットからの大きな逸脱はなかった。これから推測するに、2週間のそれ以前の放送も、既存の構成の枠内に「11人の旅のスペシャリストたち」のモノローグ的な語りをはめ込んだものだったのではないだろうか。雰囲気としては、森田真奈美時代の「LOVE SOUNDS ON JET STREAM」(2000年4月~2002年9月)を番組内のコーナー化した感じだろうか。私としては、それほど違和感はなかった。ただ、ゲストによって印象は異なったはずで、違和感のある回もあったのかもしれない。もしお聴きになった方は、下のコメント欄やトラックバックなどを利用して教えて頂きたい。

そして、40周年メモリアル・フライトの日、7月3日23:00。第一回放送の音源で番組がスタート。私が聴いていたのは城達也の「ジェットストリーム」の後期であり、当然、初期の放送は聴いたことがない。そのせいか、やや違和感がある。それに、ナレイション前の「ピュイ~ン、ピョイ~ン」と言う感じの、笛みたいなテルミンみたいな音――『ウルトラQ』かと思った。

オープニング・テーマは、フランク・プゥルセル・オーケストラの「ミスター・ロンリー」。やはりコレが一番しっくりくる。そして城達也のナレイション――声が若い! 私にとって懐かしいあの声よりもやや高く、ちょっと硬い感じの声だった。番組後期の城の声が熟成したウィスキーなら、今回聴いた若い声にはキリリと冷えたジンのような端整さがあり、ゆっくりと美しく深夜の空気に拡散していった。ただ、古い音源ゆえの汚損か何かによるテープ・トラブルのせいだろうか、「夜の静寂のなんとじょ*舌なことでしょう」と音が跳んでいた。そこが一番いい所なのに。コレも含めて歴史か。

昨日冗談のつもりで「「ジェットストリーム」の40周年メモリアル・フライトが近づいています。ご搭乗手続きは15分前までにお済ませください」()などと書いたが、今回の放送も似た様な趣向があって、

JET STREAM 40th Anniversaryスペシャル・フライト便にご搭乗のお客様は、ただ今、80番ゲートよりご案内しております。

とのこと。こっちは、言われる前から「80番ゲート」より搭乗し、とっくの昔に準備万端である。

本編は、伊武雅刀がナレイションを務めつつ、「ジェットストリーム」がフライトを続けてきた時代を10年ごとに区切って、その10年ごとの区分にそれぞれゲスト(「旅人」)を登場させ、その当時の自らの旅を語るという内容だった。すなわち、「ジェットストリーム」の歴史とゲストの個人史における時間と空間の旅を重ね合わせるという構成だった。

そして、零時の時報前に次のようなナレイションが聴こえてきた:

この星に絶え間なく吹き続ける
高度一万メートルの風のように
真夜中のイマジネーションの世界を
旅し続けてきた音楽の風
ジェットストリーム
静かに、穏やかに、そして優しく
40年間あなたとともに
夢の旅を続けてきました
まもなく40年目の午前0時です

なるほど、このために23時からのスタートだったのか。私は39年目の終わりが40年目の始まりにすり抜ける瞬間に立ち会うことができた。そして、先述の通りの趣向で番組は続いた。

端的に言って、この日の放送に80%ぐらいは満足した。正直に言えば、期待はずれの放送になるのではないかと危惧もしていた。「ジェットストリーム」は、番組自体が生ける神話になり、私の心のなかでは美しい歴史になっている。したがって、どうあっても自分の満足のいく放送になるはずがないと、薄うす感じていたのだ。わがままな想い出の海を浮きつ沈みつ滞留する小瓶に詰め込まれ取り出すことも出来ず、明確に言葉に出来ないくせに、それが正しいことを当の本人だけは確信しているような私だけの理想形――そんなものが具現化する訳がない。

また、複数の「旅人」が「搭乗」すると聴いていたので、「「旅人」たちが「ジェットストリーム」についてクロス・トークでも始めたら、ラジオの向こうで世界が完結してしまって大変だ」などと危惧していたが、「旅人」たちは、おとなしくシートに座って、順番に静かに語っていたせいか、番組に雰囲気とそこそこに調和していたと思う。

ところで、「レイディオ・サイレンス」(radio silence)という言葉がある。ラジオの放送終了後のテクニカル・ブレイク時の無音の状態を指すそうだ。奇を衒うようだが、「ジェットストリーム」は「レイディオ・サイレンス」の番組なのかもしれない。「ジェットストリーム」のベストな聴取スタイルは、誤解を恐れず言えば、邪魔にならない語りと音楽を聴くともなしに聴くことだと思う。強すぎず弱すぎず、聴いているのに静寂の中にいるような音楽や語り、静寂の響きであり響きの静寂――「ジェットストリーム」まさに「夜の静寂」を愉しむ番組だと思う。今回の「JET STREAM 40th Anniversary Around the oneworld」は、私の聴取スタイルに充分耐えるものだった。

「それは君のスタイルであって、「ジェットストリーム」は君だけの番組じゃないんだよ」という向きもあるだろう。しかし、「これは自分だけのものだ」という幻想をもたせてくれるところがラジオのかけがえのない魔法だということは、ラジオ・ファンなら誰しも知っているはずだ。

「ジェットストリーム」に関する過去の批評:

ジェットストリーム(TOKYO FM、月~金 24:00-24:55)

「ジェットストリーム」のエンディング・ナレイションの今昔

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